2018年07月14日
【匂い】『日本人はなぜ臭いと言われるのか〜体臭と口臭の科学〜』桐村里紗
日本人はなぜ臭いと言われるのか〜体臭と口臭の科学〜 (光文社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日スタートした「光文社キャンペーン」からの1冊。セールの初っ端に登場しただけあって、既に多くの方にお求めいただいております。
アマゾンの内容紹介から。
在日外国人の7割が「日本人の口臭にがっかりした経験」があるという。日本人の多くが歯周病とのデータもある。無臭社会日本と言われるが、本当にそうなのか。医師の視点でみると、口臭や体臭は健康のバロメーター。真のにおい対策は根本的な健康増進につながる。本書では予防医学専門の内科医が、においとは何かにはじまり、におい物質と嗅覚や脳の関係、口臭や体臭の種類や原因となる疾病と対策について、わかりやすく解説する。
中古に送料を加算するとほぼ定価並みとなりますから、Kindle版が500円弱、お得となります。
"do i have bad breath?" / Dan Nevill
【ポイント】
■1.日本人は、なぜ口が臭いのか先進国であるにもかかわらず、日本人の口腔ケアに対する意識はかなり遅れている。なぜなのだろうか。
この理由は、文化的に見ると、日本人は、欧米人のように、日常的にキスをしたり、ハグをしたり、他人と密に接近することがないからではないかと考えられている。
挨拶代わりに、初対面の人とでも顔や体を寄せ合う文化であれば、第一印象のために口臭ケアは欠かせないだろう。一方、日本人は、よほど親しくならないと、他人のパーソナルスペースには侵入しないし、自分も侵入されたくないと思っている。
また、危機感の問題もあるだろう。アメリカでは、子どもの頃から、虫歯にならないよう口腔ケアをしっかり教育される。歯ブラシだけでなく、フロスなどを使ってしっかり歯間ケアもする。
■2.においを発生させやすいライフスタイル
(1) 早食い、胃が悪い。
(2) 野菜や海藻、果物などの食物繊維が不足しがちだ。
(3) 便秘をしやすい。
(4) 肉食が多い。
(5) アルコールをよく飲む、肝機能が悪い。
(6) 糖尿病やメタボリックシンドロームがある。
(7) 中性脂肪が高い。
(8) 汗をかく習慣がない。
(9) ストレスが多い、生活時間が乱れている。
(10) 慢性的に疲れている。
(詳細は本書を)
■3.歯みがきすべきタイミング
以上を踏まえて推奨される歯のケアのタイミングは、次の通り。(1) 起床時:歯磨き+口すすぎこうしたタイミングや回数も、専門家によって若干、推奨する内容に違いがある。
(2) 各食後:歯間ケア+唾液分泌法+口すすぎ
(3) 就寝前:歯磨き+口すすぎ
もし、起床時と就寝前の歯磨きだけでは、歯がざらつくような場合には、食後、酸性に傾いた㏗が中性に戻る60分後以降に歯磨きをするといいだろう。食間に歯を磨くことで、無駄な間食の予防にもなりそうだ。(中略)
本質的なポイントは、(1) 寝ている間に細菌を増殖させないこと。これらができていれば、クリアだ。
(2) 食後はすぐに歯を磨かないこと。
(3) 食後は歯間ケアを中心にし、唾液をしっかり分泌・還流させること。
(4) バイオフィルムが形成される前にしっかりと落とすこと。
■4.能動汗腺を鍛えてサラサラ汗をかく
能動汗腺を鍛えるなら、何よりも、じわじわと体温を上げる有酸素運動が有効だ。発汗のためには20分以上継続したい。心身の健康のためにも、体臭の改善にも、大変有効だ。
初めはベタベタ汗しかかくことができなくても、継続するうちに、爽やかなサラサラ汗が玉のように溢れてくるだろう。こうなれば、眠っていた能動汗腺が起きてきた証拠。「若返った!」と自信を持とう。
汗腺が眠っている状態で、負荷の高い運動をすると、汗の質が余計悪化しやすいので注意しよう。
汗をかいた後は、シャワーでサッと流して終わりにするようなもったいないことはせず、さらに入浴して汗をかこう。42度で15分程度、湯船に浸かると、500㎖のペットボトル1本分以上の汗をかくことができる。脱水にならないように水分を補給しながら、どんどん汗をかくようにすることで、汗腺にたまったゴミや垢、老廃物も排泄することができる。発汗を促す炭酸ガスを発生する入浴剤や塩などを入れるのも効果的だ。
■5.足の臭い対策
足の裏には、エクリン汗腺が豊富にあるため、体幹の5倍以上の汗をかく。通気性の悪いビジネスシューズやブーツなどの中では、温度30度以上、湿度90度以上になっている場合もあり、常在菌が繁殖しやすくなる。
さらに、足の裏は、どこよりも餌になる角質が分厚く、常在菌は豊富な栄養を食べて、ますます元気になる。この常在菌が汗や皮脂を分解し、イソ吉草酸をはじめとしたにおい成分を作り出し、これが強烈な足臭の原因になる。納豆やブルーチーズやウォッシュチーズにも含まれるにおい成分だ。(中略)・高温多湿にしないために、汗を抑えること。通気性の良い靴を選ぶこと。
・細菌を繁殖させないために、餌となる角質をケアすること。
・足裏からの多汗の原因になるストレスを緩和すること。
【感想】
◆新書でありながら、めちゃくちゃハイライトを引きまくった1冊でした。新書サイズで272ページしかないにもかかわらず、通常の2〜2.5倍はハイライトせざるを得なかったという有様。
これはひとえに、本書が多方面的に、「匂い」についてアプローチしていたから、と言えるかと。
確かにその対象は「口臭」と「体臭」なのですが、その原因が多すぎて、さらにその対策ともなると、それは中身も濃くなります罠。
加えて、具体的なグッズまで紹介されてしまうと、思わず買ってしまうというものです(単純)。
◆さて、まずはタイトルにもある「日本人の臭さ」について。
これ、タイトルでははっきり「口臭」と書いていない(内容紹介には書いてあるのに)のは「あえて」なのかもしれませんが、ほぼ全面的に「口臭」のお話になります。
ちなみに日本人の腋臭の割合は10〜15%に過ぎず、70〜90%の欧米人、100%(!?)の黒人に比べると、圧倒的に匂っておらず。
それなのに、口が臭いことで「在日外国人の7割が『日本人の口臭にがっかりした経験』がある」ことにつながっているのかもしれません。
本書では、胃腸障害や肝機能障害等による口臭についても言及されているのですが、どうももっともポピュラーなのが、上記ポイントの1番目にあるように「口腔ケア」が十分でないためらしいです。
◆というわけで、この本を読んで以来、私も毎日実践している「歯間ケア」は、最低限、必要な模様。
歯はみがいてはいけない (講談社+α新書)
参考記事:【知らなんだ!?】『歯はみがいてはいけない』森 昭(2016年12月14日)
上記ポイントの3番目にもあるように、食後は歯磨きではなくてむしろ歯間ケアを行い、歯磨きは起床時と就寝前に行うべきでしょう。
なお、食後すぐに歯を磨くことに関して、今までご紹介してきた本では、「良くない」「気にするほどのことはない」の両説がありましたが、本書では「良くない」派のよう。
さらに本書で激推しされていた「口腔水流洗浄器」も、ヨメの許可が出たら買いたいところです。
パナソニック 口腔洗浄器 ジェットウォッシャー ドルツ 白 EW-DJ61-W
……我が家の洗面台が結構狭くて、この大きさのものを置けなさそうなんですよね(涙目)。
◆一方、体臭に関しては、本書の第4章に詳しいです。
上記ポイントの4番目にあるように、サラサラ汗であれば、本来汗自体は匂わないのだそう。
さらに30代から始まる「ミドル臭」、40代から始まる「加齢臭」は、いずれも皮脂の分泌と酸化が原因とのこと。
これらを防ぐには、まず「食生活の改善」からになるのですが、栄養素や食材を列挙するわけにもいかないので、とりあえず割愛しました。
加えて必要なのが運動……って、私は耳イタイのでなかったことにしております。
また、ストレス臭を防ぐためには、良い睡眠が必要とのことで、こんなアプリが紹介されていました。
「寝たまんまヨガ 簡単瞑想」をApp Storeで
寝たまんまヨガ 簡単瞑想: リラックスした睡眠で不眠解消! - Google Play のアプリ
◆というわけで、最初に触れたように多方面にまたがる本書。
あまりに口腔ケアが詳しいことから、最初著者の桐村さんは歯医者さんなのかと思ったのですが、身体全体にも言及されていたので、よくよく著者略歴を読んだら、愛媛大学医学部医学科卒の内科医さんでした。
お名前からも分かるように女性ではありながら、丹念に引用文献(その数69個)を付けているあたり、さすが理系といったところでしょうか。
……もっとも、文体や文章の合間にちょこちょこ繰り出される小ネタから、てっきりオサーンかと思って読んでいたのですが(失礼)。
まー、確かに入浴剤に「エプソムソルト」使うオサーンがいたら、それはそれでアレですけどねw
口臭や体臭が気になる方なら読むべし!
日本人はなぜ臭いと言われるのか〜体臭と口臭の科学〜 (光文社新書)
はじめに――実は、臭い! ? 残念な日本人
第1章 「におい」を知る
第2章 「臭う」は、不健康
第3章 「口臭」の正体と、その対策
第4章 「体臭」をコントロールする
第5章 「香り」のデザイン――自分も周りも快くする
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【編集後記】
◆本書を読んでさっそく買ったモノを。キスユー イオン歯ブラシ フラットスリム 本体 ふつう (色おまかせ)
イオン歯ブラシなんて、ニセ科学っぽいなー、と思ったら先を越されて
マイナスイオンと聞いて、「怪しい」と思うことなかれ。中学生で習った化学反応で理解できる。と解説されていたという(具体的な商品まで挙げられていたわけではありません)w
歯の表面を覆うペクリルと、プラーク内の細菌は、マイナスの電荷を帯びている。これらを結びつけるのが、両手にプラスの電荷を持ったカルシウムイオンだ。歯の表面とプラークが、カルシウムイオンによって結びついている(イオン結合)ところに、イオン歯ブラシのマイナスイオン(マイナスの電荷・電子)が来ると、カルシウムイオンの片手が離れてしまう。すると、細菌は歯の表面から離れざるをえなくなるというわけだ。
ご声援ありがとうございました!
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