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2018年07月11日

【スピーチ】『ソニー歴代トップのスピーチライターが教える 人を動かすスピーチの法則』佐々木繁範


ソニー歴代トップのスピーチライターが教える 人を動かすスピーチの法則
ソニー歴代トップのスピーチライターが教える 人を動かすスピーチの法則


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本セール」からの1冊。

著者の佐々木繁範さんは、「ソニーの盛田昭夫会長、出井伸之社長の側近として数多くのスピーチづくりを担当し、経営コンサルタントとして独立後は延べ1万人ものビジネスリーダーを指導」されてきた方です。

アマゾンの内容紹介から。
スティーブ・ジョブズのスピーチはなぜ「伝説」なのか?優れたリーダーはなぜ自分の失敗談を語るのか?部下のやる気を引き出す、3つの秘訣とは?自分の感情や身体が発するメッセージとは何か?感動を与え、行動を促す「伝え方」の教科書、決定版!

なお、中古がそれなりのお値段しますから、送料を加味するとKindle版が500円以上お買い得です!





speeches / topdrawersausage


【ポイント】

■1.スピーチに入れるべき2つの「なぜ」
 1つ目の「なぜ」は、「なぜ、そのことをやろうと思ったのか?」、即ち、動機を語ることです。動機にはストーリーがあります。ストーリーを語ることで、聴き手は、「ああ、そうだったのか」「そういうことだったのか」という、納得感を得ることができるのです。  
 2つ目の「なぜ」は、「なぜ、そのことをやりたいのか?」、すなわち、目的を語ることです。目的とは未来への意思であり、ビジョンのことです。「何のためにそれを行うのか?」「そのことを通じて、どんな未来を実現したいのか?」ということです。
 これらが私利私欲によるものではなく、他の誰かのため、世界の進歩のため、社会をよりよくするため、という大義に基づくものであるとき、聴き手の心に、「ぜひ力になりたい」、「応援したい」、「貢献したい」という気持ちが湧いてくるのです。それだけ、理由を語るということは大切なのです。


■2.説得力があるメッセージには論理、感情、信頼が必要
 私はこれまでセミナーなどを通じてさまざまなタイプの人たちに接してきましたが、女性よりも男性、役所や金融機関に勤めている人、エンジニアや開発部門など理系業務に携わっている人たちの中に、感情を率直に表現することが苦手な方が多いように感じました。
 事実とロジックに基づき、客観的に論文や報告書を書くトレーニングをしっかりと受けてきた人は特に、仕事において感情を率直に表現するのはよくないことだと思い、無意識のうちにそれを控える傾向があるようです。
 しかし、説得力があるメッセージを発信するためには、論理、感情、信頼の3つの要素がそろうことが必要です。スピーチのみならず、あらゆるコミュニケーションの場で、皆さんの感情をより率直に表現してみてはいかがでしょうか。そうすれば、これまで以上に、聴き手の心を揺さぶることができるようになるでしょう。


■3.聴き手に対して心を開く
 自分の話をする、しかも、少しプライベートに踏み込んだ話をする。そのためには、話し手は聴き手に対して心を開くことが求められ、勇気が必要となります。しかし、そうして心を開いてくれた話し手には、聴き手も心を開きます。このような状態になったときには、両者の心がつながり、信頼感が生まれるのです。
 皆さんも、取引先や顧客の前でスピーチをするときには、人ごとではなく、自分ごととして話をするように努めてください。一般論に終始することなく、自分の会社と先方の間で、さらには自分自身と先方の間でのかけがえのない関係や経験談を話すように努めてください。そうすることで、両者の心の距離が一気に縮まり、さらに緊密な関係を築くことができるのです。


■4.部下のやる気を引き出すアドバイスの伝え方
・ステップ1  まず、頑張ったことへの感謝の気持ちを伝える
・ステップ2  そして、できているところを伝える
・ステップ3  できていないところが、どうなったらいいか、そのために、どんな改善を行えばよいかを考える。そして、「ここを、こうすれば、もっとよくなる」という言い方で、アドバイスを伝える
・ステップ4  最後に「頑張ってほしい」との期待を伝えて、行動を促す
 普段から一緒にいる部下や社員に対しては、愛する気持ちがあるにもかかわらず、ついつい、素っ気ない伝え方をしてしまいがちかもしれません。次に、仕事上でアドバイスをする機会があれば、ぜひ、このことを思い出してみてください。必ず、部下の目が輝くことと思います。


■5.主語は「弊社」か「私たち」か
 退屈なメッセージと感動的なメッセージを見比べる中で、私は1つの特徴を発見しました。それは、主語が「弊社」であるか、「私たち」であるかの違いです。
「弊社」「当社」「XXグループ」というように、会社を主語にして語っている社長は、メッセージに迫力がありません。それに対して、「私」や「私たち」を主語にして語っている社長は、メッセージからエネルギーが湧き出す感じがします。
「会社」を主語にしてメッセージを語ろうとすると、社長は自社のことを客観視してしまい、会社がやったことを、第三者として説明するような口調になりがちです。それに対して、「私たち」を主語にしてメッセージを語る場合は、事業に対する自分や部下の想いや志を、当事者として込めやすくなるのではないかと思います。


【感想】

◆個人的にも腑に落ちるお話が多い1冊でした。

まず、上記ポイントの1番目にある「2つの『なぜ』」について。

本書で実例が挙げられていたのが、「ワークショップでの自己紹介」という私たちにも身近なものでした。

普通は「○○社から来た、△△です。私は□□が苦手なので、今日はしっかりと学びたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします」くらいで終わりがち。

もちろんそれでも「どこの誰」という最低限の情報は伝わりますが、当然「感動」はありません。

そこで「動機」と「目的」の2つの「なぜ」を加えると、かなり濃厚なものに生まれ変わるのですが、具体的には本書にてご確認を。


◆また本書で繰り返し触れられているのが、「論理」「感情」「信頼」の3つの要素の重要性です。

これはアリストテレスが『弁術論』で述べた、「ロゴス」「パトス」「エートス」のこと。

この3つが揃うと、人々は話に納得し、感動し、信頼できると思って、その主張を受け入れます。

上記ポイントの2番目では、「感情を率直に表現することが苦手な方が多い」と指摘していますが、ぶっちゃけ、「感情」以前に「論理」が破たんしているスピーチも無きにしも非ず。

それはさておき、本書では「感情」が表現されたスピーチが載っており、そこには「苦しい」「つらい」「よかった」といった心のつぶやきが、具体的に表現されていました。

確かにこういった感情表現がなくとも、文章としておかしくはないものの、そこをあえて入れるのが、ミソということ。

相手を動かすには、こうした表現も必要なんですね。


◆そこからさらに踏み込んだのが、上記ポイントの3番目の「自分ごと」のお話。

誰でもできる話に終始するのではなく、「自分ごと」として話をすることで、相手も心を開きます。

特に仕事上では、「自分の会社と先方の間で、さらには自分自身と先方の間でのかけがえのない関係や経験談を話す」というのは大事かと。

飲み会でぶっちゃけ話をするのではなくて、仕事をしているときでも、こうした意識を持ち、実践することで、より深い信頼関係が築けるのだと思います。


◆一方、スピーチとは違うものの、人に何かを伝える際に留意したいポイントが、本書にはいくつか収録されていました。

たとえば上記ポイントの4番目の「部下へのアドバイス」。

普通にダメ出しをしたいときでも、ここにあるような手順を踏むと良いのだそう。

……これはこれで、言う方にストレスが溜まりそうですがw

また、ポイントの5番目は、会社のホームページでのお話なのですが、なるほど言われてみたら、「弊社」か「私たち」かで、しっかり違いがありそうな。

皆さんもご自身の会社の「社長メッセージ」をご覧になってみてください。


人を動かすスピーチの秘訣がここに!

ソニー歴代トップのスピーチライターが教える 人を動かすスピーチの法則
ソニー歴代トップのスピーチライターが教える 人を動かすスピーチの法則
序 章 人を動かすスピーチの秘訣
第1章 メッセージを明確にする
第2章 主張には理由を添える
第3章 構造をシンプルにする
第4章 ストーリーを織り込む
第5章 心情と情景をありありと語る
第6章 自己開示する
第7章 相手に共感する
第8章 相手のために尽くす
第9章 本心を語る
第10章 言ったことは実行する
第11章 身体のメッセージを意識する
第12章 心をポジティブな感情で満たす


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【名スピーチ集】『巨大な夢をかなえる方法 世界を変えた12人の卒業式スピーチ』(2015年03月16日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える (NHK出版新書)
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「100分 de 名著」シリーズで出た作品の新書化らしいのですが、アマゾンレビューもかなり好評。

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