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2018年07月06日

【お金?】『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 しごとのわ』高井浩章


おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 しごとのわ
おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 しごとのわ


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「歴代日替わりセール ベストセラーセール」の中でも人気だった1冊。

土井英司さんがメルマガで激賞したため、既にお読みになった方も多いかもしれない、お金本です。

アマゾンの内容紹介から。
「この世には、おカネを手に入れる方法が6つあります」中学2年生になった僕は突然、奇妙なクラブに放り込まれた―。謎の大男、大富豪の美少女、平凡な「僕」の3人がお金や経済の仕組みをひも解いていく。知られざる過去、家業への嫌悪感、淡い恋心…さまざまな学びと思惑が錯綜する、「おカネの教室」がはじまる!現役経済記者が娘に贈った、実用エンタメ青春小説。

なお、このセール期間内なら、送料を加算した中古より、Kindle版が900円弱お得です!





Money / Cooperweb


【ポイント】

■1.役に立つ仕事、立たない仕事 
 ビャッコさんは一瞬、間をとり、深く息を吸ってから、「わたしが役に立たないと思う3つの仕事は、高利貸しとパチンコ屋と地主です」と一気に言った。
 教室に沈黙が降りた。(中略)
 カイシュウ先生がようやく「これは……驚きましたね」と口を開いた。
「中学生の口からその3つが出てくるとは。少々、面食らいました」
 カイシュウ先生とは違う意味で、僕も驚いていた。なぜなら僕は、この町の人間なら誰もが知っている、でもたぶんカイシュウ先生が知らないことを知っているからだ。
 その3つはすべて、ビャッコさんのウチ、福島家の家業なのだった。


■2.もうけは銀行家、損は国民に
「まとめてしまえばこういう構図です。一部の銀行家は他人のお金で派手なギャンブルをやっていた。勝ったときだけ自分が大もうけして、負けたら納税者にツケを回す。そういう、まことにおいしいゲームです。(中略)」
「そういうケシカラン連中を仮にダニ軍団と名づけましょう。平時はダニ軍団はけっこうなお金を稼いで、ボーナスをたんまりもらっている。そこにリーマンショックみたいな危機がきて、金融市場がパニックに陥る。(中略)」
「そのときダニ軍団は、このままでは世界恐慌になりますよ、と政府や国民を 脅す。我々を助けたほうが結果的に安上がりですよ、と言いつのる。無茶な話ですが、無理が通れば道理が引っ込む。ダニ軍団にも多少の犠牲は出ますが、見事、世間様のサポートを得て生き残る。あるいは、ほとぼりが冷めた頃に、新たなダニがわいて出てくる」
 カイシュウ先生は一気に話すと、すっと立ち上がって窓に歩み寄った。


■3.『かせぐ』『もらう』『ぬすむ』の関係
「この図は世の中全体を表しています。左上が富の増大を担う『かせぐ』。真ん中が『もらう』。この中には『かせぐ』に近い人や『もらう』だけの人もいる。底が『ぬすむ』。富をちょろまかす輩です。横線は玄人と素人の境界線です。単純な善と悪あるいは一般人と犯罪者の境目ではありません。左の必要悪の部分は、玄人側ですが『もらう』に入っている。そして右側には素人だけど『ぬすむ』がいる。寄生虫の銀行家などです。一番底は泥棒、本職の詐欺師、麻薬ビジネスなどなどの犯罪者ですね」
「その左の部分にバイシュンフとか軍人が入るんですか」
「ワタクシの考えではそうです。ギャンブルの類も必要悪に入ります。再確認しておきます。これは富を産み出す、お金を増やすという観点から切り分けた図です。『かせぐ』が『もらう』より偉いわけじゃない。誰が富を増やすか、いわばそろばん勘定だけで世界を乱暴に切っています」


■4.『かせぐ』裏付けがない限りは借りない
「で、あれこれ考えましたけど、転売屋も含めて、僕らには全然、商売の知識がないんだから、無理だな、ということになりました」
 カイシュウ先生が「実に賢明な見切りですね」とうなずいた。
「『かりる』と『ふやす』。裏表の関係のこの二つが成り立つには条件があります。借金に付きモノの金利というコストを吸収する『かせぐ』の裏付けです。それがない限り、カネなんて借りるもんじゃない。『かせぐ』を『もらう』に置き換えても同じ。返済のあてがない借金をすれば、坂道を転げ落ちるように人生は狂い出します」


■5.高利貸しは『ぬすむ』に分類すべき?
「昔の偉い銀行家が『貸すも親切、貸さぬも親切』という名言を残しています。借りちゃいけない人には貸さないほうがその人のためになる。とても深いお言葉です」
 えぐい前振りのおかげで、心に染み入るようなありがたい言葉に感じる。
「だから、借り手と貸し手が、それぞれ冷静に条件を決められる状態でなければ、人にお金を貸してお金を『ふやす』ことをフツーに入れるべきではない」
 カイシュウ先生の目がビャッコさんに注がれている。ビャッコさんが目を上げた。
「つまり、高利貸しは『ぬすむ』に入れるべきだって言うんですね」
 カイシュウ先生がはっきりとうなずいた。(中略)
「少なくともかつての高金利で融資していた時代の高利貸しは『ぬすむ』に分類せざるを得ない。借り手はその場が助かるだけで、その後、身を滅ぼす。そんな金利を取るのは社会に損失を与える、つまり『ぬすむ』に当たると見るべきでしょう」


【感想】

◆そもそも本書は、当初著者の高井さんが、家族内で回覧するために書かれた読みものだったのだそう。

その時点では長女さんが小5、数年後に加わったという次女さんは年齢が書いていないものの、おそらく読み始めた時点では、やはり小5くらいでしょう(その後三女さんも加わったとのこと)。

つまり、そのくらいの年齢の子どもでも分かるように、本書は書かれているわけです。

ただし、読んでるこちら(いい大人w)も、正直考え込む部分がないとも言えないくらいなので、本書内で先生(カイシュウ先生)に問われて回答している主人公の2人(サッチョウ君とビャッコさん)が、Kindleでの個人出版時に小学生だった設定は、中学生に変更。

さすがに読者から「こんな賢い小学生、ありえない!」という指摘が多数あったのだとか。


◆というわけで、本書はカイシュウ先生の指導の下、「お金を手に入れる方法」について検討していきます。

具体的な方法は、表紙の絵にもあるように『かせぐ』『ぬすむ』『もらう』『かりる』『ふやす』の5つ。

これらをまず、「世の中の役に立つか否か」で分類していきます。

すると、上記ポイントの1番目にあるように、地元ではお嬢様として知られるビャッコさんが、家業である「高利貸し」と「パチンコ屋」と「地主」が「役に立たないもの」と思っていることが明らかに!?

以降、彼らのレッスンと並行して、ビャッコ家の家族問題も絡んでくることになります。

……と、これ以上話してしまうとネタバレですね。


◆それにしても、本書は扱われるテーマが、かなり広範囲のもの。

上記ポイントの2番目は、リーマンショック時のお話ですし、割愛した部分では、GDPや福祉、さらには株式投資や投資信託についても触れられています。

そしてこれらをムスメさんたちに理解させるために(当初は)、身近な例を豊富に取り込み、主人公を子どもにして、物語形式を採用している次第。

ただ、私はそれなりに知識がありますので着いていけましたが、果たしてまさに小5のウチのムスコが理解できるのか?

とは言え、大手塾の父母会でも、子どもをいわゆる「子ども扱い」しないで、ニュースや新聞の話題を普通に話してみるよう言われているので、機会があれば、ムスコにも読ませてみたいと思います。


◆なお、上記ポイントの3番目は、引用部分にもあるように、本来図解されているもの。

さすがに図をそのまま載せるのは問題なので、割愛したのですが、『ぬすむ』と『もらう』の境界線に関して興味深かったので抜き出してみました。

……本当は私が手描きで写せば、著作権的にセーフなんでしたっけ?

仕方がないので、ついさっきまでExcelの描画で挑戦していたのですが、上手くできなかったので割愛しました(スイマセン)。

さらには、本書の終盤では、表紙の絵にもあるように、いよいよ「6つ目のお金を手に入れる方法」が明かされます!

さすがにこれも明かせませんが、気になる方は本書にてご確認を。


お金について、改めて深く考えさせられる1冊です!

おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 しごとのわ
おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 しごとのわ
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<5月>
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<9月>
課外授業
あとがき


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【編集後記】

◆その「歴代日替わりセール ベストセラーセール」の中でも人気だったのはこの辺でした(順不同)。

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おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 しごとのわ
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参考記事:【オススメ!】『僕らが毎日やっている最強の読み方』池上 彰,佐藤 優(2016年12月16日)

よろしければ、ご参考まで。


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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