2018年06月22日
【内向的?】『敏感な人や内向的な人がラクに生きるヒント』イルセ・サン
敏感な人や内向的な人が楽に生きるヒント
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、予想外に人気だった1冊。前作『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』で、HSP(Highly Sensitive Person:敏感な人)の処世術を書いたイルセ・サン女史が、今回はより広範囲な方を対象にした内容に仕上げております。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
今の社会は、外向的で鈍感な人ばかりがうまく渡り歩き、内向的な人や敏感な人は損をしているように見えるかもしれません。しかし、自分の個性にきちんと向き合い、それを上手に生かすことができれば、敏感で内向的な自分のままで、じゅうぶんラクに生きていけるのです。
本書では、そのためのヒントをひとつひとつ具体的に、丁寧にお伝えしていきます。きっと、日々の生活で役立てていただけるはずです。
なお、中古には定価の倍値が付いていますから、Kindle版をお求めになるのが正解かと。
Shy / kinshuksunil
【ポイント】
■1.最悪の事態ばかり想定しても得することはないと知るもし、災害が実際に起きたとしても、現実の災害は想像して備えていたのとは別個のものですから、あまり入念にプランBを立てても意味はありません。
ですので、激しい災害への不安が頭に浮かんだとき、その思考を断ち切り、自身にこう声をかけるようおすすめします。「最悪のことが起きても、何とかなるさ」実際、心配なことが生じても、周りの人と手をとり合うことで一生の友人ができるなど、不幸のなかから幸せが生まれることもあります。
最悪の事態を想定してしまうことの一番悪いところは、まぶたの裏に映る映像を見ることはできても、どうすることもできないところです。最悪な事態に陥っても、すぐに対処すれば、想定以上に恐ろしい事態になることはそうそうありません。
■2.無駄な争いから降りる
あるとき、私は期限内に間違いなく払ったはずなのに、50クローネ(約850円)の延滞金を支払わされ、頭にきてしまいました。それ以来、小額のお金やその他のささいな事柄について争うのをすっかり放棄するようになりました。
権力闘争の当事者は、最低でも2人必要です。でも、その争いをやめるのは、1人でもできます。
手紙を書いて、間違いを指摘したくなるかもしれませんが、面倒な闘いになるだろうと感じたら、争うのを放棄します。
たとえば次のように言えば、争いから堂々と降りられます。「私はそうは思わないけど、そのことであなたと争うつもりはない」(中略)こう口に出すことで、あらゆる形の不公平や悪行に耐えなくてすみます。
争いから降りるのは弱虫なのとは違います。それは賢明なことで、余裕のある証拠です。人生のなかに、思考や感情を費やす価値のあるものは、他にもたくさんあるのですから。
■3.返答する前に相手の意図を探る
たとえば、「日曜日、何するの?」と誰かに尋ねられた場合、正直に何をするか教えることもあれば、「それは言えないんだ」と答えることもあるかもしれません。しかし、その前に、こう言ってみてください。「どうして知りたいの?」こう聞き返すことで、相手がなぜ日曜日に何をするか聞いてきたのかを探るのです。すると相手はこう答えます。「だって、日曜に会えれば楽しいだろうと思って」こうして相手が自分を誘おうと思っているのかどうか知ることができます。
この方法は、「どうして子どもを作らないの?」などの答えにくいプライべートな質問をされた際にも使えます。
「どうして知りたいの?」「次に会うとき、話したかったら話すね」と答えればいいのです。
■4.自分と違う人間を演じようとしない
「飲み会やパーティーなどの誘いを断ったことに、罪悪感を覚えた」と言うクライアントの話を、しょっちゅう聞きます。
そういう人たちは、「どうして私は他の人と同じように喜んで、ただ、『うん、ありがとう』と言って誘いを受け入れて、人づき合いを楽しむことができないんだろう?」と自問自答してしまいます。
そこで私はその人たちに、こう尋ねます。
「どうして気乗りしない会に参加しなくてはならないのですか?」
これに対し、「誘ってくれた相手の顔を立てたいから」などさまざまな答えがありますが、参加しないと罪悪感を覚えるからという以外に理由がとくにない人もいます。
そのような場合、「エネルギーを搾り取られるような会に参加し、大事な時間を費やすことによって罪悪感を払拭しようとするのでなく、その罪悪感を受け入れるようにしてはどうか」と提案します。
これまで、周囲からどう思われるのかを意識して自分の行動やあり方を合わせてきたのなら、今の自分は本来の自分からかけ離れているのかもしれません。
私たちは、自分のやり方で自分らしくいられるような内なる自由度を高める可能性を持ち合わせているのです。
■5.思いきって、自分の要求を堂々と伝える
敏感な人や内向的な人のなかには、多数派と違った願いや望みを表明するのを不安に感じ、そんな自分であることをあえて説明したり謝ったりする人もいるでしょう。
それは必ずしも間違いではありませんが、ただ謝ったり説明したりするのではなく、"何がしたいか""何をしたくないか"を言いさえすれば、相手をより尊重できるということを、心に留めておきましょう。
たとえば、パーティーの誘いを受けたとします。そのときにどう返答するのがよいでしょうか。2つ例を挙げます。「あなたが私を招待しようと思ってくれたのは嬉しいけど、残念ながら、パーティーには参加できないの。なぜかというと私はとても敏感で……」「パーティーでは自分らしくいられないから行けないけれど、誘ってくれて嬉しい」1つ目の返答は、自分の性格を説明することで、パーティーを断りました。これはよい解決策となることもあります。
でも、2つ目の返答のように、何が好きか、何が好きでないか言えば、尊厳も自信も保てると私は個人的に思っています。
【感想】
◆本書は誰にでも役立つものではなく、まさに「読むべき人を選ぶ」作品であり、その「読むべき人」とはタイトルにもある「敏感な人や内向的な人」。アマゾンの詳細な内容紹介にもあるように、私たちの中にもこれらの人々は一定数存在します。
敏感な人 …… 5人に1人つまり、当ブログの読者さんにも、当然このくらいの割合ではいらっしゃるハズ。
内向的な人 …… 2,3人に1人
そこで本書の冒頭には「巻頭付録」として、「敏感度診断テスト」と「内向度/外向度診断テスト」の2つを収録し該当するか否かを確認できるようになっています。
どちらも各質問(20問&32問)について、0点から4点までの5段階評価によって回答することで、どれくらい敏感だったり内向的だったりするかを判定。
もっとも、このテストを読むまでもなく、ご自身が敏感だったり内向的だと思われる方は、直接本書を手に取っても良いと思います。
◆ちなみに敏感な人のことを、本書では冒頭でも触れたように「HSP」と呼んでいるのですが、このHSPと内向的な人との関係について、本書ではこのように言及。
内向的な人の多くは、HSPです。でも内向的な人がみな、HSPなわけではありません。前述の通り、HSPは全人口の15〜20%しかいないと考えられる一方で、内向的な人は30〜50%もいるという事実だけを見ても、"内向的だけれど、HSPでない人"がいることは明らかです。さらにややこしいことに、HSPの30%は社交的で、友人も多く、集団行動が好きで、知らない人といるのを好む、という意味では「外向的」と言える、とのこと。
もっとも、「全人口の15〜20%」のさらに「30%」ですから、極めてレアなことは確かでしょう。
ですから、なんとなくでも自分のことを敏感だったり内向的だと思う方なら、普通に本書はきっと役立つことかと。
◆さて本書は、こうしたHSPと内向的な人の特徴について、プロローグにて解説。
以降の章で「ラクに生きるヒント」と題して、下記目次にもあるように6つの提案を行い、それぞれの提案につき、3〜8つほどのTIPSを挙げています。
上記ポイントはいずれも、これらのTIPSからのもの。
いずれも、HSPや内向的な人にとって、周りとのコミュニケーションをラクにする意味で、有益だと思います。
実際、冒頭でも触れた、著者であるイルセ・サン女史の前作のアマゾンでの評価は、かなり高いものとなっていますし。
鈍感な世界に生きる 敏感な人たち
レビューをいくつか読む限りでも、「この本によって救われた」的なものが目につきました。
◆ただ、逆にHSPや内向的ではない方にとって、本書の内容はなかなか腑に落ちにくいかもしれません。
そもそも私自身、上記ポイントの2番目にある延滞金のようなケースは、「無駄な争い」とは思えない方ですし。
と言いますか、「相手が折れたらラッキー」くらいに言いがかり(?)を付けられる税務調査では、むしろ「とことん争う」姿勢でなくてはならないワケでして。
もっとも、HSPや内向的な人がいて、自分とは違う感じ方、考え方をしている、ということは理解しておきたいと思いますし、それらの方にとって、本書は日々を生きやすくするためのヒントとなると思います。
ご自身が敏感だったり内向的な方なら、マストな1冊!
敏感な人や内向的な人が楽に生きるヒント
巻頭付録 敏感度診断テスト & 内向度/外向度診断テスト
プロローグ "敏感な人"と"内向的な人"の特徴
ラクに生きるヒント1 過度な刺激から自分を守る
ラクに生きるヒント2 堂々巡りの不安を断ち切る
ラクに生きるヒント3 日々に喜びや意義を見いだす
ラクに生きるヒント4 不快なコミュニケーションを回避する
ラクに生きるヒント5 自分に正直な選択をする
ラクに生きるヒント6 自分の個性を快く受け入れる
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。マイホーム価値革命 2022年、「不動産」の常識が変わる NHK出版新書
完全賃貸派の私にはあまり響かないのですが、すでにご自宅をお持ちの方やお考えの方にとっては、一読の価値がありそうな。
中古もそれなりのお値段がしますから、送料を加味するとKindle版が400円弱お得な計算です。
ご声援ありがとうございました!
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