2018年06月20日
【思考術?】『一番伝わる説明の順番』田中耕比古
一番伝わる説明の順番
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、一番人気だった1冊。タイトルからだと、単なる「説明指南」のような印象を受けますが、なかなか奥が深い思考術レベルまで踏み込んでおります。
アマゾンの内容紹介から。
「何をどの順番で話すか」を意識するだけで結果・評価・印象が劇的に変わる。戦略コンサルタントが教える相手の頭を整理しながら伝える技術。
なお、私は「21%OFF」とお買い得なKindle版で読了しました!
Explain / luca.sartoni
【ポイント】
■1.伝わる説明の3つのポイント説明は、仕事やプライベートを問わず、さまざまなシーンで行われている「当たり前」のことです。そのため、あまり深く考えずに説明する人が多いのです。
問題は、難しい概念や事象を説明するときにも、普段どおり、感覚的に行う人が多いことです。その結果は、先に挙げた残念な説明に終始することになります。
では、どうするか。その「3つの残念な説明」をひっくり返せばいいのです。それだけで、伝わる説明ができるようになります。・何をどの順番で説明するのか意識する
・説明する相手の理解レベルを意識する
・何を言いたいのか決めてから話す
■2.聞き手に期待する行動を伝える
説明を受けた聞き手がなんらかのアクションを行う必要がある場合は、先に「期待する行動」を伝えておくと物事がスムーズに運びます。「この提案を、本日、この場で承認していただきたい」というような要望をあらかじめ伝えることで、相手がどういう意識で話を聞けばよいのかがわかります。
「改善すべき点を、アドバイスしてほしい」
「資料作りを手伝ってほしい(ので、プロジェクトの内容を理解してほしい)」
これを怠ると、最後まで聞き終わって、ようやく自分に求められた役割を理解した相手から、「もう一回、説明して」と言われることになります。
同じ説明を繰り返すのは、非常に効率が悪いので、ぜひ最初に「相手への期待」を伝えておきましょう。
■3.意見を求められたら、事実で下支えする
また、相手から説明を求められた際に大事なのは、事実と意見の組み合わせ方です。ここでも大事なのは、「相手が求めているのは何か?」ということ。
相手が求めているのが、あなたの意見であれば、自分の意見から話し、そのあとでそう思った意見を下支えする理由を述べましょう。
このときの理由は、事実であることが大事です。
理由が憶測であったり、願望であったりすると、意見も理由も説得力を持ちません。
たとえば、上司から「今期の売上げは達成できそうか」という質問をされて、「たぶん大丈夫です。去年もなんとかなりましたから」みたいな回答をすると、間違いなく上司から怒られます。
基本的には「私はこう思います」という意見のあとに、客観的な事実を加えて話すことを心がけましょう。
■4.文章を短くする2つのテクニック
短い文章で端的に伝えるためには、実は非常に高度なテクニックが必要になります。
短くするための技術として2つの技術があります。・サマライズと呼ばれるものです。
・クリスタライズ
詳しくは後述しますが、サマライズは、長い文章から要点をくくり出す技術です。
クリスタライズは、本当に重要な物事だけにフォーカスして話を「結晶化」する技術になります。
この2つの言葉は、世の中では、あまり明確に定義されていないように思いますが、私は次のように使い分けています。サマライズは、文章を短くシンプルにすること。これらがしっかりできていないと、「文章は短くなっているけれど、何を言いたいのかがさっぱりわからない」という残念な結果に終わります。
クリスタライズは、本質を表すキーワードを選び取ること。
■5.質問で相手の頭の中を整理する
説明がコミュニケーションである以上、一方的に話すだけで終わるということは稀 です。理想の説明は、相手の話も引き出しながら、状況に合わせて、適切に物事を伝えていくことです。
会話の中で質問をしていくことで、次のようなメリットがあります。・質問の回答を考えることにより、相手の中で思考が言語化されるまず、相手が質問に答えるときに、自分の考えを自覚することが挙げられます。第3章でご紹介した自分の思考を紙やノートに書き出すというのと同じで、自分の考えを意識的にまとめている人は少ないのです。
・相手の中に「自分が言った言葉」によって、筋道が生まれる
・相手の求めている情報がわかるので、補足・追加説明すべきことがわかる
思考は頭の中で事前にまとまることは少なく、アウトプットするときにはじめて形になります。逆にいえば、アウトプットしない限り、思考は実際にはまとまりません。
相手に頭を整理してもらうためには、相手に話をしてもらうことが一番です。
そのために最適な手段が「質問」なのです。
【感想】
◆冒頭で触れたように「奥が深い」1冊でした。タイトルや表紙のフレーズからだと、「何をどの順番で話すか」だけの本のようですが、もちろんそんなことはありません。
まず本書の第1章では、説明下手な人の問題点を列挙。
著者の田中さんいわく「考えた順で説明する」「相手の理解度を意識していない」「言いたいことがわかっていない」という3つが問題である、とのこと。
そこで上記ポイントの1番目にあるように、この3つをそのままひっくり返せば、「伝わる説明」になるワケです。
◆続く第2章では、「わかりやすい説明の順番」と題して、本丸である「説明の順番」を指南。
まず考えなくてはならないのが、説明には「自分主導の説明」と「相手主導の説明」の2種類の説明があるということです。
本書ではそれぞれの順番について触れられているのですが、たとえば上記ポイントの2番目は「自分主導の説明」の順番の2番目である「結論・主張・本質」からのもの。
……全部で5番目までありますので、それ以外の項目については本書にてご確認ください。
逆に「相手主導の説明」の方は、基本的に相手から質問を受けて答えるケースですから、順番の構築は難しくなります。
それでも「わかりやすい説明」にするためにはいくつかコツがあり、上記ポイントの3番目はその中の1つ。
私自身、会社員時代を思い出すと、「たぶん大丈夫です。去年もなんとかなりましたから」みたいな回答をしていた気が(ダメじゃん)。
◆一方第3章と第4章では、「何をどの順番で話すか」における「何を」の部分にフォーカス。
まず第3章では「『自分の思考』の整理方法」について解説してくれています。
ちょっと長くなっていますが、上記ポイントの4番目のサマライズとクリスタライズのお話もこの第3章からのもの。
サマライズは俗に言う「要約」ですからわかりますけど、クリスタライズというのは初耳でした。
本書は具体的に、例文をそれぞれ「変換」していますから、そちらをご覧いただきたく。
ちなみに本書の第6章では、クリスタライズのトレーニング方法として、「物事に『あだ名』をつける」意識を持つことが挙げられていました。
なるほど、「本質を突く」という意味では、「あだ名」付けは良いかもしれません。
◆これに対して第4章は、「『相手の思考』の整理方法」について。
具体的には3つの方法があり、上記ポイントの5番目の「質問」はその中の1つです。
本書では具体例として、「旅行会社の窓口にいて、家族旅行の提案をする」ケースが挙げられているのですが、これがまた上手くて……。
質問によって、相手の「整理されていない」考えを言語化し、それに基づく提案が行われていますから、ぜひご確認を。
なお、この「『相手の思考』の整理」には、コンサルタント御用達の「フレームワーク」も有用ということで、おなじみ「3C」や「4P」の実例が、さらには第5章では「ロジックツリー」を使った実例が登場しますから、具体的な使い方が今ひとつ分かってない方なら、こちらもチェックしてみてください。
◆さらに最後の第6章では、上記で触れたように、各テクニックの「トレーニング」と「思考習慣」について言及されています。
まず「思考習慣」では、上記ポイントでは割愛しているものの、「伝える内容を『要素』に分解する」という考え方は押さえておきたいところ。
それも「単語分解」と「プロセス分解」という、2つの違ったアプローチ法が取れるというのは、個人的には「目からウロコ」でした。
そして「トレーニング」も「数を3つにする」「レベル感(粒度)を揃える」「サマライズ」「仮説思考」等々、どれも身に着けたいものばかり。
これらを実践すれば、なるほど「説明上手」になれることウケアイだと思った次第です。
これはオススメせざるを得ません!
一番伝わる説明の順番
第1章 説明が下手な人は、何が間違っているのか
第2章 わかりやすい説明の順番
第3章 説明力を高める! 「自分の思考」を整理するコツ
第4章 理解度が高まる! 「相手の思考」を整理するコツ
第5章 印象に残る伝え方のコツ
第6章 説明力を磨く思考習慣&トレーニング
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【池上流知的生産術】『<わかりやすさ>の勉強法』池上 彰(2010年11月10日)
【編集後記】
◆昨日ご紹介し忘れましたが、一昨日のディスカヴァーさんのセールではこの辺が人気でした(順不同)。ものの見方が変わる 座右の寓話
夫・彼氏のがっかりファッション改造計画
やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学
参考記事:【科学的自己啓発書】『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』(2017年07月01日)
感動力の教科書 人を動かす究極のビジネススキル
良かったら、ご参考まで。
ご声援ありがとうございました!
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