2018年06月07日
【着こなし】『仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。』山本晃弘
仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、本日最終日となる「仕事とお金のお悩み解決本セール」からの着こなし本。昨日の前日ランキングでも第2位に着けていた人気作です。
アマゾンの内容紹介から。
目指すのは個性のある上級者ではなく、知性のある中級者。男性ファッション雑誌を30年間つくってきた現役編集長が、あなたの知らない最重要ポイントを伝授します!
現時点でも中古が定価以上のお値段ですから、Kindle版が700円以上お買い得です!
Suits / Menswear Market
【ポイント】
■1.スーツで気にすべきは値段よりサイズ数十万円もするようなラグジュアリーブランドのスーツで、間違ったサイズのものを着ているビジネスマン。スーツ量販店で2〜3万円で購入したジャストサイズのものを着ているビジネスマン。仮に、こういう2人が居合わせたとしたら、正しいサイズを着用したビジネスマンに間違いなく軍配が挙がります。
長く雑誌編集者をやってきて、最も仕事ができると感じた広告営業マンO氏もそうでした。「かっこいいスーツですね。どこのブランドのものですか?」と尋ねたところ、「スーツの〇〇ですよ」と量販店で購入したことをさらっと答えました。それがまさに、小さめに見えるジャストサイズのネイビースーツ。タイトなシルエットの 凛々しさが、彼の仕事のスピード感と相まって、実にいいスーツに見えたのです。
■2.ブラックスーツが許されるのは就活生だけ
私の見立てでは、端緒は1990年代末から2000年ごろにあります。グッチのファッションディレクターを務めていたトム・フォード、そしてイヴ・サンローランとディオール オムで一世を 風靡 したエディ・スリマン。そのころのメンズファッションは、この2人によって牽引されていました。2人が提案していたのが、スリムで黒いスーツ。ファッションアイコンであった本人たちに至っては、黒いスーツのジャケットはもちろん、タキシードのジャケットをデニムパンツに合わせる着こなしも得意としていました。黒いスーツなら、ビジネスウエアとしてだけではなくパーティーでも着られる。このコンセプトに日本のスーツブランドや百貨店が追随し、トレンドとして拡散。そして、就活生が購入するスーツ量販店にまで時間をかけて広がったのです。
■3.スーツはネイビーが第一選択
まず、ネイビー。知的、 精悍、爽やかといったイメージがあり、誰からも好かれる色のため、ビジネススーツでは絶対的な第一選択となります。ネイビーにも濃淡があり、濃い色ほどフォーマルなイメージ。学生服やユニフォームにダークネイビーが使われるのは、そのためです。明るめのネイビーは夏のスーツに選びたい素敵な色ですが、フォーマル度が下がるため、着るシーンに気を付けてください。
次に、グレー。優しくて、やわらかい雰囲気を感じさせます。ネイビーがスピーディーに仕事を進める印象を感じさせるとしたら、グレーは落ち着いてじっくりと仕事に取り組むイメージ。色に濃淡があり、ダークなものほどドレッシーに見えるのはネイビーと同様です。なかでもチャコール(英語で炭の意味)グレーと呼ばれる濃い色は、照明によっては黒に見えることもあり、とてもシックな雰囲気です。
■4.ビジネスマンのヘアスタイルは3択から
「男のヘアスタイルは、七三分け、オールバック、ボウズの3択」と私が言うと、冗談だと思う人もいるようです。いや、冗談ではなく、至って真面目。「清潔感」や「シンプル」といった、スーツの着こなしで目指すイメージをヘアスタイルに落とし込むと、必然的にこうした結論になってきます。七三分けかオールバックぎみに、髪をなでつけて整える。キリリと 精悍 に見えるだけでなく、頭が小さくまとまるので、スーツを着たときの全体のバランスがよくなる効果もあります。取材でニューヨークやロンドンを訪れると、サイドを刈り上げてピッチリと七三分けかバックに髪をなでつけたビジネスマンを数多く見かけます。ただ、ボウズは、金融業界などにはNGの会社もあるようなので、注意が必要。その場合には、ベリーショートを選択肢に加えてください。
■5.いい傘を持っていれば、無くすことはない
信頼を失ってしまう瞬間は、雨の日にやってきます。道行くビジネスマンを観察していると、ビニール傘を使っている男性がいかに多いことか。そもそも、使い捨てという発想が賢い選択であるとはとうてい思えません。また、すぐに壊れてしまうチープな傘は、どんな素敵なスーツであっても、着こなしの雰囲気をブチ壊しにします。
ビジネスマンのなかには、「傘は天下の回りもの」と公言している輩もいます。会社の傘置き場からビニール傘を拝借するような人物から決まって聞くのが、「傘ってすぐに無くしてしまうので」という言い訳。ところが、いい傘を手に入れると無くすことがなくなるのです。これは、私自身の経験から断言できます。
【感想】
◆「ファッション」カテゴリーの作品、中でも「ビジネスシーン」をメインとした「スーツ本」は久しぶりでした。今確認したところ、2015年9月以来であり、それ以降は主にユニクロを活用するMBさんや、そのMBさんに対抗する方々のカジュアル本が中心だった模様。
もちろん「スーツ本」も作品としては、コンスタントに出版されていました。
ただ、基本的に「スーツ本」は、著者の主張を打ち出しにくく、着こなしの「ルール」が中心になってしまうため、当ブログでレビューした過去の作品とネタがかぶりまくってしまいます。
実際、本書の内容もその多くが、王道的な「ルール」に関するものなので、かぶりも少なくはありません。
とはいえ、本書の特徴的なところは、こうした「ルール」をさらに現状に則してアップデートしている点ではないか、と。
◆たとえば、クールビズ時における半袖シャツの着用について。
従来「ビジネスシーンで半袖シャツを着ているのは日本人とアメリカ人だけ」「イギリスやイタリアで半袖を着ているビジネスマンはいない」とファッション本では言われてきましたが、本書では「クライアントと会うアポがない、といったシチュエーションであれば」という限定条件ながら、半袖シャツを認めています。
また、同じくビジネスシーンでのリュックサックも、「デスクワークだけの日の通勤バッグとしてならアリ」とのこと。
個人的に、前者に関しては、半袖が許されるのはポロシャツとTシャツだけだと思っているので、半袖ワイシャツは1枚も持ってませんし、後者に関しても、リュックを背負うとスーツが傷むのでやはり持っていません。
もっともそういう私も、「クールビズ時だけならアリ」と本書で言われているボタンダウンシャツを常時着用し、お客さんと会う際にはそのままタイドアップしているのですが(本来NGです)。
(オジエ) ozie【メンズ・ワイシャツ・カッターシャツ】形態安定・ボタンダウン・日本製 ホワイト 白シャツ1935OX-0
……このシャツを毎回5枚一度に買って、傷んできたら一気に5枚全部取り換えております。
◆さらに、私は知らなかったのですが、ワイシャツの下にベージュの下着を付けるという着こなしも、実は著者の山本さんが編集長を務める『AERA STYLE MAGAZINE(アエラスタイルマガジン)』にて提案し始めたことらしく。
それも読者からの「シャツの下に下着は着るべきか?」という質問に対して、「着るべきではない」と返した回答に、「営業先に到着して、汗染みでびしょびしょになったシャツを着ているビジネスマンは紳士的と言えるでしょうか?」と反論されたことから、持論を撤回したのだそうです。
「シャツの下には下着を着るべし。ただしシャツのボタンを開けたときに見えない深めのUネックかVネックのもので、透けないベージュでシームレスの下着を選ぶこと」当時はメンズのベージュの下着がほとんど売られていなかったにもかかわらず、今となっては夏のヒットアイテムとなっていますから、ある意味「トレンドを作り出した」と言えるのではないでしょうか。
また、本書では若手の「2着目のスーツ」として「機能性スーツ」を選ぶことも提案しており、この辺も過度に「ルール」にとらわれない姿勢が表れていると思います。
◆ただし、本書の第3章「スーツの着こなしだけで紳士道を語るなかれ」だけは、ファッション本としてはかなり異質。
ここではビジネスパーソン向けの「働き方」を提案しています。
接待のお店のことや、お詫びにスピード感が大事、というお話は、それは確かにそうなのでしょうけど、ファッション誌の編集長さんにそれを言われても、という気がしないでもなく。
とはいえ、「お詫びの手土産は重いものにすべし」という指摘は目からウロコでした。
ちなみに山本さんは、あるスタイリストさんに教えてもらった「栗のテリーヌ」を「お詫びの手土産」として推奨。
本書に名前は出てきていないのですが、深夜まで営業しているカフェで、「栗のテリーヌ」がテイクアウトできるのはここらしいので、多分間違いないハズです。
ギフトオーダー Gift&Onlineshop|天現寺カフェ Tengenji Cafe
何かトラブルが夜中に分かったら、その足で買いに行って、翌朝一番でお詫びに伺うのが良さげ。
天現寺カフェ - 広尾/カフェ [食べログ]
◆さらに第4章では「1000人調査」による、ビジネスパーソンの実態を検証。
続く第5章では、着こなしを中心とした、世代別のお悩み相談も収録しています。
結果、かなりの広範囲のビジネスパーソンを対象とした、着こなしさらには働き方まで指南しているという。
「スーツ本」を買い漁っている方にとっては、「今さら」なお話もあるかもしれませんが、少なくとも私にとっては、読んで得たものは多々ありました。
そもそも上記ポイントの2番目の「ブラックスーツ蔓延」の原因も、私は今回初めて知りましたし。
お求めになるならセール期限となる本日中がオススメ!
仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。
第1章 出会って1秒、瞬殺されないビジネスマンになるために
第2章 目指すのは個性のある上級者ではなく、知性のある中級者
第3章 スーツの着こなしだけで紳士道を語るなかれ
第4章 1000人調査でわかった、日本男児の真実とは
第5章 就活生、20代、30代、部長。いまさら聞けないお悩み
【関連記事】
【お洒落】『成功する男のファッションの秘訣60』宮崎俊一(2011年12月21日)【状況別着こなし】『勝負する男のロジカル着こなし術』吉田泰則(2015年04月15日)
【着こなし】『チャンスをつかむ男の服の習慣』政近準子(2014年12月03日)
【服選び】『大人の男の服装術』滝沢 滋(2011年07月04日)
【編集後記】
◆上記で登場した「栗のテリーヌ」。違うお店のものでよければ、アマゾンにもありました。
栗菓子専門店 足立音衛門 栗のテリーヌ「天」1本
やはりこちらも結構なお値段ですね……。
ご声援ありがとうございました!
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