2018年05月31日
【転職】『40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人』黒田真行

40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人 (PHPビジネス新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、本日最終日となる「PHP研究所キャンペーン」の対象作品。当ブログでも人気のテーマである「転職」を扱った本ということで、無理やりセールに間に合わせてみました。
アマゾンの内容紹介から。
深刻な人手不足が叫ばれる昨今、40~50歳の「ミドル転職者」の数が増えている。しかし、その内実は悲喜こもごも。楽観的過ぎる転職の末に不本意な結果に陥る人もいれば、「異業界」「異職種」への転職でキャリアアップする人もいる。そこで本書では、ミドル専門の転職コンサルタントとして活躍する著者が、ミドル転職の成功例&失敗例と知っておくべきノウハウを徹底紹介&解説。ミドルはもちろん、将来に悩む若手・中堅社員も必読の1冊。
中古も500円近くしますから、今日中にKindle版をお求めになれば、実質400円弱お得な計算です!

interview-facts-verified / Javrsmith
【ポイント】
■1.「転職35歳限界説」の真実「35歳限界説はもうなくなった」という論調は、事実であれば好ましいことなのですが、実数を見て冷静に判断する必要があると考えています。35歳限界説がなくなったという話は、多くの場合、エグゼクティブに強い人材紹介会社の方から発信されています。彼らにとっては事実であっても35歳未満の傾向と比較したものではないために、年齢格差の実態をとらえられていないことがあります。また、転職を検討している方々が、自分の身近な人の成功や失敗を見て、安易に重要な意思決定をしてしまうリスクさえあります。点の事例はあくまでも点でしかありません。(中略)
「35歳限界説はもうなくなった」「40代でも転職しやすくなった」という楽観的情報をもとに行動を起こしてしまい、結果的に後悔する方を見ているからこそ、この点はしっかりお伝えしたいポイントです。
■2.自分を売るマーケットの調査は絶対不可欠
新商品を製造・販売するとなったら、まず事前にマーケットを調べるために、他社商品や顧客の情報を集めるところから始めるのが一般的でしょう。ところが、自分の転職となると、そうした調査も行わずに、いきなり自分の言い値で売り込みを始める人もいます。これでは、うまくいくはずもありません。
経理の仕事で転職したいのなら、年収の相場はどれくらいなのか、経理の求人はどれくらいあるのか、どういった企業が経理担当者を新たに採用しようとしているのか、経理の中でもどういった種類の仕事が求められているのか、といったことを調べて、自分という商品を売る戦略を考えなくてはならないのです。
仕事では、こうした事前調査を当たり前のように行うにもかかわらず、自分の転職ではそれができなくなる人が出てくるのはどういう理由なのでしょうか?
■3.志望動機を明確に語る
「こういう仕事がしたい」といった志望動機は、これからの未来のことです。これに対して、履歴書や職務経歴書に書かれた出身高校や大学、勤務した企業や部門、職種などは過去のことです。
「〇〇大学を卒業しました。△△会社で□□の仕事や▽▽の仕事で成果を出しました。年収はいくらです。私を買ってください」
志望動機を語れない場合、知らず知らずのうちに、こうした「私を買ってください」型の転職活動になってしまう方がおられます。
しかし、企業が本当に知りたいのは、「自分たちの会社に入って、その人が何をしてくれるのか、何ができるのか」という未来のことです。未来を知るために、何ができるのかを予測するために、過去の実績を参考にしているのであって、決してその人の過去を買っているわけではないのです。
「こういう仕事がしたい」「こんな自分になりたい」という目標がないと、ただ過去を売るだけの人になってしまうということです。
■4.人材紹介会社に自分のポータブルスキルを見出してもらう
自分のポータブルスキルを、まずは人材紹介会社に正しく理解してもらうことが、自分が活躍できる転職につながります。
自分のポータブルスキルが何か分からないという人も、人材紹介会社に対して自分がこれまでやってきた仕事内容を詳しく説明すれば、それが何なのかが分かるかもしれません。
たとえば、「勤めていた企業が同族企業で、経営者や役員に対する説明が非常に重要だったので、そういった上位者への説明や根回しには特段の気を使っていた」といったポータブルスキルかどうか分からないことであっても、人材紹介会社に話すことで、ポータブルスキルが何かを一緒に考えてもらうことができます。
■5.キャリアの棚卸をする際の3つのポイント
「何をしたか」だけではなく、それをやったことで「何を学んだのか」を考えて書き出します。担当した業務やプロジェクトの内容に加えて、その経験を通じて学んだこと、身につけた考え方やスキルなども書きましょう。
次に、「売上1000万円以上」「10%コストダウンに成功」といった成果だけでなく、それを達成するために「どんな戦略を立てたか」「どんな試行錯誤を繰り返したのか」「どんな失敗をし、それをどう乗り越えたのか」といったプロセスについても思い出して書き出しておきます。(中略)
さらに、その時々の感情や次につながる気づきや学びなども書き留めておくと、面接でよりリアルで、かつ相手が納得する話をすることができるかもしれません。
【感想】
◆タイトルには「40歳からの」とありますが、実際には35歳以上で転職をお考えの方にとっては、「必読」とも言える内容でした。まずはその「35歳限界説」について触れているのが上記ポイントの1番目。
確かに「プロ経営者」や、一部の外資系の「エリートマネージャー」ならば、40歳でも50歳でも引く手あまた、ということはあるでしょう。
ただし、それはむしろ「例外」であって、一般的なビジネスパーソンにとっては、35歳までの転職活動とは違う、本書で解説されているアプローチを取る必要があります。
同じく注意しておきたいのが、有効求人倍率「1.55倍」という数字。
これはあくまで全国平均であって、それより高い地域もあれば、そうでないところもあります。
さらには「業種」(建設業、サービス業等々)や「職種」(事務職、技術職等々)によっても違いますから、極端な話、
東京で業種にこだわりなく営業職で年収600万円欲しいという人がいたとしても、大阪の不動産業の営業で年収400万円か、沖縄のコールセンターで年収200万円の仕事か、どちらかしかないという状態なんてこともありえるのだそう。
◆また、忘れてはならないのが、上記ポイントの2番目の調査の件。
本書の第2章では、転職に失敗した方々の実例がわんさか紹介されているのですが、ろくすっぽ相場や実情を調べもせずに転職しようとする人が多いのに驚かされます。
とりわけ大企業に多いのですが、「自分は今、給料をこれだけもらっているのだから、多少落とせばいくらでも職があるだろう」と考えるケース。
まだ会社にいるうちに転職活動をしていれば、途中で「こんなはずでは」と気がつくからいいのですが、会社の「早期退職制度」に応募して、辞めてから探し始めると悲惨です。
上記では割愛しましたが、「求人が多い20代〜30代前半ならまだしも、求人が少ない35歳以上の人は、可能な限り転職先を決めてから会社を辞めるべき」と、著者の黒田さんも言われているという。
この第2章では、こうした各失敗例の最後に「まとめ」として、「何が悪かったのか」と「どうすればよかったのか」を挙げており、ここも非常に勉強になりました。
◆続く第3章では、逆に中高年以降の転職(ミドル転職)の成功例が紹介されています。
ここで注目したいのが、「ポータブルスキル」と呼ばれる、社外でも通用する能力。
今まで当ブログでご紹介してきた書籍にも、英語や会計知識、プレゼン技術といったスキルがポータブルスキルとして紹介されてきましたが、本書で言う「ポータブルスキル」はちょっと違うもの。
仕事の進め方や人との関わり方を通じて鍛えられたスキルは、ほかの業界やほかの職種でも活かせると考え、これらをポータブルスキルと呼んでおり、具体的には「仕事のし方」は5つ、「人との関わり方」は3つのスキルが挙げられていました(詳細は本書を)。
実際にこうしたポータブルスキルに秀でていると、「異業界」「異職種」への転職も成功するようで、たとえば「メーカーのカスタマーセンターからチェーンストアの店舗開発室」といった転職例もある模様。
……一見、どこに関連性があるのか分かりませんでしたが、本書の該当部分を読んで納得した次第です。
上記ポイントの4番目にあるように、人材紹介会社に自分の「ポータブルスキル」を見いだしてもらうのも1つの手かもしれませんね(会社によりけりのようですが)。
◆一方第4章には、具体的なミドル転職のためのアドバイスが多々ありました。
まず最初にやるべきなのが、上記ポイントの5番目にある「キャリアの棚卸し」です。
その過程において、自分の強みやポータブルスキルが明確になることもあるのだそう。
さらには自己PRや職務経歴書の書き方や、面接戦略等々にも言及(詳細は本書を)。
この辺は35歳以下の方にとっても、参考になること間違いありません。
黒田さんのお仕事的に、ポジショントーク的な部分もなかったわけではないのですが、それがまったく気にならない「ためになる1冊」でした。
転職志望者なら、急いで読むべし!

40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人 (PHPビジネス新書)
第1章 なぜ今、転職で格差が生まれているのか
第2章 決死のミドル転職で失敗した人たち
第3章 「異業界」「異職種」へのミドル転職で成功した人たち
第4章 ミドルの転職を成功に導くポイント
第5章 40歳からの「一億総転職時代」の歩き方
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【編集後記】
◆昨日前日ランキングを2本の記事で6つお送りしたのですが、本日終了となるセールが、実は他にもいくつかあります。たとえばこの辺もそうなのですが。
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