2018年05月15日
【コミュニケーション】『他人を平気で振り回す迷惑な人たち』片田珠美

他人を平気で振り回す迷惑な人たち (SB新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「『人間力UP!』 ビジネス書・自己啓発書 100冊セール」からのコミュニケーション本。身の回りにいる「迷惑な人」を分析し、その対処法を指南してくれる1冊です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
周囲を「平気で振り回す人」が今、増殖している。振り回される側は、翻弄され、気疲れするばかりか、こちらに非があるかのごとく思い込まされることすらある。今や、職場や家族、友人、ママ友、SNS等での厄介な問題と言える。本書では相談者による職場や家庭などの豊富な実例を取り上げ、25万部ベストセラー『他人を攻撃せざるをえない人』を上梓した気鋭の精神科医が、背景とともに深層心理に鋭く迫る。
中古は値崩れ気味ですが、送料を加算すればKindle版がお得となります!

Antique marionette / quinet
【ポイント】
■1.相手を道具としかみなさない人親が子供を道具としてしかみなしていないために起こる悲劇はいくらでもある。その典型が、自分が叶えられなかった夢を子供に託そうとする親だろう。
たとえば、甲子園出場経験のある高校球児だった40代の夫。大学からも声がかかるほどの実力だったが、怪我のためプロ野球選手になる夢を諦めざるを得なかった。その無念さゆえか、小学生の息子に自分の夢を託しているようで、勉強や友人関係よりも野球を優先させる人生を息子に強要。自分の言うことを聞かせるため、妻や息子に暴力を振るうこともある。
自分が叶えられなかった夢を息子や娘に託して、敗者復活をもくろむ親は結構いる。こういう親は自分自身の自己実現のために子供を利用しているにすぎない。(中略)
もっとも、その自覚がない場合がほとんどだ。むしろ、全て子供のためと信じている。
■2.責任逃れのために巧妙にあいまいさを残す人
たとえば、先ほど紹介した、面倒な仕事や儲からない仕事ばかりを振ってくる取引先の担当者に対して、下請けの中小企業の経営者が「これはかなり面倒だし、利益もあまり出ない仕事ですが、これをお引き受けしたら、次は本当に大きな仕事をいただけるんですね?」と尋ねたところ、「大きな仕事が入ったら、ぜひお願いしたいと個人的には思っていますが、いつ入るかは現時点ではわかりませんし、どこに発注するかも会議で決めます。うちの仕事をいつもきちんとやってくださっている下請けの中から選びます」という答えが返ってきたという。
この答えは、二重のあいまいさを残しているという点で、芸術的である。まず、大きな仕事が入る時期をあいまいにしている。また、どこに発注するかは会議で決めると伝えることによって、発注先を自分一人で決められるわけではないので、どこになるかわからないという言い逃れもしている。これは、お宅に発注できないとしても、それは自分のせいではないという言い訳でもある。
■3.自己愛が強い人の特徴(抜粋)
●自分自身の過大評価。ときには、誇大妄想を抱いているのではないかと思われるほど、現実離れしている。
●自分は何でもできるという万能感。現実にもとづいているわけではなく、何でもできるはずという思い込みにすぎず、幻想的万能感である。
●自分は特別という特権意識。そのため、少々のことは許されると勝手に思い込んでおり、特別有利な取り計らいを要求する。
●強い支配欲求。何でも自分の思い通りにしないと気がすまない。 自分が決めたルールにしか従わず、しかもマイルールを他人に押しつける傲慢さ。
●自分のものの見方や価値観を他人に押しつける強引さ。これは、自分は絶対正しいし、誰よりも賢いと思い込んでいるからである。
●欲求不満を処理する能力の低さ。そのため、嫌なことや不都合なことがあると、すぐふくれるなど、大人げない振る舞いが多い。
(詳細は本書を)
■4.まずは分析する癖をつける
そこでお勧めするのが、できるだけ学術的な視点で相手を観察し、分析しまくることである。 「この上司が自分の感情をコントロールできないのは、欲求不満を処理する能力が低いからかもしれない。しかも、気分次第で指示を出すことがどれほど深刻な影響を与えるかもわかっていないようで、想像力が欠如している。(中略)」
というふうに。このように、あなたが分析癖を発揮すれば、過剰な感情の揺らぎによるストレスが多少は軽減するはずだ。
本書では、これまで他人を平気で振り回す人の手段や精神構造について解説してきたが、これはすべて分析に必要な材料をあなたに提供するためだ。ここまでお読みくださったあなたは、他人を平気で振り回す人に関する知識が少なくとも普通の人よりは豊富なはずだ。だから、この本で得た知識にもとづいて、周囲の人たちを分析しまくってください。そうすれば、ストレスを軽減することも、あなた自身のメンタルを守ることもできるだろう。
■5.言いなりにならないために「部分交渉」する
たとえば、上司から仕事を任されるとしよう。実際には、体よく押しつけられるだけなのだが、そういう場合「○○さん、この仕事お願いね」と言われると、これまでは「はい」とそのまま受け入れるしかなく、せいぜい陰で「この忙しいときに、こんな仕事までできないよ」「うまくいかなくたって、私のせいじゃないから」と 愚痴 をこぼすくらいしかできなかったのではないか。
そこをちょっと変えていただきたい。これからは「今ちょっと忙しいので、明日まで待ってもらえますか」と時間的な交渉を1つ加えるのだ。あるいは、「今、別の案件を抱えていて、全部はできないので、この部分だけでもいいですか」と仕事の量やレベルについて、ちょっとだけ交渉するという手もある。(中略)
すると、向こうも「こいつは自分の言いなりになる」という印象を改め、何でもかんでも押しつけようとは思わなくなるので、こちらが振り回されることも減るだろう。要は、ちょっと面倒な奴になることだ。そのためにも、ちょっとだけ交渉する部分交渉をぜひ試していただきたい。
【感想】
◆タイトルにもあるように「迷惑な人」のオンパレードでした。確かに冒頭の内容紹介にも「相談者による職場や家庭などの豊富な実例を取り上げ」とありましたが、想像以上。
悩まれている方には申し訳ないのですが、よくぞここまで「迷惑な人」がいるものだと、感心してしまったという。
本書の第1章では、こうした「迷惑な人」のパターンを挙げているのですが、上記で割愛した中で触れておきたいのが、これらの「迷惑な人」を増長させている、「イネイブラー(enabler)」と呼ばれる人のこと。
本書では「問題行動を陰で支えている人」と呼ばれており、一番イネイブラーになりやすいのが、アルコールや薬物依存者の家族なのだとか。
もちろん職場においても、「上司から煩わしい仕事を押しつけられても、それをきちんとやり遂げれば、認めてもらえるのではないかと期待しながら、どんなに面倒な仕事でも文句一つ言わずやる部下」がイネイブラーということになります。
◆とはいえ、「迷惑な人」も心得たもの。
上記ポイントの2番目にあるように、巧妙に言いくるめてきますから、一筋縄ではいきません。
もっとひどいのが「そんなことを言った覚えがない」とか「聞いてません」といった、証拠がないのをいいことに、過去に合意したことを反故にされるケース。
確かに録音しておけばいいのかもしれませんが、同じ社内や家庭だとそこまでやれる方が少ないでしょう。
なお、私自身ドキっとしたのが、子どもに言う事を聞かせるために、ちょっとした脅し(「いう事聞かないなら、家に置いてく」等)を行うことの弊害です。
これをされた子どもは、同様の手法によって対人関係を切り抜けようとするそうなので、気を付けなくては……。
◆ところで、こうした「迷惑な人」に共通するのが、上記ポイントの3番目にある「自己愛の強さ」です。
上記では6つご紹介していますが、本書では10項目あり、それぞれについて本書ではその具体例と分析を収録。
正直、ここだけで記事が1本書けるほどでしたが、それはさすがに自重しました。
なお、割愛した中では、あの小保方晴子氏についても言及されており、著者の片田さんは、小保方氏を「空想虚言者」と断定。
何よりも重要なのは、STAP細胞の存在が客観的な事実とは反するにもかかわらず、小保方氏自身はあくまでも真実だと信じていたことだ。だからこそ、記者会見の際、「STAP細胞はあります」と断言したのだろう。どうしていずれバレるようなウソをつくのかと疑問に思っていたのですが、そう考えると腑に落ちますね。
◆一方、肝心の「対策」は、というと本書の第5章からに詳しいです。
上記ポイントの4番目と5番目は、この第5章からのもの。
確かに第4章までで、イヤ、というほど分析するための知識は提供されていますが、果たして当事者となった上で、冷静に考えられるのかどうか?
また、これはあくまで「ストレスの軽減」が目的ですから、根本的な解決にはなりません。
そこでポイントの5番目にあるように「部分交渉」するのも1つの手です。
もちろん本書には、他にもいくつか対策が収録されていますから、気になる方はご確認を。
他人に振り回されないようにするために!

他人を平気で振り回す迷惑な人たち (SB新書)
第1章 「他人を平気で振り回す人」が増殖する現代
第2章 誰でもちょっとだけ振り回す人になり得る
第3章 「他人を平気で振り回す人」の精神構造
第4章 振り回されやすい人の責任
第5章 もう振り回されないための処方箋
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【編集後記】
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