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2018年05月07日

【プレゼン戦略?】『トッププランナーの「すぐ出す」技術』挽地信孝


トッププランナーの「すぐ出す」技術
トッププランナーの「すぐ出す」技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「GWフェア」からの1冊。

まだセール期限は先ですが、いつ終わるか分からない気がして、どんどん前倒ししてお送りしていこうかと。

アマゾンの内容紹介から。
年間300本以上の企画書を作り顧客にプレゼンしながら、同時にチームマネジメントも行い、管理職業務もこなし、本も書く。1000本以上のTVインフォマーシャルを作ったトッププランナーが明かす、「スピードと成果を両立させる」ビジネステクニックを初公開!企画書・資料作成・プレゼンなど、様々なクリエイティブ業務において、クオリティと速度が加速度的に上がっていきます!

なお、中古がそれほど値下がりしていないため、送料を加味するとKindle版が700円弱お得な計算です!






Imagine Cup 2012 - Day 4 Finalist Presentations / ImagineCup


【ポイント】

■1.相手によって企画書を変える
 忙しい経営者は、回りくどい説明を好まないものです。
 提案者以上に、またこの世で一番その企業のこと、市場環境のことを分かっているわけですから、何を話しても時間の無駄なのです。
 一方でその解決策がどのような波及効果を生むか、つまり一石二鳥があるかどうかはものすごくシビアに見ています。
 つまり、投資対効果が高ければ高いほど採用されやすいのです。
「この解決策は、まずはこの問題に対して顧客の満足度を上げますし、その結果店舗の従業員のモチベーションも上げられる効果もあります」というような話は大好きです。(中略)
 しかし、担当者レベルに提案するときはそうはいきません。
 いわゆるセオリーに則ったほうが説得しやすいのです。
 なぜなら、担当者はその提案の説得を社長にしなければならない立場だからです。
 少しでも疑問が残れば困ります。自分が社長に突っ込まれることになるからです。
 そうやって相手によって企画書は変えていく必要があります。


■2.「自分データベース」を活用する
 私はこの自分データベースを更にいくつかのカテゴリーに分けて整理しています。
「企画書データベース」、「クライアントデータベース」、「協力会社データベース」、「社内・友人データベース」、「飲食データベース」という具合です。
 目の前のPCを立ち上げて、Excelを開くだけで準備は完了。
 それまでの資料ストックや名刺の数にもよりますが、まあ1日15分時間を作れれば、1週間もあれば初期段階の「自分データベース」は完成すると思います。
 私は、クライアントの仕事も社内稟議もプライベートもすべて、このデータベースを組み合わせることで圧倒的なスピードによるアウトプットを行っています。


■3.内容やクライアントによってフォントを使い分ける
■結論をズバッと述べる場合
 HGP創英プレゼンスEB
■調査データなどの分析をする場合
 MSPゴシック
■クリエイティブなどのコンセプトを提示する場合
 モリサワA1明朝
■情感を残したい場合
 毎日新聞明朝L
■女性向けの柔らかい印象を与えたい場合
 丸明オールド
■やや違和感を持たせながらポイントを伝える場合
 太ミンA101+太ゴB101
 意外とこういうことは他人の企画書から学ぶしかなく、調べても載っていない場合が多いものです。
 私も手探りでプレゼンをしながら使い分けていきました。これもデータベースマーケティングのスピードメソッドです。
 ぜひ参考にして欲しいと思います。


■4.オリエンテーション後は速やかにヒアリングを行うべき
 ヒアリングを「意向を聞きだす場」としか考えていないとしたら、それは間違っています。
 ヒアリングは「相手を誘導する場」でもあるということです。
 課題を的確に捉えて、ある程度ソリューションの方向性が見えているわけですから、そちらの方向に誘導しておけば非常に有利になります。
 ヒアリングをしながら誘導しておけば、プレゼンの場でのクライアントの理解度はかなり高まっており、最も重要なアイデアを非常に魅力的に見せることができます。
 また、「私はそのプランには同意するのだが、取締役はもっとこういうアイデアを求めているようだ」などと提案における補強ポイントが明確になり、プレゼンがどんどん隙のない深い提案になっていきます。


■5.プレゼンにおける話し方のポイント
・結論とまとめは声をワントーン上げて大きくはっきり自信をもって右脳に働きかける
・データやエビデンスの説明はグラフのポイントをしっかり指し示しながら声のトーンは下げて冷静に左脳に働きかける
・データやエビデンスから導いたコンセプトや、答えにつながるスライドの流れは特にスムーズに間を空けずスピード感を意識する
・章が終わったら、逆にしっかり間を空けて、ゆったりと話のスピードを落として「次の話をしますよ」と頭のスイッチ切り替えを促す
 こうした点に気をつけながらプレゼンをすれば、相手は右脳と左脳をスイッチしながら、また緩急でメリハリを感じるために眠気に襲われることはありません。


【感想】

◆冒頭の内容紹介にあった「スピードと成果を両立させる」というフレーズ。

そのうち「スピード」において、本書がその「重要性」を述べている部分は多いものの、「具体的な方法」については、上記ポイントの2番目で簡単に触れただけの「自分データベース」がメインでした。

ただし、上記引用ではほとんど触りにすぎませんが、本書では第4章を費やして、その詳細を解説。

「企画書」「クライアント」「協力会社」「社内・友人」「飲食」と、5つのデータベースの有用性と、その作り方を手順も含めて指南してくれています。

さらには続く第5章にて、その活用法も具体例を踏まえて紹介しているという。

正直、ここに絞って今回の記事を書いても良かったのですが、そうなるとほとんど「データベース」だけのレビューとなってしまうので、あえてそれ以外を中心に書いてみた次第です。


◆ただ、「データベース以外」で、本書の中心をなすのは、企画書の作成とプレゼンのお話。

たとえば上記ポイントの1,3番目は企画書ですし、4,5番目はプレゼンのお話になります。

とはいえ、類書が「戦術」に終始するところ、本書は「戦略」レベルまでレイヤーを上げているのが特徴かと。

実際、「良い企画書」「良いプレゼン」について述べている本は多いですが、本書の場合、さらに「通る企画書」「通るプレゼン」にまで踏み込んでいます。

そもそもプレゼン前にオリエンテーションがあること自体、上記ポイントの4番目を読むまで頭になかったですし、プレゼンが終わったら、後は相手会社の結果待ちなのだと思っていました。


◆特にこの「プレゼン後」については、本書によると「そこからが実は本当の始まり」なのだそう。
 私が営業だったころ、プレゼン当日にクライアントにヒアリングに行かなかったことは一度もありません。どんなプレゼンであったとしても、絶対に意見を聞いて、そこから最短で再提案にしたいからです。優勢であろうと劣勢であろうと関係ありません。必ず完璧な提案にするために再度作り上げていくのです。
何やらまるで自分たちの案が採用されるかのようなアクションですが、著者の挽地さんいわく「クライアントは悩んでいます。いいプレゼンであれば、補強して欲しいと思っているし、悪いプレゼンならばもう別の会社に決めるために動き始めています」とのこと。

私が一般的なプレゼンをやったことがないから知らないのか、やったことがあっても知らなくて当然なのかが分からないのですが、今まで読んだどのプレゼン本にも、こんなことまでは書かれていなかったです。


◆その一方で、「戦術」についても本書は豊富であり、たとえば上記ポイントの3番目のフォントの話は、かなり細かくて驚きました。

ちなみに、今回は割愛しましたが、クライアントのタイプ別にもフォントを使い分ける、とのこと。

この辺の企画書の書き方については、本書の第6章、さらにはプレゼン術については第7章に詳しいので、リアル書店でチェックされる場合は、この辺をお見逃しなく!

もっとも逆に、「自分データベース」は、ある意味すべてのビジネスパーソンが活用できるTIPSだけに、そちらに興味がある方の方が多いのかもしれません。

その場合は、本書の第4章と第5章をご覧いただければ、具体的なExcelの操作手順も含めて確認できると思います。


企画・プレゼン本がお好きの方なら、一読の価値アリ!

トッププランナーの「すぐ出す」技術
トッププランナーの「すぐ出す」技術
CHAPTER1 何が”デキる”ということなのか
CHAPTER2 何よりも「スピード」が優先される
CHAPTER3 スピードを飛躍的に上げるメソッド
CHAPTER4 スピード×成果を実現する「自分データベース」
CHAPTER5 一人でもチームでも使えるスピードアップ術
CHAPTER6 採用される企画書の作り方
CHAPTER7 成果を上げるプレゼン術
CHAPTER8 あらゆる場面に活用できるスピードアップメソッド


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【編集後記】

◆先日の小学館さんの「GWフェア」早期終了にはビビりましたが、幸い、文藝春秋さんの「文春祭り」は、現時点で開催されております。



Amazon.co.jp:『50%ポイント還元』 文春祭り: Kindleストア

いよいよ本日が最終日ですから、気になる作品はお早めに!


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