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2018年05月03日

【子育て】『合格する親子のすごい勉強』松本亘正


合格する親子のすごい勉強
合格する親子のすごい勉強


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、本日で終了となる「自分を磨く ビジネス・実用書フェア」でも意外な人気を集めていた子育て本。

昨日のランキング記事でもお伝えしたように、私も慌てて買って読んでみたところ、かなり良かったので、セール最終日ですがレビューすることにしました。

アマゾンの内容紹介から。
苦手科目を克服できない…。習い事はやめさせるべき?応用問題になると、途端にできなくなる。ケアレスミスが多くて困っている。―2020年大学入試改革に強い子になる!難関中学合格率60%超の人気塾講師が教える、中学受験を考える前に知っておきたい、家庭でムリなくできることすべて!

セールは本日までですが(延長の可能性も微レ存?)、その間であれば、送料分強、中古よりもKindle版がお買い得です!





/ Monica Holli


【ポイント】

■1.努力することを習慣にする
 子どものうちから努力し続けることができるかどうかは、将来大きな違いを生みます。
 小学生のときにはトップレベルにいる子が、なぜ大学受験になると早慶にも行けなくなるのか。逆に小学生時代は集団に埋もれていたのに、中学・高校で学力を伸ばして東大や医学部に行ける子がいるのか。その差は「努力する力」です。
 大人になってから、突然自分を律してストイックに努力するように自分を変えていくのは相当大変なことです。
 子どものうちから努力することが当たり前に身についていれば、習慣化されているので、成績が落ちることはありません。ですから小学生のうちは、「テストの点数や成績」だけを見るのではなく「勉強する姿勢」や「継続する努力」も見てあげましょう。


■2.情報と情報を結びつけて答えを出させていく
 保護者会を開くと、「思考力はどうやって身につけさせればいいのでしょうか?」という質問をよく受けます。思考力とは、もちろん考えることができる力のことですが、ここでは「物事をつなげて考える力」を指します。具体的にいうと、「AだからBなんだ」という物事の因果関係を考えられるようになることです。
 思考力を磨くには、 10歳になったら、世の中の本当の常識を教えていきましょう。
 たとえば、どうして高知県では夏が旬の野菜を冬から春にかけて栽培して出荷するのでしょうか。理由は、ほかの地域であまり栽培されていない時期に育てることで、高く売ることができるから。つまり高い利益を得られるからです。
「経済活動は、いかに売上や利益を上げるかを考えて行われる」という大人にとっての常識を伝えていくことで、ただ知識を丸暗記するのではなく、いろいろな事象をつなげて考えることができるようになってきます。


■3.子ども言葉は使わない
 たとえば、テレビから、食品偽装のニュースが流れてきたとします。
 そのときに「ああ、嫌だわ」と言わずに「ああ、うんざりするわ」と言いかえてみましょう。さすがに、うんざりは小学生でも知っている言葉ですが、それでよいのです。理想は大人が使う言葉を自然に使えるようになること。
 大切なのは、ワンフレーズを多用しないことです。親が同じ言葉ばかり使っていると、子どもの語彙力は磨かれていきません。
 また、「うんざり」の語源までいちいち説明する必要はありません。
 ここで、「『うんざり』というのは飽きて嫌になるという意味の『 倦んず』にありがついて…」などと話をしたら、子どもがシャッターを下ろしてしまいます。
「何でも語源にさかのぼらないといけない」と意気込む必要はないのです。
 大人が日常的に使う言葉を子どもに理解させ、できれば使い慣れさせていくことが目的です。


■4.中学受験では算数中心に
 中学受験ではほぼ100%、算数でもっとも差がついています。
 ですから、何よりも算数です。全体の学習時間の 40%以上を算数にあてるほうが効果的です。そして、残りの3教科をだいたい均等に 20%弱ずつとします。
 一般的にはバランスよく勉強しようと言われますし、塾の多くは算数と国語の授業時間が同じですから、算数ばかり勉強すれば算数の成績は上がりやすいけれど、国語の成績が上がりにくくなります。
 でも、それでいいのです。
 国語が得意で、合格者のなかで真んなかだったとしてもたいして差をつけられないのに対し、算数が得意で合格者のなかで真んなかの結果を出せれば、1教科で大きな差を生み出せます。


■5.国語は共感力がないと解けない
 論理的に解いていく力も求められるのですが、人の気持ちが読み取れる「共感力」のある子は、テクニックを使わなくても、あっさりと解けることが多いのです。情感的な能力、共感できる能力は机に向かう勉強だけで培われるものでもありません。日頃からまわりの子の気持ちに理解を示しながら遊んだり、映画鑑賞で主人公の気持ちに入り込む経験をするなかで、育まれることもあります。
 よく「うちの子は全然、人の気持ちがわからないんですよ」という相談を受けることがあります。そういうときには、「映画を一緒に観に行ってはどうでしょう」とお話しします。終わったあとに、簡単にどんな話だったか、子どもとお茶でも飲みながら振り返ればいいのです。そして、「主人公のこういう気持ちに心が震えた」「感動した」など、親の感想を伝えましょう。子ども本人が共感できるところまで至らなくても、「こう思うものなんだ」と理解してもらえれば十分です。


【感想】

◆ムスコが中学受験をする予定なこともあってか、ハイライトを引きまくってしまいました。

今までも子育て本で、ハイライトをたくさん引いたことは何度かありましたが、ここまで大量に引いたのは記憶にないくらいです。

その理由として考えられるのは、著者の松本さんが、実際に中学受験塾を運営しており、受験の現場に極めて近いから。

ムスコの塾の父母会が平日昼間に開かれる関係で、ウチではヨメではなくほとんど私が出ているのですが、そこで先生方が話される内容をほうふつとさせます。

この辺はサンプル数が多く、かつ最近の受験情勢にアジャストしている分、受験に成功した特定のご家庭の話より、説得力があるかと。


◆そしてその「最近の受験情勢」として挙げられるのが、「考える力」を問う問題が増えていること。

「知っているかどうかを試すのではなく、与えられた条件をもとに、どういう結論になるのか、あるいはなぜこんなことが起こったのかを考えさせる問題」が出題されているのだそうです。

たとえば2017年の麻布中学では、「多摩ニュータウンに住む人々は、どのような問題を抱えていると考えられますか」という問題が出され、地形図からは、「標高差があること」、グラフからは「高齢化が進んでいること」を読み取り、「高齢の人にとっては、日々の生活において坂を上ったり下りたりするのが大変であること」という答えを導き出す必要がありました。

ちなみに、大学入試改革における記述の出題例として示されているのも、これと同じタイプとのことですから、今後は、「資料を読み取る力」+「自分の常識や知識を結びつける力/つなげる力」=「現場で考える力」が必要になってくる、と言えそうです。

そしてこれこそまさに、上記ポイントの2番目にある「物事の因果関係を考えられるようになる」ということかと。


◆また、上記ポイントの3番目の「子ども言葉は使わない」というのは、先月の塾の父母会でも言われたことでした。

言葉だけでなく、子どもを1人の「人」として接するのが大事なようで、ムスコを猫かわいがりしているウチのヨメに伝えたところ、大層不満げだったのですが。

ただ、机に向かうだけが勉強ではなく、日頃の生活から受験に対応できるようにしていかなければなりません。

それは上記ポイントの5番目にもあるように、「映画を観て振り返る」というのでも同じこと。

そう言えば、つい先日ご紹介したこの本でも、テレビの番組に出てきた地名や動物、植物名を、地図や図鑑で調べることを推奨されていましたし。

頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある
頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある

参考記事:【子育て】『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』小川大介(2018年04月29日)


◆一方、松本さん塾で効果があった指導法というのも、取り入れてみたいところ。

たとえば、国語の読解力を高めるために、「中学受験の分厚い入試問題集の論説文や説明文をひたすら読む」。

なんでも、入試で出されるこれらの文章は、筆者の主張に具体性があり、内容も分かりやすいので、問題を解かずに読むだけでも効果があるのだそうです。

また、計算問題の宿題を2問やってきたら100ポイント与え、そのうち1問間違えたらゼロとし、2問とも間違えたら、マイナス1万ポイント(わざと大きくするのだそう)と設定してみたのだとか。

すると漫然と解いていた頃より正答率が一気に上がり、ほぼ100%となったのだそうです。

ちなみにこれは、この本の内容を参考にしたとのこと。

「学力」の経済学
「学力」の経済学

参考記事:【教育経済学!?】『「学力」の経済学』中室牧子(2015年06月30日)


◆なお、上記ポイントの1番目の「努力する習慣」は、ウチのムスコは、保育園児の頃から身についているようなので、たとえ中学受験で志望校に入れなくとも、どこかで何とかなるだろうと思っておりまして。

上記ポイントの4番目にある「算数中心」の勉強も、本人の希望で「算数塾」にそのまま通わせております(解き方が違うことがあるので、本書ではかけもちには否定的ですが)。

また、今回はムスコが小5ということで、「10歳以降」のお話を中心に選んでしまいましたが、本書は10歳以前のTIPSも多々。

大量にハイライトを引いている反面、そのほとんどを割愛していますから、受験をお考えのご家庭の方なら、何とかセール期間である今日中に、お求めいただければ、と……。


中学受験本として、かなりオススメの1冊!

合格する親子のすごい勉強
合格する親子のすごい勉強
PART1 これだけは押さえておきたい「子どもを伸ばす親の関わり方」
PART2 子どもの能力が底上げされる「勉強習慣・生活習慣」
PART3 大人になって活きる「応用がきく子」の育て方
PART4 子どもをさらに伸ばす親の「言葉がけ」
PART5 子どもの学力が倍速で上がる「中学受験」の取り組み方
付録 おすすめ書籍・問題集&映像授業リスト


【関連記事】

【教育経済学!?】『「学力」の経済学』中室牧子(2015年06月30日)

【76の習慣】『中学受験で成功する子が 10歳までに身につけていること』村上綾一(2016年05月21日)

【理系の子?】『人気講師が教える理系脳のつくり方』村上綾一(2012年11月18日)

【子育て】『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』小川大介(2018年04月29日)

【勉強法】『「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法』佐藤亮子(2016年12月25日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか
プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか

英治出版さんにしては珍しく(?)、ビジネスモデルがテーマですが、アマゾンレビューもおおむね好評な1冊。

今年2月に出たばかりの作品であり、中古に定価以上のお値段が付いていますから、このKindle版が1100円弱お買い得となります。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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