2018年04月23日
【コミュニケーション】『好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい』桑野麻衣
好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい
【本の概要】
◆今日ご紹介するのも、現在開催中の「売れ筋タイトル50%OFFセール」の中からの話し方本。本の表紙に描かれた飛行機から、てっきりCA系のマナー本かと思いきや、下記にもあるように複数業種にまたがる内容で勉強になりました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
ANA、ディズニー、ジャパネットたかた、再春館製薬所…異色のキャリアを誇るマナー講師が教える「ココロ」を「カタチ」にするコミュニケーションのための、45のポイント!
今回のセール期間内であれば、このKindle版が実質500円弱お買い得となります!
Concierge Tiffany (on the phone) / InterContinental Hong Kong
【ポイント】
■1.ミラーリングは表情をまねる相手が、最近あった楽しいことや、最近行ったおいしいお店、家族に起きたよいニュースといった話を笑顔でしているとき、あなたはその「表情」をミラーリングしていますか? 相手が楽しそうに笑顔で話しているのであれば、一緒になって、鏡のように相手と同じ笑顔、あたたかい目線を送りながら聞いてみてください。(中略)
身振り手振りや仕草のミラーリングは、状況によっては非常に不自然になります。
相手は、「話を聞いてくれているな」と心の距離が近づくどころか「なんだかこの人、話聞いてないんじゃないかな」「なんだか話しづらい」と、真逆の印象を抱いてしまうこともあります。まずは相手の表情をしっかりと見てください。そして、相手の話題に合った表情をできるだけ完全に、まさに鏡写しのようにコピーしてみてください。
そうすることで、決して上手な返しがなくても、相手は「この人はわかってくれているな」「共感してくれている」「より添ってくれているな」と、心の距離を近づけることができます。
■2.バックトラッキング(オウム返し)の3つの手法
実はこのバックトラッキングには、3つの方法があります。まず1つ目は、相手の話した事実を繰り返すことです。
「この前ね、映画を観に行ってきたんだ」と言われたら、「映画観に行ったんだ〜」と、その事実を繰り返します。(中略)
そして、2つ目は、相手の話した言葉の中の、感情の部分を繰り返すことです。
「今日歯医者さんに間に合って本当によかった」と言われたときに、「それはよかったね」と感情部分を繰り返します。(中略)
そして3つ目、これは少し応用編です。相手の話を要約して返すという手法です。
たとえば相手が「好きな場所は沖縄、ハワイ、カンクンです」と言ったのに対し、「鈴木さんは国内外問わず、リゾート地がお好きなんですね」と、相手の話をそのまま繰り返すのではなく、簡単に要約するということです。
(詳細は本書を)
■3.「誰に」「何を」感謝しているのかを明確にする
たとえば、「◯◯さん、早急にご返信いただき、あれがとうございます」であったり、納期が短いものに対して「お忙しい中ご対応いただき、誠にありがとうございました」など。必ず誰に何を感謝しているのかというのを、明確に表現するようになったのです。そうしたところ、面識のない方や、本社の他の部署の方から「会う前から桑野さんはとても丁寧な人だなと思っていましたよ」「会ったことはないけれども、勝手にすごく気がつく方なんだと思っていました」と言っていただくことが多くありました。
それまでは対面での接客業だったので、「感謝の気持ちをより伝えるにはどうしたらいいだろう」ということを考える機会はありませんでした。しかし、はじめての転職先では依頼やお断りする場面も多く、いかにメールの文章だけで感じのよさを伝えることができるかを考えるようになりました。まさにこの「誰に」「何を」を意識するようになったのです。
■4.意見を主張するときは「Iメッセージ」+「おうかがい」
まず、「Iメッセージ」というのは、主語が「私」「自分」であるメッセージのことを言います。それに対して主語が相手、「あなた」であるメッセージのことを「YOUメッセージ」と言います。(中略)
Iメッセージで自分の意見を伝えた後に、「相手にうかがう」という姿勢を見せましょう。たとえば「私はこの件について、A案という意見を持っています。〇〇さんはどう思いますか?」という、おうかがいの姿勢を立てるということです。ここまですると、さらに相手のことも大切にしているという気持ちが伝わるのです。
お互いの意見を出し合ってベストな答えを導こうとするのであれば、お互いに自分の意見と相手の意見を同じだけ大事にしようという姿勢です。
■5.他は崩しても、言葉づかいだけは崩さない
たまに長く接客を経験している方から、「敬語だと相手と距離を感じさせてしまうのでは?」と聞かれることがあります。「所詮言葉づかいなんて……」と感じる人が多いのです。
正直、そう言いたくなる気持ちはわかります。コミュニケーションや接客に自信がある人こそ、そう思ってしまうのでしょう。実際に私も若手社員だったときにはまったく同じことを思っていました。しかし、さまざまな企業に転職し、多くの方と出会ったことで、誰からも信頼され、好かれている一流の人たちはそうではないということに気がつきました。
一流の人たちは、相手を尊重し、そして自分を表現するものとして、言葉づかいは一切崩しません。顔の表情であったり、声の表情、そして身振り手振りといったジェスチャー、また「○○さん」というネームコール。または、以前お話しした話題を覚えている、そういったことで相手との距離を縮めています。
【感想】
◆冒頭の内容紹介にもあるように、著者の桑野さんは、「ANA、ディズニー、ジャパネットたかた、再春館製薬所」といった企業にお勤めした経験のある方。話し方や言葉づかいなんて、大差ないかと思いきや、実はそうではありませんでした。
例えば見送り方1つとっても、ANAでは「いってらっしゃいませ」と言ってお辞儀をするところ、ディズニーランドでは、ゲストがどんなに年上でも「いってらっしゃい!」と手を振らなければならないのだとか。
それを桑野さんはANA時代のくせで、つい「いってらっしゃいませ」と言ってしまうことがあり、近くのキャスト(ディズニーでのスタッフの総称)に、「ここは夢の国ですよ!」と注意を受けたのだそう。
つまり、「同じ気持ちを持っていて、同じ言葉を伝えていても、環境や相手によって受け取る気持ちや印象はまったく異なる」ということ。
もちろん、どの環境でも共通するベースとなる考え方やテクニックはありますから、まずはそれを押さえなくてはいけませんが。
◆さて、そのテクニックで言うなら、上記ポイントの1番目では、コミュニケーション本でおなじみである「ミラーリング」が登場しています。
よく類書では「グラスを持つ」「足を組む」といった「しぐさ」をまねることを主張していますが、桑野さんは「表情」のミラーリングを推奨。
また、「ミラーリング」と同じ「ラポールスキル」から「バックトラッキング」について解説したのが、上記ポイントの2番目です。
順番的にもここで書かれているように、まずは「事実」を、次に相手の「感情」を繰り返し、それができるようになったら、相手の話の大事な部分を「要約」して返す、とのこと。
これは「ミラーリング」とは違い、電話でも実践できるので、ぜひ身に着けたいところです。
◆ここまでは本書の第1章である「『聴き上手』な人の言葉づかい」からでしたが、上記ポイントの3番目は第2章の「『話し上手』な人の言葉づかい」からのもの。
ここではメールにおけるTIPSですが、もちろんリアルで対面しているときも同様です。
ただし、「感謝」ですから笑顔は必須で、さらに相手の目を見て伝えるようにすべし!
また、「感謝」の気持ちは、叱られたときにこそ、伝えるとよいのだとか。
桑野さんも上司から叱られた際は、「申し訳ございませんでした」から始まり、最後は「ご指摘いただき、ありがとうございました」で締めてらっしゃるそうです。
ちなみに割愛しましたが、「謝罪」の際にも、このポイントの3番目と同じで、「誰に」「何を」を明確にすべきらしく(詳細は本書を)。
◆なお、本書の第4章の「信頼される『正しい言葉づかい』」では、敬語の使い方や、昨今の言葉の乱れ(俗にいう「バイト言葉」等)にも触れられています。
その中でも個人的に興味深かったのが、「馴れ馴れしい」と「親しみやすい」の違いについて。
指摘されてなるほど、と思ったのですが、目の前の相手とは近い距離でよかったとしても、周りに他のお客さんがいることを忘れてはいけません。
……確かにお店で、店員さんが常連の人とラフな口調で話していたら、ちょっと馴れ馴れしく感じてしまうかと。
そこで桑野さんは上記ポイントの5番目にあるように、言葉づかいだけは一切崩さないのだそう。
それでも相手に対して親しみを感じさせるためには、言葉づかい以外の「声や表情」を崩せば大丈夫です。
たとえば低い声で「かしこまりました」と言うのと、満面の笑みで「かしこまりました」というのとでは、親しみやすさは全然違いますよね!
これは私も意識してみたいと思います。
思ったよりもテクニカルなコミュニケーション本でした!
好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい
はじめに
プロローグ 思いや考えを上手に伝えるために
第1章 「聴き上手」な人の言葉づかい
第2章 「話し上手」な人の言葉づかい
第3章 「話し上手」な人の表情と発声
第4章 信頼される「正しい言葉づかい」
エピローグ 言葉より大切なこと
おわりに
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【お買い得?】『人生が変わる会話術』丘村奈央子(2016年08月28日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。自分探しと楽しさについて (集英社新書)
小説は一切ご紹介していないのに、当ブログでエッセイが人気の森博嗣さんの作品から。
ぶっちゃけ中古は底値なので、送料足してもそちらの方がお得なのですが、このKindle版も「60%OFF」の「299円」ですから、気になる方はこの機会にご検討ください!
ご声援ありがとうございました!
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