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2018年02月25日

【資料作成】『上司からYESを引き出す! 「即決される」資料作成術』柏木吉基


上司からYESを引き出す! 「即決される」資料作成術
上司からYESを引き出す! 「即決される」資料作成術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「春間近!2000タイトル50%OFFフェア」の中からの資料作成本。

著者の柏木吉基さんは、日立や日産で働かれた後、民間企業や自治体において、データ分析やロジカルシンキングといったビジネススキル育成のお仕事をされている方ですから、本書のテーマなら説得力も高いかと。

アマゾンの内容紹介から。
あなたの資料を劇的に、伝わりやすく、理解されやすく、判断しやすくする!「ロジック」と「ストーリー」があり、かつ「相手を納得させるデータ分析」がされている提案書を作りあげる方法とは? 生産性をグッと高め、“圧倒的な説得力”を持たせるビジネステクニック。

なお、中古が未だ1000円近くしますから、セール期間内であれば、このKindle版が500円弱お買い得です!





Business Presentations / Bovee and Thill


【ポイント】

■1.言いたいことは可能な限りシンプルにする
 結論を際立たせるためにも、敢えて「結論」と「途中経過」を切り離す勇気を持つことが大切です。「途中経過は不要だ」と言っているわけではありません。途中経過の一部もその結論を支える根拠、背景として説明が必要な場合もあります。
 これを実現するために、資料作成の分析作業を終えた後に、“一息置いてから”次の順番で考えてみましょう。
(1)最低限言わなくてはいけない「結論」は何か、最もシンプルな形で再度明確にする
(2)個々の結論を出すまでの途中経過で、どうしても根拠として言及すべきものだけを抽出する(特に結論から逆算して考えます。行った作業の順に並べて考えると、どうしても情報過多になりがちです。“逆算”がキーワードです)
(3)全体としてストーリーが流れているか、十分シンプルに(それ以上削ることができない程度に)なっているかを確認する


■2.分析"結果"は"結論"ではない
“データ分析”としてのゴールは確かにここですね。ところが、私の「データ分析活用」の研修やセミナーで分析の演習を行ってもらい、「ではAさん、この分析から言える結論はどんなことですか?」と聞いても、同じようにデータ分析の結果を答える人が大半です。
 その場合、「それは分析結果ですよね? では相手に伝えるべき結論は何でしょう?」と再度言われて、ようやく半分くらいの人が、その意図するところにはじめて気づき、結論を言いなおす感じでしょうか。
 つまり、そのくらい「分析結果=結論」と思い込み、そのままを述べてしまうことが身にしみついてしまっていることを物語っています。
 ビジネスパーソンが行う提案のゴールはデータ分析の結果をレポートで出すことではありません。具体的な提案をして理解、承認を得ることです。そのために必要なのは、「この“結果”から、結局何が言えるのか」、すなわち“結論”が重要なのです。


■3.結論を立て、そこから逆算する
 後者の「逆算型」のアプローチのほうが、1つの結論を多面的に支えており、視点の抜け漏れが少ない印象を受けます。課題やテーマが複雑、汎用的になればなるほど、積み上げ型の一本線だけでは説明しきれない状況になります。ちなみに私はそのような一本の線だけでつなげられた論拠の組み方を“一本足打法”と呼んでいます。一本足打法による提案のリスクは、もしその一本が否定されれば、すべてが否定されるということです。また、当然近視眼的な論拠になりがちなため、網羅性や説得性の幅に問題が生じます。分かり易く言うと「薄っぺらい」のです。
 まずは、自分の言いたい(言えそうな、言うべき)結論を立て、そこから逆算するというアプローチの思考法を試してみてください。それだけで作業効率と結論の説得力に違いが出てくるはずです。


■4.切り口の考え方
「切り口」とは、結論を支える複数の根拠をどのような軸で並べるかを決めるものです。「切り口」が決まれば、その構成要素がカテゴリーとなります。(中略)
 どの切り口が最適なのかは、その状況によりますが、これを決めることが最も悩ましく、最も提案ストーリーの質そして結論の説得力を左右する部分なのです。
 絶対的な王道はない代わりに、次のポイントをヒントに切り口やカテゴリーを考えてみるとよいでしょう。
1.この提案を受け取り、意思決定をする人の関心が高い要素を織り込める切り口
2.カテゴリー間に差が出やすく、全体像が見えることで抜け漏れがないことを認識し易い切り口


■5.「静的」に量を示すものと「動的」に変化を示すものを区別する
「通勤時間」とは実際にかかる時間そのものであり、何かの変化量を表すものではありません。ここで、第5章で紹介した、“静”と“動”の関係を思い出してください。私はこのように似たようなデータでも「静的」に量を示すものと「動的」に変化を表すものを明確に区別するようにしています(実際に誤って使っている例もよく目にします)。
 では「通勤時間がどのくらい“減ったのか”」と横軸を差し替えてみます(この場合、通勤時間が減った理由が新制度の導入であっても、新しい電車ルートの開設であっても、複線化であってもそれは関係なく使えます)。
 その結果の一例がこちらです。現在の通勤時間の長短にかかわらず、それが“どれだけ減った”のかによって満足度の高低に反映されているように見えますね。


【感想】

◆自分でポイントとして挙げておきながら、ここだけ読んでも分かりにくくなってしまい申し訳ございません。

実は本書を含め資料作成本の場合、表やグラフが多用されることが多いため、必然的にKindle版が「固定レイアウト型」なケースになることが大半です。

よって、ハイライト機能が使えず、ブログで引用しにくい以上、レビュー対象としても避けがちになっていたのですが、本書は「固定レイアウト型」ではない、ということで喜び勇んで読んでみた次第。

ところが思いのほか、表やグラフが大量に収録されており、表やグラフ自体はブログでは引用できないため、ある程度ここで補足しておかねば、と。


◆まず上記ポイントの2番目のお話は、本書では「月別の広告宣伝費効果検証」として、「来店客数」と「広告宣伝費」をそれぞれ軸にとって、散布図を作成しています。

その結果というのが見事にバラバラで、誰が見ても結論としては「来店客数と広告宣伝費の間に明確な関係性は見られない」ということに。

それを受けて、ポイントの2番目では「“データ分析”としてのゴールは確かにここですね」と言っているワケです。

もちろん、それを踏まえて、どういう「結論」を出すかが大事なのですが。

なお、このポイントの2番目と同じことが言えるのが、「スライドのタイトル」です。

タイトルに「このスライドには何が書かれているのか」をそのまま書いているケースが多いのですが、タイトルには「このスライドで伝えたい結論」を載せよ、とのこと。

なるほど、その方が「読み手として結論が伝わり易い」でしょうね。


◆同様に上記ポイントの3番目も、いきなり冒頭から「後者」で始まっていて、どこに「前者」があるのか、とお思いのことでしょう(スイマセン)。

実はここでいう「前者」とは、その後に出てくる「積み上げ型」のこと。

事例として挙げられている部分では、従業員アンケートの結果を調べたところ、「休暇の取りにくさ」が目についたため、そこを基点にしてさらに深掘りし、「わが社も柔軟な働き方をもっと導入すべきである」という結論を導き出していました。

一方、これに対する「逆算型」は、同じ「わが社も柔軟な働き方をもっと導入すべきである」という「結論」を基点にして、「労働時間」「通勤時間」「勤務環境」等々のカテゴリーを切り口に必要な情報を収集し、その結果から言えることをまとめたという。

つまり、それらを集約した結果を、「わが社も柔軟な働き方をもっと導入すべきである」に繋げているワケです。

確かに「積み上げ型」の「一本足打法」だと、その「一本」が否定されたら全部アウトな分、リスキーですよね……。


◆また、最後のポイントもグラフの作成に関するものなので、補足をしておかなければ。

ここでは当初「通勤時間」と「従業員満足度スコア」をそれぞれ軸にして、散布図を作成しています。

……これがまた、見事に関連がないような結果に。

そこで今度は、「通勤時間」という「静的」なデータを、「通勤"減少"時間」という「動的」なデータに差し替えてみます。

すると「通勤時間が減る」時間が多いほど、「満足度が高い」と言える結果になり、意図する結論にむすびつけられることに!

ちなみにこれは「静」×「動」のお話ですが、本書では「会議削減時間」と「残業削減時間」という「動」×「動」の事例もありましたので、こちらもぜひご確認ください。


◆……と、何やらポイントの補足だけで終わってしまいましたが、これは今回の記事における補足であって、そもそも本書を普通に読む分には、文章とグラフが併記されており、いずれも何ら問題のないことです。

そのグラフも、黒と水色の2色刷り(&濃淡)で、見やすい点もポイント高し!

ただし、よくある資料本に見られる「具体的な資料自体の作り方」(フォントの大きさやレイアウト等々)には一切触れられていませんのでご留意を。

むしろ、そういった資料作成本というのは、本来、本書のような「考え方」を学んでから読むべきものなんですよね……。

そういう意味では、ネタかぶりも少ないですし、他の資料作成本を持っていても、読む価値があると思います。


即決される資料を作りたいなら読むべし!

上司からYESを引き出す! 「即決される」資料作成術
上司からYESを引き出す! 「即決される」資料作成術
【第1部 「一発OK」を得る“ムダを徹底排除した”スピード資料作成法】
1章 作業スピードと説得力を抜群に上げるための準備
2章 「一発OK!」の大原則は相手を知ること
3章 すぐ実践!「魅せる」資料テクニック

【第2部 「100%一発OK!」を達成する“圧倒的な説得力”の高め方!】
4章 言いたいこと(メッセージ)を作る
5章 相手の腹に落ちる「中身」の作り方
6章 「違い」と「関係性」に着目したデータ活用法


【関連記事】

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【資料作成】『社内プレゼンの資料作成術』前田鎌利(2015年08月20日)

【資料術】『トップ1%の人が実践する「YES」を引き出す資料』永山嘉昭(2013年10月26日)

【資料作成】『「伝わる」「通る」ビジネス資料作成術』渡辺克之(2013年05月03日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

ロジカル・プレゼンテーション ― 自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」
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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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