2018年01月22日
【仕事術】『「ラクして速い」が一番すごい』松本利明
「ラクして速い」が一番すごい
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった仕事術本。著者の松本さんは、PwCやアクセンチュアといった世界的な外資系コンサルティング会社で、リストラや人材育成を手掛けてこられたのだそう。
アマゾンの内容紹介から。
リストラされた5万人、選抜された6千人、その「差」は何なのか?ズバ抜けて優秀な人がやっている仕事のコツ56。
中古にプレミアが付いているだけに、若干お得なKindle版で私は読みました!
Entrepreneur Macbook Pro / MorseInteractive
【ポイント】
■1.仕事は「向いている」「成果が出る」の2軸で整理する時間術の本によると、「緊急度が低く、重要度が高い仕事」が漏れないように段取りすることが要諦になっていますが、現場では緊急度が最優先されます。
注意してほしいのは、「緊急度が低く、重要度が高い仕事」の中に、将来のメシのタネになる仕事、あなたが本来やるべき仕事が多くあることです。
他人の「緊急度」に振りまわされている場合ではありません。
ここは思い切って、仕事を絞り込む軸を変えてしまいましょう。「向いている」「成果が出る」の2軸で整理しましょう。
「向いている」とは持ち味。意識しなくても人よりラクして速くできることです。「ありがとう」をたくさんもらえる仕事です。
「成果が出る」とは、仕事として評価され、結果を出せることです。
■2.会議は「3つのタイプ」以外は出ない
会議のタイプは3つあります。(1)制限時間内に数多くアイデアを出すことが目的の会議これ以外の会議はすべてムダです。参加する必要はありません。
(2)意思決定を行う会議
(3)経営方針などを通達する会議
「会議」とは目的に合わせ、事前に議題や論点を明記した配付資料を送り、各自がしっかり読み込んできたうえで参加し、時間内で結論を出し、かつネクストアクションまで決めるものです。
ブレスト開始直後に行き詰まったり、大量の配付資料が当日配られたり、アジェンダや論点もなくただ思いつきで話すものは会議とは言いません。
■3.仕事は「過去・現在・未来」の3点セットで語る
過去:どんな役割を担い、実績を出してきたか(実績・得意分野)大切なのは普段からまわりに話しておくこと。認知されなければ意味がないからです。
現在:今どんな仕事をしているか(現状の役割と空き状況)
未来:過去、現在を踏まえてどんなことを具体的にしていきたいか(意志・意欲) (中略)
過去→現在→未来の3点セットで伝えるのがコツです。過去の実績アピールだけだと、ただの自慢話に聞こえてしまいます。
一方で現在やっていることだけだと、「どんな仕事を受けられるか」の確認にしかなりません。
未来だけだと「やりたい」という願望を述べているだけです。
しかし3点セットで「一貫性」が出てきます。一貫性はあなたの「パーソナルブランド」です。一貫性が安心感を生み、「こいつに任せよう」と判断されるわけです。
■4.メールで根回しをする際の3つのコツ
(1)メールの件名に「あなたに読んでいただかなくてはいけない理由」を書くメールは「件名」で興味を持ってもらわないと開いてもらえません。どんなことをメールで判断してほしいのか。名詞や数字で具体的に書きましょう。(2)最初の一文に「何をどう判断してほしいか」を書く最初の一文に件名の内容を具体的に書きます。コツは、「基本こうする予定ですが、よろしいでしょうか?」と「何を」「どう判断してほしいか」という結論を1行で書くこと。その後に背景、理由を続けましょう。(3)最後の一文に、「どんなアクションをしてほしいか」を書く最後の一文に「どんなアクションをしてほしいか」を書くことで意図の行き違いを防ぎましょう。メールの返信がないと、確認する手間が増えるのでやっかいです。
■5.自分の手柄も「みんなでやった」と言う
嫉妬されずに、うまく自分の手柄をアピールするにはどうすればいいか。
「みんなでやった」と言いましょう。仕事は1人で完結するわけではありません。関係者1人ひとりに「あなたのおかげでうまくいった。ありがとう」と感謝をすれば、相手はあなたに嫉妬しません。人は自分が落とされたり、誰かが1人だけ抜きんでたりすると嫉妬を覚えます。逆に持ち上げられると嫉妬はしません。それどころか「いやいや、あなたのおかげです」とあなたを持ち上げてくれるのです。人には「返報性の法則」があります。相手に貢献されたら、お返ししようという心理が働くのです。まわりの100人に感謝すれば、その同じ100人分の感謝があなた1人に集まります。
【感想】
◆タイトルの冒頭に「仕事術」と入れましたが、実際には「出世術」としてもいいくらいでした。確かに内容的には「仕事術」ではあるものの、そのいずれもが、出世に影響してきそうなものばかり。
さすが著者の松本さんは、リーダーや幹部としての人材を、6000人も選抜されてきただけのことはあります。
何でも、冒頭の「はじめに」によると、「真面目にコツコツ一生懸命やる人は『いい人』とほめられても評価されない」とのこと。
それとは逆に「ラクに速く仕事をする」方が、結果も出て、人生の選択肢も増えるのだそうです。
◆ただし、「ラク」とは「手抜きをする」「適当にする」ということではなくて、力の「入れ所」と「抜き所」を押さえ、ムダな仕事を減らす、ということ。
そのポイントが、下記目次にある5つの章のタイトルになります。
たとえば、第1章の「一発で決める」は、手戻りやチェックミスを防ぐためのTIPSが中心。
「こまめに上司に確認する」くらいなら、類書でも見かけますが、ユニークだったのが、資料のエラー確認法の数々です。
まず「『Excelの集計結果は間違う』という前提に立つ」なんて考えてもみませんでしたし、「『音読して文章をチェックする』のは、外資系コンサル会社で最初に教わること」なのだとか。
ちなみにパワポの配色やフォントのアドバイスもあったのですが、本書は資料作成本ではないので、ここでは割愛しております。
◆続く第2章では、仕事における「力の入れ所や抜き所」を指南。
ここで大事なのが、上記ポイントの1番目にあるように、「緊急度」×「重要度」ではなく、「向いている」×「成果が出る」で分類するということです。
要は、自分が得意でやりたい範囲の仕事ならササッと対応し、そうでなければ適任者につなぐ次第。
本書では4象限の表で、詳しく解説されていますから、気になる方はそちらでご確認ください。
同じくポイントの2番目では、「出なくてよい会議」が提示されていますが、「出なくてはいけない会議」であっても、60分を超えたら「さらに重要な予定」を入れて、「途中で堂々と抜け出せ」とのこと。
……そんなことできるのか、と思う反面、そういえば私も会社員時代は、「自分が発言できない(する必要のない)会議には出ない」と決めて、実際にそうできましたから、やったもの勝ちではないかとw
◆とはいえ、こういう働き方は、場合によっては上司や同僚の嫉妬や反感を買う可能性もあります。
その辺を意識したTIPSが、上記ポイントの5番目。
実際、組織の功労者、変革推進者は、「自分でやった」とは決して言わないのだそうです。
代わりに「みんなでやった」と言い続けるので、まわりからは「あの人がやった」と言われるとのこと。
同じように、上司と対立しそうになっても、「(上司である)○○さんのアドバイスのおかげです」と顔を立てよ、との教えもありました。
確かに直接の上司は、人事権を持ってますし、役員の前で上司の顔をつぶすような人材は「要注意人物」とマークされてしまうの当然でしょう。
ドラマのようにカッコつける前に、冷静に立ち振る舞いを考えるべきかと……。
◆実はこうした上司のコントロール法については、本書では「上司のコミュニケーションタイプと動かすひと言」と題して、詳しく解説されています。
上司を「上昇志向」×「チームワーク志向」の2軸4象限で分類し、その対策をアドバイス。
具体的には、各タイプごとに「特徴」と「動かすひと言」が明記されているのですが、画像だったので引用できなかったという(すいません)。
結局、自分の仕事が速いだけではなくて、こういう処世術まで身に着けていることが、出世につながるのですね!
抜擢される人材になりたいなら読むべし!
「ラクして速い」が一番すごい
はじめに リストラされた5万人と選抜された6000人の「差」とは?
第1章 一発で決める
第2章 スパッと割り切る
第3章 抱え込まない
第4章 組織の「壁」を利用する
第5章 自分で「できる」ようになる
おわりに
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。ビジネスの世界で戦うのなら ファイナンスから始めなさい。
微妙な評価のいくつかが「初心者にはちと難しい」というものなので、一応ご留意を。
ただし、中古があまり値下がりしていませんから、送料を考えるとKindle版が900円弱お得な計算です!
ご声援ありがとうございました!
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