2018年01月19日
【2軸?】『複雑な問題が一瞬でシンプルになる 2軸思考』木部智之
複雑な問題が一瞬でシンプルになる 2軸思考
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、当ブログにおける2016年の年間売上高第7位のヒットとなった、『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』の著者である、木部智之さんの最新作。といっても、昨年11月末の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げたまま、レビューし損ねておりました。
アマゾンの内容紹介から。
頭の整理も、資料作成も、報告・指示、打ち合わせも、「線を2本引くだけ」で思考のスピードが爆速に!IBMで15年活躍する著者による独自メソッド、公開!初心者でも、どんな業種でも使える!「世界一簡単なフレームワーク」の作り方を凝縮!
なお、中古にプレミアが付いていますから、若干お得なKindle版がオススメです!
bcg-Matrix / jean-louis zimmermann
【ポイント】
■1.枠さえできれば、「あとは埋めるだけ」私は、トラブルに遭遇したときはもちろん、報告資料を作るとき、プレゼン資料を作るとき、文章を書くときなど、何かをするときには常に「枠」から考え始めることにしています。(中略)
これはもう染み付いた癖のようなもので、意識せずとも体が反応している状態です。非効率になることがわかっているので、枠を作らずに何かを始めることはありません。
何を考えるにしても、最初にどのような枠にするかを考えることが重要です。実は、枠さえ作ってしまえばあとは中身を埋めるだけ。反対に、枠がないままいくら中身を考えても、整理されていないバラバラの情報を扱うことになってしまい、結局、時間のムダになってしまいます。
■2.PDCAも2軸に書き換えてみる
私たちが慣れ親しんでいる「PDCA」。超有名なフレームワークで、新人のときから教育を受けることも多いものです。
しかし残念なことに、実際にPDCAを実践しながら仕事をしている人はそれほど多くはありません。それはなぜか? PDCAが60ぺージ図1-3の最初にあるように、サークル状のフレームワークになっているからです。
PDCAを「回す」というイメージが図になっているので、「C」で何をチェックするのかが曖昧です。そこでサークル状のフレームワークを2軸に書き換えてみます。「P」(計画)と、「D」(行動)のそれぞれに対して「C」(チェック)をして、そのチェックの結果、それぞれに対して「A」(アクション)を決めるのです。
■3.「3つのタイプ」ごとの2軸の作り方
●マトリクスタイプマトリクスタイプは、2本の線を左上で交差させて作る、2軸思考の一番基本となるフレームワークです。●4象限タイプ
マトリクスタイプの一番の特徴は、「全体を的徹することができる」こと。あらゆる場面で使え、たいていのことは整理することができます。4象限タイプは、2本の線を引いて真ん中で交差させることで4つのセグメントを作り、「ポジショニング」や「全体の分散の傾向」を捉えるものです。4つの象限の枠がそれぞれに意味を持つので、整理や分析の結果から次の戦略が明確になりやすいフレームワークです。●グラフタイプグラフタイプは、2本の線を左下で交差させて「変化」を表したり捉えたりするためのフレームワークです。グラフは普段の仕事で見慣れているので「2軸」と捉えていない人が多いと思いますが、タテ軸とヨコ軸で構成される2軸フレームワークだということを意識してください。
■4.タテ軸で深掘りし、ヨコ軸で広げるピラミッド構造
ピラミッド構造のタテ軸は、
・「Why so? (○○すべきです。なぜなら〜)」(上から下)
・「So What? (〜なので、○○すべきです)」(下から上)
の2つを表現しています。
ピラミッドの上に行くほど抽象的で、下に行くほど具体的になるとも言えます。
一方、ヨコの方向には同じ「階層レべル」の情報を並べていきます。「関西」の話が出たならば、それと同列のヨコには「関東」や「九州」がある。そして、「関東」をタテに深掘りすると「東京」「神奈川」があるということをイメージするのです。
このように、ひとつの話についてひとつのピラミッドを意識することで、自分が伝えたいことの「全体像」を捉えた上で話せるようになります。
■5.図に書けないことは伝えられない
断言しますが、どれだけ頭がいい人でも、図に書けないことは伝えられません。図に書けないということは、その物事の構造を捉えていないということ。すなわち、ロジカルに考えられていないということです。反対に図に書き出しさえすれば、それを見れば論理構造、論理展開がわかるので極端な話、説明を聞かなくても理解することが可能なのです。
実際に、私は紙に図解された内容を見て3秒でOKを出すこともあります。紙を見てすぐ私が「いいよ」と言うので、驚く人もいます。それは、紙に書かれた論理構造、論理展開を見ることで思考アプローチがわかるので、「そのように考えてきたのなら大丈夫だろう」と判断しているのです。
【感想】
◆「2軸」というタイトルから想像していたよりも、バラエティに富んだ内容でした。そもそも「2軸」と言われたときに私が考えていたのは、上記ポイントの3番目にある「4象限タイプ」だけだったのですが、本書ではそれ以外も「2軸」と言われて「?」の巻。
ただ、確かに「グラフ」も、円グラフ以外はタテ軸とヨコ軸がありますから、「2軸」なワケです。
また、「マトリクス」も同様で、「2×2」以外の「3×4」であれ、「10×10」であれ、結局はタテ軸とヨコ軸で考えますから、やはり「2軸」ということ。
つまりよくある「ただの表」も、「マトリクスタイプの2軸」になります。
◆「では、その作り方は?」ということで、本書の第2章では、これらのタイプごとに作成方法を指南。
特に難しいのが、やはり「4象限」でしょうか。
ポイントはいくつかあるのですが、まず「『仮説』を立てる」こと。
たとえば全国にある店舗のデータを分析するとき、マトリクスであればタテ軸に店舗、ヨコ軸に売上や利益、店舗面積等々を並べていきますが、4象限の場合は、パラメータをタテヨコそれぞれ1つずつの2つに絞る必要があります。
その際、4象限タイプはタテ軸とヨコ軸が真ん中で交差するので、上下左右で正反対の要素を入れるのがミソ。
売上が「多い・少ない」、店舗面積が「広い・狭い」、また時系列で追う場合なら「過去・未来」等々とすれば、4つの象限の位置づけが明確になります。
ちなみに、2軸のどのタイプがいいか分からなかったら、とりあえず「マトリクスタイプ」で一旦作成すればいい、というのは、個人的には「目からウロコ」でした。
◆続く第3章では、実際の問題で2軸を作成。
「何が問題なのかわからない」「人材を評価する」「スケジュールが遅延している」「アイデアが浮かばない」等々のケースごとに、考え方を提示し、ステップを追って手順を指示してくれています。
もし自分の抱えている問題に当てはめられたら、これはもうそのまま使えるもの。
ユニークだったのが人材評価で、ここでは4象限を用いることによって、対象となる人たちが、どういう位置づけになるのか、ひと目で分かりました。
また、仕事ではないのですが、自己紹介に「過去×未来」&「プライベート×仕事」の4象限を使う、というのもなかなかいいアイデアだな、と。
◆なお、最後の第5章では2軸による「資料作成」のポイントも解説されているので、こちらもお見逃しなく。
一方、てっとり早く「型」だけ知りたい方は、巻末に「2軸フレームワークカタログ」がタイプごとに収録されていますから、そちらをご覧ください。
ちなみに「おわりに」で著者の木部さんも言われているのですが、「身につくかつかないかは、やるかやらないかの違い」なのだとか(耳イタシw)。
そういえば、この本によると赤羽雄二さんは、「A4用紙1枚に『2×2』のマトリクスを1日6個書いた」(本書でいう「4象限タイプ」)そうですから、やはり実際に場数をこなさないとダメなのだと思います。
ゼロ秒思考[行動編]―――即断即決、即実行のトレーニング
参考記事:【即断即決、即実行】『ゼロ秒思考[行動編]―――即断即決、即実行のトレーニング』赤羽雄二(2016年01月17日)
今度こそ、2軸思考を身につけるために読むべし!
複雑な問題が一瞬でシンプルになる 2軸思考
はじめに
PROLOGUE 「複雑なまま」で考えていないか?
1.「線を2本引くだけ」ですべてが解決する
2.「2軸フレームワーク」の作り方
3.2軸で「問題解決」する
4.2軸で「伝える」
5.2軸で「資料作成」する
EXTRA CHAPTER 2軸フレームワークカタログ
【関連記事】
ビジネスの達人がこっそり教えてくれる『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(2016年05月25日)【即断即決、即実行】『ゼロ秒思考[行動編]―――即断即決、即実行のトレーニング』赤羽雄二(2016年01月17日)
【マトリクス】『紙一枚とマトリクスでできる思考の片づけ』吉山勇樹(2015年06月16日)
【アマゾンキャンペーン有】「水野俊哉さんの『マトリックス図解思考』を読んで私も考えた」の巻(2010年07月05日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。死ぬほど読書 (幻冬舎新書)
おなじみ丹羽宇一郎さんの読書術本は、下記のとおりレビュー済み。
中古が値崩れしており、送料を足しても中古の方が若干お得なのですが、未読の方はご検討ください!
参考記事:【読書術】『死ぬほど読書』丹羽宇一郎(2017年07月28日)
ご声援ありがとうございました!
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