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2018年01月12日

【超訳?】『老子の教え あるがままに生きる』安冨歩


老子の教え あるがままに生きる
老子の教え あるがままに生きる


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「ディスカヴァー・トゥエンティワン 書籍キャンペーン」にて、予想外の人気を集めている自己啓発書。

今まで当ブログでは、中国古典関係をほとんど扱ったことがなかったのですが、名著としても知られる『老子』を新訳で体験できました。

アマゾンの内容紹介から。
ものごとは、変化し、生まれては滅ぶ。そのあやうさをおそれる必要はない。それどころか、あなた自身が、可能性に満ちたものとしてあることを理解すれば、あなたは、わけのわからぬ不安から解放される。「東大話法」批判の著者が五年の歳月をかけて取り組んだ渾身の『老子』新訳!

なお、中古があまり値崩れしていない関係上、セール期間内であれば、Kindle版が900円弱お買い得となります!





Lao Tzu Mural in Chinatown / keepitsurreal


【ポイント】

■1.あやうさを生きよ
生きるためには、あやうい「ものごと」や、あやうい「ことば」を、確固たるものと思い込んではならない。
そんなことをすれば、あなたの生きる力が、失われてしまう。
生きるためには、ものごとの根源に立ち返り、自らを、そのあやうさに委ねればよい。
確かなものにしがみつこうとするから、確かなものに頼ろうとするから、あなたは不安になってしまう。
あなたには、そのあやうさを生きる力が、与えられているというのに。


■2.言葉で世界を 切り分けようとするな
「名」によって世界を切り分けるから、何事もうまくいかなくなる。
「名」の切り分けをやめて、ものごとのあり方に沿うべきだ。
かくて聖人は、何もしないで統治し、何も言わずに人々を導く。
そもそも、万物の振る舞いには、始まりさえなく、そのあやういありさまには、あなたの予期など何の役にも立たない。
それが何事かを生み出したとしても、そこに留まることはない。
それはひたすら、留まることがなく、それゆえに、消え去ることもない。
あなたは、切り分けられないあやうい世界に、漂うしかない。
「名」に縛られてしまえば、いくらもがいても、自分を害することになるだけだ。


■3.成果を挙げたら、身を退けよ
何事であれ、価値があるからといって、殖やして殖やし、溢れるまで満たすのは、やめたほうがよい。
刀を研ぎすぎると脆くなるように、何事であれ、あまりにも機能を追求し過ぎると、長続きしなくなる。
金や玉を金庫に満たしても、これを守り抜くことはできない。
満たせば満たすほど、狙われやすくなるからだ。
金持ちで身分が高く、傲慢であったりすると最悪で、おのずと不幸を招くことになる。
成果を挙げたら、身を退けるのが、天の道である。


■4.無為は有益である
この世で最も柔らかいもの、たとえば水は、この世の最も硬いもの、たとえば岩にでも、入り込んで突き進む。
実体の無いものは、隙間のないところにさえ入り込む。
私はそれゆえに、何らの意図もなく生じる行為、すなわち無為の有益さを知るのである。
言葉のない教え、無為の有益さに、匹敵しうるものは天下にない。


■5.容易な事に難しいものとして対応する
行動するときには、一切の作為をしない。
事を起こすときには、無事を目指す。
味のないものを、味わい、小さいものを、大きいものとして受け止め、少ないものを、多いものとして受け止め、怨みに報いるに徳をもってする。
難しい事態は、それが容易なうちに取り掛かり、大きな事は、小さなうちにやってしまう。
天下の難事は、容易なことから起きる。
天下の大事は、些細なことから起きる。
そのため聖人は、終始、大事を為すことがなく、それゆえに、大事を成すことができる。


■6.執着しなければ失わない
安定しているものは、状態を保持しやすい。
まだ兆しもないものは、対処しやすい。
脆いものは、砕けやすい。
微かなものは、消え去りやすい。
大ごとにならないうちに、やってしまい、乱れないうちに、治めてしまう。
一抱えもある木も、生じたときには小さな芽であった。
九層の台も、作り始めたときは一盛りの土塊であった。
百メートルの高さの塔も、足元から始まる。
うまくやろうとする者は、敗れ、執着する者は、失う。
このため聖人は、作為することがないので、敗れない。
執着することがないので、失わない。


【感想】

◆まず最初に触れておかねばならないのが、本書のレイアウトについて。

上記ポイントでは、通常の本と同じように「1文ごとに改行」しているのですが、実際の本書では、読点(、)レベルでの改行が行われています。

……レベルというのは、必ずしもテンごとに改行しているわけではないからで、たとえば上記ポイントの3番目の最後の1文は、読点が2つあるにもかかわらず、本書でも1行で表現されているという。

この辺はおそらく、意味等を踏まえての使い分けなんでしょうけど、いかんせん原文を見ていませんから、何とも言えないところ。

また、段落ごと(?)に空行もあるんですけど、それもいつも通り割愛しました(こちらは意味を考えたら、本来残すべきかもしれませんが)。

今までこの手の作品をレビューしたことがなかったので、こういった部分から、どうするべきか悩むことになったという……。


◆なお、本書の著者である安冨 歩さんによる、序文ならびに最後の解説は必読。

ここでは『老子』の特殊性ならびに、本書における安冨さんの「新訳」について触れられています。

まず、私も全然知らなかったのですが、『老子』は『論語』に比べると、版本や注釈書がいくつもあり、解釈自体も微妙に違う模様。

そこで安冨さんは、この本の「校訂に依拠する」こととしたのだそうです。

老子 訳注-帛書「老子道徳経」
老子 訳注-帛書「老子道徳経」


◆ただし、上記の本が比較的ノーマル(?)なのに対して、本書における安冨さんのアプローチは、かなり斬新なもの。

たとえば原文で
道可道也、非恆道也。
名可名也、非恆名也。
となっているところ、先ほどの「小池本」では
道は言葉に表現できれば、恒久の道ではない。
名は名付けることができれば、恒久の名ではない。
となっています。

一方、この同じ部分を安冨さんは、15文(本書では改行が多いので、31行)で表現(特にここが大事な部分ということもあるのですが)。

もっとも、これは単に水増ししているのではなくて、解釈や考え方の違いによるものであり、安冨さんがいかに本質に迫ろうとしていたのかが、よく分かります。

冒頭の内容紹介にもあるように、書き上げるのに5年かかるのもしょうがない気が……。


◆いずれにせよ、安冨さんがそれだけ噛み砕いて、分かりやすくしてくれているのは間違いありません。

それでも具体的なTIPSを求める方からしたら、抽象的過ぎるのかもしれませんが、その分レイヤー的にも上位なわけで、各人の生活や生き方に当てはめられるのではないか、と。

私自身、いつもと同じように読み始めたものの、読み飛ばすのには向かない作品だと気づき、途中から熟読モードになりました。

それに、せっかくKindleで買ったんですから、折に触れて読み返したいですし、そうすべき作品なのだと思います。

……作品中に、何度も筆で書いた(?)「道」という漢字が登場するのは、正直勘弁でしたがw


『老子』の言葉を「今」に活かすために読むべし!

老子の教え あるがままに生きる
老子の教え あるがままに生きる

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【編集後記】

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