2017年12月31日
【オススメ!】『これからの世界をつくる仲間たちへ』落合陽一
これからの世界をつくる仲間たちへ
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中の小学館「50%ポイント還元セール」の中でも、「おすすめ順」でトップに来ていた注目作。著者の落合陽一さんについて、その外見や肩書(「メディアアーティスト」)からくるイメージから、「非ビジネス書的」なイメージを持っている方も多いと思いますが、本書はガチな「ビジネスパーソン向け」の「これからの人生戦略本」でした!
アマゾンの内容紹介から。
人呼んで「現代の魔法使い」。世界が注目する異能の研究者が語る「すべてが変わる近未来」―「ほんとうの21世紀」がやってきた今こそ、知っておくべきことがある。
中古に送料を足すと定価を超えますから、セール期限である1月4日までであれば、Kindle版が実質700円以上お買い得です!
a singular ensemble / TheAlieness GiselaGiardino23
【ポイント】
■1.コンピュータに負けないためにモチベーションを持つコンピュータに負けないために持つべきなのは、根性やガッツではありません。コンピュータになくて人間にあるのは、「モチベーション」です。
コンピュータには「これがやりたい」という動機がありません。目的を与えれば人間には太刀打ちできないスピードと精度でそれを処理しますが、それは「やりたくてやっている」わけではないでしょう。いまのところ、人間社会をどうしたいか、何を実現したいかといったようなモチベーションは、常に人間の側にある。だから、それさえしっかり持ち実装する手法があれば、いまはコンピュータを「使う」側にいられるのです。
逆に言えば、何かに対する強いモチベーションのない人間は、コンピュータに「使われる」側にしか立てません。スマホという小さな道具の中で、アプリを使いこなして便利に生きているつもりでも、それは誰かが作った「魔法」の世界を見ているにすぎないのです。
■2.テーマ設定のために「5つの問い」を自らに投げかける
僕がよく学生たちに言うのは、「その新しい価値がいまの世界にある価値を変えていく理由に、文脈がつくか」「それに対してどれくらい造詣が深いか」が大切だということです。
何やら難しい話のように聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。ここで言う「文脈」とはオリジナリティの説明のことで、おおむね次の5つの問いに落とし込むことができます。・それによって誰が幸せになるのか。この5つにまともに答えられれば、そのテーマには価値があります。これを説明できるということは文脈で語れる=有用性を言語化できるということであり、他人にも共有可能な価値になる可能性があります。
・なぜいま、その問題なのか。なぜ先人たちはそれができなかったのか。
・過去の何を受け継いでそのアイディアに到達したのか。
・どこに行けばそれができるのか。
・実現のためのスキルはほかの人が到達しにくいものか。
■3.「優秀なホワイトカラー」を目指さない
いまでも多くの親は我が子が「大企業の社員」になることを望んでいますし、学校教育も処理能力の高いジェネラリストを育てることを目指しているように思えます。ビジネス書や自己啓発書の「仕事術」や「自分磨きの方法」などを見ても、「どうすれば優秀なホワイトカラーになれるか」という目的意識しかありません。その結果、僕のまわりにいる優秀な若者たちも、多くがホワイトカラーとして社会に出て行きます。
とくに目立つのが、外資系のコンサルティング会社に入ろうとする人たち。コンサル系の仕事に就くと社会の仕組みを知ることができるので、ファースト・キャリアとしてその道を選ぶのは決して悪いことだとは思いません。
ただ、そこでやるのは、「ザ・ホワイトカラー」とでも呼べるような、ひたすら処理能力の高さを求められる仕事です。その経験をセカンド・キャリアで活かすつもりならともかく、そのままでは「絶滅危惧種」として生きていくことになりかねません。それは、外資系の金融機関についても同じことが言えます。少なくとも、与えられたタスクを猛烈にこなすことが「自立的でかっこいい生き方」だと思っているとしたら、大きな勘違いだと言わざるを得ません。
■4.今のコンピュータで何が解決できるか考える
したがって、問題を探すときには、コンピュータがあることによって何が解決できるかを考えてみるのもひとつの方法。それは、まだまだ山ほどあるはずです。たぶん、2030年代ぐらいの近未来の若者たちは、2010年代という過去を羨ましがるに違いありません。
「20年前は、まだコンピュータで解決されていない問題があったからいいよなぁ」というわけです。これはどんな分野にもあることでしょう。音楽や美術の世界でも、いろいろなアイディアを先人がやり尽くした後に生まれた世代は、新しいものを作るのに苦労するものです。(中略)
いまから30年前の時代なら、コンピュータを作るだけで勝つことができました。10年前なら、インターネットを使うようなコンテンツを作れば(いまから見ればロクでもないものでさえ)何でも売れたものです。それぞれ、「なぜ、いまそれなのか」という文脈をつけることができたから、うまくいった。当然ですが、「なぜ、いま」への答えは時代によって変わるのです。30年後にはまた新たな変革が起きて、いまの時代には解決できない問題が解決できるようになっているでしょう。
■5.思考体力を身につける
たとえば僕は、「ピカソはなぜ高く評価されるのか」という問いに対して、学生が「カッコイイから」などと答えたら、「それ、カッコイイだけで片づけていたらダメだよ?」と言って、「カッコイイ」を言語化させるような質問を次々と重ねます。
では20世紀にはほかに「カッコイイ」と思う画家はいないのか?
いるとしたらピカソとの共通点と相違点は何か?
ピカソだけがカッコイイとしたらほかの画家と何が違うのか?
画家以外でカッコイイと思う20世紀の表現者は誰か?
そのカッコ良さとピカソのカッコ良さは同じなのか違うのか?
……といった具合です。
こうした問題をきちんと言語化して説明するには、基礎知識はもちろんのこと、様々な知識と連結させながら猛烈に頭を使って考えなければいけません。当然、グーグルで検索しても答えは出てこないでしょう。
ただしヒントになる情報は、ネットや本から仕入れられるかもしれない。そこから自分の考えをまとめ上げ、メッセージとして伝えられるようになるエネルギーを持っているのが、「思考体力のある人間」です。
【感想】
◆冒頭で著者の落合さんの「『非ビジネス書的』なイメージ」について触れましたが、それは私も同じで、正直ここまで濃い内容だとは思っておりませんでした。思わずハイライトも引きまくり!
実は、いつもの自分なりの基準で上記ポイントを抜き出していったら、半分もいかないうちに限度に達してしまったので、いったん全部ピックアップしてから、5つに絞り込んだ次第です。
内容的には、よく神田昌典さんが「未来」を見通ししたテーマの作品を出されていましたけど、それの「アップデート版」というか、「上位互換版」といったところ。
時期的に新しいことや、技術的な裏付けがある分、落合さんの方が説得力があると感じました。
◆というわけで、割愛したお話をいくつか。
まず、あからさまに抜き出すと「ポジショントーク」(私が苦手なのでw)と思われそうでカットしたのが英語のお話です。
落合さんによると、英語を学習する必要性は薄れる(その時間を他のことに充てるべき)とのこと。
というのも、今後はGoogle翻訳を含めた自動翻訳機の性能がさらに向上しますから、むしろ母語を論理的に構築する能力の方が大事なようです。
また、私も本書で指摘されるまで気が付かなかったのですが、日本では日本語のネイティヴ・スピーカーが話す日本語ばかり聞いているので、まともに仕事をしている人ならば「頭の悪そうな日本語を話す頭のいい人」にはほとんど出会いません。
よって同じように「頭の悪そうな英語だと海外で仕事ができない」と考えがちですが、海外ではでたらめな英語でも、言ってる内容がまともなら問題ないのだそうです。
◆また、TIPSではないので割愛したのが、「人間がコンピュータの下請けとなっている」というお話。
まだコンピュータではなく、人手でやった方が確実な作業というものが存在するため、それらは人間が作業をしています。
たとえば、アマゾンの「メカニカル・ターク」もその1つ。
Amazon Mechanical Turk - Wikipedia
これらは、低賃金で働く人間の存在を前提としていますから、まさに「下請け」そのものです。
また、あの「Uber」も、コンピュータの指示で人間が動いているわけですから、広い意味では「下請け」のようなものでしょう。
◆割愛した中でもう1つ触れておきたいのが、「クリエイティブ・クラス」という概念です。
これは簡単に言うと「創造的専門性を持った知的労働者」のこと。
具体的に落合さんが本書内で挙げているのが、日本ではデザイナーの佐藤可士和氏、また海外ではスティーブ・ジョブズ辺りです。
ただし、彼らを「ロールモデルにしてはいけない」のだそう。
なぜなら、彼らは唯一無二の存在だからクリエイティブ・クラスなのであって、それを目指したところで、せいぜい頑張っても「もどき」にしかなれないから。
大事なのは、成功したクリエイティブ・クラスをそのまま目標にすることではなく、その人が「なぜ、いまの時代に価値を持っているのか」を考えることです。なるほど確かに!
◆……割愛した部分を補足するだけで終わりそうですが、もちろん上記で挙げたポイントは、これらよりもプライオリティが高いと思ったので抜き出した次第。
1番目の「モチベーションの有無」という指摘は目からウロコでしたし、2番目の「テーマ設定」を考える上では非常に大事なことでしょう。
さらに3番目では「外資系コンサル」や「外資系金融機関」をディスっていますが、当ブログの読者の皆さんにとっては他人事ではないハズ!?
コンサルはともかく、金融機関が人員を削減しているのは周知の事実ですしね……。
さらに、5番目の「思考体力」の件は、子育てにも大事なようで、たとえば子供が「サッカーがやりたい」と言い出したときに、親が「OK」か「NG」しか答えないようではダメなのだとか。
子供に「なぜそれをやりたいのか」を問うて、言語化する努力をさせるべきであり、小さい子供でそれが難しかったら、「楽しそうだから? それともお友達がやってるから?」等々、思考を深めるための助け舟を出さねいけないそうです(反省しきり……)。
駆け足になってしまいましたが、要はそれくらい内容が濃いということでw
これはオススメせざるを得ません!
これからの世界をつくる仲間たちへ
プロローグ 「魔法をかけられている人」になるか、「魔法をかける人」になるか
第一章 人はやがてロボットとして生きる?
第二章 いまを戦うために知るべき「時代性」
第三章 「天才」ではない、「変態」だ
エピローグ エジソンはメディアアーティストだと思う
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【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)
【編集後記】
◆その落合さんの作品では、 こちらも気になるところ。超AI時代の生存戦略
まずは今日の本をセール価格でお求めになって、気にいったらこちらもご検討ください!
ご声援ありがとうございました!
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