2017年12月21日
【5選】『普通の会社員が一生安心して過ごすためのお金の増やし方』に学ぶ、避けるべき投資5選
普通の会社員が一生安心して過ごすためのお金の増やし方 (SB新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で、実は一番人気だった投資本。著者の中野晴啓さんは、セゾン投信の代表取締役でいらっしゃいますが、36歳の時点では「貯金ゼロ」だったのだそう。
アマゾンの内容紹介から。
年金不安、人生100年時代と老後が不安になる話ばかりが蔓延する世の中。とはいえ、仕事が忙しかったり、教育費や住宅ローンのため、老後の準備が満足にできない方も少なくないだろう。本書は、今からでも間に合う「正しい」お金の増やし方を紹介。普通の人がお金を増やすためには役立たない株・預貯金など、猶予のない世代は必見の内容。
現時点では中古にプレミアが付いていますから、若干ですけどKindle版がお得です!
Munze in das Sparschweinchen einwerfen / marcoverch
【ポイント】
■1.個人が個別株に投資しない結論から言ってしまいますが、私は、一個人が自分の判断で個別株に投資をしても、成功するのは難しいと思っています。「成功」が何を示すのかにもよりますが、長期にわたって年平均3%、あるいは5%のリターンをコンスタントに上げ続けることさえ、難しいでしょう。 確かに、個人投資家の中には、株式やFXのトレードで、自分の資産を1億円以上に殖やした「億トレーダー」がいます。でも、一方では、投資した資金の大半を失って、マーケットからの退場を余儀なくされた人も大勢いて、まさに死屍累々の状況です。
しかし、それも当然のことです。短期トレードは「ゼロサム」の世界であり、誰かの利益は誰かの損になるからです。
■2.FXは投資にならない
さて、FXは投資でしょうか、それとも投機でしょうか。 投資と投機の線引きは、実はとても簡単です。それは、値動きそのものを売買する(つまり上がりそうなものを買って下がりそうなものを売る)のかどうかということです。値動きそのものを売買するのが投機で、それ以外が投資、と考えればよいでしょう。(中略)
このように考えると、FXが単なる投機であることがわかります。為替レートとは、二国間の通貨の交換比率に過ぎず、基本的に何がしかの価値が反映されるものではありません。また株式のように配当金も発生しません。まさに値動きそのものを売買しているだけであり、これこそが投機です。ギャンブルと一緒なのです。
■3.「100円」「1000円」からの投資は意味がない
最近、多くのネット証券会社が月100円で投資信託の積立ができるという仕組みをつくり、メディアでも取り上げられています。確かに、これまで全く投資をしたことがなくて損をするのが怖いという人には、100円という少額資金での積立は、それなりに魅力に見えるのだと思います。100円が半分になったとしても、損失額はせいぜい50円ですから。
でも、月々100円の積立が、どれほどの経済効果を個々人にもたらすのかというと、ほとんど何のメリットも得られないでしょう。
毎月100円ずつ30年間積み立てた結果、元本部分がいくらになるのかというと、3万6000円です。30年かけて3万6000円。月1000円の積立でも、元本部分は36万円にしかなりません。
■4.分配型投資信託は、資産形成に向かない
長期の資産形成を前提にするならば、毎月分配型投資信託で運用する意義は、全くありません。毎月分配型投資信託とは、読んで字のごとく、原資産の運用で積み上がった分配原資から一定金額を分配金として、毎月、投資信託の保有者に支払っていくタイプの投資信託です。
このタイプの投資信託は、はっきりと長期投資に向いていません。
本来、長期投資は、分配原資もすべて投資信託の買付に回し、複利効果を得ながら資産を大きく殖やしていくものです。つまり分配金はいらないのです。
他にも、1年のうちで複数分配を行う投資信託の中には、隔月分配型、四半期分配型、年2回分配型もありますが、これらもすべて同様の理由で長期投資には不向きです。
■5.新興国の株式市場を投資対象にした投資信託は値動きが激しい
長期の資産形成として投資信託を用いる場合は、極端にリスクの大きいものはお勧めできません。というのも、あまりにも値動きが激しいと、大きく値下がりした時に、心が折れる恐れがあるからです。実際、新興国の株式市場を投資対象にした投資信託の場合、基準価額がピークから2分の1、3分の1に値下がりするケースもあります。自分が積み立てている投資信託の基準価額が、あっという間にそこまで値下がりしたら、大概の人は「もう積立投資はやめよう」と思うでしょうし、たとえば50%下落した基準価額を回復させるには、そこから100%のリターンが必要になるので、やはり安定した長期資産形成を求めるならば、大きな不確実性は避けるべきでありましょう。
【感想】
◆本のタイトルが「お金の増やし方」なのに、やっちゃいけない方ばかり列挙してすいません。もちろん本書では「普通の人」が選ぶべき商品についても言及。
そしてその「結論」に至るまでの過程において、こうした「NG商品」がなぜダメなのかを解説してくれているという。
たとえば本書の第1章でやり玉に挙がるのは、上記ポイントの1番目にある「個別株」です。
特に短期トレードは、「普通の人」が仕事の片手間にやって勝てるものではありません。
実際、個人投資家として20年も30年も残っている人は、ごく一部なのだそう。
◆同様にFXも、上記ポイントの2番目にあるように「投資」ではなく「投機」であり、結局はギャンブルと一緒とのこと。
確かに株式投資なら、その提供した資金によって企業が経済活動を活発にし、成長することができるのに対してFXはそうではありません。
また、上記では割愛したものの、本書では不動産投資についてもネガティブなスタンスです。
ただし、これは「普通の人」が行う、いわゆる「サラリーマン大家」への批判とも考えられるので、こういう投資が向いている方もいるとは思われ。
もっとも、本書でも指摘されていますが、日本のマンションは、新築物件であったとしても、そこに入居した時点で資産価値は大幅に下落するので、売却益を上げるのは困難でしょう(これから人口は減る一方ですし)。
◆そこで本書が推しているのが、第2章でテーマとなっている「積立投資」です。
ただし、上記ポイントの3番目にあるように、少額過ぎても効果は薄い、とのこと(意図的に元本部分だけ取り上げている気もしますがw)。
ではいくらぐらい積み立てればいいかというと、第3章で著者の中野さんいわく「月5万円」なのだとか!?
もちろん、20〜30代の若い頃から始めるならば、もっと低くても大丈夫なものの、いずれにせよ、それなりの覚悟がいる金額です。
なお、この第3章では「月5万円」を捻出するために、色々な節約案が提言されているのですが、これが結構ハードモード。
自動車を「軽」にしたり、生命保険を見直すのは納得できます。
ただ、子供の教育費や、親の介護費用まで口を出しているのは、後でアマゾンレビューが炎上するのではないか、と……。
◆一方、続く第4章では「選ぶべき投資信託」について。
6000本以上ある投資信託から、何を選ぶかについて指南しています。
その際、選んではいけないものを削っていけばいいワケで、実は上記ポイントの4番目と5番目がその具体例となります。
他にも「特定のテーマの商品」や「純資産総額の小さい商品」等々、対象から外すべき投資信託について、その理由とともに触れられていますので、詳細は本書にて。
そして最後の第5章では、税金のことまで考えて、いよいよ2018年1月からスタートする「つみたてNISA」をするべき、と断言しています。
つみたてNISA : 金融庁
◆実は、この「つみたてNISA」は、今まであったNISAと違い、投資信託しか購入できません。
しかも短期的な値上がり益を狙う商品や、上記ポイントの4番目で挙げた「毎月分配型投資信託」も除かれているのだそう。
結果、対象として選ばれたのは、現在公表されている限りでは、インデックス投資信託で100本、アクティブファンドで14本の、合計114本。
6000本超の中から、どういう基準で選ばれたのか等も、本書では触れられていますから、実際に購入される前に、まずはそちらでご確認ください。
「つみたてNISA」スタート前に、読んでおきたい1冊!
普通の会社員が一生安心して過ごすためのお金の増やし方 (SB新書)
序章 36歳の時、僕は一文無しだった
第1章 普通の人は個別株に投資してはいけない
第2章 お金も時間もない人が一生安心のお金を貯めるための「積立投資」
第3章 本当にお金が貯まる節約とは
第4章 一生安心の試算を築く投資信託の選び方
第5章 普通の人がお金を貯めたいなら、最大の武器は「つみたてNISA」だ
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【お金】『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』大江英樹(2015年11月08日)
【編集後記】
◆今日は木曜日ということで、本日終了するKindleセールは色々あるのですが、ご紹介しにくい中にはこんなものも。Amazon.co.jp: 【最大50%OFF】「冬☆電書」年忘れ グラビア大放出!(12/21まで): Kindleストア
Kindleだとこっそり見られるのがいいですね!(違
ご声援ありがとうございました!
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