2017年12月16日
【オススメ】『できる人の人を動かすルール』リチャード・テンプラー
できる人の人を動かすルール
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも注目していたコミュニケーション本。リチャード・テンプラー氏の作品は、過去何冊か読んできましたが、本書が一番「使える」気がします。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
自分の思考や行動を完璧にコントロールしても、あるいは、完璧な計画を立てても、他人にすべてを狂わされる危険はつねにある。当然だが、他人はあなたではない。他人を思い通りに動かすことは、誰にもできない。それでも、幸せと成功を手に入れられた人は、周囲の人に恵まれていたのかもしれない。そこで本書の出番になる。本書を読めば、他人を動かすのは、実はそれほど難しくないということがわかる。他人に効果的に働きかけることで、自分にとっても相手にとっても利益になる行動をさせることは十分に可能だ。
なお、本書は新刊ですがKindle版なら「20%OFF」とお買い得になっています!
Condolences / OregonDOT
【ポイント】
■1.説得で意見を変えることはできない人が何を信じるかは、その人の世界観によって決まる。その世界観は、育った環境、過去の経験、誰を重視し、自分をどう見ているか、といったことで決まる。
政治問題で激論になったときに、相手が自分の間違いを認めたことが今までにあるだろうか。「たしかにあなたの言う通りだ。私は意見を変えるよ」という言葉を、最後に聞いたのはいつだろう? そんな言葉を聞ける可能性は、ほぼないと言っていいだろう。
私たちは、まず直感で何を信じるか決める。それから自分の信念を裏付ける証拠を探す。ただし、本人はこうした心の動きを目覚していない。自分の意見は客観的に正しく、相手の意見は客観的に間違っていると思い込んでいる。
政治と宗教の話はしないほうがいいと昔から言われているが、それにはもっともな理由があるということだ。言葉、客観的事実、データといったものに人の意見を変える力はない。たいていの場合、こちらが何をしても相手の意見は変わらない。
■2.子供は手本から学ぶ
以前、ある友人がこんなことを言っていた。
「"親のまねをするな。親の言う通りにしろ"と子供にわからせるには、どうすれぱいい?」
答えは簡単、そんなことは不可能だ。子供はお手本から学ぶようにプログラムされている。それ以外の方法は存在しない。
つまり、子供に何かしてほしいことがあるのなら、親自身がそれをするしかない。それは整理整頓かもしれないし、きれいな言葉遣いかもしれない。野菜を食べることかもしれないし、食事中にスマートフォンをいじらないことかもしれない。
親の取るべき道は、子供の手本になるか、自分と同じことをする子供を受け入れるかだ。
■3.相談する人は共感を求めている
相談する人が求めているのは、解決策やアドバイスよりも、自分の感情を認めてもらうことだ。「そう感じて当然だ」という承認を求めているのである。
たとえ話で説明しよう。
相手が沼にはまり、あなたは沼の縁に立っている。ここであなたが取るべき正しい道は、相手にロープを投げることではない。
するべきは、あなたも沼に入り、沼にはまる気持ちを共有することだ。そうして初めて、2人で一緒に沼から出ることができる。つまり、安全な沼の縁から相手を引っぱり上げるのは、間違った対応なのだ。
「こうすればいいじゃない」と言う前に、まずは相手の感情を認め、共感する。正しい言葉は「怒って当然だよね」または「それは心配だね」などとなる。
■4.不幸の比較をしない
覚えておこう。つらい経験をした人に「あなたの状況は自分で思っているほどつらくない」と伝えるのは、絶対にいい印象を与えない。つらい思いをしているのは彼らであって、あなたではない。だからあなたに彼らの気持ちはわからない。
家族な亡くす、離婚する、解雇される、重い病気にかかるといった経験をした人に「私もひどい目にあった」と伝えたところで、相手の気分が上向きになるわけがない。
夫を亡くした友人は、この種の「不幸の比較」をさんざん仕掛けられ、今では彼らとの付き合いに疑問を感じているという。
■5.相手の感情に同意する
本当に相手の意見に賛成できないときはどうすればいいのだろうか。たとえば、母が近所の人が身勝手すぎるとグチな言うが、私から見れば近所の人のほうが正しいとしたら?(中略)
説明しよう。これは、相手の感情を認めるというルールとも関係している。
母にコメントを求められたら、母の感情にだけコメントする。たとえば「母さんならそれは怒るだろうね」というように。これで母の感情を認め、口論を避けることもできる。ここで私は、自分も同感だとは言っていない。ただ母の感情を認めただけだ。
今の私は、この方法をよく使っている。誰かの怒りを共有できないときは、この方法が役に立つ。実際、このような会話では、私個人の意見は求められてはいない。
【感想】
◆冒頭で本書が「使える」と書きましたが、まさに「人付き合いのキモ」がてんこ盛りでした。もちろん100個もの「ルール」を収録している以上、類書とのネタかぶりもあるのですが、著者であるリチャード・テンプラーの言い回しやたとえが独特で、既に知っていたTIPSでも改めて納得してみたり。
たとえば上記ポイントの3番目の「沼」のたとえは、非常に「言いえて妙」かと。
肝心の「共感が大事」と言うか「アドバイスはしてはいけない」というTIPSが、腑に落ちない方でも、こう言われると理解できるような気がします。
……わかっていても、ついアドバイスしちゃうんですが(特に男性)。
◆これに関係するのが最後のポイントの5番目。
これは、共感しようにも、相手が間違っていると思われる場合の対処法になります。
実際、私の母も年のせいか、似たようなパターンに陥っていることが何度かあったのですが、その都度、私は真っ向から叩き潰していました(ダメじゃん)。
ただこれもまぁ、私と母だけの関係から言えば、「感情に同意」するのも大事なのでしょうけど、「我が家族」と「他人様」という視点で見ると、「他人様に迷惑はかけられない」んですけどね。
もちろん、相手から好かれたい場合は本書に同意ですし、むしろ「異性を口説く」場合は、「間違った意見」自体にも同意しとく方が、目的は果たせそうなw
◆逆に、本書を読んで新たに知ったTIPSが、上記ポイントの4番目のお話です。
他人から不幸話をされた際、よく「自分も同じような経験をした」と話しがちですが、それが「共感」のためならまだしも、「比較」となるとアウトだったとは。
一応「私の場合はあなたほど深刻ではないけれど」というフレーズが、相手の悲しみを軽く見ていないことが伝わり、役に立つ場合もある、と本書では述べているものの、基本的に「比較」はNGとのこと。
ここを読む限り、たとえ共感の意図であったとしても、自分の方が不幸だった場合は、何も触れない方がよさそうです。
◆なお本書では、本当にアドバイスを求められたケースの対処法についても指南。
ただし、その場合であっても、自分の考えは述べてはいけないのだそうです。
なぜならば、「絶対に正しい答えなどない」から。
実際、自分の経験から述べたところで、相手がうまくいくとは限りません。
ではどうするかというと、具体的には「質問で応える」。
「もし○○だったらどう思う?」「こういう可能性はあるかな?」等々、相手に質問して、相手が正しい答えを自力で見つける手助けをするのだそう。
……これなら私にもできそうなヨカン!
◆また本書には、上記ポイントの2番目を初めとして、子育てに使えるTIPSがいくつもあったのがありがたかったです。
たとえば今回は割愛しましたが、「本気で子供の話を聞く」というルールは、私自身できておりませんでした。
なるほど、本気で子供の話を聞いて、気持ちを理解しようとすれば、その真剣さは子供にも伝わり、彼らも協力的になる、と。
特に「親は"自分だったらどうするか"ではなく、子供になったつもりで子供の気持ちを考えなければならない」という一節には、考えさせられました。
ちょうどムスメが思春期で、関係がギクシャクしていたところでしたから、参考にしなくては……。
人間関係を良くしたい方なら、読むべし!
できる人の人を動かすルール
1章 人間を理解するための31のルール
2章 人を助けるための18のルール
3章 人を味方につけるための30のルール
4章 難しい人に対処するための21のルール
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◆今回は過去当ブログでご紹介した「ルールズ」シリーズのレビューをご紹介しておきます。……それにしても、今まで全部「ホッテントリメーカー」でタイトルを作ってたんですねw
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【編集後記】
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ご声援ありがとうございました!
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