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2017年11月24日

【集中力】『ハーバードメディカルスクール式 人生を変える集中力』ポール・ハマーネス,‎マーガレット・ムーア


ハーバードメディカルスクール式 人生を変える集中力
ハーバードメディカルスクール式 人生を変える集中力


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日ではなく11月初旬の「未読本・気になる本」の記事にて人気だった1冊。

その時はKindle化されていなかったのですが、いつの間にかKindle版が配信されていたので、あわてて読んでみました。

アマゾンの内容紹介から。
世界トップレベルの研究が行われているハーバード大学医学大学校で解明された脳をコントロールする法則!高度で複雑な脳の力を100%引き出すきっかけは、実は「単純な行動」だった!
すぐにスマホを見てしまい気が散る、大事な仕事に集中できない、そそっかしいミスをするなど、「注意散漫の病」に侵されていませんか?
どんな人でも脳を使いこなせば、本質に集中でき、仕事も私生活もうまくいく人に変われます。

なお、中古にプレミアが付いている以上、160円ほどですが、Kindle版の方がお買い得となります!





concentration / gagilas


【ポイント】

■1.感情に注意を乱されない
 たとえば2010年にカナダのオンタリオ州のウォータールー大学で行われた研究によると、算数の問題をやっている最中に不安を感じると、5まで数えるといった簡単な課題さえ難しくなることがあるという。この実験は、感情が基本的な脳のプロセスを邪魔する可能性を示すものだ。
 ここから明らかに類推できることがある。感情を司る部位のスイッチが入ると、脳内のより複雑な部位の基本的機能(注意や集中など)が妨げられる場合があるのだ。つまり不安や悲しみ、怒りなど感情的な反応をしているとき、私たちはきちんとものを考えられていない。様々な研究から、感情が原因で思慮深さが奪われ、目の前の作業から注意がそれることが一貫して示されている。


■2.目的志向型の注意力を高める
 現在は研究により、人間は一般に、自分の目標に関連するものに注意を惹きつけられることが分かっている。刺激がどれくらいうるさく目立つかより、目標との関連性の方が重要なのだ。私たちは、消防車に関する大量の情報を処理し、一瞬そちらに注意を向けてから手元の作業に戻ることができる。だが携帯が鳴り、夫(妻)や上司、担当医の番号が表示されれば、脳はサイレンや点滅するライトを締め出し、自分にとって本当に大切な刺激である携帯電話に注意を向けるだろう。
 つまり集中力を高めたければ、目的志向型の注意力を出来る限り高める必要がある。


■3.今この瞬間を意識する
 集中力が最も高まる瞬間を何度も体験したら、今度は日常的な動揺と不注意から抜け出し、集中できる時間を増やす方法を考えよう。今この瞬間に意識を向けるのだ。シャワーを浴びている間はシャワーを楽しみ、淹れたてのコーヒーの香りを味わい、子どもの無邪気な笑顔に見とれる。まずはこれが出発点になる。深呼吸して、今いる場所やその瞬間の気持ち、周囲の様子を意識し、ただそこにいるだけでいい。このスキルを身につけるのは、決して難しくない。誰でも子どもの頃は必ずできたことなのに、様々なノイズや思考、感情、記憶が何年も蓄積されるうちに心が曇ってしまったのだ。昔の自分を思い出し、新しい衣装のように毎日身にまとおう。何かするのでなく、一瞬でよいからただそこにいるようにする。


■4.「ABCプロセス」で自分にブレーキをかける
1 意識(Awareness)
 上司に折り返し電話をかけ、一言文句を言ってやりたいという衝動に駆られたら、広い心でその衝動を見守る(上司をギャフンと言わせたいと感じたことに対し、自分を責める必要はない)。
2 深呼吸(Breathing)
 何度か深呼吸し(意識を肺に向ける)、自分の腹立ちを認めそれに共感する。
3 選択(Choosing)
 上司に言い返したい衝動やその衝動が生みだす非生産的な感情の反芻に、意識的にブレーキをかける。自分が感じた怒りには、後で注意を向けることにする。
(詳細は本書を)


■5.戦略的にスイッチを切り替える
 たとえば職場で、パワーポイントのスライド作りに精を出していると、途中から明らかに効率が落ち、何をやっても無駄に思えてくる。頭の中が混乱し、うんざりして諦めたくなるかもしれない。
 だが一度立ち止まり、「行き詰まったから、別のことに飛び移ろう」と戦略的に頭のスイッチを切り替えれば、状況を一変させることができる。電話を1本入れる、メールを確認する、休憩をとるなど。こうした意図的な選択の結果、スライド作成という元の作業に飛び移ったときに新鮮なアイデアが頭に浮かぶことが多い。
 本書ではあえて「飛び移る」という言葉を使っている。スイッチの切り替えは、両足で地面を蹴ってひとつの脳内回路から別の回路に飛び移るという意味で、跳躍に似ているからだ。
 この切り替えが新たな洞察やアイデア、発想をもたらし、最終的には、中断した作業に戻った際の効率を高めてくれるだろう。


【感想】

◆本書の冒頭にある「Introduction」では、まず本書の特徴について解説されています。

いわく、脳科学の知識に基づく「トップダウン式整理法」を駆使して、短時間に多くの用事をこなし、達成感を味わうことができる、とのこと。

つまり本書は、情報過多な現代において、「思考の整理法」を指南してくれる、というワケです。

そして、そのためには、脳の重要な機能を学ぶ必要があり、全部で6つの原則があるのだそう。

本書では第3章以降で、それぞれ章を1つずつ費やして解説がされています。


◆たとえば上記ポイントの1番目は、1番目の法則である「動揺を抑える」から。

特に「不安」「悲しみ」「怒り」という3つの感情(本書では「感情の三原色」と呼ばれていました)は、互いをたきつけて、整理された思考を混乱させるのだとか。

本書では、実際にこうした状態に陥っている「患者」の実例が紹介されており、その対処法も併せて言及しています(詳細は本書を)。

今まで「集中力」を扱った本を数多くレビューしてきましたが、「感情が原因で集中できなくなる」という指摘は見たことがなかっただけに、結構「目からウロコ」でした。


◆同じく上記ポイントの3番目の「今この瞬間を意識する」は、2番目の法則である「集中力を持続する」からのもの。

なんだか「マインドフルネス」のようですが、こうすることで、自分で注意力をコントロールできるようになるのだそう。

たとえば集中して作業している間に、余計な刺激に注意をそがれたら、それは「内面に意識を向けろ」というサインということ。

「今この瞬間の体験」に意識を向ければ、動揺せずその場で冷静に判断できますから、何か別のものに注意を切り替えてもいいし、刺激に気づいた後、それを頭から追い出すこともできるハズです。

結局、「余計な刺激に注意をそがれる」という状態は、自分でそれを選んでいるのにすぎません。
ここで大切なのは、自分の反応をコントロールすることだ。何に注意を向けるか決めるのは自分、誘惑に流されるかどうか決めるのはあなた自身なのだ。自分でしっかりハンドルを握ろう。
ちょっと私には「耳イタイ」ですが、おっしゃるとおりですね。


◆また、上記ポイントの4番目は、3番目の法則の「ブレーキをかける」から。

この法則でいう「ブレーキをかける」とは、「抑制制御」を行うことであり、具体的には注意力を制御またはコントロールすることを意味しています。

実際、「ある活動が、もはや効果的(または生産的)でなくなっても途中で止められず、立ち止まって考えることなく突き進んでしまう」というのも、かなりの問題かと。

また、ポイントの4番目で挙げたような「衝動を抑える」TIPSは、集中するためには必須のもの。

この辺は1番目の法則にも関連してきますが、やはり「感情」をコントロールするのは大事なようです。


◆なお、下記目次では割愛しましたが、本書の巻末には2つの「付録」が収録されていました。

1つは「一目で分かる『思考を整理する6つの法則』」で、これは上記の法則をシンプルにまとめたもの。

ぶっちゃけ、ここを丸ごと引用すれば、今回の記事はそのまま書け(ry

もう1つは「うまくいかない人の悩みトップ10と解決法」。

これは、「うっかり癖」「すぐに気が散る」「散らかってしまう」「集中できない」といった具体的な悩み10個に対して、それぞれアドバイスを述べたものです。

正直、ここから5つ抜き出せば、これまた普通に記事になる……って、自重はしましたけど、そのくらい読みごたえがあるということでw


小手先ではなく根本から集中するために読むべし!

ハーバードメディカルスクール式 人生を変える集中力
ハーバードメディカルスクール式 人生を変える集中力
Introduction―あなたの脳の実力を100%引き出すトレーニング
第1章 思考を整理する法則―ハマーネス医師
第2章 変化を起こせるのは自分しかいない―メグ・コーチ
第3章 思考を整理する6つの法則1―動揺を抑える
第4章 思考を整理する6つの法則2―集中力を持続する
第5章 思考を整理する6つの法則3―ブレーキをかける
第6章 思考を整理する6つの法則4―情報を再現する
第7章 思考を整理する6つの法則5―スイッチを切り替える
第8章 思考を整理する6つの法則6―スキルを総動員する
第9章 2人からの最後のメッセージ―情報洪水の世界を生き抜く


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

世界のピークパフォーマーが実践する脳を操る食事術
世界のピークパフォーマーが実践する脳を操る食事術

下記レビューでも触れているように、私はこの本読んで、思わず甘酒を買ってしまった思い出がw

現時点で中古に送料を加えると定価を超えてしまう人気ぶりですから、Kindle版が700円弱もお得です!

参考記事:【食生活】『世界のピークパフォーマーが実践する脳を操る食事術』石川三知(2017年08月09日)


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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