2017年10月31日
【ビジネスマナー?】『社会人の日本語』山本晴男

社会人の日本語
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本の記事」でも注目を集めていた「言葉づかい本」。既にいい年しているワタクシではありますが、言葉づかいに関しては何となく心配で、思わず買ってしまいました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「取り急ぎお礼申し上げます」と得意先にメールしたら「失礼な! 」と怒られた!
知らないと恥をかく「社会人語」約300語を徹底解説!
なお、現時点で中古にプレミアが付いている以上、ここはKindle版一択かな、と。

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【ポイント】
■1.「今回は、ずばり直截的なテーマだ」△ちょくさい「直截」は、てっとり早いとか、まわりくどくないという意味です。「截」の字が「載」や「催」の字に似ていることから「ちょくさい」という慣用読みが広がったようです。
○ちょくせつ
これも前述の「百姓読み」のひとつと言えます。ただ、いまはパソコンで「ちょくさい」と入力すると「直截」とも変換されるように、「ちょくさい」という読み方が必ずしも間違いとは言えなくなっています。
慣用読みが広がると、本来の正しい読み方を押しやって市民権を獲得していくという、ひとつの例ですね。
■2.「御社」と「貴社」の使い分け
相手の会社を言う場合、「御社」か「貴社」か。
一般的には、電話のような話し言葉の場合は「御社」、メールのような書き言葉の場合は「貴社」とするのが正しいとされます。
その使い分けの理由は、「貴社」には同音異義語(記者、汽車、帰社)が多く、話し言葉で「きしゃ」と言っても、どの「きしゃ」なのかわかりにくい。そのため、話し言葉には「御社」を使い、書き言葉には「貴社」を使うこととされています。
同音異義語を避けるという意味では、書き言葉でも「御社」を使って良さそうなものですが、慣用的に「話し言葉では御社」、「書き言葉では貴社」となっているようです。
■3.「取り急ぎ」はお礼の場合には使わない
相手にとりあえず知らせておきたいという場合に、「取り急ぎ」がよく使われますが、「取り急ぎ」は「本来の手続きを略して、用件のみ伝えます」というニュアンスがあるため、得意先や目上の人にお礼を伝える場合は失礼にあたります。
たしかに右のメールの場合、得意先の山田さんは吉永様を紹介するのにいろいろと苦労があったかも知れません。
それを「取り急ぎ」という言葉で済まされてしまっては少々物足りなさを感じるでしょうね。とりあえずメールでお礼を、という場合は「まずは、お礼申し上げます」とするのがいいでしょう。
■4.「遺憾に思う」の正しい意味は?
A 「心残りで残念だ」
B 「申し訳ない気持ちだ」正解 Aときどき、政治家や企業経営者が記者会見などで使った言葉が、意味を誤解されて広まっていくということがあります。「遺憾」という言葉もそのひとつです。「遺憾」はもともと、心残りで、残念という意味です。
ところが、よく政治家の会見にありますが、身内の大臣の失言に「そこは遺憾に思います」などとコメントすることで、「遺憾」という言葉に謝罪の意味があるように思えてしまうのですね。本来、謝罪の意味はありませんから、正しくは「そういうこと言ったの? 残念だ」という意味になり、よく考えると、どこか他人事のように聞こえます。
■5.「姑息」の正しい使い方は?
A 「相手に情報を流すとは、何とも姑息な手段だ」
B 「いま、担当をかえても、それは姑息な対応だ」正解 B「姑息」の「姑」はしばらく、「息」は休息、つまり休むこと。従って、「姑息」とは、しばらく休むという意味から、「一時しのぎ」という意味になりました。あまりに多くの人が「姑息」を、卑怯なとか、ずるいという意味だと誤解しているのはなぜでしょう。ひとつは「姑」が、しゅうとめを表すことから、嫁に対していろいろ意地悪をするというイメージがあること。もうひとつは「姑息」が、こそこそとか、こっそりという発音に似ていて、陰で何か悪いことをするという響きがあることからでしょうか。
【感想】
◆表紙にある「取り急ぎお礼申し上げます」の事例が気になって本書を買ったのですが、それ以外にもなかなか学びの多い1冊でした。まず初っ端にあるのが、ビジネスシーンで使用する漢字の読み方。
お恥ずかしながら、上記ポイントの1番目は、読み方もその意味も正しくは知りませんでした(恥)。
ただ、一般的には「ちょくさい」と言っているシーンも多いらしく、こんな記事もあるという。
「ちょくさい」「ちょくせつ」? | ことば(放送用語) - 放送現場の疑問・視聴者の疑問 | NHK放送文化研究所
なお、同じく引用内にある「百姓読み」という言葉も初耳だったのですが、似た漢字につられた読み方をすることだそうです。
百姓読み - Wikipedia
他にも読み方を間違えやすい漢字が色々ありますので、気になる方は第1章をご確認いただきたく。
◆続く第2章は、その「取り急ぎお礼申し上げます」が登場する、メールにおける言葉づかいについて。
上記引用内にあるように、そもそもお礼の場合に「取り急ぎ」というフレーズは禁句になります。
……私の場合、顧問先さんからお中元やお歳暮をもらったお礼状の最後に、「取り急ぎ御礼申し上げます」と書いた記憶が(大汗)。
また、上記ポイントの2番目の「貴社」と「御社」は、特に誰からも教えてもらったことはありませんでしたが、このように使っております。
多分、この手のビジネスマナー本か何かを読んだからかと。
一方、意外だったのが、「ご多忙のところ」という表現があまりよろしくない、というお話。
というのも、「忙」という漢字が「心を亡くす」という意味なので、こうした漢字を快く思わない人もいるのだそうです。
なお、こういう場合は「ご多用のところ」にしておけば大丈夫とのこと。
◆1つ飛んで第4章の「会社言葉」も、正しい用法を知らないフレーズがあって、冷や汗もののワタクシ。
まず上記ポイントの4番目の「遺憾」は、私は「残念」だとは思っていたものの、同時に「謝罪」の意味も含まれているのだと思っておりました。
逆に、含まれていないのに、謝罪すべき場面で「遺憾に思っております」と言ったら、まさに「他人事」のような……。
さらに 上記ポイントの5番目の「姑息」にいたっては、まさに「ずるい」という意味だと信じていたという。
ただ、世間的にもそう思っている人が多そうですから、「一時しのぎ」の意味で使うと、かえって勘違いされそうな気もしますけどね。
◆ここから先は、上記ではすべて割愛してしまっているのですが、第5章は「同音異義語」について。
私はほぼすべて大丈夫でしたが、1つ興味深かったのが、同じ音なのに意味が逆になってしまう「遍在」と「偏在」です。
あまり使わない言葉ですが、出てきたら意味が逆なので注意したいところ。
また最後の第7章の「四字熟語」は、むしろムスコの受験には大事な言葉ばかりですから、そっち方面で活かしたいと思います。
ただし、今回飛ばした第3章カタカナ言葉と第6章の慣用語は、働いている業界に依る部分が大きいので、正直なくてもいいかな、と……。
会社で赤っ恥をかきたくない方は要チェックです!

社会人の日本語
第1章 上司も読み間違える、カイシャの漢字
第2章 取引先には送れない、カイシャのメール言葉
第3章 会議で知らんぷりできない、カイシャのカタカナ語
第4章 そんな意味とは知らなかった、カイシャ言葉の勘違い
第5章 使い分けたら一目置かれる、カイシャの同音異義語
第6章 知らなくても人には聞けない、カイシャの慣用語
第7章 トップの好きなカイシャの四字熟語
番外編 鵜呑みにできない、カイシャ言葉のウラ
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【これは便利!】『ビジネスメール ものの言い方辞典』(2011年06月07日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている (講談社文庫)
……まさに結婚してからの私の食生活そのものw
送料を足した中古よりも、Kindle版の方がギリギリでお買い得となっています。

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