2017年10月22日
【レジリエンス】『OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び』シェリル・サンドバーグ,アダム・グラント
OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の「日本経済新聞出版キャンペーン」の中でも人気だった自己啓発書。『LEAN IN』(これもセール中ですね)のシェリル・サンドバーグが、『GIVE & TAKE』のアダム・グラントの強力を得て書き上げた力作です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
フェイスブックのCOOシェリル・サンドバーグは、休暇先で最愛の夫を突然失った。友人で著名心理学者のアダム・グラントが教えてくれたのは、人生を打ち砕く経験から回復するための、具体的なステップがあるということだった。回復する力の量は、あらかじめ決まっているのではない。レジリエンスは、自分で鍛えることができる力なのだ。
なお、セール期間内であれば、Kindle版が実質800円弱お買い得です!
Sheryl Sandberg / jdlasica
【ポイント】
■1.「3つのP」を避ける私たちは人生のネガティブなできごとをさまざまな方法で処理するうちに、レジリエンスの種まきをする。心理学者のマーティン・セリグマンは、人が失敗や挫折にどのようにして対処するかを長年研究し、「3つのP」が苦難からの立ち直りを妨げることを明らかにした。すなわち自責化(Personalization:自分が悪いのだと思うこと)、普遍化(Pervasiveness:あるできごとが人生のすべての側面に影響すると思うこと)、永続化(Permanence:あるできごとの余波がいつまでも続くと思うこと)である。(中略)
つらいできごとが「自分ひとりのせいではない、すべてではない、ずっとではない」ことに気づけば、子どもも大人も立ち直りが早くなることを、多くの研究が示している。ネガティブなできごとを自責化、普遍化、永続化しない人は、うつになりにくく、状況によりよく対処できるのである。
■2.「考えうる最悪の事態」を想像する
まずい事態を想定するのは、もともと私の得意とするところである。レストランで最初に案内された席はとりあえず拒否するといったことは、ユダヤ人のならわしのようなものだ。でもデーブを失ったばかりの、まだ悲しみが深かったころは、いつも本能的にポジティブなことを考えようとしていた。アダムはその逆をやれという。もっと悪い事態を想像することが、立ち直りを助けるというのだ。「これよりも悪いですって?」と思わず聞き返した。「冗談でしょう? これ以上最悪なことなんてないわ」。彼の返事は胸に刺さった。「デーブはお子さんたちを車に乗せているときに、不整脈を起こしていたかもしれないよ」。ほんとだ。3人とも失っていたかもしれないだなんて、考えたこともなかった。その瞬間、子どもたちが元気に暮らしていることに、途方もない感謝の念が湧いてきた。そしてこの感謝の気持ちが、悲嘆をいくらか和らげてくれたのである。
■3.心の痛む話題を避けない
デーブが亡くなったばかりのころ、友人に会って「どうしてる?」と聞いてもらえないとショックだった。はじめてのとき、これがあの「尋ねない友人」なのね、と思ったものである。(中略)
かくいう自分も、つらい会話を避ける友人だったことに気づいたのは、あの朝食のときである。それまでジェフに体について直接尋ねたことは、一度もなかった。気にかけていなかったのではない。つらいことを思い出させて、落ち込ませたくなかったのだ。デーブを失ったいま、それがどんなに小賢しい考えだったかがわかる。ジェフに多発性硬化症を「思い出させる」、なんてことができるはずがない。だってそのことは一瞬たりとも彼の頭を離れないのだから。
■4.感謝の気持ちを表す
感謝の気持ちをもち、それを表すことは、なにも特別な機会を待たなくてもできる。私のお気に入りの研究のひとつを紹介しよう。ある実験で参加者に、とても親切にしてくれた人へのお礼の手紙を書いて相手に届けてもらった。受けとった相手はもちろん喜んだが、手紙を書いた人も落ち込みの程度が有意に低下した――しかもその効果はひと月ものあいだ持続したという。アダムにこの研究を教わったとき、なるほどと思った。私も友人や家族に感謝の念を表しているあいだは、悲しみが陰に押しやられるのだ。
■5.しあわせは大きさよりも頻度が大事
喜びを見つけようとするとき、私たちはとかく卒業や出産、就職、親戚の集まりなど、大きなできごとに目を向けがちだ。でもしあわせにおいては、大きさよりも頻度のほうが大切なのである。配偶者を亡くした人を12年間追跡したオーストラリアの研究で、死別前と同じ頻度で喜びを味わうことができた人は、全体の26%だった。彼らには、ほかの人にない特徴があった。日常の活動やつきあいに、再び積極的に携わるようになったのである。
【感想】
◆想像していたよりも、なかなか重い1冊でした。そもそもあのシェリル・サンドバーグが、ここまで赤裸々に「自らの心のうち」をさらけ出すとは正直意外。
……彼女に関しては、何となく「Google辞めて、Facebookに移った人」程度の知識しかなかったのですが、「ハーバード大学経済学部を首席で卒業」「ハーバード・ビジネス・スクールにて最高成績でMBAを取得」「HBS卒業後はマッキンゼーで働く」と、Google以前からバリバリのキャリアだったワケです。
それがご主人を亡くされてから、立ち直るまでに、何度涙を流したことか。
特に離別直後は、会議でトンチンカンな発言をしてしまったり、いきなり泣き出してしまったりと、まるで「普通の人」と何ら変わらない有様です。
むしろ、登場人物にサラッと著名人、有名人が出てくる(だいたい上司は15歳ほど年下とはいえ、ザッカーバーグですし)のを除けば、「旦那さんを亡くした普通の人が書いた本」と言われたら、騙されそうなくらい。
◆しかし彼女には、家族や友人、仲間が周りにいました。
特に本書の共著者として関与するアダム・グラントは、具体的なエビデンスを元に、彼女を励まします。
闇はいつか必ず明けるが、自分でもその後押しをしなくてはいけない。アダムの言葉を受けて、彼女は日々の生活を取り戻すよう努力し、また、アダムとともに、逆境から立ち直った研究を検討し、実際に跳ね返した人に話を聞きに行きました。
結果、本書の巻末には、膨大な原註が付いており、そのボリュームは単行本だと30ページ以上あるのではないか、と。
たとえば上記ポイントの2番目にあるアダムが話したTIPSも、実際には原註番号が付されており、エビデンスが確認できる仕様になっている次第。
◆また、自身が悲しみに打ちひしがれる場合だけではなく、そうなった人との接し方についても学ぶことができました。
特に上記ポイントの3番目のTIPSは、シェリル自身もそれまで気が付かなかったこと。
なお引用の中にある「尋ねない友人」とは、ブロガーのティム・アーバンが作った言葉らしく。
10 Types of Odd Friendships You're Probably Part Of - Wait But Why
ただ、私自身も本書を読むまで、傷ついている人に、まさにその話題を口にすることは、かえって失礼だと思っていました。
もちろん、皆が皆、自らに起こった不幸をオープンにしたいわけではないので、画一的に対応してよいのではないのですが、少なくとも「気にはかけている」ことを、何らかの形で伝えるべし。
この辺の「疎外感」についての思いを、彼女自身がFacebookに投稿したのがこちらになります。
(32) Sheryl Sandberg - Today is the end of sheloshim for my beloved...
◆さらに、自らが立ち直るだけでなく、自らの子どものレジリエンスを育む必要もあるでしょう。
そこで本書の第7章では「"レジリエント"な子どもを育てる」と題して、その方法を指南。
まずは子どもが次の4つの核となる信念をもてるよう、手助けすることが出発点となるのだそうです。
(1)自分の人生は自分である程度コントロールできるこの章では上記4つの信念について、事例を踏まえて詳細に解説。
(2)失敗から学ぶことができる
(3)自分はひとりの人間として大切な存在である
(4)自分のために役立て、他人と分かち合うことのできる強みが自分にはある
またシェリル自身が、2人のお子さんと、どのように「父親の不在」を乗り越えていったかについても述べられていました。
なるほど、この章の最後で、息子さんが彼女を励ますくだりを読むにつけ、しっかり成長されているようです。
◆私自身は、まだ父を失っただけですが、ちょうど時期的に仕事が忙しくなることもあって、悲しみに浸る以前に、とにかく忙しかった記憶しかありません。
母は年老いていますが、むしろ認知症の方が心配で、別離とは違った形でこれから大変になりそうな。
一方、妻や子供たちは幸いにも元気ですが、むしろ年齢的には私が先に旅立つ以上、本書の内容は妻に学んで欲しいところ。
もちろん、災害や事故等で、これからどんな形で悲しい思いをするかはわかりませんし、いざという時のために読んでおくことをオススメしたく。
逆境を乗り越えるために読むべき1冊!
OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び
1 もう一度息をつく
2 部屋のなかのゾウを追い出す
3 友情のプラチナルール
4 自分への思いやりと自信―自分と向き合う
5 逆境をバネに成長する―未来の自分が私をつかんでくれる
6 喜びをとり戻す
7 "レジリエント"な子どもを育てる
8 一緒に強くなる
9 仕事での失敗と学び
10 もう一度、愛し笑う
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【編集後記】
◆この「日本経済新聞出版キャンペーン」では、本書のほかにはこんなところが人気でした(順不同)。ザ・会社改造--340人からグローバル1万人企業へ
文庫・スノーボール ウォーレン・バフェット伝 (改訂新版)〈上・中・下 合本版〉
リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド
ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技
一応ご参考まで。
【編集後記2】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。会社では教えてもらえない 生産性が高い人の思考整理のキホン 【会社では教えてもらえないシリーズ】
「生産性」「思考生理」と、当ブログ的に魅力的なフレーズが並びますが、果たしてその内容は!?
今年6月に出た作品であり、まだそれほど値崩れしていませんから、Kindle版が700円弱お得です!
ご声援ありがとうございました!
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