2017年09月29日
【食生活】『老いない人は何を食べているか』松生恒夫

老いない人は何を食べているか (平凡社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも意外に人気のあった健康本。タイトルとおり「アンチエイジング」に興味のある方なら、見逃せない1冊です。
アマゾンの内容紹介から。
70歳を過ぎても激しいコンサートをパワフルにこなす、ポール・マッカートニーやミック・ジャガー。彼らは日々、どのような食事をしているのだろうか。また長寿地域には、どのような食の秘密が隠されているのか。消化器内科医、大腸専門医の立場から、腸力を高め、見た目も若く健康的な生活を送るために、食材の効能や食べ方、日々の過ごし方を紹介する。
なお、中古には現時点でプレミアが付いていますから、「20%OFF」のKindle版がお買い得です!
それと、編集後記に書いてもご覧にならない方も多いと思いますので、こちらで触れておきますが、昨日までと思っていた(ゆえに一昨日前日ランキングを投稿した)講談社セールは、「本日29日まで」でした!
セール期限を誤って投稿したことを改めてお詫び申し上げます。

Spaghetti with garlic, olive oil, pepper and confit tomatoes / Luca Nebuloni
【ポイント】
■1.体を酸化させない食材を摂る「地中海式和食」その特徴は、オリーブオイルを豊富に使い、穀物(パン、パスタ、米、クスクスなど)、魚、野菜、果実を豊富に摂り、肉類、乳製品は少量しか摂らない食のスタイルのことです。とくに和食とは異なり、デザートを除く食事には塩やハーブは使うものの、砂糖はいっさい使わないことにあります。これは、いわゆるイタリア料理、フランス料理とも共通していることです。(中略)
一方、地中海型食生活にはなくて、和食にあるよい点というのは、発酵食品やだしの存在です。味噌、しょう油、漬け物、納豆などの発酵食品が豊富で、植物性乳酸菌(納豆は納豆菌)が多く摂れるため、腸内環境を整えてくれます。さらに、発酵食品の多くは、植物由来のものも多いので、食物繊維やオリゴ糖なども同時に摂取することが可能になります。
■2.大麦(もち麦)で糖尿病を予防する
また、麦めしを摂ると、その次に口にする食事の後も血糖値が上がりにくくなる、つまり「セカンドミール効果」があるという報告があります(福原育夫ほか「β‐グルカン高含有大麦混合米飯の食後血糖応答とそのセカンドミール効果に及ぼす影響」)。
大麦(もち麦)に含まれるβ‐グルカンには、脂肪の吸収を抑える働きもあるので、糖を吸収しにくくするだけでなく、インスリンを効きやすくするというダブル効果で、糖尿病を予防してくれるのです。
さらに、高コレステロール血症の予防にも、大麦(もち麦)は効果を発揮するともいわれています。
■3.なぜ、長野県が日本一の長寿地域になったのか
現在、長野県は日本でいちばんの長寿地域です。その秘密を少し探ってみましょう。長野県の知事を務める阿部守一氏は、長野県の食の特徴がどのように健康長寿につながっていったのか、ということに関して、次のようなことを指摘しています。まとめてみました。(1)減塩意識が高く、県民の間に浸透しているこのような長野県の長寿の状況をみていきますと、やはり、野菜・果物をたくさん摂る、植物性乳酸菌、納豆菌、麹などによる発酵食を多く摂って減塩にすることが、長寿および大腸癌の死亡率低値に結びついていると考えられるのです。
(2)県民ひとり当りの野菜の摂取量が、全国で1位
(3)果物の消費量、生産量も多い
(4)発酵食品がよく食べられている
(詳細は本書を)
■4.野菜のファイトケミカルは加熱して摂る
多くのファイトケミカルは、熱に強いので、野菜は加熱して摂るのがいちばん体によいと思います。
野菜のファイトケミカルは、熱を加えることで自然に細胞外に溶け出し、ある一定時間煮続けると、その80〜90パーセントが煮汁に溶出します。こうしてつくった野菜スープには、同じ野菜を使った生野菜ジュースと比較して10〜100倍もの抗酸化作用があることが証明されています。
たとえば、トマトの皮の部分に多く含有されるリコピンは、ファイトケミカルの一種ですが、油に溶けやすい性質があるので、オリーブオイルを加えて加熱すると吸収しやすくなります。
エキストラバージン・オリーブオイル、トマト、パスタ(全粒粉)という黄金のトライアングルに、ニンニク、バジルなどを入れてつくるトマトソースパスタは、ある意味でファイトケミカルの最強メニューともいえるでしょう。
■5.大腸がんの予防効果のあるブロッコリー
食事などの生活習慣と、胃癌、大腸癌との関係を明らかにするため、国立がんセンター研究所支所臨床疫学研究部(現 国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部)と長野県の複数の総合病院が共同研究としておこなった「長野県の低癌死亡率と農作物との関連についての疫学研究」という調査があります。
対象は1999年から2002年に大腸癌と診断された121人と、その比較対象として長野県の総合病院で人間ドックを受診し、「異常なし」と診断された245人が選ばれています。
調査はアンケート形式で食事内容を詳しく記載してもらい、アブラナ科野菜の中のキャベツ、大根、小松菜、ブロッコリー、白菜の5種について、どのくらいの頻度で食べているかを答えてもらっています。
その統計と大腸癌の予防効果を科学的な手法で解析した結果、その効果が明らかに認められたのが、ブロッコリーでした。また予防効果がありそうなのが白菜でした。
【感想】
◆冒頭の内容紹介で、ポール・マッカートニーやミック・ジャガーの食生活に触れられているのに、上記ポイントでは割愛してしまってすいません。まずポール・マッカートニーに関しては、本書の「はじめに」で「ポール・マッカートニーはなぜ若い?」と題して、彼の食生活について言及されています。
簡単にまとめてしまうと「有機ベジタリアン食」ということらしいのですが、「肉も魚も顔のついているものは食べない」のだそう。
一方、ミック・ジャガーは、第3章 の「『老いない人』は何を食べているか」の冒頭にて、「ベジタリアン」であることが述べられているものの、こちらは食生活よりもむしろ運動面の話が中心です。
ただし、バンドのイメージとは裏腹に「超健康な生活」らしく、「お抱えのシェフがつくった料理だけを1日3回きっちりと食べ、間食や外食もいっさいしない」のだとか。
またもう1人、音楽プロデューサーの喜多嶋修氏(喜多嶋舞のお父さん)も紹介されているのですが、彼もまた菜食中心主義者である、とのこと(少量の魚と卵、鶏肉は摂っているそう)。
◆もっとも本書は、ただ単に「ベジタリアン」を推奨しているワケではないのは、実際上記ポイントの1番目で「魚」も登場していることからも明らかです。
実は、著者の松生先生が主張したいのは「腸の健康」。
第4章では「腸ストレスこそ老いの原因」と題して、腸内環境を整えることを主張されているのですが、日本で古来から食べられている味噌や漬物といった植物性乳酸菌が有益なのだそうです。
なお、上記ポイントの1番目の「地中海式和食」で、植物性乳酸菌が登場するのは、こうした理由があったからのよう。
続く第5章の「腸を健康にする食べ方で老いを防ぐ」では、より具体的に食材や調理法についても言及されていますから、「ぶっちゃけ何食べたらいいの?」と言う方は、ここからご覧になると良いと思います。
◆また、1つ飛んだ第7章では、「健康長寿と呼ばれる地域の食の秘密とは」と題して、長寿の地域ごとの食生活を分析。
たとえば、上記ポイントの2番目に登場している「β‐グルカン」なる物質は、麦味噌用の麦麹には含まれているものの、米味噌に使う米麹には含まれていないのだそうです。
そして松生先生いわく、愛媛県で大腸癌の死亡率が低いのは、麦味噌が使われているからである可能性が大きい、とのこと。
同じく、ギリシャのクレタ島が長寿なのは、地中海型食生活の源流とも言えるような食生活を送っているかららしいです。
本書では典型的な1週間の食事メニューも掲載されており、なるほど野菜や麦が豊富で、間食としてはフルーツやナッツを摂っている模様。
さらには、上記ポイントの3番目の長野県のほか、山梨県棡原(ゆずりはら)地区や、かつての沖縄といった日本各地の食生活も分析しています。
ここを読むと、日本人が長寿なのも納得できるという。
◆なお、同じ第7章の最後では、長寿食で使われる食材と、その成分・効能がまとめられています。
上記ポイントの4番目と5番目は、ここから引用したもの。
ほかにも豆類やハーブ類、オリゴ糖といったところが詳しく解説されていますから、ここもぜひご覧ください。
ちなみに豆類の中では、私も毎日食べているアーモンドがオススメらしいです。
……むしろ私の場合、必要量以上に食べていることの方が心配なんですがw
長く健康で生きていくために読むべき1冊!

老いない人は何を食べているか (平凡社新書)
第1章 なぜ、人は老いていくのか
第2章 老いの程度を決定する「見た目」
第3章 「老いない人」は何を食べているか
第4章 腸ストレスこそ老いの原因
第5章 腸を健康にする食べ方で老いを防ぐ
第6章 老いを防ぐには健康的な生活も必須
第7章 健康長寿と呼ばれる地域の食の秘密とは
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【食べたらアカン?】『マンガでわかる若返りの科学』藤田紘一郎(2014年01月05日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
生命保険のカラクリ
かなり昔の本なので、送料加味しても中古の方がお得なのですが、下記のとおり当ブログでもレビュー済み。
そこでも書いた「保険にかしこく入るための7か条」は、保険に入る前に知っておきたいところです。
参考記事:【世帯主必読?】「生命保険のカラクリ」岩瀬大輔(2009年10月18日)

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