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2017年09月19日

【メンタル】『自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術』下園壮太


自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術 (朝日新書)
自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術 (朝日新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、注目していたメンタル本。

タイトルに「自衛隊」とありますが、特殊環境のみならず、普通の一般生活を送る私たちにとっても有益な教えが多々ありました。

アマゾンの内容紹介から。
自衛隊でメンタルヘルス教官を務めてきた著者が、自分の感情にフタをせずに、しっかりとケアすることで、人づき合いをグッと楽にする技術を伝授。今日から使える、実践的スキルが満載!

なお、中古にプレミアが付いているのに、Kindle版は「23%OFF」と大変お買い得となっています!





Having a quarrel / star5112


【ポイント】

■1.対人関係に疲れたら、まず自分の疲労を回復させる
 そもそも人づき合いは、面倒くさいものだ。元気な時なら、その面倒くさいこともなんとかこなせる。しかし、エネルギーが低下すると、「人間関係」が、大きな苦痛の種になってしまうのだ。
 ここには、本書で一貫して提案する、ある解決策のヒントが潜んでいる。
 それは、「対人関係に疲れたら、その対人関係を改善しようと努力するのではなく、まずは自分の疲労を回復させなさい」ということだ。対人関係は、苦しさの原因ではなく、結果であることが多い。その仕組みに気が付くと、対人関係ゲームで一層エネルギーを消耗するという悪循環から脱出することができる。


■2.我慢をすると通常の3倍感情エネルギーを消耗する
 例えば、会議のための資料をコピーする、という1つの仕事があるとしよう。元気な時は、なんということはない作業量。本来は後輩がやるべきだと思う仕事だが、上司に指示されたのは、あなただった。明日までに仕上げなくてはいけない企画書の作成を、さっき同じ上司に言われたばかりなのに、である。あなたは心のうちでは納得がいかない。
 この時、このコピーの作業にイライラという感情が乗る。イライラにエネルギーが奪われるので負担感が「1」プラスされると考えてほしい。ただ、もしここであなたが、その怒りを上手に発散できれば、それほどの消耗にはつながらない。
 ところがここであなたが、ここで不満を言っても仕方がないとそのイライラをぐっと我慢して、コピー作業を行ったとしよう。イライラと同じだけの力でそれを抑えるので、そのために必要なエネルギーがかかり、負担感がまた「1」プラスされる。しかも作業が終わっても、イライラと我慢の押し合いはかなり長く続いてしまう。この継続による負担感を「1」とすれば、我慢すると、本来の作業量に加え、感情関連のエネルギー消耗が3倍も大きくなってしまうのだ。


■3.「サイコーの評価法」で、自信を身につける
 評価の対象は何でもいい。これから本書で紹介していく具体的なスキル1つでもいいし、日常の仕事についてでもいいし、今日という1日全体についてでもいい。大切なのは、良かったこと3、悪かったこと1、改善点1というバランスを守ること。自信がない人は、どうしても「悪かったところ」ばかりを挙げて、かえって自信をなくしてしまうからだ。
 一方「良かったところ」ばかりでも、自分に噓をついている気がしてしまうのが、日本人の特性である。さらに日本人は、不安を原動力にして、改善に向かっている時が一番自信を感じるという面がある。そこで、「悪かったところ」1つに対して、「今後の改善点」も必ず1つだけ挙げる。改善点をいくつも挙げてしまうと、なんとなく気が重くなり、結局、次の行動に続かなくなる。
 いろいろ試したが、経験上、これこそが黄金比。この「3(サ)」「1(イ)」「今後(コー)」のバランスが、最高(サイコー)の効果をもたらすのだ。


■4.感情に翻弄されたら、まずは感情を下げる
 ポイントが3つある。
 一番大切なのは、引き続きしばらくの間は、追加の刺激を入れないこと。できれば、1人になるか、気分を紛らわせるか。物理的に対象から離れられない場合、精神的に距離を取ろう。注意を他の物に向けるのだ。あなたの注意や関心を引き付けてくれやすいものを探しておくといい。
 2つ目は、体を緩めること。感情は命がけの反応なので、体が緊張する。この緊張を緩めると、自然に心も緩んでくる。
 3つ目は、安心できること。しかも、原始人的感覚で。
 感情はイメージで増幅される。雰囲気やイメージをうまく使って、少し安心できると、感情が収まる方向に動きやすい。


■5.夫婦喧嘩は終わりの合図を決める
 勃発した夫婦ゲンカは、なるべく長期戦にしたくない。
 そこで、2人なりの「終了」の合図を決めておくのがいい。1人がトイレに入ったら終わり、子どもの話が出たら終わり、お茶を出したら終わり、など何でもいい。
 できれば、夫婦ゲンカが終わってしばらくしたタイミングで、そのケンカのことではなく、終わり方について2人のルールを共有しておくのがいいだろう。そして、次からはその終了の合図が出たら、「全力で」言い合いを終わらせる。それが、怒りのプログラムの不必要な拡大を防ぎ、夫婦が上手く折り合っていく1つのコツである。


【感想】

◆私自身は今現在違うのですが、人間関係にお悩みの方には、うなずける部分が多い作品だったと思います。

まず表紙にもある「我慢する」ことがいけない理由については、上記ポイントの2番目にて。

納得できない作業を「我慢して」行うと、「イライラ」という感情が生まれることにより、本来の作業でのエネルギー消費に加えて、感情関連のエネルギー消費が3倍も多くなってしまうのだそうです。

さらに「我慢」による苦しさはこれだけではなく、「被害者意識が大きくなる」「自信の低下を招く」「世の中への警戒心が強くなる」といった問題も生まれてくるのだとか(詳細は本書を)。

いかに「我慢する」ことが、良くないかが分かります。


◆そこでこうなった場合に、人が取る対処が「忘れる」。

本書曰く「期間限定のトラブル」のときは、忘れているうちに、原因となったトラブルが解決したり、風化したりするので問題ありません。

ただしそれ以外の場合には、かえってトラブルが大きくなったり、いつまでも引きずったりしてしまうのだそう。

というのも、本人はうまく忘れたツモリであっても、潜在意識では忘れておらず、表面的にはトラブルとなった相手とうまくやれていても、いちいち相手のことが気に障ったりします。

すると実際には相手は何もしていないのに、相手を嫌悪し、自分の中で「恨み」を勝手に大きく育ててしまうのだとか。

そして、再度爆発した際には、これまで育てた「恨み」まで載せての大爆発になってしまうという……。


◆ではどうすればよいのか、というと「現実問題の対処」よりも「感情への対処」を行うこと。

本書によると、こうした「感情ケアプログラム」には、感情の3段階に応じて「下げる」「触れる」「考える」の3つのツールがあります。

たとえば上記ポイントの4番目は、小見出しにもあるように「感情を下げる」ためのTIPS。

ちなみに著者の下園さんの場合だと、「呼吸する」「1人になる」「チョコレートを食べる」「コーヒーを飲む」等々の「下げる」ツールがあり、何かあった際にはそれを思い出して実践しているそうです。

なお、このうち「呼吸する」に関しては、本書で「DNA呼吸法」なるものが紹介されているのですが、イラストでの解説のため泣く泣く割愛しました。

さらには、「触れる」と「考える」についても、それぞれツールや考え方の解説がありますので、本書にてご確認ください。


◆また本書では、特に人間関係の疲れが目立つジャンルを2つ挙げて、それぞれ章を割いて対策を考えています。

それが5章の「家族」と6章 の「職場」。

まず「家族」の方では、「毒親」や「介護問題」の対応の仕方も気になりましたが、やはり上記ポイントの5番目に挙げたように「夫婦喧嘩」は避けては通れないところです。

ちなみに上記では割愛しましたが、こうした「ルール」で終わらせた場合、男性は「終わったのだから」と解決済みの気分になりがちですが、女性は何度も話し合ってようやく落ち着くものなのだそう(知らなんだ)。

一方「職場」の方も、上下関係やら世代の違いやら、イライラのタネはありますが、カチンときたら、その元となる「自分の信念(ゴールデンファイル)」を検証してみるべし!
「信じられない」「常識でしょう」「当たり前のことでしょう」という言葉が浮かんだら、要チェックだ。
思い当たるフシのある方は、これまた本書をお読みいただきたく。


人間関係にお悩みの方なら、要チェックです!

自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術 (朝日新書)
自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術 (朝日新書)
序章 人はもともと「人が怖い」
1章 まず、「我慢」をやめてみよう
2章 すべての感情には意味がある
3章 感情にフタをせず、ケアをすれば楽になる
4章 「いい加減な自分」を認めると、人生はうまくいく
5章 家族関係の疲れをためない技術
6章 「役割の戦場=組織」を生き抜く


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【編集後記】

◆実は記事にしようか迷っているのですが、現在カドカワ系列でこのような大規模セールが行われています。



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ただ、正直品揃えがビミョウと言いますか、今までのカドカワセールであまりご紹介してない作品ばかりなので、戸惑っているという……。


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