2017年09月17日
【キャリアデザイン】『40歳が社長になる日』岡島悦子
40歳が社長になる日 (NewsPicks Book)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日とりあげた「幻冬舎 電本フェス」の中でも人気だった1冊。ご自身も「三菱商事」「ハーバードMBA」「マッキンゼー」「グロービス」という経歴を持つ岡島悦子さんが、これからの時代における「社長の目指し方」(!?)について指南してくださっています。
アマゾンの内容紹介から。
デジタルネイティブに会社を任せろ!大企業でも既に始まっている30歳からの社長選抜。15年間、毎年200人以上の経営者のリーダーシップ開発をハンズオンで支援してきた著者が明かす、破壊的イノベーションを担う社長輩出の全ノウハウ。
中古が1200円以上しますから、セール期間内であれば、このKindle版が700円以上お得となります!
CEO / plassen
【ポイント】
■1.社長選抜は「45歳ではもう遅い」私がサクセッション・プランニングのお手伝いをすることになった、6000人規模のある大手企業でも、次の社長候補の母集団づくりが進んでいます。
驚かれるかもしれませんが、選抜されているメンバーの最年少は28歳。最高齢は45歳です。実のところ、「45歳ではもう遅い」、という声もあります。10年かけて育成していくとなると、50代も半ばをすぎてしまうからです。サクセッション・プランニングの先進企業では、こんな感覚が、すでに当たり前になってきているのです。(中略)
冨山和彦氏が産業再生機構のCOO(最高執行責任者)になられたのが、43歳と聞くと、その実績と影響力を考えれば、経営トップと年齢の相関性が低下していること、反対に「経営トップ場数」の質と経験年数の相関性が高いことを、ご理解いただけるのではないかと思います。そして前述の通り、大企業にもこの波は確実に来ると予測されます。
■2.新時代リーダーの10要件
1.課題設定力、線形性、仮説構築力、大局観
2.変化抽出力、変化適応力、カオス耐性、胆力
3.素直さ、伸びしろ、学習能力
4.自己効力感
5.比較優位となる強み(タグ)の自己認識と、機会開発力
6.多様性受容力
7.越境力、領域をつなぐ力、違う領域の人脈
8.共感力、熱量、物語力、チャーミングさ
9.機会提供力、コーチング力、環境整備力
10.意思決定力、実行力、仮説検証スピード
(詳細は本書を)
■3.打席に立つ意識を持つ
大事なことは、打席に立つ意識を持つことです。能力開発ではなく、機会開発のための能動的な努力をすることです。自ら手を挙げ、実務ができる現場にできるだけたくさん放り込まれることです。そこでの学びを大切にすることです。
先にも書いたように、大企業でも30歳でサクセッション・プランニングに乗る人は乗っています。勝負は入社から10年。もし経営トップを目指すのであれば、会社が機会を与えてくれない、などと嘆いている場合ではありません。「役職やポジションがないから」などと言い訳し「批評家」になっている間に、もしかしたら同じ会社の同期に経営トップになるための準備期間の「経営の実践」に入っている人たちがいるかもしれない、という事実を知ってほしいのです。
■4.配属はむしろ傍流の方がいい
場は人を育てます。たくさんの場を経験した人のほうが、場を経験していない人よりも、うまくいく可能性が高いことは間違いありません。しかも今、求められているのは、「変化を抽出する力」です。本流よりもむしろ傍流のほうが、所帯が小さい分、変化の波がやってくる機会も多いようです。また、関連会社のほうが経営で見なければならない要素が単純なケースが多く、変化を抽出しやすいので、力を磨けるのではないでしょうか。
傍流への配属は、むしろ喜ばないといけません。そして会社は、有能な人材を傍流の分野にこそ、どんどん放り込むべきなのです。
■5.自分のタグをはっきりさせ、流通させる
実際、タグをつけることは、機会開発につながっていきます。例えば、社内で何かのプロジェクトがスタートすることになったとき、どんな人が抜擢されることになるか。それは、そのプロジェクトにおいて、強みを発揮してくれそうだ、と思える人でしょう。すなわち、強みがはっきりしている人なのです。
抜擢される人というのは、ただ漠然と抜擢されているわけではありません。それなりの期待値があってこそ、です。その期待値こそ、タグに基づいた期待値なのです。
だからこそ、自分のタグをはっきりさせ、それをしっかりと流通させていくことの意義があります。逆にせっかく力があるのに、タグがはっきりしていないために、想起されない、声をかけられない、などということが起こり得ます。力が足りないのではなく、強みがはっきりしなければ、抜擢の声はかからないという事実を知っておかなければいけません。
【感想】
◆帯に結構大きく「デジタルネイティブに会社を任せろ!」とあるのに、上記では一切触れておらず恐縮です。もちろん、「40歳社長」が出てくる要因として、この「デジタル・ネイティブ」世代のITリテラシーの高さがあるのは事実ですし、その辺りについては本書の第3章「『40歳社長』のつくり方」に詳しいところ。
確かに、「サクセッション・プランニング」(「次の社長づくり計画」)は、上記ポイントの1番目にもあるように、それ相応の期間を要しますから、現時点で40代だと確かに遅い感じです。
さらに、現在デジタル革命進行中であることを考えると、「デジタル・ネイティブ」世代を早くから経営陣に取り組むべき、という岡島さんの主張には、多くの方が同意できるでしょう。
ゆえに、現時点で20代、30代の方は、もう自分が社長になる意識を持つ必要があるワケです。
◆そのための必要要件は、上記ポイントの2番目にあるとおり。
ここでは要件のみ列挙しましたが、本書では個々について、かなり詳しく解説されていますから、社長を目指す方はぜひお読みください。
なお、5番目にある「比較優位となる強み(タグ)」に関しては、上記ポイントの5番目で、別途掘り下げております。
実はこの件に関しては、9年前(!?)に出た岡島さんのデビュー作に詳しいのですが。
抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー
参考記事:【個人ブランディング】「抜擢される人の人脈力」岡島悦子(2008年12月18日)
この本でも触れられているように、たとえトップを目指さない方であっても、自らのキャリアを考えるのであれば、自分自身に「タグ」を付けることは非常に大切だと思います。
◆加えて大事なのが、上記ポイントの3番目にあるように、「打席に立つ意識を持つ」こと。
知識は本でも学べますが、実践は現場でないと学べません。
特にトップを目指す方ならば、とにかく若いうちから、子会社でも関連会社でもいいので、経営に近い位置にいるべきでしょう。
そういう意味で、上記ポイントの4番目の「傍流」は望むところ。
修羅場であればあるほど、成長できる機会があるワケですから。
もっともここで「出世街道から外れた」とふてくされてしまっては、元も子もありませんが……。
◆ちなみに今回のエントリーは、「社長を目指す人」を意識して書きましたし、上記ポイントはすべて本書からの引用になりますが、実は本書のある程度の部分は、むしろ「現経営層」に向けて書かれています。
たとえば第1章は「『40歳社長』が必要な理由」ということで、「世間はこう変わっていますよ」「こういう取り組みをしている会社がありますよ」(だから変わりましょうね)というお話を展開。
同様に第2章も「リーダーシップの"型"が変わる」と題して、保守的な社風の変え方等を論じています。
この辺は、知識としては有用なのですが、正直な話、若手ビジネスパーソンが読んでも、どうしょうもできないんですよね(年金等の「社会問題」とかもそうですが)。
そういう辺りを割り切って読むのなら、当ブログ的には「大アリ」の作品だと思います。
これからのトップを目指す方なら要チェック!
40歳が社長になる日 (NewsPicks Book)
【はじめに 】2025年、日本の大企業にも「40歳社長」が多く誕生する
第1章 「40歳社長」が必要な理由
第2章 リーダーシップの"型"が変わる
第3章 「40歳社長」のつくり方
第4章 ダイバーシティ推進論の誤解
第5章 「40歳社長」になる方法
【おわりに 】「未来をつくる人」への応援書
【関連記事】
【個人ブランディング】「抜擢される人の人脈力」岡島悦子(2008年12月18日)【キャリアデザイン】『ハーバードの自分を知る技術 悩めるエリートたちの人生戦略マップ』ロバート・スティーヴン・ カプラン(2017年04月10日)
【キャリアデザイン】『10年後、後悔しないための自分の道の選び方』ボブ・トビン(2016年12月09日)
【キャリアデザイン】『出世する人は人事評価を気にしない』平康慶浩(2014年10月13日)
【キャリア】『戦略コンサルタント、外資系エグゼクティブ、起業家が実践した ビジネスエリートへのキャリア戦略』渡辺秀和(2014年09月14日)
【編集後記】
◆この「幻冬舎 電本フェス」で、本書以外の人気作品は、初日集計分ではこんなところでした(順不同)。スタンフォードでいちばん人気の授業 (幻冬舎単行本)
新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ (幻冬舎文庫)
参考記事:【名著再び】『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ』橘玲(2014年09月29日)
多動力 (NewsPicks Book)
参考記事:【堀江節炸裂!?】『多動力』堀江貴文(2017年07月12日)
一応ご参考まで。
【編集後記2】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。ぼくは愛を証明しようと思う。 (幻冬舎単行本)
この本も幻冬舎で、上記の「幻冬舎 電本フェス」対象作品ではなかったのですが、たまたま(?)「50%ポイント還元」だったので、告知記事では掲載しておりました。
今日の時点では「50%ポイント還元」外れていますから、やはり明日以降は通常価格に戻ってしまう可能性が高いので、お求めになるなら「60%OFF」である今日がオススメかと。
参考記事:【モテ】『ぼくは愛を証明しようと思う。』藤沢数希(2015年06月28日)
ご声援ありがとうございました!
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