2017年09月10日
【仕事術】『仕事の結果は「はじめる前」に決まっている マッキンゼーで学んだ段取りの技法』大嶋祥誉
仕事の結果は「はじめる前」に決まっている マッキンゼーで学んだ段取りの技法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の「仕事テクニック満載フェア」でも人気だった仕事術本。出版当時に土井英司さんのメルマガでも取り上げられていましたから、気になっていた方も結構多かったと思います。
アマゾンの内容紹介から。
マッキンゼーのエリートの仕事には、なぜムダがないのか? その答えは、じつは「段取り」にあった! 外資系ビジネスエリートが実践する最小の力で最大の成果が得られるミニマム思考と3つのスキルを解説!
現時点で中古が1000円近くしますから、セール期間内であれば、送料を考えるとKindle版が500円以上お買い得となります!
gantt-chart / jean-louis zimmermann
【ポイント】
■1.バリューを意識すれば結果も変わるバリューが明確になっていない仕事は、ムダが多く迷走することになります。当然、結果も出ません。
たとえば、城の建造に必要な石材を切り出す仕事に従事しているとします。このとき、「白で統一された世界一の美しさで感動を与えること」がバリューになる城をつくることを最初から意識できていれば、白くて見栄えのする石を選んで切り出すに違いありません。しかし、事前に仕事のバリューを意識することなく作業をはじめてしまえば、石の色にこだわらず、手当たり次第に石を切り出してしまうでしょう。
バリューが明確になっている仕事は、やるべきことの道筋がはっきりと見えているので、仕事をはじめる前にレベルの高い結果を得られることが予想できます。もっといえば、仕事の準備の段階で結果は出ていると言っても過言ではありません。
■2.スタート時から仮説を意識して仕事をする
問題解決や買い物のプロセスにかぎらず、普段の仕事でもスタート時から仮説を意識して仕事をすると、すでに「当たり」がついているので、限られた時間の中ですべきことが明確になります。
たとえば、営業の仕事でも「お客様が求めているのは、○○ではないか」と仮説をもっていれば、アプローチの仕方やすすめるべき商品も変わってくるでしょう。やるべきことが絞られるといってもいいでしょう。
もちろん、検証の結果、その仮説が間違っていれば軌道修正する必要はありますが、確実に成果に向けて仕事を進めることが可能です。
一方で、仮説を意識していないと、どこから手をつけていいかわかりません。何をすべきかが明確にならないので、暗闇の中で探し物をする状態になります。成果にたどり着くまでに大きなロスとなるばかりでなく、成果を得る前に時間切れになってしまう可能性さえあります。
■3.全体を俯瞰する設計図を描く
段取り上手になるためには、全体を俯瞰する設計図を描くことが重要です。
これは、どんな目的をもって仕事をするかという「仮説」、どんなアウトプットを出すかという「最終成果物」、そして、それらを実現するために必要なすべての作業を網羅したものです。そうした大きな青写真を描くことによって、自分の現在位置を常に把握し、仕事の段取りをうまく組むことができるのです。(中略)
設計図を描くうえで重要なのは、次の4つです。(1)やるべき作業がモレなく網羅されていることこれらの条件がそろうことによって初めて、仕事の全体像をつかみ、最終成果物から逆算することができるのです。
(2)作業の期限が決められていること
(3)これらがひと目でわかるように視覚化されていること
(4)最終成果物が明示されていること
■4.仕事を「定量」と「定性」に分ける
定量的な仕事は、やるべきことが決まっています。何度も繰り返している作業なので最終成果物も決まっています。求められる仕事の「質」も一定です。このような仕事は、「質」を上げる余地があまりないので、「スピード」にフォーカスすることが重要です。
一方、定性的な仕事は、作業のプロセスや成果物に正解があるわけではありません。「スピード」はもちろんのこと、考えることの「質」は、段取りの良し悪しによって個人差が生まれます。定性的な仕事ほどミニマム思考による段取りが有効になります。
全体設計図を描くときには、まずは自分がこれから取り組もうとする仕事が定量的なのか、定性的なのかを判断し、そしてどの仕事に一番時間がかかるのかを見極めてから取りかかることが大切です。
つまり、仕事の種類を明確にしてから、時間配分を決めるのです。まず、絶対的に時間のかかる定量的な仕事の時間を確保する。そして、次に時間がかかりそうな仕事の時間を見積もり、その時間を確保します。それぞれの仕事を分解して、それぞれの時間を見積もるのです。
■5.アウトプットは「3乗の法則」でまとめる
数字の「3」を意識して資料を作成します。たとえば「3つのポイントがあります」と言うときにも、1つのポイントにつき1枚の資料にまとめて計3枚の資料で表現します。
もちろん、3枚ですべての内容を表現できるわけではないので、それができないときは1つのポイントにつき、その要点や根拠、データなどを示すことになりますが、これらの1つのポイントについても、3つの資料に細分化していきます。さらに、この細分化した資料についても、その要点や根拠、データなどを示します。
つまり、3つのポイントを示すときには、それぞれのポイントにつき3枚、計9枚の資料をつくることになるのです。これを私は「3乗の法則」と呼んでいます。3枚、9枚、27枚、81枚……というように3を3乗した数字で資料を作成するのです。こうしたアウトプットのイメージをもって資料をまとめることを習慣にすると仕事の質とスピードが上がります。
【感想】
◆タイトル並びにサブタイトルからイメージした内容と、いい意味で食い違っていました。というか、「段取りの技法」という部分からして、てっきり「根回しのテクニック」みたいなものだと勝手に想像していたのですが、あにはからんや。
もっと広い目で仕事全体を見た上での、手順全般について触れられていたという。
もちろん、上記ポイントの1番目にあるように、まず「作業をはじめる前」に「バリューを意識する」のですから、サブタイトルは間違ってはいません。
同様に、ポイントの2番目で言うように「仮説」を立ててから仕事をしますし、そもそもポイントの3番目のとおり、まず「設計図」を描くのが最初です。
……そう考えると「はじまる前」にフォーカスするのも確かに大事ですし、本書のタイトルは、やはりコレでいいような気がしてきましたw(←いいがかり乙!)
◆ところで上記にある「バリュー」(価値)というフレーズは、さも当たり前のように使っておりますが、本書における定義は次のようなものです。
バリューというのは、文字通り「価値」という意味ですが、もっと平易な言葉でいえば、自分もしくは相手にとっての「メリット」です。この仕事をすることによって、自分自身やお客様、仕事相手にメリットがある。それこそバリューのある仕事です。本書では具体例として、スターバックスとコメダ珈琲店の「バリュー」を、どちらも「コーヒーという商品そのものではなく、コーヒーと一緒に体験する空間」であると指摘。
それぞれがまったく違うので、具体的には本書をお読みいただきたいのですが、要は、こういったフレーズが出てきても、キチンとその定義を述べた上で、具体例で補足しています。
なお、「バリュー」はニュアンス的に分かるので、上記ポイントでは説明もなしに引用しましたが、そうはできなかったのが「イシュー」。
端的に言うと「顧客の問題解決のキーとなる真の問題」ということなんですが、さすがに何の説明もなくポンと抜き出すのは躊躇しました。
そういえば、同じマッキンゼー出身である安宅さんの、こんな本がありましたっけ。
イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」
参考記事:【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)
本書では、やはり具体例を挙げて説明はしてくれているものの、より掘り下げたい方は、この本もお読みいただければ、と。
◆そのマッキンゼーらしさというか、コンサル全般の仕事のやり方として特徴的なのが、上記ポイントの2番目にある「仮説を立てる」こと。
ただ、ここで気を付けなくてはならないことの1つが、「ゼロ発想」で仮説を立てることでしょう。
たとえば「これが正解に違いない」という思い込みをもっていると、他の重要なメッセージを見過ごしてしまう可能性があり、非常に危険です。
また、その仮説も「問い」の形にすることで、人は自然と考え、答えを出したくなるという。
たとえば、「インド市場に参入すべき」という仮説を立てると、「すべき」ということに固執し、これに有利な情報ばかりを探してしまいます。しかし、「インド市場に参入すべきか?」と質問の形にすると、自然と仮説について検証するようになります。ちょっとしたことですけど、意識したいものです。
◆一方、本書の第4章では「アウトプット」について言及。
よく「コンサルタントは3でまとめる」という話は聞きますが、上記ポイントの5番目の「3乗の法則」というのは、初めて知りました。
同じく、何か主張したいことがあったら「主張+3つの根拠」でまとめるべし!(詳細は本書を)
また「段取り」面からアウトプットを考えるなら、「どのレベルの報告書や提案書をいつまでに必要としているか、そしてどんな背景から仕事を頼んでいるのか、上司にヒアリングしてから取りかかる」のがオススメ。
ほかにも「100%ではなく80%を目指す」というTIPSがありましたが、これはいわゆる「クイック・アンド・ダーティー」ですね。
……といった感じで、コンサルタント的仕事術を広範囲で学べる本書。
お求めになるならセール期間内がオススメです!
仕事の結果は「はじめる前」に決まっている マッキンゼーで学んだ段取りの技法
第1章 ミニマム思考――最小の力で最大の成果を得る
第2章 あらゆる仕事に「仮説」をもつ
第3章 「全体設計」が最短のルートを示す
第4章 「アウトプット」がバリューを左右する
第5章 結果が変わる!「五感」を研ぎ澄ます習慣
【関連記事】
【仕事術】『マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣』大嶋祥誉(2014年07月26日)【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)
【マッキンゼー流思考術?】『思考を広げる まとめる 深める技術』太田薫正(2014年05月29日)
【大前流】『稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方』大前研一(2013年09月08日)
【オススメ!】『僕は君たちに武器を配りたい』瀧本哲史(2011年09月23日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。シンギュラリティ・ビジネス AI時代に勝ち残る企業と人の条件 (幻冬舎新書)
まだまだ中古が値崩れしていない作品が、「53%OFF」の399円でのご提供。
結果、送料加味した中古より400円弱お買い得となっています!
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
当ブログの一番人気!
10月17日まで
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです