2017年08月31日
【文章術】『10倍速く書ける 超スピード文章術』上阪 徹

10倍速く書ける 超スピード文章術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった文章術本。著者はブックライターとして、ビジネス書好きならおなじみの上阪 徹さんです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「文章が苦手。書いている時間がツラい……」
「最初の1行を書き出すまでに、ものすごく時間がかかる……」
「文章がうまく伝わらない。しゃべって伝えることはできるのに……」
「書き直しを何度も命じられて、いつまで経っても書き終わらない……」
「数千字のレポートの文字が埋まらなくて苦痛だ……」
本書は、文章を書く人のそうした悩みを、すべて解決する本です。
書く上で生じる「ムダ」を徹底的に削ぎ落とし、とにかく「速く書き終える」ためのスキルと考え方をお伝えします。
版元がダイヤモンド社さんで、あまりセールもやらなさげなので、私はKindle版をゲットしました!

pencil and eraser on paper / shawncampbell
【ポイント】
■1.大切なのは「表現」ではなく「中身」あのとき、私や会場の人たちは、決して「話し方」がうまくて感動したのではありません。他の誰にも話せない、その話の「内容」に感動したのです。
どこかで聞いたことがあるような、「冠婚葬祭のスピーチの仕方」などの本に書いてあるような内容だったら、私は感動しなかったでしょう。
文章も同じです。
「どう書くか」より「何を書くか」が、はるかに重要です。
大切なのは、文章の「表現」ではなく、文章の「中身」だということです。
文章の中身とは、つまり「素材」です。
では、文章の素材とは、どんなものか。
素材とは3つ。(1)「独自の事実」、(2)「エピソード」、(3)「数字」です。
つまり、読み手に「これを伝えたい」と思う内容そのものを指すのです。
■2.依頼された文章は「真の目的」を必ず確認する
出張レポートも、議事録も同じです。
上司に依頼されたら、真の目的までしっかりと上司に聞いておく。
特に、ビジネス上で書く文章は、誰かに依頼されたり、必要に迫られて書くケースが多いものです。
書く前に、素材を集める前に「真の目的」を確認することを習慣化しましょう。
真の目的が見えていれば、自然と、その目的に合致した素材をキャッチする「アンテナ」が立つようになります。
書き始めてから素材を集め直したり、「こんな素材でいいんだっけ?」と迷うことがなくなるため、素早く素材を集められるようになるのです。
■3.素材は「多く集めて、あとで削る」
前述のように、素材が何もない状態でゼロから文章を作ろうとすること。さらには、書き始めてから素材が足りないことに気づいて、あとからもう一度素材集めに走ることが、時間的にも精神的にも、もっとも大きな負荷がかかります。(中略)
早めに素材集めに取りかかり、素材がたくさんそろっていれば、文章執筆はまったく怖いものではなくなります。
書く内容が、すでに目の前にあるので、腰が上がらない、書きたくないなぁ、ということもなくなる。
むしろ、早く書きたくなってうずうずすることもあります。
素材は、あればあるだけ、心理的な負担が軽くなります。
もし素材が多すぎても、あとで削ればいいだけです。
素材は「早めに、たくさん集めて、あとで削る」というのが、最もロスがないプロセスなのです。
■4.最後まで一気に書ききる
最初から完璧な文章を書こうとすると、「この表現はもっと適切なものがありそう」「この素材はやっぱりこっちに置いたほうがよさそうだ」などと、書きながら何度も止まることになります。
この「迷い」が、書くスピードをガクンと落とすのです。
もちろん、最終的には完璧な原稿に仕上げるわけですが、最初からそれを目指さない。
推敲して整えることを前提に、まずは書ききる。
私は、これを「粗々で書く」と表現しています。(中略)
書いている最中に、素材について調べたい数字が出てきてしまった、正確な名前を調べないといけなくなってしまった。
そんなときにも、私は一切、筆を止めません。
「●」や「★」などのマークを原稿の中に入れて、あとから調べることにして飛ばす。
とにかく最後まで書き進める。
■5.最初の推敲は「大きな論理」と「適切な素材配置」をチェック
最初の推敲は、次のチェックポイントで、該当箇所をチェックします。・論理が破綻しているところはないか?最初は、実際に修正は加えないのがポイントです。
・説得力に欠けるところがないか?
・文脈に沿った適切な素材を選んでいるか?
・詰まることなく、一気通貫で読めるか?
・内容に重複している箇所はないか?
まずは、問題点をすべてピックアップするだけです。
この段階の文章は「粗々」で書いたものですから、「てにをは」や文章のリズムなど、細かい違和感やミスはあって当然だと考えてください。どうしても、そうした点が気になって修正したくなりますが、細かい点に目を奪われると、全体の流れを見失ってしまいます。
心がけたいのは、この「初見」の見直しが一番読者に近い視点であり、何度も見直せば見直すほど、全体の印象をとらえる視点が徐々に失われていくということです。
だからこそ、まずは全体としてまとまっているか、一気通貫で読めるものになっているかを最優先して確認しましょう。
【感想】
◆本書を通じて、上阪さんが強調されているのが「素材」の大切さ。本書のタイトルを「素材文章術」としてもいいくらい、素材をベースとして文章を書かれていることがよくわかります。
そして、その素材の中身とは、上記ポイントの1番目で挙げられている
(1)「独自の事実」の3つ。
(2)「エピソード」
(3)「数字」
本書では具体的に、上阪さんが書かれた著書の一部を紹介しているのですが、その400字ほどの文章を書くのに要した時間は、10分ほどだったのだそう。
ただし、それを可能にしたのは、事前に用意した7つほどの「素材」でした。
◆ただし注意しなくてはならないのが、上記ポイントの2番目に挙げた「他人から依頼された場合」。
後から「真の目的」を知った場合、文章以前の素材集めからして、見当違いになる可能性があります。
たとえば本書で挙げられていたケースが、社内報を依頼され、表面上の目的が「自己紹介」で、真の目的が「職場では見せないパーソナルな姿を社員に紹介する」であった場合というもの。
本来、素材になるのは「会社の人が知らないマイブームの趣味」とか、「密かに開拓した会社周辺のおいしいランチの店」であるところ、「自己紹介」という表面上の目的でとりかかると、「過去の仕事の実績」や「どんな思いで仕事に取り組んでいるか」等々を集めてしまいます。
……これは結構ありがちな気が。
◆そういう可能性も考えると、上記ポイントの3番目にあるように、「素材は多く集めて、あとで削る」というのが正しいやり方でしょう。
今回は割愛しましたが、本書では素材集めの方法についても指南。
たとえば、体験レポートを書くなら、説明を受けたことだけでなく、「自分の目で見たものをメモする」ことによって、臨場感が高まります。
また、上阪さんは、素材をメモするのに、スマホでメールの下書きを利用しているのだそう。
さらに、自分の中から素材を生み出す裏ワザとして、「誰かに自分をインタビューしてもらう」というものもありました。
これは私自身、書評ブログがブームだった頃、何度か取材を受けたことがあるので納得です。
◆こうして集めた素材から、文章を書きあげる際のキモが、上記ポイントの4番目。
まさかマークで置き換えてまで、ノンストップで書くのだとは思いませんでした。
とにかく誤字も表現も気にしないで書くのだそうで、いちいち読み返しながらこのブログを書いている私としては、耳イタイことこの上ありません。
もっとも、そうして一気に書いた後で、上記ポイントの5番目にある「推敲テクニック」が炸裂!
さらに、この「最初の推敲」の後にも、細かい推敲や修正作業のTIPSも収録されていますから、詳細は本書にてご確認ください。
クオリティの高い文章を、素早く書くために!

10倍速く書ける 超スピード文章術
序章 なぜ文章を書くのに 時間がかかってしまうのか?
第1章 10倍速く書ける「素材文章術」
第2章 正しい素材を集める2つのルール
第3章 素材をひたすら集める
第4章 素材を読みやすい順番に組み立てる
第5章 一気に書き上げる
第6章 読みやすく整える
実践編 ケース別・速筆術
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【編集後記】
◆昨日、前日ランキングを連発しといてアレですが、こんなセールも本日限りだそう。Amazon.co.jp: 【最大65%OFF】秋のガンダムコミックフェア (8/31まで): Kindleストア
ファンの方は、ぜひご確認を!

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