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2017年08月27日

【リーダーシップ】『組織を動かす無敵のチカラ〜ミッションリーダーシップ〜』岩本 仁


組織を動かす無敵のチカラ〜ミッションリーダーシップ〜
組織を動かす無敵のチカラ〜ミッションリーダーシップ〜


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「小学館キャンペーン」の対象である、当ブログでも人気の1冊。

全日本空輸や昭和シェル石油、アクセンチュアといった企業でも導入されている「ミッションリーダーシップ」のメソッドを、分かりやすく指南してくれています。

アマゾンの内容紹介から。
世界一過酷な戦場で生まれたから劇的に変わる!!最強の英国特殊部隊式ビジネスマネジメント術。

なお、セール期間内であれば、送料を加味した中古よりもKindle版が800円弱お買い得となります!





Leadership As A Service / Luigi Mengato


【ポイント】

■1.ミッションリーダーシップのシンプルな構造
 ミッションリーダーシップは3つの要素から成り立っています。
ビジョンとミッション 夢のあるビジョンを掲げ、ビジョンを実現するステップとしてのミッションを明確にする。
リーダーシップ 組織メンバーの信頼を獲得し、組織の潜在能力を最大化するリーダーとしての言動。
習慣化 日常的・長期的に実践を繰り返すことにより習慣化する。
 この3つの要素はお互いに支え合っています。この3つを機能させることで、今ある組織は「最強の組織」へと生まれ変わります。

(詳細は本書を)


■2.「チーム」という概念を考察する
 欧米の人がイメージするチームは、積極的に勝ちに行く集団です。スポーツのチームに近いものです。また、欧米では最高意思決定機関を「エグゼクティブチーム」あるいは「リーダーシップチーム」と呼びます。組織を成功させる使命があり、目標を達成するためにチームを形成しているのです。
 これに対して日本ではチームというと「仲よし」「一緒に行動するグループ」というイメージが先行します。「結果よりも人間関係が大切」「人数分の力が発揮されれば十分」という発想が根底にあるからです。
 一方、私たちは、チームとは「1+1>2」の力を生み出すものだと考えています。
 1+1=2という、人数分の力を発揮するだけではチームの意味がありません。人数以上の力を生み出し、個々人では不可能なことを可能にするのがチームなのです。


■3.状況や手段から考えるよりも目標から考える
 まず、ペンと定規を用意してください。
問:1つの三角形を3つの三角形に分解し、それらを組み合わせて正方形を作りなさい
 どのように答えを出しましたか?
 回答にたどりつくためには、2つの考え方があります。
 1つは、状況と手段から問題を解く方法です。つまり、三角形を描いて、それをどのように3つに分解すれば、正方形ができるか考える方法です。
 現状の問題点をどう解決すれば、目的を達成できるのか? という思考パターンです。
 もう1つは、目的から考える方法です。つまり、最終的な目的である四角形を描いてから、分割していく方法です。
 状況や手段から考えるよりも目標から考えるほうが、解決方法に早く到達できます。


■4.簡潔で明瞭なミッションの作り方
 ビジョンの次に来るものはミッションです。ミッションはビジョンの実現に向けてのステップです。企業であれば、各部署や各個人に達成すべきミッションがあり、それをひとつひとつ確実に遂行することが、ビジョンの実現に直結していきます。ミッションに求められる条件は以下のとおりです。
・ビジョンを実現するためのステップであること
・簡潔、明確であること
・期日が明記されていること
・「何(what)」と「なぜ(why)」関係が明確にされていること
 ミッションは具体的な戦略目標です。ビジョンには「夢」が必要ですが、ミッションには「リアル」が求められます。正しくミッションが設定されれば、担当者はすぐに行動を始めることができるはずです。


■5.普遍のモデル ASPIRE
 ミッション達成に不可欠なリーダーとしての言動はA・S・P・I・R・Eの6つの要素で構成されています。
A Aim(目的):目的を明確にし、全員で共有すること
S Situation(状況):状況を明確にし、全員で共有すること
P Plan(計画):計画を明確にし、全員で共有すること
I Inspire(示唆):示唆や率先を通して、メンバーを鼓舞すること
R Reinforce(強化):状況変化に対応して、メンバーの達成意欲を強化すること
E Evaluate(評価):客観的な評価に基づき、メンバーの成果を認め、賞賛すること
「たった6個だけ?」と思うかもしれませんが、普遍の真理とはシンプルなものです。しかし当たり前に感じるものをしつこく、日々確実に実践できるかどうかが、優れたリーダーと凡庸なリーダーの大きな分かれ目になります。

(詳細は本書を)


【感想】

◆内容紹介に「世界一過酷な戦場」ですとか「最強の英国特殊部隊式」とかあるので、どんだけスパルタ式なのかと思いきや、むしろ「真逆」なリーダーシップ論でした。

そもそも冒頭の「まえがき」にはこんな一文が。
21世紀の今日、世界で最も進んだリーダーシップメソッドを開発したのは英国軍です。彼らが中心となって完成させた「ミッションコマンド」は現在西側先進国、NATOの公式理論として採用されています。
 ミッションコマンドはそれまでの上位下達・命令絶対服従の軍隊理念とは180度異なる哲学をもっています。ベトナム戦争以降、予測不能なテロリストと戦うためには兵士の自律性を引き出して権限移譲を進めていくことが不可欠になったからです。
そしてこの「ミッションコマンド」をビジネスに応用したのが、本書のテーマでもある「ミッションリーダーシップ」に他なりません。


◆なお、私も全然知らなかったのですが、このベトナム戦争では「戦死した米軍将校の約2割が味方に撃たれて死んだ」のだとか。

それも、誤射とか戦争によるストレスが原因ではなく、兵士たちは「自分たちが生き残るために、上官である将校を撃ち殺した」のであり、「この人の下にいては、小隊が全滅してしまう」という判断がなされていたという。

というのも、ベトナム戦争においては「ゲリラ戦」が中心で、目の前の農民がいきなり銃を発砲したり、子どもが手榴弾を隠し持っていたりしました。

結果、それまでの戦争のように、上層部の指示にただ従っているだけでは、戦地における「刻々と変わる状況」に対応しきれません。

そこで軍の上層部は、本部の指示に従う代わりに、「現場への権限委譲」を選択。

つまり、上から与えられた「命令」が、達成すべき「使命=ミッション」として共有されることによって、「ミッションに基づいたリーダーシップ」が生まれたワケです。


◆そして、そのミッションリーダーシップの構造は、上記ポイントの1番目にあるとおり。

このうち、より実務的な「ミッション」については、上記ポイントの4番目で触れています。

また本書によると、「組織の潜在能力を最大化」するためには、まずはリーダーとしての覚悟が必要とのこと。

そのためには、常に「高い目標を設定している」ことが求められます。

さらには「チーム全員の力を引き出す」ことも必要でしょう。

ただし、単に「人数分の力を発揮するだけ」ではいけないことは、上記ポイントの2番目にあるとおりです。


◆ちなみに、上記ポイントの3番目の「問い」は、できましたでしょうか?

お恥ずかしながら、私は深く考えずにそのままページを進めて、答えが目に入ってしまったのですが、結構「目からウロコ」でした。

よく「ゴールから逆算する」などといいますが、まさにそのもの。

……私同様、考える前に答えを見てしまわないように、上記ポイントでは回答の図を載せていませんが、答えはこうなります

答えだけ見て、「なーんだ」とか言わないようにw


◆なお、アマゾンの詳細な内容紹介では「N・マンデラ、S・ジョブス、E・ジョーンズほか、歴代の名リーダーたちの実際の言動も、MLの理論で見事に分析」とあるのは、てっきり各章ごと、テーマごとに、こうしたリーダーたちの言動が紹介されるのかと思っていましたが、あにはからんや。

実際には下記目次にあるように、第5章を丸々使って、「リーダーごと」に解説がなされているのでした。

ただし、その仕様は上記の3人(プラス豊臣秀吉)のリーダーとなってからの足取りを、それぞれ文章で追った後、最後の1ページでシート形式でまとめるというもの。

確かに、そのシートの「ビジョン」「ミッション」「タスク」「評価項目」「自由」「制約」といった項目や、そのまとめ方は、確かに本書に沿ったものですが、彼らについてある程度詳しく知っている方にとっては、文章部分は正直不要なのではないか、と……。

もっとも、たまたま私は下記関連記事にもあるように、N・マンデラ、S・ジョブス、E・ジョーンズの3人の本を読んでいたからそう思うのかもしれませんし、知らない方にとっては、いきなりシートだけ出されても困りますか。


かなり真っ当なリーダーシップの作品です!

組織を動かす無敵のチカラ〜ミッションリーダーシップ〜
組織を動かす無敵のチカラ〜ミッションリーダーシップ〜
序章 世界一の会社は、いかにして作られたか
第1章 ミッションリーダーシップ概論
第2章 チームを勝利に導くためのプロセス
第3章 チームを勝利に導くための言動
第4章 チームを勝利に導くための習慣・実践編
第5章 歴代のリーダーたちのミッション分析
付録 ミッションリーダーシップワークノート


【関連記事】

【リーダーシップ?】『「自分の殻」を打ち破る ハーバードのリーダーシップ講義』ロバート・スティーヴン・ カプラン(2017年07月31日)

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【メモ】「インビクタス〜負けざる者たち」を読みました!(2010年03月01日)

【100%の努力】『ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング』エディー・ジョーンズ(2017年06月30日)

【神話完結】『スティーブ・ジョブズ II』ウォルター・アイザックソン(2011年11月03日)


【編集後記】

◆今日ご紹介した作品以外で、この「小学館セール」における人気本は以下のとおりでした(順不同)。

純ジャパニーズの迷わない英語勉強法
純ジャパニーズの迷わない英語勉強法

もっとやりたい仕事がある!
もっとやりたい仕事がある!

本物の思考力(小学館新書)
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いずれにせよ今月末までですから、お求めはお早めに!


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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