2017年08月21日
【デザイン思考?】『超図解「デザイン思考」でゼロから1をつくり出す』中野明
超図解「デザイン思考」でゼロから1をつくり出す
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「学研セレクト 人気のベストセラータイトル200」の対象作品の中でも当ブログ向きな1冊。著者の中野明さんは、難しいテーマを分かりやすく解説される手腕には定評があるだけに、本書もとっつきやすい内容となっています。
アマゾンの内容紹介から。
「今までにない事業を創出せよ」 いま、多くの会社でこのミッションが下り、社員は皆頭を抱えている。現行業務の延長上にない「新たな事業」はどうやって創出すればよいのか?そこで注目されているのが「デザイン思考」。ゼロから1を生み出すコツを大公開!
なぜか中古に4000円弱のプレミアが付いているため、送料も加味するとKindle版が実質3600円弱(!?)もお買い得となります!
Design Thinking Workshop / Bytemarks
【ポイント】
■1.デザイン思考とは?では、デザイン思考とは結局のところ何なのか――。
イノベーションを生み出すために、卓越したデザイナーの思考法を活用すること。
これがデザイン思考の基本的な意味にほかなりません。デザイン思考が対象にするものは、「顧客のニーズを満たすあらゆるもの」すなわちプロダクトです。ですからデザイン思考とは、革新的なプロダクトを生み出すために、卓越したデザイナーの思考法を活用すること、とも言い換えられるわけです。
そしていまやデザイン思考は、製品開発はもとより、サービスや組織開発、さらには世界各地で貧困に喘ぐ人々の生活を向上させる活動にも適用されています。
■2.デザイン思考の手順を理解する
(1)現状を深く「観察」して共感する
(2)集束思考で「正しい問題」を見つけ出す
(3)発散思考で「解決策」を大量に創造する
(4)失敗を前提に「アウトプット」を繰り返す
(詳細は本書を)
■3.共通するパターンの裏を考える
KJ法にせよ、KJ法的手法にせよ、そのポイントは「内容が類似した情報をグループ化する」という点にあります。
内容が類似するということは、何かしらそこに共通のパターンがあることを意味します。すると「なぜ共通パターンがあるのか」という疑問が浮かびます。実はこの疑問が重要です。この疑問に答えることで仮説や洞察が生まれるからです。
あるソフトドリンクの開発者は、朝のラッシュ時間に駅のプラットフォームで、会社に向かう人々を注意深く観察していました。
するとその開発者は、人々が持つある共通のパターンに気がつきました。それは電車に乗るために列に並ぶ人が、ドリンクの自販機に目をやり、その後腕時計を見て、電車が来ないか確認する行動を取ることでした。
開発者はこの共通パターンから「ソフトドリンクは買いたいが、電車には乗り遅れたくない」という隠れたニーズがあるとの仮説(洞察)を得ました。この仮説をもとに、時計付きの自販機を開発してラッシュ時のドリンクの売上向上に成功しました。
■4.現場を見るとアイデアの量が劇的に増える
あるときIDEOでこんな実験を行いました。まずグループを3つに分けます。そして、同じテーマに関してブレイン・ストーミングする前に次のことを行ってもらいました。
第1のグループは事前に本を読んで基礎知識を仕入れます。第2のグループは現場に出向いて30分間状況を観察し記録します。第3のグループは事前準備なしです。
この3グループがそれぞれブレイン・ストーミングを行ったところ、アイデアの量ばかりでなく質においても、現場を観察した第2のグループが勝りました。
どうしてこの差が生まれたのか?
どうやら現場を取材したチームは、単に現場の体験のみならず、「見せて説明できる素材」を多数用意したようです。
素材(現物や写真、あるいはビデオかもしれません)をブレイン・ストーミングに持ち込むことで、アイデアの量のみならず質までもが、飛躍的に向上したわけです。これはブレストの成果を高める極意と考えたいですね。
■5.「手軽」「低コスト」「短時間」が肝心な「ラピッド・プロトタイピング」
プロトタイプとは「試作品」のことです。最低限の材料だけで少数を実験的に作ります。これをラピッドすなわち手早く作るからラピッド・プロトタイピングです。
その本質とは、チームのメンバーが意見を出し合える具体的な土台を手早く作れ、ということです。そして、目に見える、手に持てる、あるいは疑似体験できる試作品をチームで評価して、さらに改良を重ねて新たな試作品を作る――。
これを繰り返し、頭の中にあったアイデアをより具体的な製品へと洗練させていきます。したがって、「手軽」「低コスト」「短時間」でプロトタイプを作る。これがデザイン思考によるアウトプットの最重要ポイントになります。
【感想】
◆冒頭でも触れたように、非常に「分かりやすい」作品でした。確かにアマゾンレビューを眺めてみても、同じように「分かりやすい」という感想ばかり。
そもそも私自身、下記関連記事にもあるように、デザイン思考本を何冊か読んでいましたが、「デザイン思考とは何か?」については漠然と捉えていました。
それについて、ひと言で言いきっているのが上記ポイントの1番目。
ただし、本書によると、デザインコンサルタント会社IDEOのデザイナーたちが毎回行っていた活動を総称して「デザイン思考」と呼んだのであって、まず定義ありきで誕生したものではないのだそう。
◆そのIDEO関連の書籍については、当ブログでもご紹介済みのこの本が、本書内では何度も登場します。
クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法
参考記事:【デザイン思考】『クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』デイヴィッド・ケリー,トム・ケリー(2017年01月25日)
……あれ? 知らぬ間にこの本、「46%ポイント還元」で、送料加味した中古よりも800円以上お得になっているんですけど、何かのセールなんでしょうか(困惑)?
他にもKindle化されていませんが、この辺の本ですとか。
発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
イノベーションの達人!―発想する会社をつくる10の人材
デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
実際、これらの本のエッセンスを上手く抜き出して、解説しているのが本書だと言えるのではないかと。
◆また、「分かりやすさ」の要因の1つである具体例も、上記ポイントの3番目や4番目をはじめとして、本書では豊富です。
とはいえ、その具体例がどの文献からの引用なのかが示されていないのが、ちと残念な気が。
上記ポイントの4番目の方はIDEOの話ですから、おそらく上で挙げたIDEO関係者の作品4冊のどれかでしょう。
逆に上記ポイントの3番目の自販機の例は、日本の話としか思えませんが、いったい何の本から持ってきたのやら?
ひょっとして、参考文献の中にあり、当ブログでもご紹介済みのこの本だったりして(記憶にあらず……)。
ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)
参考記事:【オススメ!】『ビジネスマンのための「行動観察」入門』松波晴人(2011年10月20日)
私が読んだのは新書なんですけど、こういう時Kindle版だと、自宅でも外でも、中身が検索できて便利ですね。
◆ちなみに、アマゾンの星3つのレビューで「どこかで聞いたような当たり前の内容」とありましたが、「どこかで聞いた」のも当然で、上記で触れたように本書はほぼすべて、過去に出た定番本の事例や理論等に立脚しています。
ただ、たとえば翻訳本であれば、原文を多少は意訳することはあっても、根本的に分かりやすくしてしまっては、むしろ問題でしょう。
そういう意味で本書は、鈴木博毅さんがよくなさっている「定番本の解説本」に、位置づけとしては近い感じ。
違いは、本書は1冊の本だけでなく、関連書籍を大量に扱って、多面的に理解を深めようとされていることだと思います。
ですから逆に、オリジナルを読んで、理解できてらっしゃる方には、内容的に少々薄い印象となってしまうかもしれません。
私はデザイン思考に関して「分かったツモリ」になっていたので、結構学びが多かったですが。
デザイン思考を学ぶなら、まず本書から!
超図解「デザイン思考」でゼロから1をつくり出す
序章 「ゼロ」から「1」の創造を求められる時代
1章 デザイン思考って何だろう
2章 現状を深く「観察」して共感する
3章 集束思考で「正しい問題」を見つけ出す
4章 発散思考で「解決策」を大量に創造する
5章 失敗を前提に「アウトプット」を繰り返す
6章 デザイン思考の組織への導入ポイント
【関連記事】
【デザイン思考】『クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』デイヴィッド・ケリー,トム・ケリー(2017年01月25日)【問題解決】「デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方」ティム・ブラウン(2010年04月29日)
【速報!】プレミアが付いていた「デザイン思考本」が文庫化した件(2014年05月07日)
【デザイン思考】『問題解決に効く 「行為のデザイン」思考法』村田智明(2017年07月29日)
『デザインコンサルタントの仕事術』が想像以上に凄い件について(2014年11月07日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門
中古に送料を足すとほぼ定価なのに、「69%OFF」という激安設定のため、Kindle版が実質1300円以上お得な計算です!
ご声援ありがとうございました!
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