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2017年08月01日

【コンサル流?】『一流の学び方』清水久三子


一流の学び方
一流の学び方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった勉強本。

資料作成本やビジネススキル本の著作も多い清水久三子さんが、「ビジネスパーソンのの勉強法」について指南してくださっています。

アマゾンの内容紹介から。
「大人の勉強法」のロングセラー、『プロの学び力』待望の大幅改訂!
3000人を指導した著者が、スキル&年収がアップするビジネスパーソンのための実践的「学び方」を紹介。
学校の勉強や受験勉強のノウハウ(チャイルドエデュケーション)ではなく、スキルや知識を身につけ仕事の成果や稼ぎに結びつける、ビジネスパーソンのための学びの手法(アダルトラーニング)の理論と実践方法を全公開!!

なお、版元が東洋経済さんであり、あまりKindleセールをやらないことから、私はサックリKindle版で読んでしまいました!





Charts / GrapeCity


【ポイント】

■1.目標のない学習は成功しない
 たとえば、決算書や財務諸表の読み方。ビジネス書でも定番のテーマです。(中略)
 ただ不思議なのは、そういう現象があるにもかかわらず、決算書や財務諸表を読めないビジネスパーソンがあまりにも多いことです。なぜでしょうか?
 ズバリ、決算書や財務諸表を勉強することが、自分の将来のキャリアと直結していないからです。
 大半のビジネスパーソンが「この程度の知識がないと、恥をかくかな」くらいの気持ちで入門書を買い、とりあえず読んでみるだけです。入門レベルならさほど難解でもないので、「なるほど、そういうことか」でおしまいにしてしまいがちです。
 つまり、学びは「概念の理解」でストップし、次のステップに進めません。それどころか、数カ月後にはもう、本で得た知識さえ頭から消え失せ、「読んだことがあるなあ」程度の記憶しか残っていない人も少なくありません。


■2.仮説を立てて質問をする
 上手な質問は、自分が何を知りたいのか、何を目指しているのかを明確にしたうえで聞いてくる質問です。「なぜ、それが知りたいの?」と聞き返されても、戸惑うことなく即答ができる、そういう質問です。
「こうなりたくて、こういうスキルを身につけたいから、こういう質問をしました」
「自分はこうやったほうがいいと思います。なぜ先生はこういうやり方を選ぶのですか」
 というように、きちんと仮説が立っていれば、こちらの答えを聞いたときの吸収の仕方が全然違ってきます。なかには、質問を受けた私自身が非常に考えさせられ、私自身の「学び」にもなる質問もあります。
 他方、下手な質問は「なぜ、それが知りたいの?」と聞いても「何となく」としか答えられないような質問です。自分で全然考えていない、とりあえず疑問を口にしただけのような質問は、私が一生懸命答えても相手には「何となく」しかインプットされないので、返事のしがいもありません。


■3.因数分解をして人から盗む
 人から何かを盗もうと決めたら、まずは、自分がその人のどんな部分に惹かれているのか、そこを因数分解によって特定する必要があります。そうすることで自分が学ぶべきテーマがよりハッキリと見えてきます。
 たとえばあなたが「松岡修造さんのようになりたい」と思ったとします。とすると、闇雲に何でも取り入れるようなことはせず、まず松岡修造さんのスキルを因数分解するのです。
明るい性格  
本番の集中力  
飽くなき向上心
 こんなふうに因数分解していくと、自分の身につけたい知識やスキルがはっきりし、余計なものまで学び取る無駄が省けます。


■4.自分だけのオリジナルチャートを作成する
 では、実際のアクションとして、具体的に何をすればいいのでしょうか。結論を言うと、「パワーポイントで自分だけのオリジナルチャートを作成する」のです。
 書籍の情報や実際の経験から得たL&L、人から教わった話、その他もろもろ、「概念の理解」「具体の理解」で得たものすべてを横断的に捉え、自分の頭のなかで体系化してチャートに落とし込んでいくのです。
 チャートと聞くと、プレゼンテーションのビジュアル効果を高める資料、といった認識をされる方もいます。しかし、それは認識不足。チャートは「構成要素×関係性」の結晶です。つまり、何が重要で、それらが相互にどう関わっているのかを理解していないと、作れない代物なのです。


■5.「つまり何か?」を一言で表す
「つまり一番大切なのはこういうこと」──自分が得た知識や経験を総動員して、最後にこの一言をひねり出す。これが「本質の理解」です。
 その道のプロは、経験を経て学習を昇華させた「珠玉の一言」を必ず持っているものです。それは単なるキャッチフレーズではなく、そのプロフェッショナルの実力・哲学を凝縮した、人を動かす大きな力を持つ一言です。「本質の理解」はこれを絞り出す作業です。  
「本質」は言葉や文章で表してもいいのですが、最も端的に表せるのは因数分解です。(中略)
 私が尊敬する方々は、こんな「本質」を導かれています。
コンサルティング=仕組む力×仕掛ける力(HRインスティテュート 野口吉昭さん)
上達の論理=まねる力×段取り力×コメント力(明治大学教授 齋藤孝さん)


【感想】

◆本のタイトルがシンプルなので、読む前は漠然とした「広義の勉強本」(受験を前提としない勉強本)なのかと思ってましたが、全然違いました。

とにかくTIPSやノウハウがぎっしり!

今までも「広義の勉強本」を何冊かご紹介してきましたが、その中でも群を抜いてテクニカルだと思います。

おそらくベースとなるのは、コンサルタントが新たなクライアントと仕事をする際、その分野について知識がなかった場合に、その業務をこなせるくらいのレベルになるための学習法なのではないか、と。

たとえば、第4章では「1日3冊のインプットを可能にする読書術」と題して、読書法が紹介されているのですが、「同じテーマの本を20〜30冊まとめ買いする」「必要な箇所だけ読む」といったあたりは、大昔にご紹介したこの本に近いです。

コンサルタントの読書術 確実に成果につながる戦略的読書のススメ
コンサルタントの読書術 確実に成果につながる戦略的読書のススメ

参考記事:すぐに使える「ロジカルシンキング・リーディング」テクニック5選(2009年09月04日)

……この本、上記参考記事の本を著者の大石さんがご自分でKindle化したものなのですが、390円という激安価格のおかげで、Kindle版だけで12000部いってる模様。


◆ただし、単なる読書術にとどまっていないのは、上記ポイントの4番目にあるとおりです。

本書では「学んだこと」をパワポでチャート化することを推奨。

単に文章でまとめるだけでなくチャートにすることで、学んだことの理解が深まりますし、いざ仕事でそのスキルを使う際にも、そのチャートをさっと読み返すだけで、「外してはいけないこと、やるべきことが頭にインストールされる」ワケです。

本書では、実際にチャートの作り方や、具体的なチャート例も紹介しているのですが、図を駆使しているので、当然割愛せざるを得ず(涙目)。

また、こうしたチャートをいくつも作り、活用していると、人の話を聞いているだけで、頭の中に「整理のフレーム」が思い描かれ、的確に整理できるようになるのだそうです(フレーム思考)。


◆なお、順番が逆になりましたが、こういった学習をする際には、清水さんオリジナル(多分)のツールを活用すべし。

まずは、学習領域全体を把握すべく「情報マップ」を作ります。

これは主に読むべき本を中心とし、そこにセミナー情報や質問する「人」を加えたビジュアル図のこと(詳細は本書を)。

それができたら、今度は学習計画をまとめた「学習ロードマップ」を作成します。

こちらも本書では分かりやすく図解されているので、上の「学習マップ」同様、なまじテキストでダラダラ引用してもしょうがないかな、と割愛した次第……。


◆さらに、インプットがある程度たまったところで、今度はアウトプットを行うべし。

上記のチャートもそうですし、ポイントの5番目のような「本質の理解」、人から教わった話や教訓等々を、データベース化していきます。

それが「知識と情報を蓄積」する「ラーニングジャーナル」

本書ではブログを活用することを推奨しているのですが、ブログだと「カテゴリー」で整理できることが大きいようです。

……ただ、単に一般論だけならいいのですが、知り合いから教わった話や具体的な会社の数字等が絡んでくることを考えると、非公開設定にしておかないとまずいと思われ。


◆ちなみに冒頭の内容紹介にもあったように、本書は10年弱前に出たこの本を大改訂したものです。

プロの学び力
プロの学び力

今回のエントリーでは割愛していますが、紹介されているデジタルツール(Kindleも登場しています!)や、学習用のウェブサイトは、当時にはなかったものでしょう。

ただ、ぶっちゃけ個人的には本書の本質的な部分は、旧版でも学ぶことは可能なのではないか、と……。

もっとも旧版の中古は底値になっていますが、Kindle版ならむしろ今回の改訂版の方が、ややお買い得なんですよねw


「広義の勉強本」として、オススメせざるを得ません!

一流の学び方
一流の学び方
PROLOGUE 「学び方」でビジネスパーソンの人生が決まる―人生100年時代のリアル
1 こうすればあなたの「学び」は失敗しない―ビジネスパーソンが身につけたい「大人の学習法」
2 「学び」を「稼ぎ」に変える4つのステップ―一流は何をどう学んでいるのか?
3 最速で効率よくキャッチアップする―基礎知識を素早く吸収するツール&メソッド
4 1日3冊のインプットを可能にする読書術―サーチ読み&パラレル読みをマスターする
5 こうすればスキルや知識が「稼げる」レベルになる―応用力とオリジナリティを身につける
6 学びの効率&効果を高めるラーニングハック―私が実践しているちょっとしたコツ


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【東大式?】『本物の勉強法』白川敬裕(2014年06月29日)

【勉強】『学び続ける力』池上 彰(2013年01月18日)

【勉強】「コンサルタントの勉強法」野口吉昭(2009年12月22日)

すぐに使える「ロジカルシンキング・リーディング」テクニック5選(2009年09月04日)


【編集後記】

◆ネットで見つけた「ちょっと気になる本」。

アマゾン本当に価値のある商品 The BEST (DIA Collection)
アマゾン本当に価値のある商品 The BEST (DIA Collection)

アマゾンのヘビーユーザーとしては、チェックしておきたいところです。


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