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2017年07月25日

【脳】『脳神経外科医が教える! 「疲れない脳」のつくり方』築山 節


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脳神経外科医が教える! 「疲れない脳」のつくり方 (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「PHP研究所キャンペーン」の中でも、特に注目を集めていた1冊。

著者の築山 節先生が以前出された、『脳が冴える15の習慣』は、50万部突破の大ヒット作ですから、ご存知の方も多いと思います。

アマゾンの内容紹介から。
人生100年時代の到来、技術革新による仕事の高度化によって、ビジネスパーソンに求められる働き方は、「24時間、365日がむしゃらに働けるか」から、「長期間、たとえば70歳を超えても元気に健康に成果を出し続けられるか」に変化し始めている。そこで武器になるのが、「疲れない脳」「冴えた脳」。理想的な脳を手に入れるための方法を、「脳の専門家」が指南する。

中古に送料を足すと、かなり定価に近い状態ですから、セール期間中ならこのKindle版が500円弱お買い得です!





Blogging fatigue / jonas.lowgren


【ポイント】

■1.あえて仕事を途中でやめる
 無理してがんばった場合、確かに「達成できた」という満足感を得られることもあるでしょうが、つらかった、大変だったという嫌な感情が残ってしまうこともあります。(中略)
 実際このような感情のときには、考えが定まらず心も安定しないものです。ですから、私はこのような感情で満たされてしまったときには、その段階で仕事を途中で切り上げるようにしています。あれこれと考えたことが、後で冷静になって考えたとき、杞憂だったということはよくあるのですから。
 繰り返しになりますが、自分の考え事が進まないとき、仕事を途中で止めることは、自分のやる気を保つ意味でも大切だと考えています。人は何事も早く終えてしまおうと考えがちですが、友人と会話していたり、家族と雑談しているとき、ふとよい考えや対策が出てくることがあります。ですから、早く終わらせることがベストだとは言い切れないのです。「絶対に終わらせないといけない」と自分を追い込みすぎずに、「途中で止める」という選択肢も用意するように心がけていただければと思います。


■2.やる気を起こす2つの方法
 まずは、1つ目の「物事を具体化、明確化する」について。
 誰でも「曖昧さ、複雑さ、不確実性」のあるものについては、躊躇し、恐怖・不安を感じて、行動することの障害となります。
「毎日勉強しましょう」
 これでは「具体性がある」とはいえないでしょう。ですが、「職場で求められている資格を取りましょう」、私たち医者なら、「2年後に受験資格の得られる専門医試験に向けて勉強しましょう」と言われれば、計画を立て毎日の勉強スケジュールも決められるはずです。(中略)
 また、「小さな一歩から始める」ことも効果的です。とにかく小さなこと、たとえば書類の整理から始めましょう。「毎日、最後までしなければならない」など、1つひとつ全て完璧を目指してしまうと、足が一歩も前に出ないことになります。そうならないためにも、ハードルを下げて、小さな一歩から踏み出すように努力することが大切なのです。


■3.仕事は簡単なものから始める
 脳は昔のブラウン管の時代のテレビと似ています。機能の立ち上がりに時間がかかるのです。また、立ち上がりの最初の段階では、「好き・嫌い」を判断する感情の中枢・大脳辺縁系が強く反応します。
 この感情を司る大脳辺縁系が活動を始める最初の段階を、いかにスムーズに通過して、早く理性の中枢・大脳新皮質の活動を起こさせるかが、脳を冴えさせるポイントです。
 マラソン大会開始直後の最初の10分間を想像してみてください。誰でも最初は、「嫌だ。走りたくない」と思っています。実際、この時間帯で走るのを止めてしまう人もいます。お腹の痛くなる人も多いのですが、この10分間を乗り越えると、私たちの理性の中枢が働き、「次の目標はあのコーナーを目指して」と論理的かつ計画的にレースを進めることができます。
 それと同じように脳も、立ち上がりの段階では、感情系に嫌な感じを与えず、無理なく通過させることがとても大切だと思います。


■4.「疲労」と「疲労感」は違う
 皆さんは「疲労」と「疲労感」の違いを意識したことはありますか。
 疲労と疲労感とは別のものです。実際に身体に溜まるのが「疲労」、感覚として得られるのが「疲労感」です。
 疲労感は、脳が皆さんに教える「休め!」のサインです。このサインがあるうちに休みを取らなければ、疲労が身体の健康に影響を及ぼしてしまうことがあります。この疲労感は、意識や飲み物などでごまかすことができます。たとえば、コーヒーやタバコなどがその代表例です。
 ですが、疲労感を消せたとしても、身体に蓄積した疲労自体は消えません。疲労感を無視して働き続けると、最悪の場合、過労死につながることもあります。(中略)
 脳は、身体に疲労が溜まってくると、活動水準を下げようとして、眠気やだるさ、集中力の低下、身体の違和感といった「疲労感」を演出し、私たちに休息を促します。私は、疲労感をごまかすことで蓄積される「疲労感なき疲労」、これこそが仕事の効率低下、さらに脳の健康を害する最大の原因ではないかと考えています。


■5.気が付きにくい脳の疲れのサイン
 たとえば、階段を上がって2階の自分の部屋に入ったものの、
「自分は何のためにこの部屋に来たのだろうか?」
 と、部屋に来た目的をすっかり忘れていたということはありませんか。
 人は、ある程度の時間のプロセス・過程は記憶しているものです。ですから、たとえば、朝食べた食事などは、午後の時間帯であっても答えることができます。
 それが、身体に疲労が蓄積してくると、このプロセス保持の記憶時間が短くなってしまうのです。このような脳の特徴は「過程性」と表現され、脳に疲労が蓄積したときには、この機能は低下していきます。
 ですから、もしもこのような過程性の低下状態に気がついたときには、仕事の手を休めて休息を取るべきです。「休んでしまっては仕事が終わらないよ」という反論が聞こえてきそうですが、その後の仕事の効率、数年数十年スパンの生産性を考えれば、休まない手はないのです。


【感想】

◆築山先生らしい、分かりやすく、かつ、その割にはかなり深いお話が色々ありました。

何せテーマが「疲れない脳」ですから、身体や脳に無理をさせないことを重視。

たとえば上記ポイントの1番目も、「あえて途中でやめる」と言われたら、てっきり「その方が覚えていて続きをスタートしやすい」という「ツァイガルニク効果」のことかと思ったら、まったくスルー。

ツァイガルニク効果 - Wikipedia

むしろ感情面をケアして、「やる気を保つため」ということでした。


◆その「やる気」に関しては、上記ポイントの2番目の2つの方法は、仕事術でもよく見かけるものですから、こちらは受け入れやすいと思います。

特に前者のように「明確化、単純化、可視化」を行えば、心理的な負荷を下げることができるハズ。

また、後者の「小さな一歩から始める」に関しては、本書は次の6つの具体策を提案しています。
(1)事の時間を短くする
(2)場所・場面を限定する
(3)一度に1つの作業だけやる
(4)プロトタイプをつくる
(5)難易度を下げる
それぞれの具体策についても、掘り下げていますので、詳細は本書にてご確認ください。


◆一方、ポイントの4番目の「疲労」と「疲労感」の違いについては、言われるまで意識したことはありませんでした。

特に問題なのが、「疲労感を消せたとしても、身体に蓄積した疲労自体は消せない」という指摘。

ここでは「疲労感を消す」方法として、タバコやコーヒーが挙げられていましたが、スタミナドリンクも同様でしょう。

結局「疲労感」という「アラーム」のスイッチを切っても、その原因である「疲労」を何とかしなければ、問題解決にはなりません。

極端な話、火事のサイレンが鳴ったのに、サイレンだけ止めて、火事を放置するようなもの。

私たちは、もう少し「疲労感」が発生しているという状況を、真面目に考えた方がよさそうです。


◆同様に上記ポイントの5番目の「過程性」のお話も、私は初めて知りました。

ただしこちらは「疲労感」とは違い、自分では気が付きにくいもの。

よくウチのヨメが「あれ、私何でこの部屋来たんだっけ?」とか言っているんですが、これも疲労のあらわれだったんですね。

私はてっきり、単に「忘れっぽい性格」なんだと思っていたんですけど、もっと深刻な問題になりかねないのかも。

そして、スペースの関係で割愛したのですが、同じく気が付きにくいサインとして挙げられていたのが「同時性」のお話です。

これは、その兆候として「人ごみで左肩を人にぶつけてしまう」らしいのですが、少々長くなるので詳細は本書にてご確認ください。


脳の疲労を避けるために読むべし!

B07211VMZV
脳神経外科医が教える! 「疲れない脳」のつくり方 (PHPビジネス新書)
第1章 冴えた脳をつくるために欠かせない「オフ」の時間
第2章 なぜ長時間労働では、成果が出ないのか?―働き方を「根性」から「理性」に転換する
第3章 今日から実践できる!脳の健康習慣
第4章 あなたの脳の進化を止めてはいけない―たくましく生きる知性を鍛える


【関連記事】

「脳が冴える15の習慣」築山 節(2006年11月18日)

【脳を整える?】『脳が冴える勉強法―覚醒を高め、思考を整える』築山 節(2012年01月11日)

【仕事術】『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』宇都出雅巳(2016年08月25日)

【脳のムダづかい?】『自分の力を最大限に発揮する! 脳のトリセツ』菅原洋平(2014年10月03日)

【ライフハック】『解決する脳の力 無理難題の解決原理と80の方法』林 成之(2012年03月14日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

仕事・お金・依存症・ダイエット・人間関係 自分を見違えるほど変える技術 チェンジ・エニシング
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いかにも「自己啓発書」の王道らしい内容のようですから、当ブログの読者さんにも向いてそう。

中古は値崩れしていますが、今回は「65%OFF」ということで、Kindle版が実質300円弱お買い得です。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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