2017年07月19日
【地頭力?】『30日間で身につく「地頭」が育つ5つの習慣』石田勝紀
30日間で身につく「地頭」が育つ5つの習慣
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「2017夏のビジネス・実用書フェア」の中でも気になっていた1冊。告知記事でも触れたように、対象年齢が分からなかったのですが、実際に読んでみたところ、幼児から中高生(実際は大人)まで「かなり広範囲」な作品でした。
アマゾンの内容紹介から。
変化に対応できる応用力のある人間に成長するために、親子で簡単にできる5つの家庭習慣を紹介。この習慣を4週間続ければ、社会で活躍する能力が身につくうえ、学校の成績がグングン上がる!
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24:180 Study! / MrsTG
【ポイント】
■1.良い習慣を身につける5つのポイント「地頭のいい子にする5つの家庭習慣」をつけるには、ある「気持ち」と「仕組み」を持つと非常に効果的に習慣化されるようになるのです。それらをまとめると、次の5つになります。1.さりげないことこれらは、通常で考えられていることと真逆ですね。
2.実験と思うこと
3.完璧にしようと思わない
4.日常の勉強以外の場面で行う
5.毎日少しだけやる。そしてプロセスを親には「見える化」、子どもには「見えない化」する
通常は、「勉強の場面で、真剣に、完全を目指して、管理していく」と思われがちですが、これらの要素が揃うと必ず失敗します。しかし、驚くことに、これをやってしまっている事例があまりにも多いのです。
■2.「絶対積極」の状態を志す
例えば、定期テストの結果が返されたときに、まず私は、「よく頑張った」と伝え、次に間違い部分の分析に入ります。点数がよかろうが悪かろうが、もう終わってしまったことについてあれこれ話をしても意味がありません。
点数が満点でなければ、どこかしら間違えているわけですから、その部分について積極的に対策を立てます。そして、進歩する喜びを教えていきます(この「喜び」が重要なのです。通常は嫌々直しをするか、まったくやらないかのどちらかです)。
単なる読み間違いや計算間違いなのか、理解できずに解けないのか、そもそも知識がなかったのかなど、タイプ別に分析し、それらについて対策を立てます。これらの間違いが修正されれば、次回は得点できるので、「成長のために気づかせてくれた有難い間違い」ということで、間違えた問題を「宝」として大切に扱います。
■3.「褒める」のではなく「認める」
前向きにさせるには、その人の自己肯定感を高めるのがいいでしょう。自己肯定感とは、「自分はできる!」という意識です。そのためには、できたこと、得意なことを徹底して認めていくのがよいのです。「褒める」のではなく「認める」のです。じつはこの点は、世の中であまり知られていません。
認めるという行為は、褒めるとほぼ同義のようですが、「褒めてください」というと、わざとらしく褒めてしまうことになりかねないので、「認める」という意識のほうがいいです。認めるとは、「いいね」「すごいね」「よくできるね」と感心した言葉で簡潔に表現することです。
すると、子どもは得意になって、ますます認められようとして努力していきます。褒めると徐々にマンネリ化していき、褒める度合いを引き上げなくては効かなくなっていきますが、認めるという行為は、単純なだけに飽きが来ず、やる気を高めるのに最適な方法なのです。
■4.ロジカルな思考が養成される2つのマジックワード
1.「要するにどういうこと?」─ In a word ?これは、具体的な内容をまとめさせるときに使います。子どもの話は結構、個別具体的なことが多いですね。見たまま、経験したままを話す傾向にあるので、「要するに?」と言って簡単にまとめさせるのです。2.「例えばどういうこと?」─For example ?今度は、先ほどの逆です。つまり、抽象的な内容を、わかりやすく具体的に説明させるときに使います。子どもが何か漠然としたことを言った場合、「例えば?」と聞いてあげましょう。すると、相手にわかりやすく伝えるための具体例を考えるようになります。
■5.事実と意見を区別する
「事実と意見は違う」と言われれば、その言っている意味はわかるかもしれませんが、日常の会話ではなかなか区別を認識して話をしていません。
区別しないために、単なる個人の意見なのに、事実であるかのように捉えてしまい、それが伝言ゲームとなって拡散するという例はたくさんありますよね。新聞を読んでいても、書いている人の意見なのか、それとも事実なのかを注意深く見ていないと、意見の印象ばかりが残り、まるで事実であるかのような錯覚に陥るということは日常茶飯事です。(中略)
これまで見てきたように、事実なのか、意見なのか、これを区別することは非常に重要です。国語の問題を使っても訓練はできます。特に論説文や説明文では、「事実を表す文」と「意見を表す文」が混在しています。そして、「筆者がどのよう感じているでしょうか?」といった問題が出されるわけですね。ですから、日頃から事実と意見を分ける習慣を作っておくと、日常のトラブルも減り、物事の本質を見ることができるだけでなく、国語もできるようになるのです。
【感想】
◆本書の第1章で指摘されていて「なるほど」と思ったのが、「『ガリ勉』をする子が、勉強ができるというわけではない」ということ。本当に勉強ができる子は、「勉強を勉強とは思っておらず、面白いから」やっています。
要は「本当に頭がいい子は日常生活すべてで『勉強』している」のであり、単に「●時間勉強した!」という子がいても、「見るもの、聞くものがすべて勉強になっている」子にかなうわけがありません。
そしてその「単なる日常生活」を「学びの生活」にするためには、本書で紹介する5つの習慣をつける必要があります。
◆具体的にはこの5つ。
『前を見る』習慣これらに関して本書では、下記目次にあるように、第2章から第6章までを費やし、1つの章で1つの習慣を詳しく解説しています。
『脳を動かす』習慣
『観る』習慣
『見抜く』習慣
『話す』習慣
さらにこれらを習慣化させるためのコツが、上記ポイントの1番目。
「勉強の場面で、真剣に、完全を目指して、管理していく」ことでも、学校のテストで点数は取れますが、「地頭」は身につきません。
もちろん、表面的には「学校のテストで点を取れればいい」のですが、地頭ができている子は、日頃の生活でも、知識や思考が「血肉化」していきますから、どんどんその差が開いていくという。
……ウチのムスコは、朝早起きして塾の勉強していますが、それだけじゃアカンかったか。
◆そのムスコの塾の勉強で言えば、我が家でも定期テストの結果で一喜一憂しがちです。
さすがに点数のことで叱ったりはしませんが、悪かったとしても「残念だったね」で終わりがち。
ただ、本当はそれではダメで、上記ポイントの2番目にあるように、間違いをタイプ別に分析し、それらについて対策を立てなくてはなりません。
逆にできたときは、上記ポイントの3番目にあるように「『褒める』のではなく『認める』」べきだったとは。
これは「感心した言葉で簡潔に表現する」のですから、すぐにでもできそうです。
◆一方、「子どもにできるの?」と思ったのが、上記ポイントの4番目にある2つの言葉。
これって要は「抽象度」を上げたり下げたりすることであり、普通にこういうビジネス書にも載っているレベルのお話です。
具体と抽象
参考記事:【抽象化?】『具体と抽象』細谷 功(2017年04月03日)
とはいえ、学校であった出来事をこどもが話しだした際、「要するにどういうこと?」とまとめさせたり、「例えばどういうこと?」と具体的に言わせたりはできるハズ。
さらに、上記ポイントの5番目も、普通に社会人でもできない人が多そうですが、著者の石田さんいわく、多くの東大生が身につけている(石田さんは東大の博士課程に在籍中)のだそう。
とはいえこれに関しては、ムスコの場合、国語の問題がそのまま使えそうですから、一度試してみたいと思います。
子どものうちから「地頭」を育てるために!
30日間で身につく「地頭」が育つ5つの習慣
第1章 5つの簡単な家庭習慣で「地頭のいい子」になっていく
第2章 “第一の習慣”『前を見る』習慣―最強マインドを手に入れる
第3章 “第二の習慣”『脳を動かす』習慣―ロジカル思考とクリエイティブ思考を同時に手に入れる
第4章 “第三の習慣”『観る』習慣―観察し分析する習慣
第5章 “第四の習慣”『見抜く』習慣―ポイントを見抜く『眼』を持つ
第6章 “第五の習慣”『話す』習慣―自分の意見を言う習慣
第7章 Q&A
【関連記事】
【抽象化?】『具体と抽象』細谷 功(2017年04月03日)【子育て】『一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』ムーギー・キム,ミセス・パンプキン(2016年03月10日)
【勉強法】『「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法』佐藤亮子(2016年12月25日)
【76の習慣】『中学受験で成功する子が 10歳までに身につけていること』村上綾一(2016年05月21日)
【思考力】『東大・京大に合格する子どもの育て方』江藤 宏(2015年04月30日)
【編集後記】
◆冒頭でご紹介した「2017夏のビジネス・実用書フェア」では、本書の他にも、当ブログでご紹介したこの2冊が対象となっています。「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法
中学受験で成功する子が 10歳までに身につけていること
どちらも「50%OFF」と大変お買い得。
なおレビューは上記関連記事にてご確認ください。
ご声援ありがとうございました!
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