2017年07月07日
【メンタル】『自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事』下園壮太
自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、一昨日から告知している「Kindle本50%OFFキャンペーン」の対象作品。タイトルには「リーダーの仕事」とありますが、その下に着く方にとっても必読の内容だと思います。
アマゾンの内容紹介から。
どんなに厳しい状況にあっても折れないリーダーは何をしているのか?ビジネスは、戦場である。長期にわたり厳しい任務を強いられる自衛隊で、リーダーがもっとも重視していることは「合理的」であることだ。任務を遂行するために合理的に戦力(=自分自身と部下の疲労度)を分析し、それに応じた戦い方をする。本書では、リーダーが決して折れることなく、ビジネスという長期戦を戦い抜くために行うべきことを紹介する。
なお「60%OFF」なのに加えて、中古もあまり値崩れしていませんから、送料を加味するとKindle版が800円弱お買い得です!
【ポイント】
■1.蓄積疲労の3段階モデル(1)第1段階=ぐっすり一晩眠れば、疲れがとれるぐっすり一晩眠ることによって回復するレベルが、「蓄積疲労の第1段階」だ。多少の疲労感があっても栄養バランスのとれた食事や、適切な休養と睡眠により、すぐに回復できる状態である。「通常疲労」とも呼ぶ。(2)第2段階=イライラし、不安になりやすい「しっかり寝たはずなのに、朝、体が重い」と感じる人は、「蓄積疲労の第2段階」に陥っているのかもしれない。なんらかの負荷によって、一日に回復できる量以上にエネルギーを消耗し続けていると、徐々に疲労の蓄積が大きくなる。(中略)(3)第3段階=心身に「病気」の症状が表れる
第2段階以降は外的刺激に対しても弱くなってしまう。同じ出来事でも、疲れやすさが2倍になり、出来事に対するショックや反応(不安、怒り、落ち込みなど)も2倍になるからだ。そして回復するまでに要する時間も2倍になる。
そのため、第2段階は、別名「2倍モード」と呼ばれる。第2段階のところで、ストレスフルな環境が終われば、なんとか元に戻っていく。ところが、厳しい状況がさらに続くと、「蓄積疲労の第3段階」に進んでいく。
第3段階では、いよいよ本格的な「病気」の兆候が表れる。うつ病や潰瘍など、はっきりと心身に異常をきたし、仕事のパフォーマンスもガクンと落ちる。
■2.逆効果になりやすいストレス対処法
わけのわからない不調感があると、人は自信がなくなってくる。その自信を補強しようと「頑張って乗り切れる自分」を感じやすい課題に取り組みがちだ。
しかし、不調感の根本的な原因が蓄積された疲労にある場合、過剰なスポーツやサウナは、やればやるほど体力の消耗を進める恐れがある。
ところが、第2段階になると人は頑固になる。なかなか自分の行動パターンから抜け出せないのだ。(中略)
ジョギングやサウナと同様に、「頑張った自分へのご褒美」などと、疲れている時に無理に海外旅行に行くことも避けたほうが無難だ。
中には、旅行のため徹夜をしてまで仕事を片付けるような人もいる。そんな疲れた体に、長時間のフライトや時差ボケが加わる。蓄積疲労が一気に進むだろう。
■3.戦場の疲労回復の3大手法
自衛隊では、強い精神的ショックを受けていたり、あまりにも疲労が溜まっている隊員がいたら、リーダーは3日間の休みをとらせる。その時、無理に気分転換をさせたり、医療につなぐようなことはしない。まずは、ただひたすら休ませるのだ。
できるだけ温かい食事をとらせ、良質な睡眠がとれるように乾いた寝床で休ませる。 体が疲れている時に温かい食事をとって、体が「ほっ」と癒されるような感覚を味わったことはないだろうか。冷たい食事では食べたものを体温と同じ温度にまで温めなければならず、消化にエネルギーがかかってしまうため、疲れた時は避けたほうがいい。
そして、良質な睡眠。睡眠こそが、疲労回復の要である。
■4.「ダム型」のリーダーを目指す
退職者をどれほど出してもそこには目をつぶり、売上をあげ、高い目標を常に達成するリーダーを評価する会社は多い。
しかし、本当にピンチの時に頼りになるのは、本書で述べたように「仕事を切る」ことのできるリーダーであり、部下たちの不安感を最小限にできるリーダーなのだ。
私はそんなリーダーを「ダム型のリーダー」と呼んでいる。
部下たちを疲労させるリーダーは、上からの方針をそのまま部下に押しつける。そうして手柄だけをもっていくから、部下たちからも信頼されない
一方で「ダム型のリーダー」は、ストレスをかけるようなことを、自分のところでせき止めてくれる。
■5.命令下達はしつこいほど頻繁に行う
ビジネス戦場は、長距離を走るダカール・ラリーのようなものだろう。外見上そんなにひどい悪路ではない場面でも、すでに各パーツは擦り切れている。いつエンジンの調子がこれ以上悪くなるかわからない。ブレーキが壊れるかもしれない。シフトは変わりにくくなっているし、タイヤはひとつパンクしている。
無事にゴールするためには、まず各パーツの現状をいつもより丁寧に把握しなければならない(掌握)。そして、運転手(=リーダー)は、このパーツの状態で、今は、どういう走り方をするのかをしっかり決め(企図の確立)、それを各パーツに事あるごとに伝えていく必要がある(企図の明示)。そうでないと、アクセルは、自分だけがこんなに酷使されているのではないかと疑心暗鬼になり、必要以上に消耗していくかもしれない。
状況が厳しくなればなるほど、部下からしてみたら「しつこい」と思われるほど頻繁にリーダー自身の企図を明示し、部下への情報提供を行って欲しい。それが、チームの寿命を伸ばすことになるのだ。
【感想】
◆いわゆる「デスマーチ」のような、ハードな職場を体験されたことのある方なら、色々と思い当たるフシのある1冊だと思います。本書はとにかく、成果をあげる「勝つため」の話ではなく、「負けないため」「生き残るため」のお話がほとんど。
そこでまず理解しておきたいのが、上記ポイントの1番目の「蓄積疲労の3段階モデル」です。
そして、ここで特に問題なのが、第2段階の「2倍モード」。
一見普通に働いているように見えますが、実はその負担感、疲労感は、通常の2倍になっているという、恐ろしいモノです。
なお、著者の下園さんによると、「月の残業が80時間を超えるレベルなら3か月で第2段階になる」とのこと。
また「睡眠時間が4時間を切るペースなら、2週間程度で第2段階になる」のだそうです。
◆そこで自分もしくは、グループのメンバーが「第2段階」になってしまったら気を付けたいのが「疲労のコントロール」。
本書の第2章では、丸々「疲労」の対処法について述べられています。
まず私自身意識しておきたいのが「人は年齢には勝てない」ということ。
本書にグラフが収録されているのですが、年を取るにつれて回復力が落ちていき、一方作業量は増えていく結果、40歳あたりで、「土日は遊ぶ」から「土日は休む」にシフトチェンジする必要があるようです。
……確かに私も、結構前から「土日は家でゆっくりしたい」と思うようになりましたっけ。
さらに上記ポイントの2番目にもあるように、疲れを取ろうとあれこれやることが、かえって逆効果になることもあります。
「第2段階」で下手に海外旅行何ぞに行ってしまったら、それこそ疲労倍増という……。
◆個人的に意外だったのが、わざわざ「伝える」ことだけに章を割いていたこと(第4章)。
もっともこれも「第2段階」だから意識すべきことであり、確かに疲れていると情報伝達がうまくいかず「聞いてない」「知らなかった」となりかねません。
通常状態なら「言わなくても分かる」「前にも同じことがあったから迷わないはず」ことであっても、上記ポイントの5番目にあるように「しつこい」ほど情報提供は行うべき!
でも自分が疲れているときほど、相手の疲れにまで気がまわらないものなんですよね……。
さらに、「第2段階」になるとギスギスしがちな「人間関係」の対処法については、続く第5章をご覧いただきたく。
◆以上のように、本書は「お疲れ気味の職場」や「常時疲労モード」の方には、非常に参考になる作品だと思います。
逆に言うと、快適な職場で、何のストレスもなく働かれている方にとっては、「ふーん」で済んじゃいそうなのですがw
私自身は今は独立して、あまりストレスも疲労もないのですが、会社員時代、ひどいときには「残業150時間」ということもありました。
ただ、それは何か月も続かなかったですし、そもそも自分が20代だったからこそ乗り切れたのだと思う次第。
ですから、もし40代であの状況に置かれたら、きっと本書をバイブルのように感じると思います。
疲労状態で働いている方なら要チェック!
自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事
序章 負けないリーダーシップを手に入れる
第1章 ビジネスという戦場を戦い抜くために必要なこと
第2章 折れないリーダーの仕事1 疲労をコントロールする
第3章 折れないリーダーの仕事2 仕事を切る
第4章 折れないリーダーの仕事3 伝える
第5章 折れないリーダーの仕事4 団結させる
第6章 折れないリーダーの仕事5 リーダー自身のダメージをコントロールする
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【編集後記】
◆昨日の「Kindle本50%OFFキャンペーン」の日経BP社分では、この辺の作品が人気でした(順不同)。よい謝罪
クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法
経営学者の読み方 あなたの会社が理不尽な理由
GRIT(グリット) 平凡でも一流になれる「やり抜く力」
一応ご参考まで。
ご声援ありがとうございました!
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