2017年07月03日
【会議術】『「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本 【イチから身につく本】』釘山健一
「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本 【イチから身につく本】
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも、個人的に気になっていた作品。タイトルで「基本がイチから身につく本」と銘打っているだけあって、「ファシリテーション」に関して、初歩的な部分から学ぶことができました。
アマゾンの内容紹介から。
ファシリテーションとは、〈促進する〉技術。本書では、従来の「議長」にはできなかった、「意見がたくさん出る」「時間内に決まる」「決まったことが実行される」クリエイティブな会議のコツを分かりやすく解説します。
リーダーシップや話術といった個人の資質に頼らない純粋なノウハウなので、進行役初心者や口下手な方にもピッタリ。人や組織の可能性を引き出し、最良の結論を導き出す、簡単でまったく新しい会議手法です。
なお、中古が1200円近くしますから、今月中ならKindle版が1000円弱お買い得です!
Facilitation awesome! vs facilitation fail / visualpun.ch
【ポイント】
■1.意見を紙に書かせて、グループで発表させる例えば、「はじめに」にも書いたように、会議のはじめに「全体に発言を求める」と、発言力のある人を中心に会議が進んでしまいます。
ですから、はじめは参加者に自分の意見を紙(あるいはカード)に書き出してもらうようにして、次にその書かれたことを全員がグループ内で発表するような進行にします。このやり方は画期的な方法であり、こうすることにより無理なく全員の意見を全員で共有する会議となります。
それは、一度紙に書き出された意見は、誰が言ったかではなく、ひとつの意見として検討されていくからです。これこそ、ファシリテーションの技術です。
この技術を使えば、普段、会議においてほとんど発言できない人でも、自分の意見を会議のテーブルに乗せることができ、「偉い人の意見」とも平等に検討されます。
■2.事前に意見を集約する
たとえば、ある大きなプロジェクトの企画書があったとします。この企画書はA4で40ページあったとします。これを会議がはじまってからみんなで読んでいたら、大変な時間が必要です。
こういった場合は「この40ページの資料を事前に読んで、会議で質問したいことあるいは思ったことをまとめて○月○日までに総務に提出してください」と指示をします。こうすれば、メンバーは○月○日までにどうしても資料を読まないといけなくなるわけです。
もちろん、○月○日までに提出しない人は出てくると思いますが、その場合は、事務局が催促して提出日までに提出してもらうようにします。手間はかかりますが、その分、間違いなく会議の効率は上がります。
言葉でやらせようとするのではなく「やらざるを得ない仕組みをつくる」。
この視点を持つことは、会議だけでなく組織のマネジメントにも役に立つとても大切なことです。
■3.グループの話し合いが活発になるカード整理法
グループで話し合いながら意見を整理していく方法はいろいろありますが、ここでは、一番基本的なやり方を紹介します。(1)まず、意見の書かれたポストイットを模造紙に全部はり出す*ここまでの作業をグループのメンバー全員でおこなわせます。勘違いしないでいただきたいのは、これはファシリテーターがやるのではなく、グループのメンバーがやるということです。
(2)「さあ、似たもの同士をくっつけましょう」と言って、意見の似たもの同士を集める(約15〜20分)
(3)集めたものをマジックで丸で囲む
(4)丸で囲んだ意見に見出しをつける
(詳細は本書を)
■4.大事な場面では、進行を参加者に決めさせる
「みなさん、どうしましょうか?」これを、ファシリテーターの黄金の言葉と呼んでいます。ファシリテーターが考えるのではなく、まず参加者に考えさせる。常にこれを意識していてください。
「自分が考えないなんて、そんなことでいいのか?」
と思う方もいると思いますが、それでいいのです。「考えさせる」ことが、参加者の主体性を引き出すのですから。
これからは、何かあったら「みなさん、どうしましょうか?」と聞いてください。これなら楽ですよね。誰でもできます。
■5.ホワイトボードを使わない会議は、会議ではない
会議で必ずホワイトボードを使うというところは、まだまだ多くありません。私たちは、ホワイトボードを使わない会議を“議論の空中戦”をしていると言います。
空中戦はお互いの言いたいことを理解し合うには実に効率が悪く、ともすると食い違った理解のまま話し合いをしているということが起きやすくなります。
ところで、あなたの会社の会議室にはホワイトボードが何台ありますか?
1台?
会議室にホワイトボードが1台しかない場合、それは「ない」のと同じです。
通常、2時間の会議をおこなうなら、5台は必要です。
そのくらい書くことはあるはずです。
「書いたことを消しながら書く」というのは、ホワイトボードの効果が半減します。板書というものは、会議のはじめから終わりまで書かれたものはすべて見られるようにしておくことが大切です。したがって、5台は必要ということになります。
【感想】
◆今までご紹介した仕事術本の中にも、「ファシリテーション」の重要性をうたった作品は結構ありました。その中で、それなりに解説されてはいたものの、事細かく手順まで触れていたのはほとんどなく。
もっともそれらは、「ファシリテーション」の解説本ではないのですから、当たり前と言えば当たり前。
そこで今般、本書を読んで、「ファシリテーション」がどういうことを意図し、「具体的に何をやるのか」について、やっと理解できました。
……てっきり「会議の議長」なのかと思っていましたが、その役割は結構違うもののよう。
◆ただ、会議で気を付けなくてはならないのは、もし、ある「落としどころ」が先にあって、そこに結論を持っていくのならば、ファシリテーターではなく、組織のリーダー的な人が議長をやった方が都合がいいのだそう。
しかし逆に、そういう結論がなく、「参加者全員の合意を得る」のが目的の会議(本書では「合意形成型会議」と呼んでいます)であれば、本書で解説しているように、ファシリテーターが進行役を務めなければなりません。
そしてファシリテーターに必要なのは、会議をリードするパーソナリティではなく、誰でも用いることができる「会議の技術」である、とのこと。
たとえば、上記ポイントの1番目の「意見を紙に書かせて、グループで発表させる」というのは、一種の「仕組み」であり、こうすることによって、参加者全員が「自分の意見をアウトプットする」ことができます。
しかも出てきた意見は、上記ポイントの3番目にあるように、グループのメンバーが整理。
さらに整理しただけでは終わりではなく、ファシリテーターは「整理されたものを参考に、グループでひとつの意見にまとめてください」 と指示するという。
つまり、ここでもファシリテーターは、口を挟まないワケです。
◆そこでもお分かりのように、ファシリテーターは、極力でしゃばりません。
細かいところだと、用意したマジックペンの色や紙の大きさに複数の選択肢を設けても、決して「どれを使って〜」のような指示は出さないのだとか。
しかし、そうすることによって、「『参加者の主体性』を"微妙に"担保している」とのこと。
そんなささいなことと思いますか?同様に、会議の準備や片づけも、ファシリテーターや運営側が全部やるのではなく、参加者に関与させることで、同じように「主体性」が引き出されるのだそうです。
そのささいなことの積み重ねをまずやってください。
やればわかります。
「複数」用意した会議グッズが参加者の主体性を引き出します。
◆それにしても、「目からウロコ」だったのが上記ポイントの4番目にある「大事な場面では、進行を参加者に決めさせる」。
たとえば、会議終了時間が近づいてもまとまりそうもない場合でも、「みなさん、あと10分で結論を出さないといけません。どうしましょうか?」と問いかける、というのにはビックリです。
「多数決で決める」「後日、再度話し合う」「妥協案に落とし込む」「時間を延長する」等、色々ある中から、参加者に決めさせるべし!
「そんなのこっちに言われても……」と思ったら、それは「何でも議長のせいにして、自分は意見を言ってるだけでいいんだ」と思っている「発言マン」である可能性があります。
こういう人は「結論を作るのは自分たちの責任である」という主体的な意識が薄く、むしろ「会議があと10分」という土壇場で、今までの議論を覆すような意見を言い出したりするという……。
◆なお、下記目次にもあるように、本書の第6章は「最少の労力で最大の効果! ホワイトボード実践活用術」ということで、ホワイトボードを活用するためのテクニカルなお話が展開されています。
さすがに上記ポイントの5番目にあるように、「ホワイトボード5台」は難しいと思いますので、その代用法等もアリ(詳細は本書を)。
またテクニカルと言えば、ファシリテーションとは関係ないんですが、「束になっているポストイットのはがし方」というのは、本書で初めて知りました。
確かに、普通にノリのついてない方を下からはがすと、ポストイットが反ってしまいますが、「ノリのついている部分を横にはがしていく」ようにすれば大丈夫(さっそく今日からそうしますw)!
本書はこういう細かいTIPSのほか、会議で用意するお菓子等についてまで言及しており、ファシリテーターを用いた「合意形成型会議」を開催したい方なら、必読の内容だと思います。
お求めになるなら、セール期間内である今月中にぜひ!
「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本 【イチから身につく本】
第1章 「ファシリテーション」の本質はごくシンプル
第2章 これだけでも会議が変わる! 「ファシリテーション」の基本
第3章 会議の成功は「雰囲気づくり」にかかっている
第4章 最良の結論を導き出す「合意形成サイクル」の中身とは?
第5章 参加者の主体性を引き出す進行の技術
第6章 最少の労力で最大の効果! ホワイトボード実践活用術
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。鬼速PDCA
当ブログの「昨年度年間売上第1位」の作品ですから、お持ちの方がほとんどだと思いますが、一応。
相変わらず中古が1200円ほどもするため、送料を加味してもKindle版が800円弱お得な計算です。
参考記事:『鬼速PDCA』が想像以上に凄い件について(2016年10月24日)
ご声援ありがとうございました!
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