2017年07月01日
【科学的自己啓発書】『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』ハイディ・グラント・ハルバーソン
やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の中でも、個人的に読んでみたかった1冊。この記事以前に、土井英司さんのメルマガでも取り上げられていたので、ご存知の方も多かったと思います。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
多くの心理学者たちの数々の実験と、著者自身の研究成果によって証明ずみの「心理学的に正しい目標達成の方法」を著者がまとめたハーバードビジネスレビュー誌ブログの記事は、過去最大の閲覧数を記録する大反響を呼びました。
本書は、その話題の記事に加筆してつくられた1冊。
心理学で証明された正しい目標達成方法だけが、コンパクトなページ数に詰まっている本書は、アメリカの読者の間で「お宝本」として話題を呼びました。
なお、新たにお買い得なKindle版の配信が開始されておりますので、そちらもご検討ください!
diet / mahmoud99725
【ポイント】
■1.「if-thenプランニング」で事前に行動を決めておく「if-then」とは「もしこうなったら、こうする」という意味ですが、どんな目標を達成する場合でも役立つ、強力な手法です。
ダイエットからフィットネス、そして交渉から時間管理に至るまで、これまでの何百もの研究成果の蓄積から、はっきりわかったことがあります。
それは「どんな行動をするかを事前に具体的に決めておく」ことで、それが実行される確率が高まるということです。
ただ決めるのではなく、事前に「いつ」「何を」やるかを、はっきりと決めておく――これで実行できる確率は2倍から3倍も高くなります。
例えば、「16時になったら、何があっても、今日かけるべき電話はすべてかける」といったように決めるのです。
■2.目標達成が簡単でないことを意識する
エッティンゲンは、病的に肥満している女性たちにダイエットプログラムへの参加を依頼しました。そして参加者には事前に「このダイエットに成功できると思うか」を質問しました。
プログラムの終了後の結果は「成功できると思う」と答えた人は「わからない」と答えた人より13キロも減量に成功しました。
ここまではある程度予測できたことで、おもしろいのはここからです。
エッティンゲンは参加者たちに、「食べ物の誘惑に打ち勝つのはたいへんだと思うか」あるいは「ドーナッツや食べ放題の誘惑に簡単に打ち勝てると思うか」を質問していました。
結果は驚くべきものでした。
「簡単に食べ物の誘惑に打ち勝てる」と答えた人は「そう簡単にはいかない」と答えていた人に比べて13キロも重いままだったのです。
■3.「拡張的知能観」を持つ
目標を投げ出したくなるとき、あなたはそれを「何のせい」にするでしょうか。
「固定的知能観」を持つ人は「うまくいかないのは自分に能力がないせいだ」と考えます。そして「私には向いていない」と考えるのです。
こう考える結果、彼らはそれをやり続けません。早々と見切りをつけて「自分はこれ以上やってもむだだ」と結論づけてしまうのです。
一方「拡張的知能観」を持つ人は「努力不足だった」「戦略を間違えた」「プランを練らなかった」などと自分の努力や行動のせいにします。
こう考える結果、彼らは困難な状況下でも、努力を続けることができます。
自分でコントロールできることに原因があると考えれば「成功は自分のがんばり次第」と信じることができるからです。こうした態度が、大きな成果を得ることにつながるのです。
■4.自分の意志力に頼らない
「将来も禁煙を継続できる自信がありますか?」
「今後なるべく、たばこの誘惑のある状況を避けようと思いますか?」
この2つの質問を被験者に投げかけた結果、禁煙を続ける自信が強い人ほど、誘惑のある状況に立ち向かう傾向があることが判明しました。
つまり、禁煙を続ける自信がある人ほど、誘惑を避けようとせず、自分の意志力に頼ろうとしたのです。
数ヶ月後の追跡調査の結果は、彼らの自信と意志力を証明するものではありませんでした。「たばこの誘惑のある状況を避ける」と答えた(より自信のなかった)被験者の方が、禁煙を続けられたのです。
■5.「やめたいこと」ではなく「やりたいこと」を考える
ではどうしたらよいかといえば、行動を変えたいのなら「やめたいこと」を考えるのではなく「やりたいこと」「やるべきこと」を考えるのです。
これは「何かをやめたい」ではなく「何をするか」を考えるということです。
例えば、あなたが短気を起こしがちで、すぐにカッとなるくせを直したいと思っているのなら、「カッとしないようにする」ではだめです。
「(if)怒りがこみあげたら、(then)まずは3回深呼吸をする」といったように具体的な行動を目標にしましょう。
この場合「3回の深呼吸」という具体的な行動が、怒りに任せた行動という「好ましくないこと」を防ぐ代替行動となっています。
【感想】
◆タイトルにある「9つの習慣」。実はその9つはすべて、下記目次に章のタイトルとして列挙されております。
ただし、TIPS自体は9つで収まるワケもなく、各章ごとに2〜3個は用意されている仕様。
結果的に、全体では20を超えていますから、いわゆる「科学的自己啓発書」がお好きな方なら、余裕で「ストライクゾーン内の作品」だと思います。
ただし、新書ではなく単行本として出している割には、ちょっとページ数的に少なめなのがちと残念なところ。
版元がディスカヴァーさんだけに「ディスカヴァー携書」として出せなかったものなのか……。
◆それはさておき、「科学的自己啓発書」つながりで言うなら、上記ポイントの1番目にある「if-then」は、この本でも触れられていました。
良い習慣、悪い習慣: 世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法
参考記事:【習慣】『良い習慣、悪い習慣: 世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法』ジェレミー・ディーン(2014年09月07日)
また、上記ポイントの2番目のお話も、この本の内容に通じるものです。
成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則
参考記事:『成功するには ポジティブ思考を捨てなさい』のあまりの凄さに戸惑いを隠せない(2015年06月10日)
なお、この本には、上記ポイントの1番目と同じであろう、「もしこういう状況なら、こう行動する」というTIPSも収録されている模様。
……今気が付いたんですがKindle版は7月6日までなら「43%OFF」なので、ぜひご検討をw
◆さらには、上記ポイントの3番目に至っては、翻訳されたフレーズこそ違いますが、モロにこの本のメインテーマとも言えるものです。
マインドセット「やればできる! 」の研究
参考記事:【オススメ!】『マインドセット: 「やればできる!」の研究』キャロル・S. ドゥエック(2016年01月18日)
そして、上記ポイントの4番目こそ、本書の著者であるハイディ・グラント・ハルバーソン女史のこの本のタイトルに通じているという。
やってのける~意志力を使わずに自分を動かす~
参考記事:【スゴ本!】『やってのける 〜意志力を使わずに自分を動かす〜』ハイディ・グラント・ハルバーソン(2013年09月24日)
最後の上記ポイントの5番目も、ごもっともと言いますか、どこかの本で目にしたことがあったような……?
◆と言うワケで、なんだか「科学的自己啓発書」の「いいとこ取り」をしたような本書。
今回ご紹介できなかったTIPSに関しても、おしなべて有益ですから、ぜひ実際にお読みになってご確認いただければ、と思います。
ただし、上記で触れたように「薄いけどスゴ本」(120ページ)という位置づけであり、感覚的には『アイデアのつくり方』に近いものだと思ってもらえれば、と。
アイデアのつくり方
なお、巻末には参考文献がズラーっと列挙されており、ぬかりありません。
米国で「お宝本」と言われただけのことはあります!
やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学
第1章 目標に具体性を与える
第2章 目標達成への行動計画をつくる
第3章 目標までの距離を意識する
第4章 現実的楽観主義者になる
第5章 「成長すること」に集中する
第6章 「やり抜く力」を持つ
第7章 筋肉を鍛えるように意志力を鍛える
第8章 自分を追い込まない
第9章 「やめるべきこと」より「やるべきこと」に集中する
【関連記事】
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【習慣】『良い習慣、悪い習慣: 世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法』ジェレミー・ディーン(2014年09月07日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。ハーバードの自分を知る技術 悩めるエリートたちの人生戦略マップ
下記のように、4月にレビューしたばかりのキャリアデザイン本。
「63%OFF」という激安設定ゆえ、Kindle版が実質500円以上お買い得となっています。
参考記事:【キャリアデザイン】『ハーバードの自分を知る技術 悩めるエリートたちの人生戦略マップ』ロバート・スティーヴン・ カプラン(2017年04月10日)
ご声援ありがとうございました!
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