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2017年06月15日

【子育て】『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』おおたとしまさ


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なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか? (祥伝社新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日告知した「祥伝社新書フェア」の対象となっている1冊。

子育て・教育本の著作が多いおおたとしまささんが、「公文式」の秘密に迫ります。

アマゾンの内容紹介から。
東大生の3人に1人は公文式に通っていたという調査結果がある。著者がかつて行なったインタビューでは、偏差値最高峰の東大医学部生の3人に2人が公文式の出身だった。これは何を意味するのか?これまで斬新な視点から数々の学校や塾を論じてきた教育ジャーナリストが、本書では公文式に焦点を当て、「なぜ学力が伸びるのか?」「どんどん進む子とやめてしまう子の違いは何か?」に切り込んだ。「KUMON」の水色の看板は、日本全国どこの街でも見ることができる。評判は海を渡り、今や49の国や地域にまで教室が広がっている。世界で最も有名な学習メソッドの強さの秘密と意外な弱点が、今、明らかになる。

なお、この「50%OFF」となる「祥伝社新書フェア」は今日6月15日までですから、お求めになるなら本日中がオススメです!





Kumon / Risager


【ポイント】

■1.文章題や図形問題はあえてやらない
 創始者の公文公はもともと高校の数学教師で、代数系の計算力さえ高めておけば、文章題や図形問題は自ずとできるようになるという信念をもっていた。そこであえて文章題や図形問題を捨て、計算能力を高めることに特化した教材を開発したのだ。
 一方で「公文式に通っている子供は文章題や図形問題が苦手」という悪評をよく聞く。「文章題や図形問題も解けるようにしてほしい」という保護者からの要望も多い。あまりに世間からの要望が強く、組織の内部からもその必要性を訴える声が高まったので、1970年前後には実際に文章題や図形問題に関する教材を作成したことがあった。
 しかし結果は明らかな失敗だった。文章題や図形問題を教材に組み込んだとたん、子供たちの自学自習のスタイルが崩れてしまい、現場は混乱を極めたのだ。創始者は勝ち誇ったように失敗を認めた。そうなるとわかっていたから、あえて計算問題に特化した教育プログラムを設計していたのだ。


■2.自分より2学年、3学年上の計算力を身につける
「計算問題はわかるよりもできることが大事」そして「自分の学年よりも2学年、3学年上の計算問題ができるようになれば、自分の学年の文章題や図形問題は難なく解けるようになる」ということだ。
 ましてや、公文式の算数につるかめ算や植木算は出てこない。中学受験で使うつるかめ算など、方程式を使えば一発で解けるのだから必要ないということを、創始者は常々訴えていた。
 その代わりに小学生であろうが幼稚園生であろうが、方程式や微積分にどんどん進ませる。方程式や微積分についても特段難しい問題を解かされるわけではない。最低限の計算の作法が確実に身に付けば良いという考え方が貫かれている。要するに公文式は、無駄を徹底的に排除し、決して欲張らないのである。


■3.簡単に満点を取れてしまうという成功体験の弊害
公文式によって救われた子は世界中にたくさんいると思うし、世界中に広まったのも納得がいきます。そして「先取り」という形で、頑張れば頑張るほどランクが上がって行くので、子供にとってこの「承認」はかなり強烈な学びのモチベーションになります。
 ただし問題もあります。「一を聞いて十を知る力」が身に付いていなくても、小学校くらいまでなら満点を取れるようになってしまうことです。学校のクラスでは、公文式で先取りしている分、みんなより簡単に解けてしまいます。満点を取れてしまう。でも、実際には、一度やったことを再現できるようになっただけ。この、簡単に満点を取れてしまうという成功体験が、中学校以降とても厄介なものになる。勉強の難易度が上がり、満点を取ることを前提にできなくなり始めても、この強烈な成功体験があるせいで、再現できるようにする、解き方を覚える、という勉強方法を変えることができなくなるからです。

(某名門校数学教師 亀谷信二さん(仮名))


■4.基礎と基本の違いとは?
 答えはスポーツにたとえるとわかりやすい。「基礎」は体力や柔軟性に当たる。どんなスポーツにも必要になる共通要素だ。一方「基本」は型のようなもの。野球には野球のバットの振り方があり、テニスにはテニスのラケットの振り方がある。種目によって違う。いくらテニスの素振りをくり返しても、野球の球を打つことに関してはほとんど役に立たない。
 新村さんに言わせれば、「公文式は基礎をやらずに基本をやらせる学習法」となる。たとえば小学校受験で小学校が見ているのは「基礎」のほう。お受験塾でも基礎を育てるからその後のさまざまな学びの土台になる。しかし「基本」はいくらやってもその種目でしか通用しない。それが公文式の最大の弱点だと新村さんは指摘する。


■5.公文式で「GRIT」が身に付く?
 便宜上、算数・数学に限って言えば、公文式とは、子供の能力のごくごく一部である「計算力」を効率よく向上する目的に特化して作られた究極的にシンプルな「専用ツール」である。それ以上でもそれ以下でもない。
 しかしそのツールを使いこなす過程において、副産物がもたらされる。コツコツと続ける力、そして、教えてもらうのではなくヒントから類推し自ら気付く力。すなわち「学習習慣」と「自学自習」の姿勢である。この、いろいろなことに応用可能な副産物が、子供の無限の可能性を拓く。
 最近アメリカの心理学者が唱える「GRIT」という概念が注目されている。もともとは「やり抜く根性」のようなニュアンスをもつスラングである。才能よりも「GRIT」が、人生のあらゆる成功を決めるという。公文式で得られる副産物が、まさに「GRIT」なのではないだろうか。


【感想】

◆本書は、実際にお子さんを公文式に通わせたことのある方なら、うなずける部分が多いと思います。

私自身、ムスコを保育園の年中さんから、小学3年生の秋に、SAPIXに通わせると同時に辞めさせるまでの4年半ほど通わせた経験が。

もっとも我が家の場合「通わせた」というよりも、保育園の周りのお友達で通っているコが多かったので、「僕も行きたい」と本人から言いだしたのでした。

この辺は、正直周りの環境のおかげだった気もしますし、逆に以前いた目黒だったら、そもそも周りは皆、私立小学校に入るための「お受験」をしていましたから、もっと違う塾に通わせていた可能性も高かったのですが。


◆そしてそこで得たモノと得られなかったモノが何で、それがどうしてなのかが、色々と腑に落ちました。

まず得られたモノとしてもっとも大きいのが上記ポイントの2番目にある「2学年、3学年上の計算力」。

もとから算数が好きなこともあってか、こちらはスイスイ伸びていきました。

また、朝起きてまず公文式をやる習慣が身に着いたおかげで、未だに起床してから5分以内に机にむかっております。

ただし、公文式のように「あまり深く考える必要のない」問題でないと朝イチはキツいらしく、複雑な問題だとボロボロに間違えたりしているのですが。


◆一方、得られなかったモノとしては、上記ポイントの1番目の「文章題や図形問題」を解く能力が大きいかと。

もっともこれは早い段階で気が付いていた(通わせるまで知らなかったのですが)ので、小学校2年生から算数塾に通わせて、そこでしっかり補てんしました。

こちらの方では「考える楽しみ」を得て、公文式ではどんどん先に進んでシールをもらえるのが嬉しかった模様。

なお公文式で先生は、「小学校の範囲を小3で終わらせる」つもりでいたようなのですが、SAPIXで鬼のように宿題が出るため上記のように秋で断念せざるを得ませんでした。

つまり方程式まではまだ習っていないので、つるかめ算を方程式で解くようなアラワザまでは身につけておりません。


◆ちなみにこの算数塾も、通わせたというより、たまたま新聞の折り込み広告で見かけて「入塾テストがあるんだけど受けてみる?」と聞いたところ「やりたい」というので、受けさせたのでした。

そのテストというのが、A4の紙1枚に1〜2問の問題が書かれたのが20枚近くあるヤツで、制限時間も確か1時間近くだった記憶が。

小2の段階(実際には小1の秋)で、集中して1時間も問題を解かせたことなどなかったのですが、無事受けきることができたのは、やはり公文式のおかげかもしれません。

つまり上記ポイントの5番目にあるように、「GRIT」が身についた可能性はあります(確固たる証拠はありませんが)。

やり抜く力
やり抜く力

参考記事:【グリット?】『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース(2016年09月12日)


◆なお、本書の第1章では「公文式経験者の東大生」のアンケートや座談会等もありますから、タイトルに惹かれている方もご安心を。

もちろん公文式に通っても必ずしも東大に入れるワケではないことは、ご理解いただいていると思いますが、彼らはたとえ公文式に通わなかったとしても、東大に入れた可能性もかなり高いと思います。

と言いますか、東大合格のために有名中学に入るのが前提とした場合、そこの受験問題における算数は、図形問題も当然ありますし、それ以外でも公文式では歯が立たないレベルだったりするんですよね……。

ただし、その東大生のアンケートでは、9割近くが「勉強のスピードと正確性が身についた」と言っていますから、そういう部分に割り切るのなら、公文式は秀逸でしょう。

ということで本書は、お子さんをこれから通わせようと思われている方や、今現在通わせている方なら、一読の価値があると思います。


お求めになるならセール価格の今日中がオススメ!

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なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか? (祥伝社新書)
第1章 東大生の3人に1人は公文式出身
第2章 なぜ月6000円で学力が伸びるのか?
第3章 1枚のルーズリーフから始まった
第4章 速く進む子と続かない子の差は何か?
第5章 つるかめ算は本当に不要なのか?


【関連記事】

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【グリット?】『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース(2016年09月12日)

【76の習慣】『中学受験で成功する子が 10歳までに身につけていること』村上綾一(2016年05月21日)

【思考力】『東大・京大に合格する子どもの育て方』江藤 宏(2015年04月30日)

【勉強】『なぜ受験勉強は人生に役立つのか』に学ぶ中学受験7つのポイント(2014年03月26日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

常識の壁をこえて ――こころのフレームを変えるマーケティング哲学
常識の壁をこえて ――こころのフレームを変えるマーケティング哲学

ダン・S・ケネディの名著(復刊前は中古が定価の10倍近い値段で取引されていたそう)を金森重樹さんが全面改訳したという1冊。

中古は値崩れしていますが、送料を考えればKindle版がお買い得です。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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