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2017年06月13日

【会話術】『「言葉にできる人」の話し方: 15秒で伝えきる知的会話術』齋藤 孝


「言葉にできる人」の話し方: 15秒で伝えきる知的会話術 (小学館新書)
「言葉にできる人」の話し方: 15秒で伝えきる知的会話術 (小学館新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にてセレクトした、齋藤 孝先生の新作。

齋藤先生は多作なだけに、できる限り作品を絞り込んでいるのですが、テーマが「会話術」ですから、これは読まずにはいられませんでした。

アマゾンの内容紹介から。
知っているのにうまく言葉にできない、話すタイミングを逃してしまう、自分はよくしゃべるけれど内容が薄い気がする…そんな経験はありませんか?この会話のもどかしさを解消するのが本書です。どんな会話も盛り上げ、いつも話題の中心にいるのが「言葉にできる人」。日々のアウトプット(言葉化)を鍛えれば、誰でも必ずなれます。齋藤先生が教える教養の超アウトプット法、そして一五秒で密度の濃いコメントをするテクニックを解き明かします。

ちなみに中古が値崩れしてきて、Kindle版は、送料加味しても数十円の差でお得ではないので、一応ご留意ください。





Kitchen talk / milkisprotein


【ポイント】

■1.「3つのキーワード」で説明する
 すべての物事を100%吸収することはできないのですから、新しい情報を得たときには3つのキーワードで整理することで、自分の中に定着させていく。この本のテーマとして"インプットとアウトプットのコストパフォーマンスをよくする"ということがあるので、3つのキーワードというのは理にかなっていると思います。
 ニュースとして伝えられる専門的な内容についても、3つのキーワードを使って自分の言葉にするという訓練をするといいでしょう。例えば、「ポピュリズム」という言葉がありますが、この意味を3つのキーワードを使って説明してみます。
「ポピュリズムっていうのは、大衆に迎合して人気を得る政治のあり方のことで、アメリカのトランプ大統領みたいなものだよ」
 こう説明されると納得できます。


■2.イメージが共有できるような話し方をする
 相手に理解してもらうためには、イメージを共有することが大事です。イメージとは、脳内の映像と解釈してもらえばいいのですが、頭の中で浮かべる映像が共有できたときに、互いに「わかった!」となります。
 ですから、何か伝えたいことがあるとき、理解してもらいたいことがあるときは、相手とイメージが共有できるような話し方をするといいのです。
 私はテレビ番組の総合指導もやっていて、番組をつくる側にいることも多いのですが、ある企画を思いついて、こんなイメージで、と説明すると話がすぐに進みます。
 例えば、「中学生が、体育館でバスケットボールのシュートをどんどん続けながら一言ずつ言うっていうのはどう?」「ああ、わかります。絵が浮かびました」といった具合です。
 その時点で「もう、できたね」というくらい。仕事というのはそういうふうにスムースに進むのが理想です。


■3.専門外の話は、いったん「間に合わせて」おく
 医師が国際問題の専門家でないことは、誰でもわかっています。ですので、そこでがんばって知識があるように見せ(て失敗す)るよりも、とりあえず「間に合わせておく」ことが必要なのです。
 日々新聞を読んで感じているくらいの、普通の一般的な感覚をもっている人間として、「この問題はこう見える」という発言をするということ。
 北方領土問題であれば、例えば、こんなコメントです。
「もし日本に返還されれば、その島に住む日本人は日本に帰ることになりますが、ロシア人は『外国』に住むことになります。どちらか一方が解決すれば、そのもう一方には問題が生じることになりますよね」
 専門的な知識は述べていませんが、テーマに即した意見にはなっています。つまり、このコメントでとりあえずは「間に合った」ということになります。詳しくないなら、ないなりに、一般的な感想でもいいのでいったん間に合わせておくと、いたたまれない感じにはなりません。


■4.「知らない」の後に言葉をつなげる
 日本人は空気を読むので、相手がやめてほしいと思っている話題について、それ以上話そうとはしません。あまりに続くと、その人と話したいと思う気持ちもなくなるでしょう。
 本人としては「知らない」という事実を伝えただけでも、相手には会話拒否と受け取られてしまう。それで友人知人関係が薄れていくとしたら、非常にもったいないことですね。
「知らない」の後に言葉をつなげないのは、会話ではとても危険です。
 知らなくても、せめて興味をもつくらいの意思表示をしたら、会話はつながっていきます。
 もし、「知らない」の後に続ける言葉が見つからないときは、「何それ、何それ、何それ」と3回繰り返して言うと、たいてい間に合います。3回繰り返すと、相当食いついている感じが伝わります。


■5.要約の肩慣らしに「縮約」をしてみる
 要約の"肩慣らし"として、「縮約」をしてみるといいと思います。縮約とは、もともと使われている言葉だけを使って字数を短くして要点をまとめるということ。このときに、自分の言葉を一切足さないのがポイントです。200字くらいの新聞記事だったら、4分の1の50字に縮約してみる。そのプロセスには、言葉を削る作業が必要になってきます。
 やり方として、まずはざっと半分の100字に縮めます。それから「この言葉はなくても意味が通じる」とか「この形容詞はいらない」というふうに、80字、70字……と削っていきます。縮約に慣れてくると、必要な言葉と不要な言葉の区別がつくようになるので、ぜひやってみてください。


【感想】

◆本書の序章では、「知識と言葉のマトリックス」なるものが登場します。

これは「知識の多い/少ない」を縦軸に、「言葉にできる/できない」を横軸にした、いわゆる4象限のマトリックスで、実際に再現するとこんな感じ。



このマトリックスにおいて、理想的なのはCの象限、つまり知識があり、会話や言葉にもできる状態でしょう。

しかし、すべてのジャンルについての知識のある人は、まずいません。

そこで、自分のあまり知らない分野については、Dの「知らなくても言葉にできる」人を目指すべき。

つまり、本書で言うところの「間に合っている」人――十分に満ち足りてはいないが、不足しているわけでも困ってもいない人――になるのが望ましいワケです。


◆そこで本書は、続く第1章以降、各章ごとに、最初のページで「どの象限からどの象限を目指すのか」を、このマトリックスを用いて図示。

まず第1章では、 「自分の考えを『言葉化』する」ということで、「知っていても言葉にできない」Aの象限から、「知っていて言葉にできる」Cの象限を目指します。

上記ポイントの1番目は、この第1章から。

齋藤先生いわく、こうした難しい言葉の説明は、長くとも15秒くらいで終わらせるのが目安とのこと。

ポピュリズム以外にも、たとえば「コンプライアンス」なら「法令を順守するという意味で、企業にとっては大事なこと」といった感じで、数秒で説明できます。

なるほどこれは、個人的にもぜひマスターしたいところ。


◆一方、第2章では「すぐにできる、『間に合う』会話力」ということで、「知らなくて言葉にできない」B象限から、「知らなくても言葉にできる」D象限への移行を試みます。

この章では、上記ポイントの3番目にあるような「間に合わせる」力を身につけることがキモ。

ここでいきなり医師が登場しているのは、実際に齋藤先生がコメンテーターとして出席していたテレビの情報番組で、専門医として医療のテーマで説得力のある話をしていた人が、国際政治の話になったとき、居心地の悪そうにしていたことがあったのだそうです。

それを見かねた番組MCが、話を振らないのは失礼だと思ったのか、その医師に話を振ったところ、当然のようにしどろもどろになってしまったのだとか。

つまり本来はCの象限にいたのが、知らない分野ということで、Dに移ろうとしたのに、焦ってしまいBにまでなってしまったわけです。

こういう場合には、この上記ポイントの3番目のように、いったん間に合わせておくのが吉。

さらに本書では、ワンランク上のテクニックとして、間に合わせた上で、自分の専門分野に引きつけてコメントすることを推奨しているのですが、詳しくは本書をご覧ください。


◆続く第3章は「教養を増やす、最強のアウトプット法」と題して、教養を高めていく方法を指南しています。

象限で言うと、BをAに、DをCに、それぞれ上の象限に、つまり「知識を増やす」ことを目指す次第。

ただし、だからと言って「インプット中心」かというとむしろ逆で、情報をアウトプットすることによって、忘却を防ぐというスタンスです。

そこで登場するのが上記ポイントの5番目の「縮約」。

これは言葉自体初めて聞きましたが、どの言葉が重要かを見極めるよい訓練になりそうです。

また、齋藤先生の大学のクラスでは、「この1週間で読んだ本について15秒で発表する」ことを実践されているそうで、たとえば、『嫌われる勇気』ですとこんな感じになるそうな。
「フロイト、ユングと並んで心理学界の三大巨匠と呼ばれるアドラー。アドラーの教えを説く哲学者と悩める青年との対話によって全編描かれている。自分と青年を重ね合わせて、人生について改めて考えた1冊」
……当ブログも、このくらい簡潔にまとめられたら、もっとラクなんですがw(違


◆なお、最後の第4章は、C象限の人、つまり「知っていて言葉にできる」人向けなので、とりあえず割愛。

というか、そういう人は本書を買う必要がないと思うんですがw

当ブログの読者さんにとっては、特に第1章、第2章の「言葉にする」テクニックが、役に立つと感じました。

また自分自身、特定の分野のみ掘り下げてしまう傾向があるので、特に第2章の「間に合わせる」スキルは身に着けたいところ。

第2章には上記ポイント以外にも、「便利な言葉」や逆に「NGフレーズ」も紹介されていますから、ぜひご確認ください。


気の利いたことが言えるようになるために!

「言葉にできる人」の話し方: 15秒で伝えきる知的会話術 (小学館新書)
「言葉にできる人」の話し方: 15秒で伝えきる知的会話術 (小学館新書)
序章 「言葉にできない」を分節する
第1章 自分の考えを「言葉化」する
第2章 すぐにできる、「間に合う」会話力
第3章 教養を増やす、最強のアウトプット法
第4章 「言葉にできる人」の話し方


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【オススメ!】『コミュニケイションのレッスン』鴻上尚史(2013年05月28日)


【編集後記】

◆当ブログでは個別にご紹介していませんが、現在スクウェア・エニックスのコミックスが、「50%ポイント還元」のセールを行っています。



Amazon.co.jp: 【50%ポイント還元】スクウェア・エニックス フェア: Kindleストア

特に『鋼の錬金術師』は、全27巻がすべて「50%ポイント還元」の模様。


ヨメは以前、全部単行本で買っちゃったみたいなんですよね……。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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