2017年05月26日
【目標達成】『小さな習慣』スティーヴン・ガイズ
小さな習慣
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事にて大人気だった自己啓発書。その時にも申し上げたように、まさかダイヤモンド社さんの作品とは思えない装丁が、ちょっと新鮮でしたw
アマゾンの内容紹介から。
小さな習慣とは、毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動。この方法を使えば、すべてのことは、習慣化し、目標を達成でき、夢を叶え、人生を変えることができる。何しろ「小さ過ぎて失敗しようがない」のですから。
なお、中古に送料を足すとほぼ定価並みですから、若干ですがKindle版がお買い得です。
#119/366 Push-ups / bobsfever
【ポイント】
■1.モチベーションを上げたいと思ってはいけない狙いどおりにモチべーションを上げるのは簡単ではありません(ほぼ不可能という場合もあります)。自分自身の経験を振り返ってみれば、思い当たるのではないでしょうか? 疲れているとき、病気のとき、頭が痛いとき、何だか"不調"なとき、あるいはもっと楽しい何かをしたくてたまらないときに、モチべーションを上げるのはむずかしいはずです。結果として手に入るものの大きさに気持ちを集中すれば、自分の行動を変えられると思うのは、私たちがどれほど感情に影響されやすいかを忘れてしまっているからです。思考によって感情を変えるのはむずかしいのです。
■2.目標を小さく設定する
どんなプランでも、目標を小さく殴定することが困難の感じ方を小さくするいちばんの方法です。
いったん始めてしまえば、続けるかどうかはあなた次第です。始めるという最も大変な部分はすでにクリアしているので、その安心感も手伝い、自覚される困難はずっと小さくなるでしょう。物理の法則と同じで、自分を動かすのがいちばん大変なのは、動き始める前の段階です。いったん動きに入ってしまえば、勢いがついて何もかもが楽になります(同時にモチべーションも上がります)。
■3.もっとやりたかったら小さなステップに分ける
最低限の課題をこなしたあとで、もっとやりたいと思ったときには、小さなステップに分けて進むように心がけてください。ただし、いつも目標以上にやろうとは思わないこと。これまで説明してきたように、この方法で課題をつねに小さくしているのは、たくさんの理由があってのことなのです! あなただって目先の利益のために将来のもっと大きな成功を危険にさらしたくはないはずです。もっとも、あなたがすっかり怖気づいて、いつも小さなステップだけで終わらせるようにはなってほしくないので、これだけは言っておきましょう。自分に課す小さな習慣が、紙の上で、そして心の中でも小さく見えるなら、あなたの小さな習慣計画はうまくいっています。
■4.自分への期待値を上げない
小さな習慣をごまかす方法はいくつかあります。まず、最もよくあるのは、「一日に腕立て伏せ1回」などの小さな習慣を選んでおきながら、こっそりもっと多くの回数を自分に求めることです。これだけは絶対忙しないように、本当に注意してください。目標以上の成果を自分に課すたびに、それを達成するための意志の力が必要になるからです。
他の習慣づくりや自己啓発の方法と違って、小さな習慣では弱気になるような要素ははとんどありません。腕立て伏せ1回だけでいいのであれば、成功のじゃまをするものなど何もありませんよね?
■5.強い抵抗を感じたときは、後戻りして小さく考える
あなたは運動をしたいと思っていますが、座り込んだまま、本当のところはやる気になれません。強い抵抗を感じます。あなたはどうしますか? このシナリオでは、あなたは自分のやりたいことをやるために脳をうまく説得できるのであれば、あえて脳と対決したくないと思っています。それなら、感じる抵抗が最小限になるまで、やるべき課題をどんどん小さくして脳に示しましょう。
もしあなたの目標がジムで運動することなら、それをもっと小さくしてジムまで行くことを目標にしてもいいでしょう。本当に調子が悪いときには、洋服ダンスの引き出しを開けるだけで精いっぱいかもしれません。それができたら、今度はトレーニングウェアを取り出して着ることを目標にします。これがばかげて聞こえるとしたら、小さなステップとして成功です! ばかげて聞こえるのは、あなたの脳がゴーサインを出している証拠なのです。こうした"ばかばかしいほど小さい"ステップは、腕利きの泥棒が宝石店で監視力メラやセンサーを避けるように、脳のレーダーをかいくぐります。
【感想】
◆本書を読んだとき、最初に思い浮かべたのは、この本のことでした。脳が教える! 1つの習慣
参考記事:【実践!】「脳が教える! 1つの習慣」ロバート・マウラー(著),本田直之(監修)(2008年07月06日)
実際、具体的に行うアクションとしては、この本に書いてあることとほぼ同じで、とにかく「目標」をなるべく小さくすること。
ただし、この本が出たのは翻訳が2008年ですから原書としては、それ以前でしょう。
結果的に、それ以降の研究で明らかになったことは、収録されていないハズです。
◆そして、その1つであろうことが「自制心」や「意志の力」に関するもの。
たとえば、2010年に「自我消耗(基本的には意志の力や自制心の低下と同じことを意味します)」に関する83の研究についてメタ分析が行われました。
このメタ分析から、自我消耗の原因の上位5つは、
「努力」だとわかったのだそう。
「困難の自覚」
「否定的な感情」
「主観的な疲れ」
「血糖値レベル」
本書の第4章では、これら問題に対して、本書でいうところの「小さな習慣」がどう克服していくのかを明らかにしています。
◆たとえば、「小さな習慣」は、あまりに小さすぎて「努力」を必要としません。
本書の著者であるスティーヴン・ガイズも、毎回挫折していた筋トレの代わりに、「腕立て伏せを1回する」ことを目標に掲げ、それがすべての始まりとなりました。
その日のうちにそれ以上の筋トレを「してしまった」経緯を、彼は自分のブログに書いたところ、それまで書いてきた中で最も反響を呼んだ投稿になったとのこと。
おそらくこのエントリーだと思うのですが。
Take The One Push-up Challenge | Stephen Guise
◆ただし、それ以上できるからと言って、勝手に目標を上げてはいけないのは、上記ポイントの4番目にあるとおり。
また逆に、キツいと感じたら、より小さくする(本書いわく「笑っちゃうくらい」)ということも、ポイントの5番目で指摘されています。
そしてとにかく、ポイントの1番目にあるように「モチベーションに頼らない」というのが、本書のメソッドのキモでしょう。
この「モチベーション」と「習慣」に関しては、本書の第3章を丸ごと費やして解説されていますので、ぜひご一読を。
確かに「モチベーション」に頼ったやり方というのは多いのですが、その日の気分に左右されかねないな、と……。
◆なお、上記では割愛しましたが、本書には「ハイブリッド版」として、2つの選択肢(AかB)を決めて、どちらかを毎日する、というやり方も紹介されていました。
また、習慣づくりの進行状況をチェックするためのスマホ用アプリも、iOS用とアンドロイド用でそれぞれ掲載されています(全部英語版なのですが)。
いずれにせよ、ダイエットや運動、さらには勉強や読書等、「習慣化」することで効果が望める分野なら、本書のメソッドは威力を発揮する予感。
「小さな習慣」という考え方自体は極めてシンプルですが、その仕組みから留意点、具体的な取り組み方等々、本書はかなり掘り下げているのがありがたかったです。
身につけたい「習慣」がある方なら、一読をオススメ!
小さな習慣
第1章 小さな習慣とは何か?
第2章 脳を味方にする効果的な方法
第3章 モチベーションとわずかな意志の力
第4章 小さな習慣を成功させるための心構え
第5章 小さな習慣はなぜ優れているのか
第6章 大きな変化をもたらす「小さな習慣」8つのステップ
第7章 「小さな習慣」を失敗させない8つのルール
【関連記事】
【実践!】「脳が教える! 1つの習慣」ロバート・マウラー(著),本田直之(監修)(2008年07月06日)【習慣】『良い習慣、悪い習慣: 世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法』ジェレミー・ディーン(2014年09月07日)
【スゴ本!】『やってのける 〜意志力を使わずに自分を動かす〜』ハイディ・グラント・ハルバーソン(2013年09月24日)
【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)
【オススメ!】『スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル(2012年11月02日)
【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。メンタル・タフネス 成功と幸せのための4つのエネルギー管理術
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