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2017年05月12日

【働き方】『完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか』米村 歩,上原 梓


完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか
完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事でも注目を集めていた1冊。

私自身、会社員時代は残業漬けの日々を送っていたので、なかなか考えさせられるものがありました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
月200~300時間の残業が当たり前だったブラック企業は、どうやって「残業ゼロ」「ホワイト企業アワード受賞」を達成したのか?
・「終電が当たり前」→「残業ゼロ」に変わったわけ
・「勤務時間を減らしても売上アップ」の謎
・絶対残業をせずにすむ効率的な働き方
など、仕事の効率をグッと上げ、仕事もプライベートも充実させる秘訣が詰まった一冊です!

なお、Kindle版なら、「70%OFF」という値引き率ですから、お気軽にどうぞ!





Hard working / Holidayextras


【ポイント】

■1.革命当日に敢行したシンプルなこと
 そしていよいよ2012年10月1日。革命記念日となるこの日、私が実際に行ったのは、大変シンプルなことでした。
 とにかく帰らせる。
 え? それだけ? と拍子抜けに思った方がほとんどでしょう。しかし私は、この「帰らせる」ということを、社員が自主的に行えるようになるまで徹底してやり抜いたのです。
 まず、18時になったら強制的にPCの電源を落とさせます。「どうしても今日中に送らなきゃいけないメールがあと1通あるんです!」という状況でも、「明日、先方に謝りなさい」と決して許さない。打ちかけのメールも最後まで書き続けることは許さず、電源オフです。
 システム会社ならではの手も打ちました。アクシアでは、1日の業務の最後に日報を打つことになっていますが、打っている最中に18時になると、「残念でした、また明日!」と表示され、途中まで打っていた日報が消えてしまうというシステムを自社で組み、導入したのです。


■2.残った仕事は役員が代わる
 実は私は、事前にこう宣言していました。
「役員には残業という概念がないので、我々だけは残業します。みんなが就業時間内に終えられなかった仕事は役員で全て引き受けるから。全員分の仕事を役員が引き受けるんだから、みんなが効率的に進める努力をしてくれないと、俺たち死んじゃうかもよ?」
 ちなみに役員は、社長である私と、パートナーである専務の松川の2名のみ。社員全員分の残業を引き受けたら、リアルに死にかねません。
 これは大変効果がありました。上司に仕事を頼まなければならないという気まずさが、社員たちの効率化を一気に進めたのです。それまで無意識に行っていたネットサーフィンやくだらないおしゃべりなどの時間を削減しないと、役員2人に負担を押し付けることになる、というプレッシャーが社員の意識を変えたのでした。


■3.残業ゼロへの4つのステップ
 まずはひとつ質問させて下さい。
 その仕事は、本当にあなたでないとできない仕事でしょうか?
 残業をゼロにすることは、「これは本当に自分にしかできない仕事なのか」と突き詰めて考え抜く作業なのです。
 私は残業ゼロを達成するために、以下の4つのステップを踏みました。
1.仕事の見える化
2.仕事を無くす
3.仕事の自動化
4.仕事の標準化
 この4つに力を注いだことで、徹底的に業務が効率化され、残業ゼロを達成することができたのです。


■4.メールアドレスを共有することによる2つのメリット
 メールアドレスの共有には、大きく2つのメリットがあります。 まず、クライアントへの対応スピードが上がります。 例えばクライアントから緊急の連絡が入った時に、担当だけに連絡が行くような形を取っていると、担当がメールを確認できない場合には、対応が遅れてしまいます。しかし複数の社員が同じメールを一斉に受信すれば、すぐに処置の体制を整えることができるのです。(中略)
 メールアドレス共有のもう1つのメリット。それは、クレームの共有ができることです。個別のメールアドレスにクレームが送られると、社員の中には自分のミスの発覚を恐れ、それを隠蔽し、自力で何とかしようと考える者が出てきます。(中略)
しかし、共有メールアドレスを導入した現在では、クレームの存在は隠しようがありません。


■5.ルーティンワークを極力自動化する
 例えばメールを打つ時に、毎回必ず「大変お世話になっております」か「お疲れ様です」と打ちます。それを、効率良く打つために、「お」と打てば「お疲れ様です」と変換候補が出るように登録している方は、割と多いのではないでしょうか? これも自動化の一つです。
 会議のスケジュールを合わせること一つにしても、出席者ひとりひとりに電話やメールで何度も連絡して調整をしているケースもあれば、Googleカレンダーなどのツールを使ってメンバーの予定のすき間にアポイントメントを入れ、自動的にメールが飛んで調整が終わる、というケースもあります。
 自社のルーティーン・ワークが何なのかを意識し、それに対応できるツールが無いのか、アンテナを張ることが重要なのです。


【感想】

◆私は業界が違うので知らなかったのですが、いわゆるシステム会社というのは、「長時間残業」が当たり前の世界なのだそう。

本書の著者である米村さんが、新卒で入られた会社もその例に漏れず、「1ヶ月200〜300時間の残業は当たり前」であり、「36時間連続勤務」や「泊まり込みでの作業が突然発生する」ことも珍しくなかったのだそうです。

もはや完全に「ブラック企業」もいいところ。

ところが、その働き方に疑問を抱いていなかった米村さんは、フリーランスのエンジニアを経て、自ら立ち上げた会社「アクシア」でも、同じような体質にしてしまいます。

結果、「毎月の残業が200〜250時間、休日出勤も当たり前のブラック企業」の出来上がり。

当然社員たちからは不満が続出するのですが、米村さん自身は、この状態でありながら「日々の激務をこなしながらも、時間外にはスキルアップのための勉強をしてほしい」と思っていたのだそうです。


◆ところが「社内唯一のWebデザインのスペシャリストである女性」が、長時間労働に耐えかねて退職希望を提出したことで、米村さんも考えを変えることに。

それが本書のタイトルでもある「完全残業ゼロ」です。

そしてその方策というのが、上記ポイントの1番目にある「とにかく帰らせる」!?

確かに電通も、例の残業問題の時には、いきなり「10時消灯」になりましたが、アクシアは6時ですから社員は大変です。

ただし、上記ポイントの2番目にあるように「残りは役員が」というバックアップ(?)を用意。

……と言っても、上記にもあるように、皆、おいそれとは頼みにくいですから、結果的に社員の「意識改革」につながったわけです。


◆もちろん、ただ単に「早く帰れ」というだけでなく、「仕組み作り」もありました。

それが上記ポイントの3番目による「業務の効率化」です。

ちなみに上記ポイントの4番目は、「1.仕事の見える化」の中の1つ。

また、上記ポイントの5番目は、「3.仕事の自動化」からになります。

「IT業界だからできたのでは?」という指摘に対応して、他の業界の例(不動産仲介業者)も収録していますから、そちらもご参考にしてみてください。


◆もっとも、会社全体として取り組めたことが、大きな勝因ではありますから、ぶっちゃけ「経営層」でないと、ここまでの対応は難しいでしょう。

とはいえ、1つ1つのTIPSとしては実践可能なもの(「ルーティンワークの自動化」等)もありますから、一般ビジネスパーソンにとっても、本書は一読の価値があると思います。

ただし、本自体のページ数は少なめで、オンデマンドの単行本だと104ページしかありませんのでご留意を。

これで1080円というのは、オススメしにくいので、やはり「70%OFF」であるKindle版一択かな、と。


「残業ゼロ」を実現化するために!

完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか
完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか

第1章 社畜の魂百まで?
第2章 まさに劇薬! 残業ゼロの薬効とは! ?
第3章 あなたの会社でもできる! 残業ゼロへの4つのステップ
第4章 ホワイト企業の向こう側へ


【関連記事】

【残業しないための6つの方法】『残業ゼロの「1日1箱」仕事術』佐々木正悟(2009年06月04日)

【時間術】『残業をゼロにする「ビジネス時間簿」』あらかわ菜美(2008年12月03日)

【トヨタ式】『トヨタの段取り』(株)OJTソリューションズ(2015年10月17日)

【仕組み化】『自分とチームの生産性を最大化する 最新「仕組み」仕事術』泉 正人(2017年04月21日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

ヤバい統計学
ヤバい統計学


ちょうど先日、はてなホッテントリでも、TDLの「ファストパス」の記事が上がっていた(タイトルは煽り気味ですが)ので、より深くお知りになりたい方は要チェック!

ディズニーランド「ファストパス」で待ち時間は短くならない | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

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参考記事:すぐに使える『ヤバい統計学』テクニック7選(2011年03月05日)


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