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2017年04月30日

【科学的自己啓発書】『その科学があなたを変える』リチャード・ワイズマン


その科学があなたを変える
その科学があなたを変える



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「GW文春祭り」の中でも気になっていた1冊。

当ブログで推しているジャンルである「科学的自己啓発書」の流れを汲む作品ですから、レビューしないわけにはまいりませぬ。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
突然ですが、鏡に向かって大きく笑顔を作り、20秒保って下さい。……なんだか、幸せな気持ちになってきたでしょう? 幸せ→笑顔ではなく、その逆。まず幸せか「のように」笑顔をつくれば、幸せになるのです。
ほんとかいな? と思うなかれ。実はこの「〜のように行動する」ことで気持ちが変わる現象は、心理学の発祥以来、数々の実験で実証されてきたことなのです。幸福感、やる気、恋愛、説得力、若々しさ――あらゆる心のもちように効果満点。本書はこれを「アズイフ(のように)の法則」と命名し、豊富な実例で説明します。超実践的なこの法則で読者の人生を変える、科学的自己啓発の快著!

「24%OFF」&「50%ポイント還元」のおかげで、Kindle版が700円以上お買い得です!





Businessmen shaking hands / reynermedia


【ポイント】

■1.握手はゆっくりなめらかに
 コッホは実験者たちを集めて2つのチームに分け、それぞれにちがう握手の仕方を教えた。なめらかに流れるような握手と、握った手を大きく上下に動かす硬い感じの握手である。そのうえで実験者チームは、50人ほどの被験者の手を握った。握手のたびに、コッホは毎回被験者に感想を訊ねた。結果は驚くべきものだった。なめらかな握手を経験した被験者のほうがはるかに幸せを感じ、実験者に対して好意をもった。なめらかな握手は、被験者に幸せと結びつく行動をとらせる。そのため握手した被験者は気分が良くなり、会ったばかりの実験者に好感を抱いたのだ。


■2.部屋を暗くすると恋が生まれやすい
 この2回の実験で、ガーゲンは普通のカメラと赤外線カメラを使って部屋の中の様子を記録すると同時に、終わったあとで参加者全員に話を聞いた。この実験結果を、『闇の中での大胆行動』と題する論文にまとめ、部屋が明るいときは参加者の中で相手の体にさわったり、たがいに抱き合ったりした例は皆無で、性的に興奮した割合は30パーセントだったと報告している。だが、部屋を真っ暗にしてみると、状況は大きく変化した。このときは参加者の90パーセントがたがいにさわりあい、80パーセントが性的興奮を覚えていた。しかも、暗い部屋にいた場合は、自分の人生で大切なできごとについて語りだす傾向が強く、おたがいを魅力的に感じる度合いもきわめて高かった。


■3.カタルシス療法は怒りを解消しない
ストラウスは簡単な実験を行った。もしカタルシス理論が正しいとすれば、しじゅう言い争っている夫婦は、肉体的暴力はあまり振るわないはずである。そして夫婦に直接話を聞いても、自分たちのいがみあいについて正直に話すとは思えない。そう考えたストラウスは、自分が教えている学生たちに、両親がたがいに言葉や肉体で暴力をふるう度合をひそかに観察してもらった。そのあとで、300人を超える学生がアンケートに答えた。質問の内容は、何か問題が生じたとき、両親は前向きに話し合おうとするか、言い争いになって怒鳴り散らしたあげく部屋から飛び出すか、肉体的暴力を振るい、物を投げつけたり相手をなぐったりするか、などだった。
 ストラウスが結果を分析してみると、明確なパターンが浮かび上がった。日頃から口論をしがちな夫婦ほど、肉体的暴力へ発展しやすい。ジェームズが予言したとおり、叫んだり怒鳴ったりする行為はカタルシスにならず、怒りをいっそう掻き立ててしまうのだ。


■4.報酬システムは長期的には効果がない
 実験から汲み取れることは明確だ。子ども、喫煙者、車の運転者にいくら報酬をあたえても、結果としては彼らに読書、禁煙、シートベルトの着用が嫌なことであるかのように行動させてしまう。そのため報酬が出されなくなると同時に、目的の行動は終わりを告げるか、以前より状態が悪化する。短期的には、報酬システムは効果を上げる可能性がある。だが、長い目で見た場合、多くの企業が実践しているように特典やキャンディ、ギフト、ボーナスなどを渡しても、こうした動機づけがストップしたとたん、人のやる気は跡形もなく失せてしまう。


■5.自分の弱点を左手で書くと自信がアップ
ブリニョルは筆跡の実験と称して参加者を集め、自分の良い点と悪い点を、それぞれ利き手とその逆の手で書いてもらった。そのあとで自信度をあらためて訊ねると、参加者が感じる自尊心と自信度の点数が上がっていた。
 利き手と逆の手で書いた場合、文字の線は乱れがちになる。つまり、被験者は自分の言葉に自信がないかのような行動をし、それをみずから目撃する。その結果、プラスの特徴を利き手と逆の手で書けば被験者の自信度は低下する。だがマイナスの特徴を利き手と逆の手で書くと自信度が高まり、やる気がでるはずだ。実験者はそう予測し、結果もその通りになった。


【感想】

◆本書のメインテーマは、冒頭の内容紹介でも触れられているように「〜のように行動する」ことが、私たちにどのような影響を与えるか、ということ。

通称「アズイフの法則」(以下「アズイフ」と略します)と呼ばれるこの仕組みは、実はその現象面だけなら、当ブログでもいくつかご紹介してきました。

たとえば本書の第1章では「アズイフ」で「幸せ」を生み出す方法として、「笑顔になること」を推奨。

類書でもよく見られるこのTIPSは、実は1960年代にジェームズ・レアードという学者によって実験されて、その効果が認められていたのだそう。

上記ポイントの1番目の「なめらかな握手」も、ある種の「運動」が相手に「幸せ」を感じさせる結果であり、日常的に握手を行う欧米では、その効果も高そうです。


◆続く第2章でも、「愛」に「アズイフ」が効果をある証拠を列挙。

実はここだけでモテネタの記事が1本書けるくらい、たくさんのTIPSがあったのですが、最近の当ブログの傾向を鑑みて自重しました。

また今回は割愛しましたが、俗に言う「吊り橋効果」も、「ドキドキしている」という体の状態を「恋心」と勘違いするところから起きるものであり、これも一種の「アズイフ」です。

さすがに「吊り橋」や似たような効果のある「ジェットコースター」だと、それなりにハードルが高いですが、それに比べたら上記ポイントの2番目の「暗やみ」なら比較的実践しやすいかと。

さらに、人質が犯人に好意を抱く「ストックホルム症候群」も、犯人にある程度の優しさを示された場合に限られることから、「自由を奪われた恐怖感を相手に対する好意と誤解して起きる」と指摘されていました。


◆一方、第3章の「その科学が悩みを変える」で「目からウロコ」だったのが、上記ポイントの3番目の「カタルシス療法」のお話。

これはもともとはフロイトの主張であり、彼は「激しい怒りは暴力的思考が抑圧されるために生じるのであり、安全な代償行動で激情が解放され、浄化がおこなわれれば解消できる」と考えていました。

具体的には「サンドバッグを叩く、叫ぶ、悲鳴を上げる、足を踏みならす」等々。

それに対して、「アズイフ」の創始者であるウィリアム・ジェームズは、それに真っ向から対立し、「人が怒るのは怒ったかのような行動をするためであり、フロイトのカタルシス療法は、怒りをかえって増大させる」と主張します。

現在ではジェームズの主張が正しいことが証明されており、上記ポイントの3番目の実験のほか、本書ではいくつかの実験や研究が掲載されていますので、気になる方はそちらでご確認を。

実際、サンドバッグを殴っていると、いっそう怒りがつのるらしいので、何かに当たる傾向のある方はご留意ください。


◆また、上記ポイントの4番目は第4章からなのですが、「報酬システム」に関しては類書でも数多く検証されていますのでここでは割愛。

そして興味深かったのが、第5章の「その科学が説得力を変える」で、ここでは事例として朝鮮戦争後に「北朝鮮に残りたがったアメリカ兵」について言及されています。

ちなみにこのケースは、あの『影響力の武器』で、「コミットメントと一貫性」の1つとして紹介されているもの。

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか


参考記事:【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)

なるほど、これこそまさに「アズイフ(『〜のように行動する』)」であり、どうしてアメリカ兵が自然に信条を変えていったかがよくわかりました。


◆以上のように本書は、基本的にほぼすべての論点において研究等が明示されおり、巻末の参考文献にぎっしりまとめられているという仕様。

……Kindleだと適宜リンクしてそちらに飛べるので、こういう本は単行本よりKindle版が便利ですね(参考文献はすべて英語ですがw)。

一部下記参考文献とネタかぶりをしていますが、本書の原本が出たのはこれらより前かもしれませんので、本来こちらが先だったのかもしれません。

いずれにせよ、久々に大量にハイライトしまくった(約50か所)くらいですから、今回のセールではなく出た当時に読んでいたら、激賞しまくっていたヨカンw

それが「50%ポイント還元」なんですから、この手の本が好きな方なら見逃せないと思います。


これはオススメせざるを得ません!

その科学があなたを変える
その科学があなたを変える

第1章 その科学が幸せを変える
第2章 その科学が愛を変える
第3章 その科学が悩みを変える
第4章 その科学がやる気を変える
第5章 その科学が説得力を変える
第6章 その科学があなたを変える


【関連記事】

「その科学が成功を決める」がもっと評価されるべき5つの理由(2010年03月23日)

【オススメ】『「首から下」で考えなさい』シアン・バイロック(2015年07月17日)

【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)

【スゴ本】「影響力の武器 実践編」がやっぱりスゴかった件(2009年06月10日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

プロフェッショナルマネジャー  〜58四半期連続増益の男
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プレジデント社さんのセールではおなじみの1冊。

ただ「58%OFF」と健闘はしているのですが、ギリギリ中古の方がお得ではあります。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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