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2017年04月28日

【問題解決】『SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法』ジェイク・ナップ,ジョン・ゼラツキー,ブレイデン・コウィッツ、他


SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法
SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日ではなくその前の「未読本・気になる本」の記事にて大人気だった作品。

既に土井英司さんがメルマガでとりあげてらっしゃったので、ご存知の方も多いと思います。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
グーグルで開発された究極のスピード仕事術「SPRINT」。
本書はグーグルとGV(グーグルベンチャーズ)の「成功の秘密」ともいうべきその驚異のノウハウを、世界の誰もが使えるように、開発者自身が徹底して具体的に紹介した、極めて貴重な一冊だ。

なお、低評価レビューの理由の大半が、「Kindle版が固定レイアウトだから」だったのですが、現在は差し替えられて通常のKindle形式とのことですから、買い控えてらしたかたもぜひ!





Google Ventures Startup Lab / kowitz


【ポイント】

■1.「SPRINT」のアウトライン
月曜日に問題を洗い出して、どの重要部分に照準を合わせるかを決める。
火曜日に多くのソリューションを紙にスケッチする。
水曜日に最高のソリューションを選ぶという困難な決定を下し、アイデアを検証可能な仮説のかたちに変える。
木曜日にリアルなプロトタイプを完成させる。
金曜日に、本物の生身の人間でそれをテストする。


■2.「どうすればメモ」という魔法の杖をふる
 まず1人ひとりがヒアリングのメモをとる。1つのことがらにつき1枚のふせんを使う。終わったら全員のメモを集めて整理し、一番興味をそそる数枚を選ぶのだ。選ばれたメモは、マップのどの部分をターゲットにするかを決めるときの参考になるし、火曜日のスケッチのアイデアにもなる。
 この手法のポイントは、「どうすれば……」から始まる質問のかたちでメモをとることにある。たとえばブルーボトルなら、「どうすれば、カフェの体験を再現できるか?」「どうすれば、コーヒーを新鮮なうちに届けられるか?」など。
 さて、「どうすれば(ハゥ・マイト・ウィー)」なんて耳慣れないフレーズにいらつく人がいるのは知っている。(中略)
 だが実際にやってみると、何通りもの答えが考えられる前向きなフレーズから始めることで、問題にとらわれたり性急に解決策を求めたりすることなく、機会や挑戦に自然に目を向けられるようになった。それにどの質問も同じ形式だから、壁一面のメモを一気に読んで、理解し、評価できるのだ(それが夕方にやるエクササイズだ)。


■3.異なる分野からひらめきを得る
 ブルーボトルは、顧客が気に入ったコーヒーを探す手伝いをしたかった。でもコーヒー豆の見かけはどれも同じだから、写真を載せても助けにならない。チームは使えるソリューションを求めて、洋服からワインまでのあらゆるオンラインショップの光速デモを行い、風味や香り、口当たりといった感覚的な情報を表現する方法を学ぼうとした。
 最終的に、最も参考になったのは、チョコレートバーの包装紙だった。(中略)
 ブルーボトルのチームはこのラべルを見てひらめいた。そしてソリューションスケッチでアイデアをつくりかえ、ブルーボトルのコーヒー豆を簡単なキーワード(リッチ、チョコレート風味、ほっとする、など)で説明する、というソリューションを生み出した。


■4.最も成功する「4段階スケッチ」
「4段階スケッチ」は、いまあげた重要な要素をすべて盛り込んだものだ。
 まず最初に、部屋中に貼り出されている目標や機会、インスピレーションを見てメモをとり、20分間で自分を「起動」する
 それから20分間で大まかなアイデアを書き出す。
 次は頭を柔らかくして、「クレイジー8」と呼ばれるラピッドスケッチ(速描き)で、アイデアのバリエーションを考え出す。
 そして最後に、30分かそれ以上かけてソリューションスケッチを描く。ソリューションスケッチは、詳細をきちんと詰めた、1つの筋の通ったコンセプトだ。


■5.プロトタイプをつくる「正しいツール」を選ぶ
・「画面」で見せるもの(ウェブサイト、アプリ、ソフトウェアなど)――キーノートやパワーポイント、またはスクエアスぺースのようなウェブサイト作成ツールを使う。
・「紙」で見せるもの(報告書、カタログ、チラシなど)――キーノート、パワーポイント、またはマイクロソフトワードなどのワープロソフトを使う。
・「サービス」(カスタマーサポート、顧客サービス、医療など)――台本を書き、スプリントチームを役者に使う。
・「物理的空間」(店舗、会社のロビーなど)――既存の空間に手を加える。
・「モノ」(工業製品、機械装置など)――既存の製品に手を加える、プロトタイプを3Dプリントする、キーノートやパワーポイント、適当な画像を使って販促資料のプロトタイプをつくる。


【感想】

◆本書を読んだとき、最初に頭に浮かんだのが、この本でした。

7日間起業――ゼロから最小リスク・最速で成功する方法
7日間起業――ゼロから最小リスク・最速で成功する方法


参考記事:【起業】『7日間起業――ゼロから最小リスク・最速で成功する方法』ダン・ノリス(2016年11月28日)

日数的にも(本書は5日間ですがw)、プロトタイプ的なものを作るのも同じです。

ただし、「7日間起業」は、何もない状態から起業し、徐々にビジネス規模を大きくしていくのに対して、この「SPRINT」はすでにあるビジネスの問題点を解決したり、アイデアを検証するためのもの。

似ているようですが、「SPRINT」の方がより汎用性が高いと感じました。


◆また「7日間起業」は、出来上がったものをとりあえず「ローンチ」して、実際の顧客の反応を確認するのに対して、「SPRINT」が作るのはあくまで「プロトタイプ」であり、反応を確認するのも、顧客ではなく、選ばれたテスターです。

ちなみに、このテスターは5人で大丈夫なのだそう。

本書にはその理由が書いてあるのですが、ニールセン調査で知られるヤコブ・ニールセンが調べたところによると「問題の85%が、たった5人のインタビューで発見されていた」のだとか。

「SPRINT」でこの「5人へのインタビュー」を行うのは、上記ポイントの1番目のスケジュールでは、最終日である金曜日になります。

要は、皆で検討して作り上げたモノ(サービスを含む)を、「仮想顧客」に試してもらい、その反応を確認してブラッシュアップにつなげる仕様。

なお、インタビュールームでインタビュアー同席の上、テスターが実際に使っている様子を、別室のライブカメラで全員が確認します。

そこでスプリントチームは、「現実」に直面し、場合によっては「阿鼻叫喚かつ目からウロコ」の体験をするという……。


◆そしてこの「SPRINT」から生まれたサービスやプロダクトは、実は私たちの日常生活にも存在しています。

元々Google内で始まったものだけに、Crome、グーグルサーチ、Gmail、アドセンス等々は、「SPRINT」がまだグーグル・ベンチャーズに移る前からかかわっていました。

さらには、以前当ブログでも何度かご紹介している「Slack」も、「技術系企業以外の顧客に説明するにはどうすればいいか?」という問題を解決するために「SPRINT」を実践。

また、上記ポイントの2番目や3番目に登場する「ブルーボトルコーヒー」は、リアル店舗ではなくオンラインのお話で、日本のサイトでは反映されていないようですが、今後目にするようになるのかもしれません。

こうした実際の企業の具体例(失敗した場合には匿名でw)も、TIPSと併せて読めるのが、本書の優れたところだと思います。


◆とはいえ、「SPRINT」がその効果を発揮するのは、すでにあるモノやサービスの問題解決ですから、タイトルにある「仕事術」というのは、ちと違和感がw

元々の原題が『Sprint: How to Solve Big Problems and Test New Ideas in Just Five Days』ですからねぇ……。

Sprint: How to Solve Big Problems and Test New Ideas in Just Five Days (English Edition)
Sprint: How to Solve Big Problems and Test New Ideas in Just Five Days (English Edition)


ただ、その原書の本国での評価は、すさまじく良い模様。

Sprint: How to Solve Big Problems and Test New Ideas in Just Five Days: Jake Knapp, John Zeratsky, Braden Kowitz: 9781501121746: Amazon.com: Books

実践したり活用できる方は、それほど多くないと思いますが、「ビジネスモデル好き」「アイデア好き」「クリエイティブ好き」等々の方なら、きっと楽しめると思います。


短期間で問題解決できる「スゴ技」がここに!

SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法
SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法

■Introduction:スプリントとは何か?

■SET THE STAGE:準備をする
第1章 「課題」は何か?
第2章 「オーシャンズ7」を決める
第3章 「時間」と「場所」を確保する

■MONDAY:目標を固める
第4章 「終わり」から始める
第5章 「マップ」をつくる
第6章 「専門家」に聞こう
第7章 「ターゲット」を決める

■TUESDAY:思考を発散させる
第8章 「組み替え」と「改良」に徹する
第9章 「スケッチ」する

■WEDNESDAY:ベストを決める
第10章 「決定」する
第11章 「ガチンコ対決」をする
第12章 「ストーリー」を固める

■THURSDAY:幻想をつくる
第13章 「フェイク」する
第14章 「プロトタイプ」をつくる

■FRIDAY:テストをする
第15章 「現実」を知る
第16章 「インタビュー」をする
第17章 「学習」する

おわりに:仕事のやり方が根本的に変わる


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【デザイン思考】『クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』デイヴィッド・ケリー,トム・ケリー(2017年01月25日)

【オススメ!】『インサイドボックス 究極の創造的思考法』ドリュー・ボイド,ジェイコブ・ゴールデンバーグ(2014年05月15日)

【起業】『ジャスト・スタート 起業家に学ぶ予測不能な未来の生き抜き方』レオナード・A・シュレシンジャー,チャールズ・F・キーファー,ポール・B・ブラウン(2013年08月06日)

【オススメ】『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』ピーター・シムズ(2012年04月05日)


【編集後記】

◆昨日でセール期限が到来した「幻冬舎文庫の春まつりセール」ですが。

【324円均一再び!】「幻冬舎文庫の春まつりセール」開催中です!

現在、「ポイント還元」に移行して「実質324円」にて引き続き行われているようです。

ただ、これもいつまで続くのか分かりませんし、今までの傾向からして数日で完全に終了しますから、お買い忘れになった方はお早めに!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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