2017年04月26日
【メンタルスキル】『心を静める 大事な場面で実力を120%発揮する方法』藤平信一
心を静める 大事な場面で実力を120%発揮する方法 (幻冬舎文庫)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「幻冬舎文庫の春まつりセール」で、個人的に気になっていた1冊。いよいよこのセールも明日までということで、あわてて読んでみたのですが、予想以上に奥深く、思わずハイライトしまくってしまいました。
アマゾンの内容紹介から。
人は「心が静まった状態」でこそ本来の力を発揮し、正しい判断ができる。だが、緊張や重圧に心は乱れやすい。では、どんな状況でも自然体を保ち、実力を出し切るには―? 世界で合氣道を指導する著者が、心の乱れを静める意識の向け方や呼吸法、姿勢のつくり方を伝授。勝負強い人になるための秘訣が満載。メジャーリーガーへの指導体験記も収録。
なお、出た時期の割には文庫本も単行本も中古が高いため、送料を考えればKindle版の方がお買い得です!
Aikido / Darij & Ana
【ポイント】
■1.「心身一如」と「心身分離」心と身体が一つになっている状態を「心身一如」と言います。一方で、心と身体が別々になっている状態を「心身分離」と言います。
日常生活の身近な例で考えてみましょう。
何かを行うときに、心で「やりたくないな」と思いながら身体を使うことがあります。心を目標にはっきり向けず、何となく身体を使っている状態です。(中略)
一方で、心で「やってみたい!」と思いながら身体を使うことがあります。自分の好きなことなどは特にそうですね。心を目標にはっきり向けて身体を使っている状態です。そういうときは、疲れを感じず、能率も良く、時間はあっという間に経ちます。何より楽しいですね。この状態を「心身一如」と言います。「自分はできる」と信じて取り組むのも、同じく心身一如の状態です。
心身一如の状態だからこそ、持っている能力を最大限に発揮できるのです。
■2.足の先端まで心を通わせる
さて、それではなぜつま先立ちをして踵を下ろすことで姿勢が安定するのでしょうか。実は、心の使い方がポイントなのです。
つま先立ちで自然に安定するためには、足の先端まで心が通っていなければいけません。つま先立ちで安定した後に踵を静かに下ろせば、足の先端まで心が通っている姿勢になります。だから安定するのです。人に与える印象も良い姿勢です。(中略)
手の長さを測るときは、肩口からどこまで測りますか。指先までですね。一方で足の長さを測るとき、いわゆる足が長い短いというときの長さは、どこまで測るでしょうか。手の長さとは違い、踵までという人が多くいます。そこで私は「それでは踵から先は何ですか」とおたずねするのですが、もれなく付いてくるおまけではありません。足とは、足先までを指します。身体のすみずみ、つまり足の先端まで心が通っているのが自然なのです。
■3.氣の呼吸法
まず初めに行うのは、息を静かに吐くことです。ここではまず、口から息を吐いてみましょう。(中略)
口の形は「あいうえお」の「あ」の形で、「ハァ〜」という静かな音で息を吐きます。このとき、長く吐くことや上手に吐くことを目的にすると力が入ってしまうので、ただ静かに楽に吐くことを心懸けて吐いてみましょう。(中略)
息を静かに吐き、吐くに任せて静まるようになれば合格です。吸う方を行いたくなる方もいると思いますが、まずは静かに楽に息を吐けるようになることを訓練してください。それができれば、息を吸うことも楽にできるようになります。
息を吸うときは、鼻先から花の香りをかぐように吸います。吐くときと同様に、吸い終わりが重要で、吸うに任せておくと息は次第に静まってきます。
■4.息を吹いてマイナス思考を吹き飛ばす
息を吹くことで、「マイナスな観念が全て吹き飛んで、プラスの観念に変わる」と自分の中で決めてしまうのです。大事な場面だけでやるのでは効果がありません。日頃から自分の中に、そういう回路をつくっておくのです。(中略)
現代で言えば、失敗を想定して備えるのはプラスですが、「失敗したらどうしよう」とただ悩むのはマイナスです。一度、「失敗したらどうしよう」と考え始めると、それを払拭するのは難しいことです。前の失敗を引きずることもあります。そういうときに、マイナスな観念を吹き飛ばして、「これで大丈夫」と自分の中で決めることで、プラスの観念に切り替えることができます。
日常生活で実践する場合は、初めは身近なことから始めます。例えば、誰かから嫌なことを言われるとマイナスな観念になりやすいですね。そのときがチャンスです。その場でフッと息を吹いて、「これでプラスになった」と心で決めてしまいます。それが習慣となると、息を吹くだけでプラスの観念に変わるという何とも便利な状態になります。
■5.学ぶためには「素直」でいる
物事を身につける上で最も重要なのは「素直さ」です。素直さとは、人に対して従順であることではありません。また、人の言いなりになることでもありません。相手が伝えることを、自分なりの考えや解釈ではなく、そのままを理解する姿勢です。特に自分が価値を認め学ぶことを決めたことは、素直に学ぶことが上達の秘訣なのです。 (中略)
物事を身につける上で最も重要なのは「素直さ」です。素直さとは、人に対して従順であることではありません。また、人の言いなりになることでもありません。相手が伝えることを、自分なりの考えや解釈ではなく、そのままを理解する姿勢です。特に自分が価値を認め学ぶことを決めたことは、素直に学ぶことが上達の秘訣なのです。
【感想】
◆冒頭の内容紹介でも軽く触れられているように、本書の著者である藤平信一さんは、「世界24カ国、約5万人が学ぶ心身統一合氣道会の会長」を務められている方。そういう武道を究めた方のご本でもよく言及されているのが「姿勢」についてです。
本書では第3章の「正しい姿勢とは」において、この「姿勢」について多くのページを割いて言及。
上記ポイントの2番目もそこからなのですが、実際に本書では、写真入りで解説されているので、より分かりやすいと思います。
ちなみに、一般的に考えられている「正しい姿勢」(「気をつけ」のポーズ等 )だと、誰かが胸の部分に手を当てて、まっすぐ静かに押すと、簡単に動いてしまうのだとか。
一方で、このポイントで述べている「つま先立ちをして踵を下ろす」姿勢だと、非常に安定することに。
なお、この「つま先立ち」の時点でそっくりかえっていると意味がなかったりする……というのも、写真でないとわかりずらいですね。
◆同じく写真抜きだと説明しにくいのが、第4章にある「臍下の一点」。
まず、臍のすぐ下を指先で触り、それに対して下腹に力を入れてみると、力が入ることが分かります。
この「力が入る」ということは、まだ位置が高いということ。
この位置を徐々に下げていくと、やがて力が入らない位置があり、それが「臍下の一点」なんですが、図だとエライ下の方なんですよね……。
この「臍下の一点」とは、「形のある点」ではなくて「意識が定まるための無限小の一点」なのだとか。
よく何かをする際に「下腹に力を入れて……」みたいなお話がありますけど、そもそもそことは違います(「力が入らない位置」ですから)。
さらには、椅子に座った状態での「臍下の一点」は、「仙骨が起きている」のが大事……というのは、やはり本書の写真にてご確認ください。
◆さて、同じく武道でよく出てくるのが、続く第5章の「呼吸」です。
上記ポイントの3番目に中略しまくって書きましたが、丸々1つの章を使って言及しているくらいですから、ここも見逃せないところ。
ただし、他の本で述べられている呼吸法とは結構やり方が違う感じです。
まず、秒数等はいっさい縛りがないこと。
吐く息も吐ききるのではなく「吐くに任せて静まる」ようにします。
それと、吐くときに「口をすぼめる」よう指南している本をいくつか目にした記憶がありますが、本書では「あいうえお」の「あ」の形で、「ハァ〜」と吐く、というのですから、これもかなり違うな、と。
なお、この呼吸に関しては、藤平さんのお父様にして、「合氣道10段」の藤平光一さんのこの本が、今回のセール対象となっていますので、併せてどうぞ。
氣の呼吸法 全身に酸素を送り治癒力を高める (幻冬舎文庫)
◆なお、こうした身体面・動作面とは別に、「教育」や「指導」「しつけ」に関して言及しているのが、本書の最終章です。
上記ポイントの5番目では「素直」であることの重要性について触れていますが、これは類書でも言われていること。
また、部下や子供を叱る際は、感情的にならず「心が静まった」状態で行うことが大事なのだそうです。
……「テレビの見すぎ」「宿題をやってない」等々、ついカッとなって子供を叱ってしまう自分としては反省しきり。
色々な面から学びの多い1冊でした。
セールは明日までですから、お急ぎください!
心を静める 大事な場面で実力を120%発揮する方法 (幻冬舎文庫)
第1章 心と身体の関係
第2章 人生に活かす合氣道
第3章 正しい姿勢とは
第4章 臍下の一点を会得する
第5章 氣の呼吸法
第6章 潜在意識をプラスに変える
最終章 教育に活用する
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【編集後記】
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参考記事:【統計リテラシー】『ナンバーセンス ビッグデータの嘘を見抜く「統計リテラシー」の身につけ方』カイザー・ファング(2015年08月24日)
ご声援ありがとうございました!
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