2017年04月07日
【習慣】『スマート・チェンジ 悪い習慣を良い習慣に作り変える5つの戦略』アート・マークマン

スマート・チェンジ 悪い習慣を良い習慣に作り変える5つの戦略
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日のCCCメディアハウスさんのKindleセールの中でも読んでみたかった1冊。著者のアート・マークマンは認知心理学者であり、2006年から認知科学学会の機関誌「認知科学」編集長を務めるという人物です。
アマゾンの内容紹介から。
目標を最適化して「ゴーシステム」と「ストップシステム」をうまく使えば、習慣は必ず変わる。認知科学の第一人者が「動機付けシステム」を解明し、行動改善を導く。
なお、中古が1000円以上しますから、セール期間中ならこのこのKindle版が600円弱お買い得です!

Diet Time! / Menage a Moi
【ポイント】
■1.行動を変えにくい2つの理由行動をなかなか変えられないのは、習慣づけシステムが働いて、過去にうまくいった行動を無意識に繰り返しがちなせいでもある。まだ何か見返りはあるけれど変えたいという場合は、習慣づけシステムに打ち勝つ必要がある。
行動を変えにくくしているもうひとつの要因は、人が自分にとってゆくゆくはプラスになることよりも今この瞬間の快楽を優先しがちだということだ。その結果、目標達成の系統的な失敗の多くが、将来の自分にとって将来最良のことではなく、今の自分にとって最良のことをしがちな状況に関連している可能性が高い。
■2.ゴーシステムとストップシステム
ゴーシステムはあなたに行動を促さずにはいられない。とにかくそういう仕組みになっているのだ。活性化した目標があり、周囲の環境もその目標と一致していれば、ゴーシステムはあなたが過去にその目標を達成するために取った行動を再び取るように仕向ける。活性化した目標がまだない場合は周囲の環境に関連した目標の覚醒を促す。
ゴーシステムが目標を作動させた場合、行動しないようにするにはどうしたらいいのか。ここでストップシステムが登場する。(中略)
なんだ簡単じゃないかと思うだろう。しかし、あいにくストップシステムの効果はゴーシステムに比べてはるかに劣る。
ストップシステムは精神的な努力を必要とする。自分がやりたくないことをやっていると気づくには、周囲の出来事に注意を払う必要がある。すでにやり始めたことを中止する努力も始めなくてはならない。一方、習慣は努力を必要としないので、習慣のほうがストップシステムより有利になる。
■3.消極的目標を積極的目標に変える
減量の話に戻ろう。普通はまずダイエットを考えるが、それは消極的目標だ。食べる量を減らして間食をやめることを求め、たいてい何をするかではなく何をしないかが焦点になっている。
減量に役立つ積極的目標はいくつかある。ダイエットするより、食べるものの種類を変えよう。あなたが食べ過ぎてしまう高脂肪・高カロリーの食品を突き止め、おいしくて低カロリーで低脂肪の食品をとるようにする。新しい調理法を見つけ、新しい味に挑戦しよう。ほかにも運動など減量に役立つ積極的行動を付け加える。運動以外にもちょっとした活動を日課に加えるよう工夫する。職場で階段を使うことにするとか、毎朝友人が犬を散歩させるのに付き合うとか。こうした積極的目標は将来習慣にできそうな行動をサポートするはずだ。
■4.誘惑から距離を置く
まずは、実際に距離を置く方法だ。(中略)友人たちと一杯飲みに出かけたいけれど飲んで車を運転するのは避けたいというときは、車は自宅に置いてタクシーでバーへ行くか、友人の誰かの車に同乗する。そうすれば帰りは飲酒運転という選択肢はない。
第二に、社会的に距離を置くこともできる。誘惑に直面したとき、友人が同じ状況になったらどうするかを考えれば、誘惑を避けやすい場合もある。駐車場で飲酒運転していいものかどうか迷ったら、迷っているのが友人だったら自分は何とアドバイスするか考えてみよう。(中略)
第三に、時間的に距離を置く。あなたに有利になるように時間を空けるには、誘惑が生じる前に計画を立てておくことだ。バーに向かうときに車を家に置いていくことにすれば、物理的に距離を置くだけでなく、飲んで車を運転するという誘惑が生まれるはるか前に計画を立てておくことを迫られる。時間上の距離も重要なのだ。
■5.正しいフィードバックをする
人は得てして、固定的思考を無意識に強化するようなフィードバックをしがちだ。ダイエット中の友人がパーティーで果物を少しだけ食べているのを見て、あなたは相手にこう言うかもしれない。「わあ、本当に意志が強いんだね。私にはまねできない」。表面的にはほめているようだが、その根底にあるのは意志は固定的で変えられないという考えだ。(中略)
それよりも、固定的マインドセットを強めない肯定的フィードバックをするほうがいい。ダイエット中の友人にはこう言おう。「こんなにいろいろおいしそうなデザートがあるのに、食べずにいられるなんて。秘訣は何」。これなら肯定的なメッセージでありながらも、意志の力は不変だと仮定していることにはならない。それどころか、相手が誘惑にも負けずにダイエットを続けるために一体どんな戦略を使ったのか、すべて話すように促している。この手のフィードバックは、ほとんどの能力ははぐくむことのできる技能だと認める成長的マインドセットを促す。
【感想】
◆今までも「習慣」をテーマにした作品を、当ブログでは何冊かご紹介してきました。それらと内容的には一部かぶるものの、本書の特長は、その「仕組み」から解説しているところかと。
さすが、「認知科学」誌の編集長なだけのことはあります。
続かなかったり、逆に止められなかったり、といった「習慣」の性質についても、腑に落ちる指摘が多々ありました。
◆一方で、具体的なTIPSの言及にも抜かりナシ。
たとえば上記ポイントの3番目の「消極的目標を積極的目標に変える」というのもその1つです。
これは、その上のポイントの2番目にある「ゴーシステムとストップシステム」の仕組みによるもの。
とにかく、何かを「しない」というのは難しいんですね。
私も糖質制限をする際、結局は「糖質を摂らない」ことには変わりないんですが、「積極的に野菜と肉を食べる」よう意識していますし。
◆なお、割愛した中で興味深かったのが「どうにでもなれ効果」と呼ばれるもの。
……本書の原著を翻訳した方の造語だと思ったのですが、ググったら普通に出てくるので、以前から使われていた模様w
これは本書で言う「ストップシステム」で自制できなかったという「最初の小さなつまずき」が、「途方もなく大きな失敗」に変わることを言います。
たとえば、ダイエット中にちょっとしたきっかけでバカ食いしてしまう等々。
*゚゚・*+。
| ゚*。
。∩∧∧ *
+ (・ω・`) *+゚ もうどうにでもな〜れ
*。ヽ つ*゚*
゙・+。*・゚⊃ +゚
☆ ∪ 。*゚
゙・+。*・゚
本書では、単に対処法を列挙するのではなく、仕組みから掘り下げた上で解説していますので、興味のある方はぜひ本書にてご確認ください。
◆一方、本書の最終章では、「自分以外もスマート・チェンジ」と題して、他人の習慣を変える秘訣を指南しています。
上記ポイントの5番目はここからのものであり、引用にもある「固定的マインドセット」と「成長的マインドセット」とは、まさにこの本にあるもの。

マインドセット:「やればできる!」の研究
参考記事:【オススメ!】『マインドセット: 「やればできる!」の研究』キャロル・S. ドゥエック(2016年01月18日)
私自身、ムスコの勉強をみていて、つい点数に「スゴイね!」と言ってしまいそうになるのですが、むしろ今朝も朝6時半に起きて勉強始めていることを褒めてやらねば。
なお、ここで紹介されている「クリーブランド・クリニック」の取り組みは、本書の理論にかなりマッチしたものであり、正直この部分を読むだけでも「良い習慣を定着させる」秘訣を知りえると思います(詳細は本書にて)。
習慣を変えたい方なら要チェックな1冊です!

スマート・チェンジ 悪い習慣を良い習慣に作り変える5つの戦略
第1章 行動改善の難しさ
第2章 行動を持続する
第3章 目標を最適化する
第4章 ゴーシステムを飼いならす
第5章 ストップシステムを活用する
第6章 環境を管理する
第7章 他人と関わる
第8章 変化を起こす
第9章 自分以外もスマート・チェンジ
スマート・チェンジ日誌
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【習慣】『良い習慣、悪い習慣: 世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法』ジェレミー・ディーン(2014年09月07日)
【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)
【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
「好き嫌い」と才能
版元が東洋経済さんですから、今回の「54%OFF」というのは、ほぼ最安値だと思います。
おかげで送料加味した中古よりも、600円弱お得ですから、未読の方はお見逃しなく!

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