2017年03月13日
【デンタルIQ】『その歯みがきは万病のもと デンタルIQが健康寿命を決める』相馬理人

その歯みがきは万病のもと デンタルIQが健康寿命を決める (SB新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた「デンタルケア」本。その未読本記事でも触れたように、私自身、昨年暮れに『歯はみがいてはいけない』を読んで以来、「歯みがき」にはかなり留意しており、本書も当然のようにゲットした次第です。
アマゾンの内容紹介から。
一番いい「歯のケア」方法、教えます!歯みがきが万病のもと、どうして?―確かに歯みがきはいいことですが、そのやり方を間違うと、歯を守ることはおろか、重い病気を招くことにもなりかねません。調査から分かったのは1日1回も歯をみがかない人はほとんどいないのに、それでも加齢とともに歯を失っていく現実…。しかし歯を失うのは仕方ないことではなく、歯への間違った認識や意識の低さが原因だったのです。
なお、若干お得なKindle版も、すでに配信されております。

006 / US Army Africa
【ポイント】
■1.歯周ポケットができたら歯科医に任せる実際、毛先の細い歯ブラシで、歯周ポケットのなかの汚れをかきだすようにブラッシングをしている人がいると思います。歯周病が気になる人ほど、良かれと思ってやっているかもしれませんが、これもおすすめできません。
歯ブラシの毛先を歯周ポケットのなかに入れようとすると、極細の歯ブラシほど先端が歯肉にささってしまうのです。やりすぎると、擦過傷になってしまいます。特に歯周病の人は歯ぐきが炎症を起こしているので、より傷つきやすくなっています。
そもそも歯周ポケットのなかの汚れは歯ブラシで完全に取り除くことはできません。歯周病で歯周ポケットができたら、そのなかの汚れを取るのは歯科医、歯科衛生士の仕事と思ってください。
■2.ワンタフトブラシを使ってピンポイントで磨く
デンタルフロスと歯間ブラシに比べて知名度は低いのですが、ワンタフトブラシも汚れが残りやすい場所を掃除するのに使う、大事な補助的清掃用具です。 「タフト(tuft)」とは「房、束」の意味で、「ワンタフトブラシ」は一つの毛束の歯ブラシのことです。先端に小筆のような小さな毛束がついていて、普通の歯ブラシでは届きにくい部分をピンポイントでみがくのに適しています。(中略)
使ったことのない人は、わざわざワンタフトブラシを使うのは面倒と思うかもしれません。でも、こうした部分はいずれも歯ブラシではみがきにくく、汚れが残ってしまうために虫歯や歯周病の原因になりやすい部分です。ピンポイントでみがけるワンタフトブラシを使ったほうがストレスなく、むしろ短時間でみがくことができると思います。
■3.食後30分以内に歯みがきしてもいい!?
まず、この実験では歯の象牙質のサンプルが使われていますが、実際の歯は、象牙質の周りをより硬く、酸に対する抵抗力が大きいエナメル質で覆われています。ですから、健康な歯であれば実験結果と同じようなことにはなりません。
また、実験では「食後」ではなく、サンプル片を酸性炭酸飲料に90秒つけてから口の中に装着し、歯みがきを行っています。通常の食事とは異なります。
あくまでも1つの実験であり、極端な例だと思ってください。日本小児歯科学会も警鐘を鳴らしているように、この実験結果から「食後30分以内は歯みがきをしないほうがいい」とは決して言えませんし、むしろ、早めに歯みがきを行い、虫歯や歯周病の原因となるプラークや細菌を取り除くほうが大切です。
■4.歯周病と糖尿病には密接な関係がある
和泉教授らが行った研究で、歯周病のある糖尿病患者さんを2つのグループに分けて、一方は2カ月間歯周病治療をしっかり行い、もう一方は口腔衛生指導のみ行って歯周病治療は行わず、6カ月後の状態を比べたところ、歯周病治療を行ったグループでは歯周病が改善したのはもちろんのこと、血糖コントロールの目安となるヘモグロビンA1cが有意に低下していたそうです。
さらにこの研究では歯周病のある糖尿病患者さんを対象に、2カ月間、それまで以上に積極的に糖尿病治療を行うグループと、そうではないグループに分けて6カ月後の状態を比較するということも行っています。その結果、糖尿病治療を行ったグループでは、口腔内の治療や指導は行わなかったにもかかわらず、歯周ポケット内の炎症が改善されたそうです。
■5.歯をケアすることで生涯医療費が下がる
豊田加茂歯科医師会がトヨタ関連部品健康保険組合と共同で行った調査です。同組合員5万2600人の医療費と受診歴のデータを分析し、歯科医院で年に2回以上、定期的に歯石除去などを受けている人(602人)を抽出して、そのほかの人との違いを比べたそうです。
その結果、定期的に歯科医院を受診していた人は、48歳までは総医療費が平均より高かったものの、49歳を過ぎると平均を下回る傾向にありました。65歳になると、全体の平均は年間35万円なのに対し、定期的に歯科医院を受診している人は20万円以下と、差が広がっていったそうです。
この調査では、「定期的に歯科の受診をしている人は、48歳までは歯科の定期健診費用で年2万円ほどが加わり、医療費が平均より増えるものの、その後は医療費が抑えられるため、歯科の費用を含めても『生涯医療費』が平均を下回る」と結論づけています。
【感想】
◆冒頭で触れた『歯はみがいてはいけない』同様、本書もデンタルケアの必要性を、十二分に説いた1冊でした。さすがに『歯はみがいてはいけない』ほどタイトルにインパクトはないものの、従来の「歯みがき」だけでは、不十分である、という主張は同じ。
『歯は〜』のレビューで、フロスについてはかなり掘り下げたので、今回はマルッと割愛しましたけど、フロスや歯間ブラシのような「補助的清掃用具」の使用も欠かせないようです。
そこで、丁度『歯は〜』を読んで買ったこのフロスがなくなりかけてきたので、再度注文w

REACH(リーチ) デンタルフロス クリ-ンバ-スト ペパーミント 32m
また、やはり昨年歯間ブラシも買ったのですが、個人的にはどうも合わない(フロスの方が好きですw)ので、今回、上記ポイントの2番目の「ワンタフトブラシ」を試してみることにしました。

エビス 歯科向 プロフィッツ K10 ワンタフト やわらかめ 3色組
……そういえば、こんなのを歯医者さんで薦められた記憶がw
◆また、『歯は〜』以上に(?)強調されていたのが、歯周病と他の病気との関連性について。
上記ポイントの4番目では、糖尿病について言及されていますが、確かに私の父も生前は併発していました。
他にも割愛したお話ではこんな病気も。
・歯周病の人はそうでない人に比べて3割ほど心筋梗塞の発作を起こしやすい「因果関係じゃなくて相関関係じゃね?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、歯周病は「血管の老化」につながるので、限りなく「クロ」。
・歯周病の人はそうでない人に比べて、狭心症や心筋梗塞の罹患率が約1.5倍高い
・重度の歯周病で歯槽骨の吸収が進んでいる人はそうでない人に比べて2.8倍心臓発作を起こしやすい
・歯周病の人はそうでない人に比べて2.8倍脳梗塞になりやすい
歯を磨いて血が出るような方は、ご留意ください。
◆一方『歯は〜』と異なるのが、上記ポイントの3番目。
根拠となるエビデンスは、どちらもアメリカで発表された同じ実験結果なのですが、それほど「食事直後の歯みがき」に神経質にならなくても良かったようです。
むしろ、タイミングを逸して、歯みがきを忘れるくらいなら、忘れないうちにとっととみがいておいた方がマシかと。
それに、そもそもデンタルフロスだったら、歯が削れたりしませんしねw
ただ、歯の再石灰化のためには、唾液が必要と『歯は〜』にあったので、相変わらず食後のガムも欠かしておりません。
◆なお、こうした日々のデンタルケアとは別に、やはり歯医者さんで定期的に健診をしてもらう必要はある模様。
特に私のような中高年は、歯茎も下がってきてますし、上記ポイントの1番目にもあるように歯周ポケットができてしまうと、どうしようもありません。
さらに本書の第4章では、「歯周病治療の最前線」と題して、専門医による最新の治療法が解説されていますから、こちらもお見逃しなく。
……私も若いうちは「まだ関係ない」とばかりにスルーしてたんですけどね(震え声)。
その場その場ではお金がかかっても、上記ポイントの5番目にあるように、トータルでは安く上がるのかもしれません。
私も『歯は〜』を読んだ後に、行きつけの歯科医に検診の予約を入れようとしたところ、年末年始にかぶって入れられなかったのですが、今度こそ診てもらおうと思います!
自分の歯を失わないために読むべし!

その歯みがきは万病のもと デンタルIQが健康寿命を決める (SB新書)
はじめに ほとんどの人が歯をみがいているのに、なぜ歯を失っていくのか
第1章 歯みがきだけではなぜダメなのか?
第2章 歯周病は老化の入り口
第3章 歯周病が全身の病気を招く
第4章 歯周病治療の最前線
第5章 虫歯は予防できる
第6章 悪い歯並びを放置すると、歯を失い、寝たきりになりやすい
第7章 自分に合った歯医者にであうには
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【知的な色気?】『生涯男性現役 男のセンシュアル・エイジング入門』岩本麻奈(2016年04月19日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
BORN TO RUN 走るために生まれた ―ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”
何度かセール等でご紹介したことのある本作品ですが、今回は「68%OFF」ということで、送料足した中古より600円以上お買い得です!

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