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2017年02月27日

【恋愛】『恋愛依存症』伊東 明


恋愛依存症
恋愛依存症



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、明日終了となる今月の「Kindle月替わりセール」からの1冊。

いわゆる「恋愛本」なので、買っただけで満足していました(ヲイw)が、セール終了直前になって、あわてて読んでみた次第です。

アマゾンの内容紹介から。
もし自分の心の奥底に踏み込んでいく勇気が持てるなら、そして同時に、「なぜ客観的に見たら、とても幸せとはいえないような恋愛にはまってしまうのか?なぜそこから抜け出せないのか?どうすれば抜け出せるのか?」の心理メカニズムに関する知識を手にすることができるのであれば、今よりは確実に「苦しい恋に苦しむ」ことは減っていくだろう。

中古自体が1000円以上するのに、セール期間内なら299円と激安なので、興味のある方はぜひご検討ください!





Broken Hearted / Lisa Zins


【ポイント】

■1.恋愛依存症の3つの問題
 まず、「クロス・アディクション」の問題が挙げられ、恋愛依存症の人はアルコールやドラッグ、食物など他の依存症も同時に患っている場合が多い。因果関係はいろいろあるが、たとえば、愛の苦しみから逃れるためにアルコールやドラッグに走るようになり、やがては依存症へとのパターンは容易に想像がつくだろう(逆に、他の依存症に陥りやすい人は恋愛依存症になりやすい、他の依存症に陥っているがゆえに恋愛依存症に陥りやすいということもいえる)。  
 第二は、恋愛依存症は人間関係そのものの病だともいえることである。恋愛依存症に陥りやすい人は、恋愛関係だけでなく、その他の人間関係でも苦労することが多い。他者と「適度な距離」を保つことが難しいのである。
 第三は相手の要因である。信じられないことに、恋愛依存症に陥っている人の多くは、恋人や配偶者からどんなに虐げられていようとも決して相手のもとを去ろうとしない。言葉による暴力や浮気をする、愛情をこれっぽっちも相手に示さないといった精神的虐待だけでなく、実際に身体的な暴力をひどくふるわれたり、経済的な搾取(稼いだお金をすべて相手の生活費や遊び代に取られる、相手の借金の肩代わりをするなど)を受けてもである。


■2.共依存者は回避依存者に惹きつけられる
 回避依存症者とは、親密で心休まるような恋愛関係を形成できない者のことであるが、ここでは本章で述べてきたような「ひどい相手」のことだと思っておけばいいだろう。
 親子関係や過去経験によって共依存的傾向があらかじめ形成されていた者は、回避依存症者に出会ったその瞬間、一瞬にしてものすごい力で惹きつけられる。逆に、回避依存症者も共依存症者に一瞬にして惹きつけられる。N極とS極のような互いのその磁力は、まさに魔法といってもよいほどで、たとえその場に恋人候補者が互いにあと99人いようとも、間違いなく互いを見つけ出し合うだろう。
 本人たちは「一目惚れ(love at first sight)」とそれを呼ぶかもしれない。
「一目見て、この人だとわかったわ」「あれこそ、まさに運命の出会いだよ」「とにかく、他の男とは全然違っていたのよ」「彼女に出会うために生まれてきたんだ、っていう気がしました」などは、共依存症者が後から出会いを振り返ってよく口にするセリフである。


■3.共依存者の相手が「ダメ男」でないといけない理由
 たとえば、アルコール依存症の父親を持つ女性がいたとする。おそらく、父親のアルコールのせいで、家族が混乱状態に陥っていたり、子どもとして得られるはずであった父からの愛情も十分ではなかっただろう。すると、この女性がもっとも欲しているものは何なのか。それは父にお酒をやめさせ、家族に平和をもたらし、父からの愛情を十分に得ることなのである。
「お前たちに迷惑をかけて本当にすまなかったな。お父さん、お酒をきっぱりやめるよ。これからはお前たちを幸せにするからな」。この言葉が欲しいのだ。それこそが彼女の人生において、もっともやらなければならない本当の仕事なのだ。その仕事をやり遂げるためには、相手となる男性が「いい人」ではダメなのである。父と同じような人間でなければならないのだ。


■4.相手を変える前に自分を変える
「彼さえ変わってくれれば……」、もしくは「彼のここさえ直ってくれれば……」はお決まりのセリフの1つである。恋愛依存症に限らず、人というのは、自分にも問題の責任の一端があることはなかなか認めたくないものだ。
 彼の回避依存的行動を黙認する、あるいは助長するような行動をしていることはないだろうか。たとえば、自分はまったく悪くもないのに謝ったり、無理な要求を飲んでしまったとしたら、「そういうあなたの行動は、私にとってOKなんですよ」とのメッセージを無意識のうちに伝えていることに他ならない。子どもを甘やかせば甘やかすほど、どんどん要求がつり上がっていくメカニズムと同じである。
 しつこく繰り返すが、これはあなたが悪いと言っているのではない。ただ、彼の思い通りに(彼の都合のいいように)、あなたが動いてしまっているというだけだ。だから、いつものあなたの行動パターンを変えれば、何かが変わるということなのである。


■5.セ●クス依存症者の深刻さ
 以上、深層心理の面から見ると、セ●クス依存症者にとっては、セ●クスがセ●クスでなくなっている。少なくとも、普通に考えられるセ●クスとは異なっている。それは、逃避や自己確認、パワーなどを得るための手段であり、性欲、愛情、コンプレックス、有能感、虚無感、空虚感、孤独感など何から何までがごちゃ混ぜになってしまっているのである。結果としてあらわれる行動が「セ●クス」になっているだけなのであり、自分をそのセ●クスへと駆り立てる性欲以外の本当の心理的動機に目を向けていないために、強迫的にセ●クスを繰り返してしまうのである。
 セ●クス依存を甘く見てはいけない。先に述べたように、逮捕・身体的病気・金銭的損失、社会的追放などの実害があると同時に、社会・文化的要因によって自分がセ●クス依存であること、回復に向けて努力が必要であることが見えなくなりやすいからである。恋愛依存症の他のタイプと比べた時、もっとも危険性が高いといっても過言ではない。


【感想】

◆まず最初に本書のテーマ(というかタイトル)でもある「恋愛依存症」なのですが、その定義や用語使用については、いまだに明確ではなく、統一されていないのが現状なのだそう。

そんな中本書では、下記目次にもある「共依存」「回避依存」「ロマンス依存」「セ●クス依存」(Google先生の手前、すべて伏字にしております)をまとめて「恋愛依存症」と定義。

恋愛依存症を上位概念として、そこに含まれる下位概念として上記の4つの依存がある、としています。

それぞれについて、一番分かりやすいパターンで説明すると、まず「回避依存」は「ヒモ」で、「共依存」はその「ヒモ」に貢ぐ女性。

「ロマンス依存」は、ハイレベルな相手にアタックし、振り向いてもらうとまた次に行く「恋の狩人」(?)。

「セ●クス依存」は、「不倫がやめられない人妻」は分かるんですが、意外だったのが、「自家発電しまくり」の男性も該当する、ということ。

……誰に迷惑をかけているワケでもないものの、立派な「恋愛依存症」なのだそうです(詳細は本書を)。


◆さて、わたしはとりあえずどれにも該当しない(多分)のですが、この中の「共依存」に該当するかもしれない女性には、独身時代、何人か出会ったことがありました。

話を聞いていても、「そんな目にあって、何で別れないの?」と思ったこと多々。

当時は「共依存」なんて言葉も知りませんでしたから、彼女自身が「相手」に依存していたとも知らず、「恋は盲目」なんだな、と漠然と思っていたわけです。

さらには、上記ポイントの2番目にあるように、「共依存者」と「回避依存者」は磁石のように惹きつけあう、というのは「目からウロコ」。

「たとえその場に恋人候補者が互いにあと99人いようとも、間違いなく互いを見つけ出し合うだろう」のであれば、まさに「ひと目惚れ」ですし、そりゃそう簡単に別れられません罠。

ここだけの話、そういう女性の話を聞いていて、「僕なら幸せにしてあげられるのに」的なことも思ったこともあったのですが、本書を読んで「その資格すらない」ことを初めて知りましたよ(今さらw)。


◆一方、上記では割愛しましたが、「共依存者」の相手である「回避依存者」については、「独裁者」「搾取者」「ナルシスト」「脱走者」の4パターンあると本書では指摘しています。

そもそもなぜ「回避」なのかというと、彼らは「相手との親密な関係を避ける」から。

その代わりに、「独裁者」は「支配−服従」の権力関係、「搾取者」は利害関係、「ナルシスト」は物として相手を扱う関係、「脱走者」は大きな距離を置いた他人としての関係においてのみ、パートナーと結びつくことができる、とのこと。

ただし彼らは、表面上の意識では「親密になることを避ける」くせに、深層心理では「捨てられることを非常に恐れている」のだそう。

そしてそうなってしまった原因には、両親との関係が影響している可能性が高そうなのですが、詳細は本書にてご確認ください。


◆残りの2つである、「ロマンス依存」「セ●クス依存」については、過去出会ったことも話に聞いたこともないのですが、本書では(最初の2つ依存症も含めて)具体的な事例が複数紹介されていますので、そちらを読めば納得していただけるかと。

特に後者については、上記ポイントの5番目にあるように、他の「恋愛依存症」と比べて「もっとも危険性が高いといっても過言ではない」そうなのでご注意を。

さらには、実は深層心理では「セ●クス」が「目的」ではなくて「手段」になっている点にも気を付ける必要がありそうです。

……当ブログの読者さんには、あまりいなさそうですけどw


◆ところで、本書の第1章に「恋愛依存症」のチェックリストがあるのですが、いくつか抜粋するとこんな感じです。

 ・「私の力であの人を変えてみせる!」と思ったことがある。

 ・多くの友人から「別れたほうがいいよ」と言われているのに、どうしても別れられない。

 ・セ●クスをしている瞬間だけが、愛を感じられる時である。

 ・自分が追いかけるのはいいが、追いかけてくる相手にはまったく魅力を感じない。

 ・尽くすのはいつも自分であって、本当のところ、それに見合った愛は相手から得られていないと思う。

 ・自分の人生を素晴らしいものに変えてくれる誰かが、いつかきっとあらわれると思う。

 ・自分さえ我慢すれば、この愛はきっとうまくいくと思う。

 ・「なんで私ばっかりこんなに苦労しなければいけないのか?」と一人で嘆くことが多い。


実際にはリスト項目は20以上あり、そのうち5つ以上あてはまるようであれば、「恋愛依存症」である傾向(もしくは陥る傾向)がかなり強いのだそう。

また3つ以上あれば、その傾向がやや強いとのことなので、約1/3しか掲載していないこのリストに1つでもひっかかるのであれば、多少は覚悟が必要かも。

特に、上記ポイントの1番目にもあるように、他の依存症(アルコールやドラッグ、食物など)の傾向がある人は、「恋愛依存症」にもなりやすい(逆も同様)ので、ご注意ください。


このセール価格なら買うべき1冊!

恋愛依存症
恋愛依存症

第1章 愛という名のドラッグ―危険な愛に取り憑かれるとき
第2章 共依存―苦しい愛から抜け出せない人たち
第3章 回避依存―幸せになるのが怖い人たち
第4章 ロマンス依存―愛の刺激にはまる人たち
第5章 セ●クス依存―苦しみを性愛でしか癒せない人たち
第6章 やすらぎと癒しを求めて―回復への10のステップ


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

小池一夫対談集 キャラクター60年 第一巻
小池一夫対談集 キャラクター60年 第一巻


日頃から鋭いツイートをされている小池一夫さんが、これまた濃い面子と対談されていますから、即買いの巻。

ボリュームは少ないようですが、100円しないんですから全然OKっす!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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