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2017年02月20日

【働き方】『10年後、君に仕事はあるのか?―――未来を生きるための「雇われる力」』藤原和博


10年後、君に仕事はあるのか?―――未来を生きるための「雇われる力」
10年後、君に仕事はあるのか?―――未来を生きるための「雇われる力」



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた「働き方本」。

今までにも著者の藤原さんは、同じテーマで本を書かれているのですが、昨今のAI興隆を踏まえてアップデートされた感じです。

アマゾンの内容紹介から。
本書には、著者が現在勤める奈良市立一条高校で、生徒や先生、そして40代、50代の保護者たちに語りかけている、 10年後(2020年代)の近未来の姿とその対処法をキッチリ盛り込まれています。
藤原先生の決定版といえる内容です。

なお、Kindle版ですと、今なら「20%ポイント還元」が付いてくるため、400円ちょっとお得になります!





"The Medium Play House" / eilonwy77


【ポイント】

■1.落ち込みが予想される2020年代
 この本では、親の世代だったら、普通に高校から大学に進学し、普通に就職してサラリーマンになったり公務員になったりするはずだった子どもたちが、そうはなれない未来を予言しています。
 IT化が進んでAIやロボットが事務の仕事を奪うことは後述しますが、それ以外にも普通の人の普通の人生を脅かす事件がやがて起こります。
 2020年に開催される東京五輪。アテネ五輪のあとのギリシャや北京五輪のあとの中国など、世界の歴史を振り返れば、オリンピックを大々的に開催するために競技場や道路整備などに投資しすぎた国は、閉幕後、景気が大幅に落ち込むことが予想できるからです。
 これらの理由から、2020年代にはおそらく求人も半減することになるでしょう。


■2.2020年代でも強いと予想される2つの職種
 ここで、2020年代に起こる地殻変動に対して、強いと思われる職種を2つだけ挙げておきましょう。それは、観光とプログラミングです。
 極端な円高にならない限りですが、日本を訪れる観光目的の外国人(いわゆるインバウンド)は増え続けると予想されます。それは、海外旅行を楽しめるほど収入があるアジアの中間層が、現在の数億人規模から2030年までに20億〜30億人に達するだろうと試算されているからです。(中略)
 一方、プログラマーが足りなくなるのは言うまでもありません。プログラミングを理解しているかどうかは、2020年代には、かつての「英語ができるかどうか」と同じ意味を持つことになるでしょう。


■3.問題解決には「7割の『情報処理力』」と「3割の『情報編集力』」
 目の前に問題が出されたとき、その問題を考える力の7割が「情報処理力」、あとの3割が「情報編集力」だと思ってもらっていいと思います。 のちのち、サラリーマンや公務員の仕事でも、この7:3の原則が生きてきます。 たいていの仕事では「処理」的な部分が7割以上で、経理でも、広報でも、営業でも、こうした処理仕事を早く正確にこなせるのが仕事のできる人の必要条件になります。経験したことのない人には意外かもしれませんが、一見、クリエイティブに見える広告や新規事業開発、あるいはテレビ局やネット放送局の仕事でも、じつは7割以上(下手をすると9割)が処理仕事だったりするものなんです。 あとの3割は、「正解」が1つではない課題に対してどんなアプローチができるのか、どれだけ納得できる解を導けるかの勝負です。これが仕事のできる人の十分条件。情報編集力側の力です。


■4.グローバル時代を生き抜く5つのリテラシー
 僕はこう考えています。
 次の5つの「リテラシー(作法・振る舞い)」が身についている人のことを「グローバルにも通用する人材」と呼ぶのだろう、と。
 リテラシーというのは、もともとは「文法」という意味ですが、国際標準の知恵と技術というような意味づけでOECDなどで使われています。
(1)コミュニケーション・リテラシー(異なる考えを持つ他者と交流しながら自分を成長させること)
(2)ロジカルシンキング・リテラシー(常識や前例を疑いながら柔らかく「複眼思考」すること)
(3)シミュレーション・リテラシー(アタマのなかでモデルを描き、試行錯誤しながら類推すること)
(4)ロールプレイ・リテラシー(他者の立場になり、その考えや思いを想像すること)
(5)プレゼンテーション・リテラシー(相手とアイディアを共有するために表現すること)
(詳細は本書を)


■5.コミュニケーション力を伸ばす「ナナメの関係」
 世代を超えた先輩・後輩との関係のことを、僕は「ナナメの関係」と呼んでいます。その地域に住んでいるおじさん、おばさんとの関係や、おじいちゃん、おばあちゃん、兄弟との関係などがそうです。(中略)
 情報編集の核となるコミュニケーション能力を伸ばすのは、「ナナメの関係」の第三者との会話です。親子やよく知ってる先生とも違うし、友だちでもないから、相手のアタマのなかにある情報を想像して会話しないと理解しあうことができません。
 相手のことがわからないから、どういう切り口でコミュニケーションし、どういう切り口で関係を結ぶかを試行錯誤せざるをえない。だから、「ナナメの関係」の知り合いが豊かになると、君のコミュニケーション能力を向上させる機会も豊かになることになります。


【感想】

◆冒頭の内容紹介で触れられているように、本書の内容は、基本的には著者の藤原さんがお勤めになっている奈良市立一条高校で、「生徒や先生、そして40代、50代の保護者たち」に向けて語ったという設定です。

読む前は完全な「生徒向け」なのかと思い、どれだけ内容を噛み砕いているのかと思いきや、普通のビジネス書と大差なくて、いい意味で(?)やや拍子抜けしましたw

ただし、就職等の設定については、高校生がメイン。

もちろん、私たち大人世代も「転職」であれば、それとほぼ同様な環境下でしょうから、参考にはなると思います。

実際、これからAIに取って代わられる仕事というのは、増えていく一方でしょうし。


◆その一方で、上記ポイントの1番目にあるように、「オリンピック開催後は、景気が落ち込む」というのも、指摘されてみたら、なるほどそうだな、と。

本書には「五輪開催国の開催前後の経済成長率」のグラフが掲載されているのですが、「前年」「開催年」「翌年」で比較すると、「翌年」がことごとく落ち込んでいる事が分かります(アトランタを除く)。

そういう意味では我が国も、これからいったん上昇して、その後ガクンと落ちる可能性が大。

そして本書でも触れられているように、その頃はさらに消費税も増税されており、ダブル、トリプルで景気が悪くなる、と予想されます。


◆そこで鍛えておきたいのが、上記ポイントの3番目にもある「情報編集力」。

単に「正解」を求めるだけであれば、「情報処理力」でも対応できるのですが、これからの時代、そもそも「正解」があるか分からない問題に立ち向かう必要があるワケで、そのためには「情報編集力」が必要になってくるとのことです。

本書では前者を「ジグソーパズル型学力」、後者を「レゴ型学力」と命名。

前者は少しでも早く「正解」を目指すのに対して、後者は「自由な発想」に基づきます。

……ただし、最近はレゴはレゴでも、映画とのコラボでパッケージに完成形が掲載されており、それを寸分たがわず完成させるのが楽しい、という子どもが増えたのだとか。

レゴ (LEGO) スター・ウォーズ ナブーの決戦 75169
レゴ (LEGO) スター・ウォーズ ナブーの決戦 75169



◆また、上記ポイントの5番目の「ナナメの関係」は、以前の作品でも登場していましたね。

藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方 (DISCOVER21世紀の学校)
藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方 (DISCOVER21世紀の学校)


参考記事:【働き方】『藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方』藤原和博(2015年12月28日)

ただし、その時は上記レビューにもあるように「ブレスト」においてでした。

一方本書では、キャリア形成を考えた上でのお話。

主に高校生に向けて言われている設定なのですが、人間関係に強い人を目指したいのであれば、「ナナメの関係」の大人たちと積極的にかかわり、コミュニケーションの練習を積むとよい、とのことです。

さらに本書では、藤原さんのお得意の「キャリアの掛け算」のお話も収録済み。

上記レビューでも触れているので今回は割愛したのですが、藤原さんの「働き方本」が初めての方なら、この機会に本書でじっくり読んでも良いと思います。


2020年以降の「働き方」を考える上で要チェックな1冊!

10年後、君に仕事はあるのか?―――未来を生きるための「雇われる力」
10年後、君に仕事はあるのか?―――未来を生きるための「雇われる力」

はじめに 君たちは、どんな未来を生きるのか
第1章 これからの10年で世界は激変する
第2章 仕事が消滅する時代に身につけておきたいこと
第3章 「遊び」と「戦略性」が情報編集力の鍵になる
第4章 「雇われる力」の鍛え方
第5章 一生が90年の時代のライフデザイン
終章 君たちが日本の未来を拓く10の理由
あとがきにかえて


【関連記事】

【働き方】『藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方』藤原和博(2015年12月28日)

【大変革?】『日本3.0 2020年の人生戦略』佐々木紀彦(2017年02月14日)

【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)

【全世代必読?】『40歳からの会社に頼らない働き方』柳川範之(2013年12月07日)

【2軸で考える!】『「キャリア未来地図」の描き方』原尻淳一,千葉智之(2013年01月22日)


【編集後記】

◆「2020年」というキーワードで言うなら、先日ご紹介したこの本も見逃せないところ(レビューは上記関連記事にてごらんください)。

日本3.0 2020年の人生戦略 (幻冬舎単行本)
日本3.0 2020年の人生戦略 (幻冬舎単行本)


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