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2017年02月15日

【高速PDCA!?】『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術』三木雄信


孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術
孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事でも評価の高かった仕事術本

著者の三木雄信さんは、かつてソフトバンクの社長室長として、長らく孫正義さんの片腕として活躍された方です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
著者は長年、孫正義社長のどんなむちゃぶりにも答えてきました。そのために必要だったのが、超スピードで、かつ確実に成果を出す仕事をすることでした。本書は、そのためのノウハウを凝縮したものです!
その仕事術とは、PDCAを確実に、かつ超スピードで回すというものです。ソフトバンクでは、いまも6万人超の社員に求められています。特別な能力を持った人ではなく、どんな人でも使える技術。だから、仕事がうまくいかない、時間がかかってしまう……そうした、すべてのビジネスパーソンが抱える問題もすべて解決! 生産性が求められる今こそ、読んでおきたい1冊です。

なお、版元がダイヤモンド社さんなので、当分セールに出ないと踏んで、私はKindle版で読みました!





bar graph chart / vecree.com


【ポイント】

■1.ソフトバンク躍進の3つの原則
 多くの人は、「孫社長はすぐれた経営センスと勘で、次の時代に流行りそうなものを当てている、だから、それは普通の人にはマネできない」と思っているのではないでしょうか。
 事実はそうではなく、孫社長は失敗を繰り返しながら、実直に成功へ近づいていったのです。
 この成長の過程で絶え間なく孫社長が回し続けたのがPDCAです。ただし、少しだけPDCAの使い方を工夫していました。
 こうお話しすると、「それは孫社長というカリスマリーダーが率いる組織だからできることでは?」と誰もが身構えます。
 でも、そんなことはありません。これは次に挙げる、たった3つのことを大切にすれば、誰にでもできることです。
(1)思いついた計画は、可能な限りすべて同時に実行する
(2)1日ごとの目標を決め、結果を毎日チェックして改善する
(3)目標も結果も、数字で管理する
 これを私は「ソフトバンク三原則」と呼んでいます。


■2.高速PDCAの考え方
 ポイントは次のところです。
・「大きな目標」(1カ月の販売目標)と「小さな目標」(1日の販売目標)がある
・1つの商品を順番に試すのではなく、複数の商品を一度に試す
・1カ月後に結果を検証するのではなく、毎日結果を検証している
・一番すぐれた商品を絞り込み、そこに集中している
 人気になりそうな商品が、おにぎりなのか、アイスなのか、パンなのか、飲み物なのか。コンビニ利用者や周辺に住んでいる人の属性や行動パターンを詳細に調べ上げる余裕があるなら、ヒットしそうな商品の目星もつくかもしれません。しかし、それもあくまで予測であり、確実な答えとはいえません。
 それなら、最初からたった1つの正解を見つけようとするのではなく、ヒットしそうな商品を同時にすべて並べてしまう。そうすることで、何が売れる商品かがおのずと明らかになります。これが高速PDCAです。


■3.小さな目標は「毎日できること」で定義する
 小さな目標には明確なルールがあります。
(1)毎日できる
(2)具体的なアクションである
 なぜ「毎日できる」をルールにしているのか。
 一般的な会社では、個人の「目標」といえば、月間もしくは週間で設定されることが多いのではないでしょうか。
 そんな仕事のやり方をしているケースがほとんどだと思います。
 しかし、PDCAを回すサイクルが月間や週間では、あまりに遅すぎる、というのが私の所感です。 (中略)
 仮に月の終わりに負けを自覚しても、過去1カ月のことをまとめて振り返るのは、記憶も曖昧になっていますから容易ではありません。細かいことはすっかり忘れてしまい、重要な改善点を見逃すことになります。
 自分の失敗にできるだけ早く気づき、大きな痛手にならないうちに、こまめに改善を繰り返す。それが高速PDCAの重要なポイントです。


■4.「T字勘定」でプロセスを見える化する
 仕事がうまくいかないときは、必ずどこかに業務フローを邪魔している阻害要因、つまりボトルネックがあるはずです。
 でも、たいていの人はそれが何かは見えていません。
 ソフトバンクでは、このボトルネックも、数字を使って見える化していました。
 そのために使っているのが「T字勘定」という手法です。
 これはもともと簿記で使われている手法で、「貸方」と「借方」の仕訳をわかりやすく図解する表です。
 というと難しく聞こえるかもしれませんが、要するにT字の線を引いて「入ってきた数」を左側に、「出ていった数」を右側に書いて、現在手元にあるお金や資産の増減を管理する方法です。
 この「お金や資産」を「部品」や「商品」に置き換えれば、T字勘定を在庫管理に応用できます。


■5.いい方法を磨き上げる「6:3:1」の法則
 たとえば、まずは仕事の100%のうち10%を新しくB社に切り替える。その程度なら、たとえうまくいかなくても最小限の損失で済むし、すぐに別の1社に切り替えれば取り返しがつきます。10分の1のリスクなら、上司もそれほど難色は示さないでしょう。
 そして、B社が思った通りうまく仕事をしてくれたなら、次に全体の3割の仕事をB社に任せ、A社への割合は6割にする。空いた1割をさらに新規のC社に任せる。B社が3割の仕事を十分にこなせるなら、今度は6割の仕事をB社に任せ、A社の割合は3割に減らす。C社はまだ様子を見て1割にしておき、A社やB社の状況次第で入れ替えを考える。
 この方法であれば、リスクを最小限に抑えて、新しい方法を取り入れることができます。
 1割は新しい方法をどんどん試してみる。試してみて結果が出た方法は、3割の中で入れ替える。「6」が一軍、「3」が二軍、残りの「1」がテスト生というイメージです。


【感想】

◆最近、PDCAをテーマにした本を目にすることが多くなってきました。

まずはその発端となったこの本。

鬼速PDCA
鬼速PDCA


参考記事:『鬼速PDCA』が想像以上に凄い件について(2016年10月24日)

そして先月出たばかりのこの本。

自分を劇的に成長させる! PDCAノート
自分を劇的に成長させる! PDCAノート


参考記事:【PDCA】『自分を劇的に成長させる! PDCAノート』岡村拓朗(2017年01月16日)

これらはいずれも、タイトルどおりテーマはPDCAであり、それぞれ独自のやり方を謳っています。

一方本書は、著者の三木さんが、ソフトバンク時代にやっていた仕事術自体が「PDCA」に即したものだ、ということで、「ソフトバンク流PDCA」を解説しているといった感じ。


◆そしてその特徴は、上記ポイントの2番目にもあるとおりです。

まずは、細かい目標が「1日単位」であることで、上記ポイントの3番目で深掘りしているように、要はそれだけPDCAの回転を上げて、高速で回すワケです。

週単位や月単位と比べたら、その分多く回せますから、成果も出やすいかと。

これは私を含め、ブログ運営者なら納得できるお話だと思うのですが、日々、アクセス数やPV、さらにはアフィリエイトの結果を確認してらっしゃる方も多いと思います。

さらには、「同時にすべての手段を試す」というのも、高速回転を実現するのにはもってこいでしょう。

よくWebマーケティングでは、「ABテスト」とかやりますけど、ソフトバンクの場合は2つの比較ではなく「全部盛り」のよう。

他にも「『同時にすべてを試す』ための3つのコツ」といったTIPSもありますから、これらが収録されている第3章は見逃せないところです。


◆続く第4章では「数字の検証」の仕方を指南。

1つが「多変量解析」なのですが、本書にてExcelを使った具体的な作業方法まで掲載されているので、こちらは実際に本書にてご確認を。

もう1つが上記ポイントの4番目の「T字勘定」で、私自身にとっては、簿記でお馴染みのものでした。

本書ではもちろん図も掲載されていて分かりやすいのですが、オフィシャルなサイト等でいいものが見つからず。

更新が止まっている(?)ブログからご紹介しておくと、こんな感じです。

Tフォームの書き方:おもろまち簿記スクール 日商簿記講座

これがなんと、ボトルネック発見に役立つとは!?

なるほど、商品の在庫のみならず、書類の「IN」と「OUT」を追って行けば、どのプロセスで問題が起きているかが分かります。

ちなみに、三木さんはソフトバンク退社後、年金記録問題作業委員会に参画した際、この「T字勘定」で業務フローを改善したのだそう(詳細は本書を)。


◆そして第5章では、検証した結果見出した「いちばんいい方法」をブラッシュアップする方法について。

まず「いちばんいい方法」自体は、ソフトバンク流の場合、高速PDCAでとにかく多く試して検証します。

そもそもソフトバンクが、2004年まで4期連続で赤字だったのも、赤字を承知の上で、色々な方法を模索し続けた結果だったのだそう。

その結果、2005年からはいきなり業績が回復し、売上も1兆円を突破しました。

さらに「いちばんいい方法」を見出してからも、リスクを最小限に抑えて、新しい方法を取り入れるために、上記ポイントの5番目のようなTIPSを実施するわけです。

……とりあえずまだ何も問題がないハズなのに、取り扱いが10割から9割、6割、3割と減ってしまうA社にとっては、結構死活問題のような気もしますが。


◆なお、本書ではソフトバンクの事例のみならず、もうちょっとスケールの小さな具体例も付されており、分かりやすかったです。

特に、不動産会社で営業をしている「山田君(仮名)」のお話は、読者の方にとっても「自分ごと」として捉えやすいかも。

ノルマを達成するために奮闘しているのを、三木さんがアドバイスをして業務改善していくのですが、まさに「高速PDCA」をどのように実践するかが腑に落ちるかと。

他のPDCA本で挫折した方にとっても、本書は一読の価値があると思います。


孫さん直伝のPDCAがここに!

孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術
孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術

序章 なぜ高速PDCAなら超スピードで仕事が片づくのか?
第1章 高速PDCAを動かす8ステップ
第2章 月間、週間ではなく「毎日」の目標を設定する(高速PDCAの「P」)
第3章 1つひとつではなく、「同時にすべての手段」を試す(高速PDCAの「D」)
第4章 結果は「数字」で厳密に検証する(高速PDCAの「C」)
第5章 「いちばんいい方法」だけを磨き上げる(高速PDCAの「A」)
第6章 「人の力」は借りて、もっと速くなる


【関連記事】

【資料作成】『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』三木雄信(2015年05月03日)

【英語】『【新書版】海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』三木雄信(2016年12月29日)

【PDCA】『自分を劇的に成長させる! PDCAノート』岡村拓朗(2017年01月16日)

『鬼速PDCA』が想像以上に凄い件について(2016年10月24日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

2020年マンション大崩壊 (文春新書)
2020年マンション大崩壊 (文春新書)


未だ借家住まいの私にとっては気になる1冊。

高評価なレビューが目につきますし、気になる方はこの機会にぜひ!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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