2017年02月14日
【大変革?】『日本3.0 2020年の人生戦略』佐々木紀彦
日本3.0 2020年の人生戦略 (幻冬舎単行本)
【本の概要】
◆今日お送りするのは、先日の幻冬舎「電本フェア」の記事にてご紹介した1冊。先月末に出た作品なのに、このKindle版はいきなり「60%OFF」と激安状態になっております。
アマゾンの内容紹介から。
日本人よ、挑戦に身を投げろ!2020年を境に日本が根幹から変わる。そんな「日本3.0」時代を生き抜くための必読書!
70年周期で日本にやって来るガラガラポン革命がまもなく起こり、日本は第3ステージを迎える。明治維新から敗戦までの「日本1.0」、敗戦から現在までの「日本2.0」。そして、それに続く「日本3.0」時代は、国家、経済、働き方、そのすべてに衝撃的なまでの変化が起こり、対応できない者は生き残れない。そんな激動の「日本3.0」時代を生き抜くための必携の書。
一応単行本も中古がお安くなってきましたが、セール期限の2月23日までは、このKindle版がお買い得です!
Fortune Global Forum 2013 / Fortune Live Media
【ポイント】
■1.第3の「ガラガラポン革命」を引き起こす「10のファクター」(1)年功序列の終わり
(2)正社員と非正規社員の格差解消
(3)男女逆転
(4)外国人労働者の登用
(5)難民
(6)業界再編・伝統企業の倒産
(7)スタートアップの興隆
(8)第4次産業革命
(9)交通革命
(10)グローバル化
(詳細は本書を)
■2.日本のスタートアップが物足りない3つの理由
ひとつ目は、ビジョンや理念が弱いということです。もちろん、スタートアップは明日をも知れぬ存在ですから、当初はビジョンどころではありません。ただ、企業として形ができてきたら、やっぱり心沸き立つビジョンが欲しい。(中略)
2つ目のスタートアップの問題は、ひとつ目の理由とも絡んできますが、まだ真の一流の人材が十分に参入していないことです。(中略)
最後に、スタートアップの3つ目の課題は、テクノロジーに精通した経営者が少ないことです。
スタートアップは弱小勢力です。小さいものが、大きなものに勝つには、テクノロジーの力が不可欠です。テクノロジーはいわば能力増幅器です。テコの原理が働きますので、1を10、100にすることができます。しかし、日本の起業家には文系が多く、テクノロジーを知り尽くした人材があまりいません。そのため、どうしてもテクノロジーのパワーを十分に活かせず、人材の力がモノをいう「労働集約的なビジネス」になってしまうのです。そうなると、人の数と質で優れる大企業に勝てません。
■3.会社に残れる7つのプロ
(1)少人数のトップマネジメント
(2)スリム化されたバックオフィス
(3)チーム作りに長けた中間管理職
(4)人間力あふれる営業
(5)ストーリーを創れるマーケティング・ブランディング
(6)センスと粘りのある商品・サービス開発(+製造)
(7)成長を生む「海外事業」「M&A」「新規事業」のプロ
(詳細は本書を)
■4.日米エリートの差は教養にあり
日本の受験勉強を中心にしたシステムは、物知りな「クイズ王」を生むことはできます。ただし、古典や芸術に親しんだ「教養人」を生むことはできません。日本には頭がいい人はたくさんいますが、教養人はほぼ皆無です。
教養とは、単に知識が豊富なことでも、IQが高いことでも、論理的思考能力が高いことでもありません。それは、思考法、倫理、芸術的センス、学ぶことへの姿勢、好奇心などを包括した「知の総体」とでも言うべきものです。知の基礎体力とも言えます。
一方、米国には、勉強秀才を超え、本物の知を体得した「知の怪物」がいます。米国製エリートは、若い頃から古典を山ほど読み、山ほど文章を書き、山ほど議論を重ねることで、知力を鍛え抜いています。それこそが日本製エリートとの違いです。
■5.日本にリーダーがいない3つの理由
ひとつ目は、時代背景です。戦後の日本では、長らく、「決断型リーダー」が不要だったのです。
高度経済成長期のビジネスには、戦略は要りませんでした。ひたすら市場が右肩上がりで伸びるのですから、とにかく攻めまくればいい。「攻める」という戦略が正しければ、戦術の多少のミスは成長が覆い隠してくれました。「調整型リーダー」がいてくれれば事足りたのです。(中略)
2つ目は、育成問題です。「決断型のリーダー」がいなくてもよかった期間が長すぎたがゆえに、リーダーを発掘・育成するシステムとノウハウが日本から失われてしまいました。(中略)
3つ目は、損得の問題です。
損得というとセコくなりますが、リーダーになることが損な時代になっているということです。ただし、ここでいう損得とは単純にお金の話ではありません。社会からの尊敬や、リーダーを見る人々の気持ちなども含みます。
(詳細は本書を)
【感想】
◆何やら、やたらと項目列挙ばかりで恐縮です。実際はこれら以外にもやたらハイライトしまくった(過去最多かそれに近い量でした)のですが、その多くがたとえば上記の項目における、個々の中身の解説だったりするので、レイヤーをできるだけ上の方で合わせたと言いますか。
さて、本書の主たるテーマは、冒頭の内容紹介にもあるように、2020年辺りから起こるのではないか、と著者の佐々木さんが予想している「大転換」以降の時代、「日本3.0」になります。
これは過去における「明治維新以降」や「第二次世界大戦の敗戦以降」のように、それまでの時代と大きな変化があるもの。
それを「国家」「経済」「仕事」等の観点から、それぞれ章を分けて分析されているのは、下記目次のとおりです。
◆まず第1章では、総論的なお話からスタートしており、上記ポイントの1番目もここからのもの。
この「10のファクター」のうち、前半5つは「人の移動」や「下克上」をもたらす「ミクロの要因」であり、後半5つは、国や企業に変化をもたらす「マクロの要因」になります。
ただ、2020年までに起こりうるか、と考えると、ちと微妙な気が。
特に(3)の「男女逆転」や「難民」辺りは、ここ数年でドラスティックに変わるとは、個人的には思えませぬ。
……もっとも、アメリカは大統領が変わっただけで、別の国のようになりましたから、日本だって分かりませんか。
◆続く上記ポイントの2番目は、章で言うと1つ飛ばして第3章の「経済」からになります。
安倍内閣は「第4次産業革命」を成長戦略の柱に据えていますが、そのキーとなるのがスタートアップ。
ただし米国に比べて、日本のスタートアップが今ひとつな理由が、このポイントの2番目では述べられています。
特に3番目の「テクノロジーに精通した経営者が少ない」という点については、本書では「日本のネット業界における時価総額トップ10」がリスト化されているのですが、韓国系の2社以外は、創業者は皆「文系」とのこと(詳細は本書を)。
ゲイツやジョブズ、ザッカーバーグ、ベゾズらが、こぞって理系である米国とはずいぶんと違います。
日本だって、昔の創業者(本田総一郎、松下幸之助、井深大、等)は理系だったんですけどね……。
◆そして当ブログの読者さんにとって、一番気になるであろうパートが、第4章の「仕事」です。
上記ポイントの3番目では、AI時代であっても生き残る「7つのプロ」を列挙。
端的に言えば、「決めるプロ」と「サポートのプロ」と「チーム作りのプロ」と「売るプロ」と「伝えるプロ」と「創るプロ」と「買うプロ」。この7つのプロが会社の主役となり、企業をリードしていきます。なお、そのほかの社員は、各領域のリーダーのフォロワーとして働く、とのこと。
逆に「中途半端なホワイトカラー」はどんどん居場所を失っていく、というのが佐々木さんの見立てです。
また、こうしたカテゴリーとは別に、「働き方のコース」も4つに分けて解説されているので、こちらもぜひお見逃しなく。
◆さらに、第5章では「大学教育」、第7章では「リーダー」に関しても、かなり掘り下げているのですが、当ブログではどちらも微妙なテーマなので、ここでは割愛(一応それぞれからポイントを4番目と5番目を抜き出しましたが)。
ただ、前者は、かつてこのな本を書かれた佐々木さんの面目躍如かな、と。
米国製エリートは本当にすごいのか?
参考記事:【国際派?】『米国製エリートは本当にすごいのか?』佐々木紀彦(2011年07月21日)
後者に関しても「リーダーが生まれない理由」だけでなく、割愛しましたが「新時代のリーダーに求められる7つの力」のように前向きなお話もありますからご安心を。
いずれにせよ本書は、グラフや表を多用して理解を促しており、また、引用や参考文献がすべて注釈されている(Kindleですとリンクで飛べます)「グローバル」な構成でした。
近未来を知るために、セール期間内に買うべし!
日本3.0 2020年の人生戦略 (幻冬舎単行本)
第1章 日本3.0の始まり
第2章 日本3.0と国家
第3章 日本3.0と経済
第4章 日本3.0と仕事
第5章 日本3.0と教育
第6章 日本3.0とリーダー
【関連記事】
【国際派?】『米国製エリートは本当にすごいのか?』佐々木紀彦(2011年07月21日)【STEAM?】『AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である』成毛 眞(2017年01月08日)
【文系必読?】『理系に学ぶ。』川村元気(2016年05月02日)
【キャリア】『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(2013年09月01日)
【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。非常識マラソンマネジメント レース直前24時間で30分速くなる! (SB新書)
目次やレビュー等を読む限り、練習方法ではなくて、ホントに「直前24時間内」にできることばかり書いてある模様。
実際にフルマラソンを走る方は少ないと思いますが、ご参考まで。
ご声援ありがとうございました!
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