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2017年02月10日

【三田先生直伝?】『『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術』〜三田紀房流マンガ論』三田紀房


『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術』〜三田紀房流マンガ論 (コルク)
『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術』〜三田紀房流マンガ論 (コルク)



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった1冊。

マンガ家・三田紀房先生が、その仕事術や発想法を指南してくれています。

アマゾンの内容紹介から。
ベストセラー『ドラゴン桜』をはじめ、ヒットを飛ばし続けるマンガ家・三田紀房。彼の活躍を支えるのは、長いキャリアを経て築き上げた“成功の方程式”だ。「徹夜はしない。でも締め切りは守る」「企画は考えて出すものではない」「ベタを貫け」など、あなたの仕事を抜本的に進化させるノウハウをまとめて紹介。結果を出したい人、必読!

新刊なのにお値段が400円弱だったので、ある程度予想したとおりボリュームは少なめですが、その割には中身は濃い作品でした!





my hard-working colleague / mbp


【ポイント】

■1.慣習に反しても規則正しく働く
 "業界の慣習通り"の働き方を続けながら、これでいいのだろうかという疑問を持つようになった。どう見ても不健康だし、自分にとってもアシスタントにとっても、いい働き方とは思えない。そこで7〜8年経ったあるとき、「来週、実験的に1週間徹夜しないルールを作ってみないか。朝早く来て、集中して作業して終わるかどうか、やってみよう」と言った。(中略)
 1週間試した結果、アシスタントのみんなも「このほうがいい」と納得してくれたので、それ以来、9時半出社を原則とした。規則正しい生活になったおかげでアシスタントが病欠しなくなり、やめないで長く続ける子が増えた。そうすると技術が蓄積されていって、手が早くなる。結果、さらに仕事を効率化して早く作業できるようになったり、新しい技術を覚えて自分の仕事に生かすことができたり、副次的な効果が大きいと気が付いた。


■2.自己満足に時間をかけるのはムダでしかない
 読者のニーズとは関係のない「単なる自己満足」のために複雑な手法に手を出して、時間をかけるのはムダなことだ。自信を持てないことには、最初から手を出さない。迷う要因になりそうなことを排除する。
 この2つを守った結果、私は一度もネームにつまずいたことがない。 迷い、苦しみながら作るというのは一見カッコよく見えるが、読者にとっては一銭の価値もない。私はそこそこ美味しく、飽きの来ないラーメンを毎日提供する日高屋のようなマンガ家でいたい。凝りに凝ったラーメンを作ろうとして、「今日は納得いく味にならない」といって店を休む「こだわりのラーメン店」など、客にとっては迷惑なだけだ。


■3.できる限り小さな視点で企画を考える
 私の場合は、「針の穴」理論を使う。大風呂敷を広げるのではなく、針の穴くらい狭いところにテーマを絞り込んで、企画を考えるのだ。『アルキメデスの大戦』では、「戦艦大和の建造費って、いくらかかったのだろう」というところから始めた。第二次世界大戦に関わる膨大な史実の中から、ただ1点、「戦艦大和の建造費」だけを抽出したのである。
 旧日本海軍が建造した世界最大の戦艦であり、映画やアニメの題材にもなってきた戦艦大和。建設には一体どういう人々が関わり、お金はどこが出したのか。計画に反対する人はいなかったのか───。針の穴くらいのテーマを定めると、そこから発想が勝手に膨らんでいく。大づかみで企画を考えるより、小さなところから大きくしていくほうが、面白いところに発想が転がっていくのである。


■4.異なるものを組み合わせる
 もう1つ、私が企画を立てるときに意識しているのは、「要素を掛け合わせる」ことだ。
 例えば、高校野球をテーマにしたマンガを描きたいと言っても、そんなものは掃いて捨てるほどある。何か新しい要素を掛け合わせなければ、企画として成立しない。そこで「お金」をからめて、高校球児が支援者から1000万円を託されて甲子園を目指すという設定で描いたのが、『砂の栄冠』だ。
 また、『ドラゴン桜』は「受験競争」というテーマに、スポ根の要素を組み合わせている。桜木の指導は基本的につめ込み教育で、鬼監督が主人公たちを鍛え上げるスポ根マンガと同じ発想だ。


■5.まずは型どおりにとことんやる
 そもそも私は、「個性」などというものを信じていない。よく自分の個性、オリジナリティーを見つけたり表現したりすることを人生の課題としている人がいるが、そんなものはそうそうあるもんじゃない。天才と言われたベートーヴェンですら、出発点ではモーツァルトやハイドンから徹底的に学び、そのうえで後世に残る名作『交響曲第九番』を生み出した。
 スポーツや芸術、どんな分野でも、最初は先人が培ってきた技術や知恵をマネすることから始まる。自分一人で独自の方法を追求するより、そのほうが早いからだ。「個性を見つけて伸ばせ」と言っても、一人の人間がもつ能力なんてたかが知れている。まずは型通りにやってみる。それも、とことんやる。そうすれば個性は後からついてくる。


【感想】

◆いつもどおり、上記でポイントを5つ挙げているので分かりにくいのですが、冒頭でも触れたように、本書はボリューム的には少なめでした。

購入前に、どれくらいなのか推測しようとファイルサイズ(9258KB)を見たところ、普通の新書よりも全然大きくて困惑したという。

実際に買ってから分かったのですが、本書は各章ごとに三田先生の作品の画像が用いられており、それは大きくもなります罠。

ですから結局、文字数的には、普通の新書の半分くらいでしょうか。

お値段的にも普通の新書の半分ですから、まぁ妥当ではないか、と。


◆ただし、少々ひっかかるのが「タイトル」。

『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術』とあれば、普通でしたら「仕事術本」と考えるのが自然でしょう。

もちろん、その話も上記ポイントの1番目にもありますし、この個所が含まれる第1章は、テーマとしては「仕事術」になります。

同じく上記ポイントの2番目と、それを収録している第2章も「働き方」のお話ですから妥当。

ただし、それ以外の部分は、むしろ三田先生の「創作方法」の話がメインでして、それこそサブタイトルにある「三田紀房流マンガ論」こそがふさわしいタイトルでしょう。

……まぁ、売れる企画をサクサク出せば、徹夜する必要もないし、結果2倍仕事をしているのだ、と言えないこともないですがw


◆もっとも、この「創作方法」が興味深いことこの上なくて。

上記ポイントでも挙げられているように、三田先生の作品が「どのように生まれたか」を知ると、なるほど、そうだったのか、と頷くことしきり。

この辺りは、先日ご紹介した、藤田先生のこの本に通じるものがあります。

読者ハ読ムナ(笑) 〜いかにして藤田和日郎の新人アシスタントが漫画家になったか〜
読者ハ読ムナ(笑) 〜いかにして藤田和日郎の新人アシスタントが漫画家になったか〜


参考記事:【濃厚!】『読者ハ読ムナ(笑): いかにして藤田和日郎の新人アシスタントは漫画家になったか』藤田和日郎,飯田一史(2016年10月22日)

私はこういったお話が大好物なのですが、実生活(特に仕事)で活かせるかというと、ちと微妙かも。


◆他にも「創作方法」としては、上記では割愛しましたが、三田先生の最初のヒット作である『クロカン』は、あるヒットマンガの「手法」を「徹底的にパクった」ものなのだそう(詳細は本書を)。

……と言っても、パクったのはあくまで「手法」であり、テーマは全然違うので、おそらくパクられた方のマンガを言っても、どこをパクったのか分からないと思います(私は指摘されて初めて気がつきましたw)。

ちなみに、その手法は今でも三田先生の十八番なので、今後三田先生の作品を読むたびに、この話を思い出しそうなw

いや、実際、売れっ子マンガ家さんの、こういうお話がこのお値段で読めるなら、私は「当たり」なんですけど、真面目なビジネスパーソンの方は、くれぐれもメインタイトルだけで飛びつかないでいただきたく。


企画・創作のヒントになる1冊!

『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術』〜三田紀房流マンガ論 (コルク)
『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術』〜三田紀房流マンガ論 (コルク)

第1章 仕組みを作れば徹夜はなくせる
第2章 締め切りを絶対に破らない! 目指すのは「日高屋」のようなマンガ家だ
第3章 クリエイターは「凄い」人たちではない。ただ「やった」人間だ!
第4章 面白い企画を考える「針の穴」理論
第5章 成功するには、あえて「空席」を狙え!
第6章 ストーリーとは、「対立」とその「解決」である
第7章 どうせやるならトップを目指せ!
第8章 ベタな表現を恐れるな!
第9章 アイデアは考え出すものじゃない
第10章 マンガを描き続けることが最優先 些末なこだわりはもたない


【関連記事】

【濃厚!】『読者ハ読ムナ(笑): いかにして藤田和日郎の新人アシスタントは漫画家になったか』藤田和日郎,飯田一史(2016年10月22日)

【オススメ】『電子書籍で1000万円儲かる方法』鈴木みそ,小沢高広(うめ)(2014年09月11日)

【面白!】『サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法』大槻ケンヂ(2012年05月08日)

「プチクリ!」岡田斗司夫(著)(2006年07月10日)


【編集後記】

◆本日は金曜日ということで、新たなKindleセールがいくつかスタートしています。

見逃せないのが、幻冬舎さんの「最大50%OFFセール」。



Amazon.co.jp: 【最大50%OFF】電本フェア: Kindleストア

1500冊弱もあるようなので、改めて記事にするつもりでおります。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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