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2017年02月05日

【ミス撲滅】『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』飯野謙次


仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?
仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった1冊。

著者の飯野謙次さんは、「スタンフォード大学工学博士」ということで、ロジカルな仕事術を指南してくださっています。

アマゾンの内容紹介から。
「ミスしない」は、仕事の効率化&できる人になる、最短ルート!
ミスは、「しないほうがいい」というような軽いものではありません。
「ミスをしない」ということは、それだけで信頼感が高まり、あなた自身の「強み」になるのです。
失敗やミスを回避し、仕事を効率化するコツを本書で体得し、仕事の質とスピードを同時にあげてください。
ハイスピード&ハイクオリティの仕事はやがて、人生最高の楽しみになるはずです!

なお、上記の未読本記事の時点ではなかったKindle版も、いよいよリリースされました!





Preventing Content Mistakes / FindYourSearch


【ポイント】

■1.データ扱いの「1・2の原則」
●共有するデータは「1」ヵ所で保存
 オンラインストレージサービスを活用すれば、社外の人とのデータの共有も容易にできるのでオススメです。
「共有するデータは1ヵ所で保存」のルールを徹底するたけで、様々な仕事がスムーズになるはずです。
●「2」種類以上のバックアップデータをとる
講演資料のパワーポイントは、データのバックアップの仕方についても、私はかなり念を入れています。
 その方法とは、「データが入ったパソコンそのもの」を持参し、かつ、「ファイル名を変えてデータを保存したUSBメモリ」も携帯すること。
「2」つ以上の形式でバックアップしておけば、何かの理由で自分のパソコンが立ち上がらなかったときにも、パソコンだけをお借りすれば講演ができます。ちなみに、USBメモリのデータのファイル名を変えるのは、どちらのデータが原本なのかをひと目でわかるようにするためです。


■2.ダブルチェックは方法や見方を変えて行う
仕事上でも1人が見誤りやすいポイントは次の人も見誤りやすいもの。まして、同じ職場で同じ職務を持つ人がチェックするのですから、Aさんが見誤るところはBさんも見誤る可能性が高いといえます。(中略)
 そこで手間をかけずに効果を出すには、2人目のチェック者は、チェックリストを逆さまに持ってやることをオススメします。
 チェックリストを逆さまに持てば当然、読みにくくなるので、時間が少しかかるかもしれません。
 しかし、見る方向が変わるだけでも、1人目が見逃した、あるいは錯覚した間違いを2人目が捕まえる可能性は、格段に高くなります。
 実はこれは、お勘定を間違えない飲み屋さんでよく使われている手法です。昔ながらの伝票でお勘定を計算する場合、最初は上から順に足して計算し、検算は下から順に足していくのです。
 ダブルチェックは、1回目のチェックと同じ動作を繰り返すのではなく、その方法や見方を変えて行なうことに意味があるのです。


■3.指示されたことを「一段階ほぐして言い換える」
 たとえば社内で指示を受ける場合、多くの場合は「話し言葉」による指示でしょう。
「××を3日後までによろしく」
 という指示を受けたとします。認識の差となり、思い違いにもつながっていく、曖昧な指示ですね。(中略)
 ですから、このように曖昧な指示を受けたら、その返事としては、思考展開図の要領で、一段階ほぐしてから返しましょう。目標を達成するための要件を言語化しておくのです。たとえば、
「これとこれを、24日の17時までに部長にお渡しすればいいんですね。わかりました」
 と、言葉を変えて復唱してみましょう。それで相手の反応がピンとこなければ、指示を間違って受け取っている可能性が濃厚です。
 ただ単に復唱するよりは労力が必要ですが、このスキルが上達すると、勘違いや認識の差による失敗はほぼ100パーセント、撲滅できます。


■4.「フォルト・ツリー・アナリシス」で失敗を想定内に収める
 紙を1枚用意し、そこに「起こってほしくない現象」を書いていきます。
 先ほどの車の運転の例なら、
・人を轢く
・車にぶつかる
・建物にぶつかる
 といった具合です。そして次に、その「起こってほしくない現象」がどうすれば起こるのかを書き出していきます。
 たとえば「人を轢く」ことに対しては、何が起こったときに自分が車で人を轢いてしまうのかを、一生懸命考えます。よほど変わった人でなければ、こんなこと、普段は考えないのではないでしょうか。
 そして、その自分が人を轢いてしまう状況をつくらない方法を考えることで、失敗の芽を摘んでいくのです。


■5.仕事で起こる失敗の「4つの原因」とその対処法
「注意不足」による失敗に対するコツは、自分の中の間題と考えないで克服する工夫を見つけることです。すでに世の中には便利なツールがたくさんあります。
「伝達不良」による失敗は、相手があってはじめて発生します。防ぐコツを考える際には、情報を発信する側と情報を受け取る側の両方に自分を置いて考えることが大切です。
「学習不足」による失敗を防ぐコツは、「地道な努力」です。その努力が辛くならないよう、楽しめる工夫をしましょう。
「計画不良」による失敗が起こってしまったときには、どの点で読みが甘かったのかを、必ず追求しておいてください。

(詳細は本書を)


【感想】

◆本書の「はじめに」にて触れられているのですが、実は本書著者の飯野さんは、あの「失敗学」で知られる畑村洋太郎先生と「失敗学会」なる組織を、14年にわたって運営されてきたのだとか。

失敗学のすすめ (講談社文庫)
失敗学のすすめ (講談社文庫)


また、東大や上智、九州工業大学ほかの大学院で、失敗学や失敗を回避するための設計について教鞭をとってこられたのだそう。

さらに最近では、消費者庁の消費者安全調査委員会にも列席して、事故を未然に防ぐための情報を発信をおこなっている、とのこと。

要は、失敗やミスに関するスペシャリストなワケです。

ただし本書においては、扱う「失敗」を「個人のもの」(「失敗」には組織的な問題の場合も多いですが)「仕事上のこと」に限定。

結果、私たちビジネスパーソンにとっては「捨てネタなし」の作品に仕上がっていると思います。


◆まず上記ポイントの1番目の「1・2の原則」は、実践されている方も多いことかと。

「共有するデータは1ヵ所で保存」というのは、先日ご紹介したばかりのこの本でも提唱されていましたっけ。

世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法
世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法


参考記事:【仕事術】『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法』ピョートル・フェリークス・グジバチ(2017年01月31日)

また「2種類以上のバックアップデータをとる」という点で、最近飯野さんは、ネット上にもその日の講演データを置いて、「三重の備え」にされたのだそうです。

というのも、安全のため、外部から持ち込んだUSBメモリは、自社のパソコンには差し込ませない方針の会社もあるから。

加えて、普段からこうしてバックアップをとる習慣を持っていると、何らかのトラブルで作業中のデータが消失した場合にも役立ちますから、そういう観点からも、ぜひ実践したいところです。


◆一方、上記ポイントの2番目の「ダブルチェック」は、私のような経理会計系の仕事に就いている方ならお馴染みかと。

ただ、「検算を下から行う」のは試したことはありますが、「チェックリストを逆さまに持ってやる」というのは目からウロコ。

本気で失敗やミスを本気で撲滅したい場合は、そういうアプローチも有効なんだと思います。

なお、本書では計算の検算を行う場合に、プリンタ付きの電卓を用いる方法も紹介されていますが、私が今職場で使っている電卓もそれに似た有益な機能がありまして。

カシオ スタンダード電卓 計算チェック デスクタイプ 12桁 D-260-N
カシオ スタンダード電卓 計算チェック デスクタイプ 12桁 D-260-N

「スタンダード電卓 計算チェック デスクタイプ D-260-N」は、計算チェックと訂正機能計算ができる電卓です。それらを100ステップまでさかのぼってチェックと訂正ができるため、計算の正誤をチェックしていきたいという方におすすめです。またチェック/アンサー機能では、同じ計算を2回続けることができ、その結果を交互に見比べることができるため、簿記などの勉強をする際にも役立ちます。

ちなみに、計算チェックはボタンを押すことで1つずつ確認(順行、逆行どちらでも)できますし、自動再生(?)で勝手に次々と表示することもできます。

……なんでカシオは生産終了してしまったんや(涙目)。


◆また上記ポイントでは割愛しましたが、チェックリストは日米で違いがあるのだそうです。

具体的には、アメリカのチェックリストは「非常に小さなステップが1つずつ項目化されている」らしく。

その分、項目は多く、リストは長くなるものの、チェックマークを入れるときは、何も考える必要がありません。

それに対して日本のチェックリストは、1つの項目に複数のステップが含まれていることが多いとのこと。

本書では日米のチェックリストを図で比較しているのですが、たとえば日本のリストが「水槽温度の適正を確認する」となっているところ、アメリカだと「水槽Aは60℃より低くない」「水槽Aは80℃を超えていない」といった風になっていました。

確かに「適正」という表現は曖昧ですが、日本の感覚からしたらさすがに「60〜80℃」を2つの項目には分けないですよね。

でもたとえばこのケースだと、2つに分けることで、温度が60℃未満なのか、80℃超なのかはわかるわけですから、それだけでも意味はあるかと。


◆ところで最後のポイントの5番目は、サラッと書いてありますが、実は本書の2〜7章に登場する個別のミス対策は、すべてこの分類に従っているのだそうです。

そしてこの4つの原因を取り除けば、個人の失敗に関しては大丈夫、とのこと。

確かに本書を熟読して実践すれば、ミスや失敗は減りそうです。

ただし、上記ポイントの2番目の「チェックリストを逆さまに持ってやる」辺りが顕著なのですが、タイトルにある仕事の「速さ」よりは、「ミス撲滅」に注力している感じ。

もっとも、「速さ」は評価基準が曖昧ですけど、「ミスか否か」は「0か100か」の世界ですから、まずはそちらが先なのは当然ですか。


仕事でミスを失くしたい方なら必読!

仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?
仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?

1章 なぜあの人は、仕事が速いのにミスしないのか?
2章 仕事の質とスピードを同時に上げる方法 入門編
3章 うっかりを防ぐ「最小・最短・効率」仕事術
4章 メールを制する者が、ビジネスを制す
5章 自分のパフォーマンスを最大まで高める仕事術
6章 「ずば抜けた仕事」の決め手となる人間関係とコミュニケーションのコツ
7章 仕事の質とスピードが同時に上がる逆転の発想法
8章 「自分流・万能仕事術」のつくり方
9章 自己実現を最短でかなえる仕事の取り組み方


【関連記事】

【ミス防止!】『仕事の「ミス」をなくす99のしかけ』松井順一(2014年06月04日)

【仕事術】『やり直し・間違いゼロ 絶対にミスをしない人の仕事のワザ』鈴木真理子(2014年04月14日)

東大教授は『なぜかミスをしない人の思考法』の夢を見るか(2013年11月30日)

マッキンゼーが選んだ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』の10個の原則(2011年06月23日)

【ミス対策】『「事務ミス」をナメるな!』中田 亨 (2011年01月19日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか
ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか


当ブログでもスマッシュヒットとなった1冊。

今回は「65%OFF」ということで、送料加味した中古よりも750円ほどお買い得となっています。

参考記事:【スゴ本!】『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ(2014年09月26日)


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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