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2017年01月24日

【濃厚!】『伝えることから始めよう』高田 明


伝えることから始めよう
伝えることから始めよう



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本の記事」にて取り上げたマーケティング本

読もうかどうか迷っていたのですが、HONZの田中さんが「こんなに読んでいてワクワクする経営者の本を読んだのはスティーブ・ジョブズの自伝以来はじめてかもしれない」と激賞されたので読んでみたところ、なるほど「ハイライト引きまくり」でした!

アマゾンの内容紹介から。
家業のカメラ店の手伝いで観光写真を撮っていた時代から年商1700億円超の日本一有名な通販会社をつくり、「卒業」するまで。そして、今伝えたい一番大切なこと。

なお、上記未読本記事の時には、単行本と同価格だったKindle版が、値引きとポイント還元を合わせて、実質400円弱お安くなっていますのでオススメです。





shopping channel / jeff~


【ポイント】

■1.「伝える」と「伝わる」は違う
 どんなに素晴らしい商品でも、お店に並んでいるだけでは商品の魅力はお客さまには伝わらないと思います。それでは買ってはいただけませんよね。もちろん、小売業の方々はだれでも商品の魅力を一生懸命に伝えようと努力されています。しかし、皆さん、ここが大切なところですよ、「伝える」と「伝わる」は違うんです。お客さまに、伝わるべきことがしっかり伝わっていなければ、お客さまの心は動かないと思います。「伝えたつもり」で終わってしまったら、商品を買っていただくことはできない。それが、ラジオ・テレビショッピングを通して、私が一番学んだことでした。


■2.原点は使い方の説明から
 カメラを売るときはですね、ただ買ってくださいってだけは言わないんですよ。商品を手に取って使い方を丁寧に説明しました。口で言ったってわからないでしょう。お年寄りはとくにそうなんですよ。だから、フィルムを巻き戻すときは、裏のこのボタンを押しながらこうして回さないと巻き戻しができないでしょう、って説明しながら、実際にやってみせるんです。そしたら売れるんですよ。
 性分なんでしょうね。自分が知っていることを伝えずにはいられないんです。だから、使い方がわからない人には一生懸命教えてしまうんです。そうしていたら、自然と買っていただけるんですね。お客さまはご納得いただいたら興味を示してくださるのだということを学びました。そういう経験は、ラジオ・テレビショッピングを始めてから活かされたと思います。


■3.信頼重視でナショナルブランドにこだわる
 ラジオショッピングで扱う商品は、ソニーとか富士フイルム、シャープのようなナショナルブランドにこだわりました。「どうしてどこの店でも売っているようなナショナルブランドの商品を売っているのか」とよく言われました。そんなものは量販店に行って買うから、ラジオでは買わないって、言われたんです。でも、よく売れました。
 ナショナルブランドにこだわったのは、アフターケアを考えてのことでした。通販を利用するお客さまが心配するのは故障です。お店で買えば、故障したらお店に持って行きますよね。でも通販ならどうすればいいかって、お客さまは不安になると思ったんですよ。
 ソニーの商品なら安心じゃないですか。日本人だから、キヤノン、富士通、シャープって聞いただけで安心するでしょう。だから、そこにこだわったんです。修理体制はありませんでしたから、実際に故障があったときは修理せずに新品をお送りしていました。お客さまとラジオ局に信頼してもらえるラジオショッピングの会社として、全国に広げていくために、そうしたんです。


■4.商品やサービスに絶対の自信を持つ
 ミッションの話と重なりますが、モノを売る仕事をしている人間にとって最も大切なことの一つは、売っている本人が商品やサービスに絶対の自信を持っていることです。ですから、商品やサービスに惚れ込む必要があります。というよりはむしろ、惚れ込んだ商品を売ることがよいと思います。私がジャパネットで扱う商品を選ぶときは、これは絶対に売れる、と自分が信じられるまで研究しました。実際、ほんの少しでも自分の中に迷いがあるとよい結果は得られません。「本当はこの商品はなぁ……」などと思いながら商品を紹介していたら、本気にはなれません。迷いがあれば、商品名を間違えたり商品紹介でミスが出たりするんですよ。自ずとテンションも下がってしまいます。
 いつも本気で紹介したいと思えるもの、想いがあるものを選ぶ。だからテンションも高まる。だから、伝わる──。長い経験の中で、私はそれを学んできました。


■5.「我見」「離見」「離見の見」
 世阿弥は能を舞うときには「3つの視点」があると説きます。「我見」と「離見」、そして「離見の見」の3つです。(中略)
 テレビショッピングに置き換えて私流に解釈すると、売る側が、商品の特長や性能を説明して「これいいでしょう」と一方的に購入を勧めているのが我見です。それに対して、テレビを見ているお客さまの生活シーンを想像して「こんなふうに使うといいと思いませんか」と相手の立場で提案できるのが離見。そして、離見で気づいたことを、どのように伝えればお客さまの心に届くか、伝え方の方法までを考えることができるのが「離見の見」ということになるのではないかと思います。  人間はつい我見に陥りがちですよね。自分がいいと思ったら、相手がどう考えているかなんてお構いなしに押しつけがましく勧めてしまいます。だからこそ、離見の意識を持たないといけないと思います。見ている人、視聴者、お客さまの側の立場に立って考えてみる。そして、離見の見。相手が自分を見ている目線で自分を眺めてみる。それが伝わるコミュニケーションにとっては非常に大切だと思うのです。


【感想】

◆冒頭の田中さんの言うように「ジョブズ自伝」に匹敵するかはさておき、ブックマークしまくりました。

そこまで厚い本ではない(271ページ)のに、70か所超!?

紙の本だったら、付箋がびっしり貼られた本の画像をアップしていたと思います。

さて、ジャパネットと言えば、テレビが有名ですが、そもそもの原点は、お父さんのやっていた写真店がスタート。

昼にカメラを売って、夜には宴会の写真を撮って現像し、朝それを売りに行くという毎日が続きます。

ただ、それがジャパネットというか高田さんの原点であることは、上記ポイントの1番目にあるとおり。

カメラだけではなく、撮った写真をいかに買ってもらうか、といった工夫も当時からなさっていたようで、このあたりは本書の第1章をご覧いただきたく。


◆続く第2章では子ども時代から、大学卒業後、いったん別の会社にお世話になり、その後その大学時代の親友と会社を興したというお話が。

そして第3章では、いよいよラジオショッピングに進出してからのお話が始まります。

ここからはもう「目の前のお客さん」ではなく、「不特定多数」の聴衆者に対して、いかに訴えかけるかが勝負!

上記ポイントの3番目の「ナショナルブランドにこだわる」というのも、ラジオショッピングゆえに打ち出した施策とのことです。

また同時に、この頃から有名な「金利・手数料負担」も始めたのだそう。

そしていよいよ、本丸ともいうべき「テレビショッピング」にまで進出していきます。


◆興味深かったのが、テレビショッピングでは「生放送」にこだわったこと。

最初はタレントさんを呼んで収録していたのが、自前のスタジオができてからは、生放送へ移行したのですが、これがもう「猛反対の嵐」だったそうです。

というのも、万が一放送事故などが起こった場合、最悪、放送委託業者の許可が取り消されることもあるのですから、それは慎重にもなります罠。

しかし高田社長は「生放送だからこそ、お客さまに感動を伝えられる」と主張。

実際、生放送ならではの緊張感は、話し手の口調を変え、臨場感も出ます。

そしてそれが視聴者の共感につながって、結果、売上にも反映されたのだそう。

……って、実はこの辺までで、まだ本書の半分くらいなんですがw


◆ところが実は、その後に続く第4章「伝わるコミュニケーション」にて、本書のキモとも言える「伝わる」秘訣が明かされているというw

正直、ここで挙げられているテクニック(という表現を使うと高田さんに失礼ですが)群だけで、記事1本書けるくらいです。

それも「気力」のような抽象的なお話から、「最初の1分間が勝負」のような具体的な話まで、とにかく豊富。

舞台は「テレビショッピング」という特殊なものですが、プレゼンからセールス、コミュニケーションまで、幅広く応用できるものだと思います。

それにしても、一般的には「若い人向け」と思われているタブレットが、ジャパネットだと「購入者の7割以上が60歳以上のシニア層」というのには驚きましたがw


◆本書はテレビでお馴染みの高田さんが、どのような人生を歩まれ、どのようにジャパネットという会社を作り上げたか、という「自伝」として読んでも良し、すぐ上で触れたような「ノウハウ本」として読んでも良し。

ただし、第1章のタイトルにあるように、あまりに「今」に注力しているためなのか、会社を経営する上での「目標」を持たない、という点は気になりました。

高田さん曰く
ジャパネットたかたの経営を振り返ってみると、「長期的なビジョンを持たない積み上げ経営」だったと思います。
とのこと。

とにかく「基本的に数値目標を設定したことがありません」とまで言われているのですから、本格的です(白目)。

……まぁ、その辺はあまり気にせず、むしろそのような経営方法でここまでのし上がったジャパネットの秘密をじっくり読むのが良いかと。


「伝えたいもの」がある方なら、要チェックです!

伝えることから始めよう
伝えることから始めよう

第1章 今を生きる
第2章 どんなこともつながっている
第3章 できる理由を考える
第4章 伝わるコミュニケーション
第5章 自己更新


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【編集後記】

◆本書とは違って別の方が書かれた作品ですが。

「社長、辞めます! 」 ジャパネットたかた 激闘365日の舞台裏
「社長、辞めます! 」 ジャパネットたかた 激闘365日の舞台裏


このときの「過去最高益を更新できなければ、社長を辞めます」というのが、唯一の(?)目標設定だったみたいです。


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